魔神の子のダンジョンライフ 〜最強を目指して〜 作:やってられないんだぜい
少し間が空いてしまいましたがこれからも頑張るので応援よろしくお願いします!
今回は戦闘描写が主なので作者は気合い入れて書いたので楽しんでくれると幸いです。
では本編どうぞ!
エルは【
(クソッ!このままじゃジリ貧だ。【
戦いは防戦一方。しかしエルの体は傷一つもついていなかった。冒険者に成り立てであるエルはモンスターにどうしても身体能力は劣る。それでも傷一つないのは今まで培った賜物だろう。エルの努力は無駄では無かったのだ。その努力を否定しない為に魔法に頼らない。初めから魔法に頼っている様では強くはなれない。
エルは色んな手を試した。瞬きのタイミングに奇襲、砂を使った目潰し、足元から切り崩す、通路の死角の利用。しかしどれも失敗に終わる。そもそもウォーシャドーの目は人の目と違った。まず瞬き自体が無い。その為、常にこちらの位置を把握している。それなら目潰しはと思ったが目と思われた場所に近づく事すら叶わない。鋭利な指に邪魔される。指を躱して足元から攻めたみたのだが、
「⁈…とおっ」
異様に遠い。長い両腕に意識が行っていた為にウォーシャドーの胴体との距離を見誤ったのだ。懐に入り込めたと思ったのは勘違い。その一瞬の隙に奴の振り下ろしてくる鋭利な指がエルの背中を襲った。エルは奴の股の間を吹っ飛ぶ。その時に少しでダメージを与え様と体を反転させて剣を奴の股に滑らせた。すると奴の股は浅く裂け、初めてダメージを負わせた。しかしエルは飛び込び壁へ突っ込んで顔面を強打した。
「ぐああ!」
鼻血が噴き出る。しかし死んではいない。懐に飛び込もうとしたのが幸いして傷は致命傷とまではいかなかったが危ない。少しでも気を緩めれば意識が飛びそうである。エルは顔面を押さえながらも後目でウォーシャドーを確認する。
ウォーシャドーはエルによって裂けた股の状態を手で触り確認している。しかし直ぐに止めて壁と向かっているエルを見る。見るか限りダメージがあるとは思えない。肉体が確立されてない存在だからか痛覚が鈍いのだろう。奴はゆっくりと歩み始め、徐々に速度を上げてエルに襲いかかる。いつまでも動く気配が無いエルを見てチャンスだと思ったのだ。
エルはこの瞬間、覚悟を決めた。敵の攻撃を利用する事を、その攻撃をワザとこの身に受ける覚悟を。
ウォーシャドーは右腕の鋭利な指でエルの背中を貫いたのだ。確実に仕留めた、勝負はついた。そう思うのも無理はない。しかしそうと決めつけたのがウォーシャドーの運命の分かれ道だった。なんとエルは背中を貫かれた瞬間に左反転をし、左手に持ち替えている剣で自分の背中に突き刺さっている奴の腕を切り落としたのだ。奴は初めて動揺を見せた。バックステップをしてエルから距離を取る。確実に仕留めた筈なのに何故生きている。その疑問が奴を襲った。失った右腕を押さえていると足元に自分の腕が転がって来た。エルを見ると彼は肩で大きく息をしながら奴を睨みつけていた。
「はぁ、はぁ、はぁ…………さく…せん……成功……ゲホッ」
背中を貫いて胸元にポッカリ穴が空いてる筈のエル。しかし現実は胸元より数センチ右上に大きな穴が空いていて血を吐いているエルがいた。
何故エルの胸元に穴が空いていないのか。それは攻撃を受ける瞬間。さりげなく、自然に数センチ左にズレたのだ。ウォーシャドーが気付かない範囲で。動けるのなら、何故死んでしまうかも知れない攻撃をワザと受けたのか。それは奴の攻撃の反動を利用する為だ。胴体の中央より右側を後方から攻撃されるとどうなるか?答えは右半身がより前方へ押し出されるだ。つまり左半身が僅かに後方の奴へ反転する。その反動を利用したのだ。攻撃を受けた瞬間、反動で左反転する勢いに自ら加速を加えて奴の腕を斬ったのだ。
