魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
そういえば今回話に触れるエルの刀。名前まだ決まってないんですよね。どうしよっか迷ってます。もしかしたらアンケート取るのでよろしくお願いします。
ではどうぞ!
「「ええ⁉︎魔法!!!」
翌日、ヘスティアの言葉にエル達はあまりの衝撃に机から身を乗り出した。昨日、ステイタスを授かった時、魔法を使えるなんて一言も言われて無い。だが、翌朝目を覚まして朝食を取っている最中にヘスティアが突然言ったのだ。『君は魔法が使える』と。ただのヒューマンである自分が、何故ステイタスを授かった瞬間に魔法が使えるか不思議で堪らない。魔法とは全く関係無い生活を送って来た自分がだ。ただ嬉しく無い訳では無い。魔法があれば戦闘の幅が広がる。それに自分にとって魔法は物語の中の存在だった。ベルなんか羨ましいのがモロに顔に出ている。
「そ、それでどんな魔法なんですか?」
「
詠唱を必要としない。それはとても強力である。魔法はただでさえ強力なものが多い。その為に詠唱を行わなければ魔法は発動しない。それによってこの世界のパワーバランスは保たれている。そして一部の例外を除いて詠唱中は行動が制限される。並行詠唱という詠唱しながら動く事を可能にする技術によって動く事を可能に出来るが、失敗すると溜めていた魔力が暴発し、自分の身に危険が及ぶ。さらに並行詠唱は努力だけで出来るものでは無く、才能に大きく依存する。その為、世界で数えても指で数えられる程しか存在しない。
無詠唱とは、いわばその並行詠唱を努力無しで可能する事が可能なのだ。誰もが喉から手が出る程欲しいのだ。まだ【
「この魔法って誰かに知られたら…まずいですか?
「物凄くまずい!良いかい、この無詠唱は恐らく全人類を見ても君しか存在しないだろう。そしてそんな無詠唱をレベル1の、しかも出来立てホヤホヤのファミリアの団員だってバレたら、必ず君は狙われる。そんな自分の身に危険が及ぶ魔法を人前で使わない方が良い。勿論、君の安全が保証出来ない場合は別だけどね」
「でも注目されるよ。そんね凄い魔法なら隠すのは勿体無くない?」
「俺は注目されるのは好きじゃないんだよ」
能力を使用するのは良い。しかし調子に乗って見せびらかすのは決して良くない。ベルには先にギルドへ向かって貰い、エルとヘスティアは少し話す。
「注目される、ねぇ」
「ベルはまだ子供なんですよ」
2人はベルの後ろ姿を温かい目で見つめる。ベルの考えが分からない訳でも無い。誰だって能力を自慢したくなる。しかしそれは賢い行いではない。
「効果次第では無詠唱を他の神に知られたら君は必ず狙われる」
「それくらい分かってますよ。悪い奴等に利用されるかも知れないって。だからダンジョン内でも周りには気をつけますよ。幸い、俺に無意味に能力を自慢する趣味は無いんでね」
「それなら良いんだけどね。それじゃ、気をつけてね」
「はい、行ってきます」
エルはベルを追いかける。ヘスティアは自分の初めての子だからか、少し心配気味である。ヘスティアも2人の無事を祈り、バイトへと出掛けた。
1階層
冒険者登録を済ませた2人はダンジョンに来ていた。ベルはナイフを、エルは刃渡り50cmの刀をそれぞれギルドに支給された。そこでベルは疑問に思った。
「なんで背中の剣を使わないの?」
そう、エルがこの世界に飛ばされた時に付いてきた剣の事だ。壊れて使えない訳では無い。それどころか新品同様、刃こぼれの1つも無い。ミイシャからも言われた。『自分の武器があるなら何故それを使わないの』と。確かにギルドは初心者へ武器を支給する。だがそれを使わなければいけない決まりは存在しない。それでもエルは持ち前の剣では無く、支給品を欲した。エルは決めていたのだ。この剣に見合う強さを手に入れるまで、この武器を使用しないと。
剣術の修行を初めて数ヶ月経った頃、エルは祖父へ自分の武器について尋ねた。
「なぁじいちゃん。あの剣って何?」
「あの剣がどうかしたのか?」
「どうかしたとかじゃなくて何処で手に入れたのって聞いてるの。見た目が凄い凝ってるから高いのかなって」
エルからしたら当然の疑問だった。何故あれ程高そうな武器を祖父が持っているのかと。祖父の強さはもしかしたら冒険者だったのでは無いかと気になっていた。しかしその推理は全く違うのである。
「高いかどうか、か。悪いが儂は知らん」
「え?もしかして……獲った?」
「誰が泥棒じゃ!!…………それはお前の武器じゃ」
「俺の?」
「お前の小さい頃、朝目が覚めたらお前が抱き抱えて寝てたんじゃ。結局誰が犯人か分からず終いだった。だが見た感じかなりの業物じゃろう。冒険者になったら初めに武器を支給されるがお前にはその武器がある。使ってやれ。そうした方がお前にあげた奴も喜ぶだろう」
