ロクでなし魔術講師とマダオ(まるでダメなおっさん) 作:嫉妬憤怒強欲
「……はぁー」
「もう、システィ元気だしなって」
午前の授業が終わり、昼食タイムの時間になった。
生徒達で賑わう学院の食堂にて。テーブル席について大きなため息を吐いたシスティーナに、隣の席に座るルミアが声を掛ける。
「だって……」
なぜシスティーナの気分が沈んでいるのか。
少し前の休み時間で、システィーナは早速日輪の国からの留学生であるショウに陰陽術について聞いてみたのだが、ショウの説明にいまいち理解できなかった。
日輪の国とアルザーノ帝国の魔術基盤やが異なっているのもあるが、ショウの説明が抽象的すぎて要領を得られなかったのが一番の原因だ。
式神を召喚する時のコツの説明のときも…………
『ひゅーっとやってひょいっだよ、ひゅーひょいっ、分かんない?センスねぇ〜』
という始末。
グレン含むクラスの誰も理解できず、数日間なんとか粘ったシスティーナでさえも音を上げてしまった
「陰陽術について聞けると思ったのに…………」
好奇心の強いシスティーナの落ち込み具合は酷いものであった。
「でも切り替えないと。今度の魔術競技祭の選手決めをやらないといけないんだから」
「あー…もうそんな時期だったわね」
魔術競技祭とはアルザーノ帝国魔術学院で年に三度に分けて開催される、生徒同士による魔術の技量の競い合いである。各クラスから選出された選手達が様々な魔術競技で腕を比べ合うお祭り、であるのだが。何時からか出場するのは成績優秀者ばかり、挙句同じ選手の使い回しが当然のように行われるようになり、お祭りという楽しい印象からは掛け離れた代物へと成り下がっていた。
システィーナは事実、学年で五本の指に入る成績優秀者だ。当然、去年もそんなお決まりに従って、一年次生の部の魔術競技祭に出場したのだが……面白くなかった。父親から聞かされていた話とずいぶん違った。
昔はクラス全員が参加して、全員一緒に盛り上がったお祭りだったらしいのだが、そんな競技祭はいつの間にか廃れてしまったらしい。
「今回は皆で頑張りたいわ」
「うん、そうだね。放課後に呼びかけてみよっか」
♢♦♢
「…なあ、アヤト…」
「……どうした、ショウ?」
「今、クラスで何してるんだ?」
「魔術競技祭の種目決めみたいだな…」
「……そうか、ところでオイラは今、ある疑問を持っている」
「…何だ?」
「何で、こんなにもこのクラスはテンションダダ下がりなんだ?」
「オレが知るわけないだろ」
ショウが疑問に思ってたこと、それはクラスの雰囲気がびっくりするほど沈んでいることだ。
「はーい、『飛行競争』の種目に出たい人、いませんかー?」
壇上に立ったシスティーナがクラス中に呼びかけるが、誰も応じない。
クラスメイト達は皆、一様にうつむいたまま、教室は葬式のように静まり返っている。
「……じゃあ、『変身』の種目に出たい人ー?」
やはり、無反応。教室は静まり返ったままだった。
「はぁ……」
一向に参加種目が決まらない現状にシスティーナからため息が洩れる。
競技祭の開催はあまり時間が残っていないため、何としても今日中に決めなければならない。
「ねぇ、みんな?せっかくグレン先生とセラ先生が『自由にして良い』って言ってくれたんだし思い切ってみんなで頑張ってみようよ!ほら、去年出られなかった人も出られる機会なんだよ?」
ルミアはみんなに対して呼びかけるが誰も反応を示さない。
「……無駄だよ、二人とも」
その時、この膠着状態にうんざりした眼鏡の少年が席を立った。
少年の名はギイブル。このクラスではシスティーナに次ぐ優等生だ。