しかし反動を利用するならもっと浅めの傷で良かったのではないか?これからの戦闘を考えて重症になる怪我を負う必要あったのではないか?そう思うだろう。結論から言おう。大ありだと。ワザと深手を負ったのは奴を油断させる為である。攻撃を受ける際、浅めの傷になる程、体をズラしたら奴は不審がるだろう。つまり次の攻撃が成功しにくくなるのだ。『動いた⁈このタイミングで動くという事は罠だ』と。モンスター相手に考えすぎと思うかも知れないがそんな事は無い。本番の戦闘に考えすぎなど存在しないのだ。
「はぁ、はぁ、はぁ」
(運が良かった。もし左腕で攻撃されてたら心臓が削られて即死していただろう)
そしてもう一つ深手を負った理由。それは相手恐怖を与える為だ。浅めの傷を負った敵が襲ってきても恐怖は薄いだろう。しかし深手を負った敵が戦意を失わず、こちらを睨みつけてきたら?背中には斬り傷、顔面は鼻血で血だらけ。そして胴体に大きな、それこそ向こうの景色が見えそうなポッカリとした大きな穴だ。誰がどう見ても重症。それなのに全く戦意喪失せず、それどころかその状態で反撃し、腕を切り落とされた。そんな相手に何を思う。『この人間は不死身か?』と思わないか?自分がどれだけ攻撃しても深手を負わせても反撃してくる。そんな者に得体の知れない恐怖を抱くのだ。それはモンスターも動揺である。実際、ウォーシャドーは逃げ出しこそしないが明らかに戦闘に集中出来ていない。エルに対する恐怖が奴のあるか分からない脳内を充満している。エルが一歩、また一歩歩みを進めると奴はジリジリと後ずさる。元々広いとは言えないスペースで戦っていた為、直ぐに壁まで追い込まれた。それでもエルは歩みを止めない。
やがてウォーシャドーはエルを射程距離範囲まで侵入を許す。恐怖に呑まれながら残った左腕でエルへ攻撃を繰り出す。それをもう使い物にならない右腕を僅かな動きで空中に浮かせてガードした。当然、右腕は鋭利な指によって斬り裂かれ、さけるチーズの様に綺麗に裂けた。ウォーシャドーはいくら使い物にならないからと言って簡単に自分の身体を犠牲にするエルに更に恐怖する。その隙にエルは、自身の右腕を裂いた奴の左腕を斬り飛ばした。両腕を失ったウォーシャドーになす術はなく、死を受け入れる事だけだった。エルは刀を天へ突き刺し、座り込んだウォーシャドーを見下ろして言った。
「じゃあな。お前との戦い、楽しかったぜ」
こんなにボロボロなのに。この戦いが終わったら出血多量で死ぬかも知れない身体でこんな事を言う化け物と出会った時点で自分の運命は決まっていたのだとウォーシャドーは悟った。だがこの戦いでウォーシャドーに損しか無かったかと言われるとそうではない。ウォーシャドーはの戦いで、エルとの戦闘を通じて恐怖という感情、そして言葉を理解する事が出来た。しかしそんな事考える余裕も無い
ザシュッ!
エルは刀を振り下ろしウォーシャドーは真っ二つになって灰と化した。エルも戦闘が終わって体へのガタが一気に押し寄せてきたのかそのまま気絶してしまった。
ご愛読ありがとうございました。
初の戦闘描写でしたね。書いてて楽しかったです。戦闘シーンって話が難しいんですけど書くのは楽しいですね。
では次回もお楽しみに!またね
魔神王の魔力『支配者」についてですが、今作ではあらゆる物理魔力に対して反応しますが、原作では魔力だけどの事でした。『支配者』の魔力をそのままにするか、原作同様、物理は関係無しにするかアンケートを取ります。変更してもあの時のセリフが一部改変するだけで、それ以外は矛盾が生じませんので安心して下さい
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