そう言われたエルは鞘に収まっている刀の側面を優しく撫でる。柄に手を添えるだけで力が溢れて来るのを感じる。この刀があれば自分は最強の冒険者になれる、そう思った。だから決めたのだ。
「俺は………この剣を使わない」
「なんじゃと⁉︎」
「正確には強くなるまで使わない…かな。分かるんだ。素人だけどなんとなく。こいつはとんでもない剣だって。こいつがいれば俺は世界最強の冒険者なれる、俺の直感がそう言ってるんだ」
「なら何故使わない⁉︎最強の冒険者がお前の目標じゃないのか‼︎」
「そうだよ。俺は最強の冒険者になりたい。でも、それは武器頼りの強さじゃない。俺自身が最強になりたいんだ。こいつ手にして最強の冒険者になってもそれはこいつのおかげ。こいつがいなきゃ並の冒険者、そんなハリボテの強さなんか要らない。どんな武器だろうと最強でいたいんだ。だから俺は、俺自身が最強になるまでこの剣を使わないんだ」
ゼウスはエルの言葉に何度目か分からない英雄の器を見た。
(普通の冒険者は強い武器をひけらかす。そしてその人が所持する武器で強さを測る。しかし本当の一流は違う。真の強者は物を選ばない。やはりお前は英雄になれる器じゃよ。お前がなろうとしなくても、いずれは勝手に英雄になっておるじゃろうなか)
「なら、一生その剣を使う事は出来ないな」
「は?」
「そりゃそうじゃろう。だって、儂を倒せないのじゃからな!ww」
「プチッ なら勝てば良いんだろ!このクソジジイ!」
(使うのはだいぶ先になるかも知れないけど我慢してくれよな)
エルは昔の事を思い出し、右腰に刺している剣をさする。その時だった。ベルが大声を出した。
「お兄ちゃん!敵!」
ベルに言われてエルは慌てて構える。2人はダンジョンに出かける前にそれぞれの担当からギルドについての知識とモンスターの知識を叩き込まれた。その情報から目の前の敵はコボルトだ。低階層に生息している。いわゆるチュートリアルで戦う敵だ。しかも丁度2体
「ベル、1体は任せたぞ。やれるな。もしまずかったら叫べ、いいな!」
「うん!」
そしてお互いに左右に分かれて一対一の状況を作り出す。コボルトは狙い通り、左右に分かれた。
コボルトは人より発達している爪や牙を武器で攻撃してくる。エルはそれを余裕を持って躱す。噛みつき攻撃を紙一重で避けるとコボルトの頸が見え、大きな隙が出来た。しかしエルはバックスタップで距離を取る。コボルトはやられずに生きていた事に疑問が残る。しかしそんな事考えずに本能で襲ってくる。
エルは精神を集中させていた。確かにモンスターとの戦闘は初めてだ。しかし数秒戦って分かるが弱い。祖父の方が何倍も強いと思う程だ。だがそれでも攻撃に転じない。それは何故か?覚悟を決めているからだ。ダンジョンに入る前の覚悟とモンスターを前にした時の覚悟では覚悟の重みが違う。自分はこれから生物を殺すのだ。蚊や蝿、アリを殺すのとでは訳が違う。自分に近い体格をした二本足の生物。実際に体に刃物を加えたら人と同じ感覚がエルを襲うだろう。その感覚を受け入れる覚悟だ。これから何百、何千、何万のモンスターを殺す覚悟だ。エルはひたすら避ける。覚悟が決まるまで。
そして遂にその時が来た。エルの頭を噛みつこうと思い切り開けたコボルトの口目掛けて横一閃。気がつけばコボルトの口から上はスライドして地面に落ちた。エルは手を見る。コボルトを斬った時の感触。気持ちのいいものでは無かった。しかし決めたのだ。最強の冒険者になると自分で。だから乗り越える。
「コボルト、ありがとうな」
初戦闘をしてくれたコボルトに礼を言ってコボルトの体から魔石を抜き取る。これも死体を弄る行為だ。多分好きになる事は無いだろう。
「あ、そういえばベルはどうなったんだ?」
自分の事で頭一杯だったがベルがいた事を思い出した。だが声を上げていないから無事だと思うが少し心配である。
「ベル、大丈夫か?」
少し離れたところにベルが佇んでいた。モンスターがいない事からどうにか倒したのだろう。しかし返事が無い。もう一度呼ぼうとした時だった。
「おーい、ベルー!」
「かった、かったぁぁぁぁぁぁぁあ!」
勝利の雄叫びをあげて入り口へ走り去ってしまった。エルはダンジョンに取り残されてしまったのだった。
ご愛読ありがとうございました。
モンスター殺すのって覚悟いりますよね。いわゆるトラとか殺すって事でしょ。中々ですよね。
もう少しで原作スタートかな。それまでお楽しみに!またね
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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