「皆、気後れしてるんだよ。そりゃそうさ。他のクラスは例年通り、クラスの成績上位陣が出場してくるに決まってるんだ。最初から負けるとわかっている戦いは誰だってしたくない……そうだろ?」
「……でも、せっかくの機会なんだし」
むっとしながら反論しようとするシスティーナを無視し、ギイブルが続ける。
「全く、お情けでみんなに出番を与えようとするから滞るんだ。そもそも今回は女王陛下が御来臨されるんだぞ。そうでなくとも、魔導省の官僚や宮廷魔道士団の団員の方々なども数多く来る行事なんだ」
「え?そうなのか?」
「う、うん……」
「そりゃあ委縮するわけか」
編入生であるアヤトとショウは内容は知らないし、わざわざ観戦する人達がどんな集まりかなんて尚更なのでルミアに確認してみるが、どうやら近年の競技祭は将来の進路のため、教師達の顔を立てるためのの足掛かりとして、各方面のお偉いさんにアピールする数少ない魔術系の行事のようで、どの競技でも成績上位者を出場させて勝ちを狙いにくるのが定石のようだ。
「なんだそれ。競技祭とは名ばかりの生徒を使った品評会みたいなもんじゃん」
「そうよ。そんなの決して競技祭だなんて言えないわ。毎年そんな勝ち方でつまらなくないの?」
「はぁ……システィーナ、いい加減にしないかい?」
システィの言葉に呆れたように、ため息混じりに呟きながらギイブルが席を立つ。
「つまるつまらないの問題じゃないだろう。今回の競技祭の優勝クラスには女王陛下から直々に勲章を賜る栄誉が与えられるんだ。みんな躍起になって優勝を狙う筈さ。特にハーレイ先生率いる一組は一番の難敵と言っていい。足手纏いにやらせるくらいなら他のクラスと同じように、全競技を僕や君などの成績上位者で固めて出場すべきだ」
「ねぇ、貴方、それ本気で言ってる……?」
怒りを露にシスティーナがギイブルを睨みつける。
だが、ギイブルはどこ吹く風で、さらに持論を展開していく。
「それにさ、今回の優勝クラスには、女王陛下から直々に勲章を賜る栄誉が与えられるんだ。これにどれだけの価値があるのか、君にもわかるだろう?システィーナ?だから、だだこねてないで大人しく出場メンバーを成績上位陣で固めるんだ。これはこのクラスのためでもあるのさ」
「ギイブル…貴方、いい加減に――」
システィーナの我慢も限界だった。今この瞬間の空気が最悪になろうともギイブルに物を申したいと怒声を上げようとした時、廊下から駆け足のような音が迫って来たと思った瞬間、ばぁん!と教室の扉が勢いよく開かれた。
「話は聞いたぞ!このグレン=レーダス大先生にここは任せろ!」
グレンがキメ顔で飛び込んできた。
「ややこしいのが来た……」
ピリピリした空気が霧散したのはいいが、厄介なのが来たと言わんばかりにシスティーナが頭を抱えた。
「喧嘩はやめるんだお前達。争いは何も生まない。なにより……俺達は、優勝というひとつの目的を目指して共に戦う仲間達じゃないか!」
「うわ、気持ち悪っ。なんか生理的に無理」
「ショウ、それは先生に失礼だぞ。いくら本当のことでも」
「お前も大概だな」
『『『言っちゃったよ!』』』
爽やかな顔をして普段なら絶対言わないような台詞を前に、クラスの皆の気持ちを代弁するように、ショウが心からの言葉を言い放った。そんなショウを諌めながら、サラッと自分も失礼なことを言うアイザにアヤトがツッコんだ。
「テメェら後で表出ろ。まあ、なんだ……随分と難航してるみてえだな。たく、やる気あんのか? 他のクラスはとっくに各種目の出場選手決めて来週に向けて練習してるっつうのに、意識の差が知れるぜ」
「やる気出してなくてメンバーも自由にしろって言ったの先生なんだけど…」
「……え? 俺、そんなこと言ったか? マジで覚えがねえんだが」
「あんたは……」
グレンの相変わらずの平常運転ぶりに、システィーナは激しく脱力して突っ伏してると、教室にセラがフラフラしながら入ってくる。
「はぁ…はぁ…グレン君速すぎ…。急に学院長室から出て来たと思えば…急にどうしたの…?」
「いやー、仕方ねえから今回の魔術競技祭はやる気出してやろうとか思ったわけよ。んで、お前らまだメンバー決まってないなら総監督のこの俺が決めてやる!今回の競技祭…俺が総指揮を執るからには勝ちに行くぞ?全力でな。俺がお前らを優勝させてやる。だから、そういう編成をさせてもらう。遊びはナシだ。心しろ」
ざわざわ。普段の低温動物ぶりからは想像もつかないこの熱血ぶりに、クラス中の生徒達がどよめきながら顔を見合わせる。
「おい、白猫。競技種目のリストをよこせ。ルミア、悪いが今から俺が言う名前と競技名を順に黒板へ書いていってくれ」
「人を猫扱いするなって言ってるのに……もう!」
システィーナの呟きも耳に入らず、グレンは競技種目とルールが書かれたリストに目を通す。
「なあ、白猫。これって、毎年同じ競技なのか?」
「違うわ。大目玉の『決闘戦』とか他一部を除いて内容が一部変わってたり、全く新しい競技を作られたりなんかもするからほとんどが去年と同じなんてのは早々ないわ」
「なるほどな〜……そうなるとここは……で、これは今年初の競技か」
それから数分間ブツブツと目を通すと、顔をあげる。
「うし、決まった。一度しか言わねえから自分の名前出たら絶対覚えろよ。まず、最大の目玉の『決闘戦』なんだが、こいつは白猫、ギイブル……そしてカッシュで行け」
えっ?と。その時、アヤトとショウを除くクラス中の誰もが首をかしげた。
「ん?何で皆首かしげてるんだ?」
事情が分からないショウがアイザに聞く。
「競技祭の『決闘戦』は三体三の団体戦で実際の魔術戦を行う。目玉競技であり、各クラス最強の三人を選出するのが定石だ。成績順で選ぶならばシスティーナ、ギイブル、ウェンディもしくは俺だな」
「へぇ、やっぱアイザも良かったんだな」
「論点はそこじゃないぞ」
カッシュを見ると、カッシュ自身もこの謎の選抜に戸惑いを隠せないようだった。
だが、グレンはクラス中に渦巻く困惑を完全に無視し、さらに続ける。
「えーと、次…『暗号早解き』、これはウェンディ一択だな。『飛行競争』……ロッドとカイが適任だろ。『精神防御』…ああ、こりゃルミア以外にありえんわ。えーと、それから『探知&解錠競争』は――『グランツィア』は――」
(これは…)
アヤトはグレンの意図がわかった。成績上位陣で固めるのではなく、全員出場させるつもりらしい。
ただ、全力で勝ちに行く、遊びはナシなのに、なぜあえてそれでやろうと思ったのか。
ここ数日グレンの人となりについて分かったことと言えば、授業は分かりやすいのだが、面倒くさがって魔術実験の後片付けから逃げる、こっそり違法な魔術を生徒たちに教える、怠惰で、いい加減で、子供じみた悪ふざけを繰り返す、そして魔術を小馬鹿にした数々の問題発言………いろいろと問題のある講師だ。
まさに、まじでダメな大人…………略してマダオだ。
そんな人間が授業以外で真面目に取り組もうとしているのかも気になる。
(何かろくでもないこと考えてるな)
「『変身』はリンに頼むとして・・・・・・今年の新競技に『殲滅戦』はアイザ、『タッグロワイヤル』はショウとアヤトだな。よし、これで全部埋まったな。何か質問は?」
グレンのメンバー発表が終わった。結局、あぶれた生徒は一人としていない。四十三人全員、最低一回は何かしらの競技に出場することになっていた。
「納得いたしませんわ!何で私が『決闘戦』の選抜から漏れていますの?!」
「私は納得いたしませんわっ!」
生徒達がざわめく中、いかにもお嬢様然としたツインテールの少女、ウェンディが早速、言葉荒々しく立ち上がる。
「どうしてわたくしが『決闘戦』の選抜から漏れているんですの!?わたくしの方がカッシュさんより成績がよろしくってよ!?」
「あー、それなんだがな?お前、確かに呪文の数も魔術知識とかも凄えけど、ちょっとドジだからなぁ。たまに呪文噛むし」
「なっ…!?」
「だから、使える呪文は少ねーが、運動能力と状況判断のいいカッシュの方が『決闘戦』やるなら強ぇって判断した。気を悪くしたんなら謝る。その代わり『暗号早解き』、これはお前の独壇場だろ? お前の【リード・ランゲージ】の腕前は、このクラスの中じゃ文句なしのピカ一だしな。ここは任せた。ぜひ点数稼いでくれ」
「ま、まぁ……そういうことでしたら……言い方が癪に障りますけど……」
怒るに怒れず、反論もできず、ウェンディはすごすごと引き下がる。
他にも、どうして自分がこの種目に選ばれたのか、疑問に思った生徒達が次々と手を上げ、グレンに問いかける。
それをグレンはセラに協力してもらい、的確に返していく。
「そりゃ【レビテート・フライ】も【グラビティ・コントロール】も結局は同じ重力操作系の黒魔術だし、黒魔術は運動とエネルギーを操る術ということでどれも根底は同じだ。カイ、お前ならいけるはずだ」
「テレサちゃんはこの間、錬金術実験で誰かが落としかけたフラスコを、とっさに【サイ・テレキネシス】で拾ってたでしょ?自分で気付いてないだけで念動系の白魔術、特に遠隔操作系の術式に相性がいいんだよ」
「グランツィアは、個々の能力うんぬんよりチームワークだ。アルフ、ビックス、シーサーいつも仲良し三人組のお前らがやるのが多分、一番いいんじゃねーか?お前ら同調詠唱(シンクロ)も上手いしな」
───と、そんな感じで生徒の質問に答えていく。
グレンだけでなく、セラも皆の尖っている長所を見抜いている。
システィーナはその光景に驚きつつも、黒板に書かれた名前を見ていた。
基本的には、各生徒の長所を最大限生かせるようにし、得意分野ではなくとも、各々の長所からの応用が効くように良く考えられている。
生徒の得意不得意を熟知していなければ到底叶わない編成だ。セラはともかく、普段自分の生徒に興味がなさそうなグレンも一応ちゃんと見ていたらしい。
基本的には各生徒達の得意分野を生かし、得意分野から外れていたとしても、得意分野からの応用で対応できるよう、よく考えられている。これは常日頃から生徒達のことをよく見て、得手不得手を細かく熟知していなければできない編成だ。
普段、自分が教える生徒達のことなどまったく興味がないような素振りのグレンだが、一応、きちんと見ていたらしい。
(先生って、基本ダメ人間だけど・・・たまにはこういうこともあるからなぁ・・・・・・)
システィーナはどこか微笑ましい笑みを浮かべていた。
「『殲滅戦』は1対1の『決闘戦』と違って各クラスから1人ずつ計10名でのバトルロワイヤルだ。この場合、一対一になるとは限らねえ。一時的に手を組んで複数対一もあるかもしれんし、一対一でやりあってる最中に第三者が突然乱入してそいつらを討ち取ったり、つまり、なんでもありだ。要するに目の前の相手に集中するだけでなく、周りの状況にも注意を払い、それで立ち回らないと生き残れねーってことだ。アイザはその辺大丈夫そうだから」
アイザが密かにルミアの護衛をしているため、周囲への気配りができてるのだろうという考えをグレンはあえて語らない。
「はーい、先生。『タッグロワイヤル』ってなんだ?」
「ああ、そうだな…これ、今年から初めてやる競技らしいが、各クラスから2名ずつ出して、ゴーレムの大群がいるフィールドで最後の一組になるまで戦う競技だ」
「最後の一組になるまでって、そのゴーレムやられたら負けってことか?それとも他のクラスにか?」
「まあその両方だな。手段は問わない。一時的に組んで特定のクラスを撃破するのもアリだし、漁夫の利を狙うのもアリだ。しかもこの競技、ゴーレムを1体倒せば1点スコアがクラスに加算される。ただし途中で撃破されれば倒して得たスコアがゼロになるなんてルール付きだ。これはハイリスクハイリターンだ」
「うわ…マジか……オイラ達ここに通って数日しか経ってないんだぞ。なんでそんなヤバそうなのにオイラ達選んだんだよ?」
「ショウ、お前この前の魔術戦教練で戦闘訓練用のゴーレムが攻撃してきた時難なく避けただろ。この競技は魔術をどう使うかよりどういなすかが重要になってくる。このクラスで一番反射神経がありそうな奴が適任だ。アヤトはショウと仲が良いみたいだからその補助ってところか」
「……オレはついで扱いか」
「あっいや、別にそんなつもりで言ったつもりじゃねえからな」
「別に気にしてませんよ。自分一人だけハブられるなんてことになればクラスで浮いてしまうでしょうし」
「そ、そうか――さて、他に質問は?」
グレンが辺りを見渡す。
「やれやれ……先生、いい加減にしてくださいませんかね?」
ゆらりと、生徒の一人が立ち上がった。ギイブルだ。
「何が全力で勝ちに行く、ですか。そんな編成で勝てるわけないじゃないですか」
「なんだよギイブル。これ以上いい案があるのか?言ってみろ」
「……あの、先生、本気でそれ言ってるんですか?そんなの決まってるじゃないですか!成績上位者だけで全種目を固めるんですよ!それが毎年の恒例で、他の全クラスがやってることじゃないですか!」
苛立ちを隠そうともせず、吐き捨てるようにギイブルは言い放った。
「…………え?」
グレンの動きが止まる。
(知らなかったのか……)
その様子から、アヤトは先の疑問が、すとん、と腑に落ちた。グレンはただ知らなかっただけなのだ。
「うむ……そうだな、そういうことなら……」
グレンがギイブルの意見に首肯しようとした、その時だ。
「何を言っているの、ギイブル!せっかく先生が考えてくれた編成にケチつける気!?」
ギイブルに真っ向から反論する少女がいた。システィーナだ。
グレンが焦燥に満ちた顔でシスティーナを見るが、システィーナはそんなこと露知らずクラス一同に向き直ると、真摯な表情で訴えかける。
「皆、見て!先生の考えてくれたこの編成を!皆の得手不得手をきちんと考えて、皆が活躍できるようにしてくれているのよ!?先生がここまで考えてくれたのに、皆、まだ尻込みするの!?女王陛下の前で無様な姿を見せたくないとか、そんな情けない理由で参加しないの!?それこそ無様じゃない! 陛下に顔向けできないじゃない!」
システィーナの必死の訴えに、クラス中がざわめく。
そう言えば……とか。確かに……とか。あちこちからひそひそと声が漏れる。
グレンの顔から血が引いていく。
「大体、成績上位者だけに競わせての勝利なんて、なんの意味があるの? 先生は全力で勝ちに行く、俺がこのクラスを優勝に導いてやるって言ってくれたわ!それは、皆でやるからこそ意味があるのよ!」
そして、システィーナはグレンに振り返って言った。
「ですよね、先生!?」
その表情は、グレンに向けるものとしては珍しく険の取れた、朗らかな笑顔だった。
「お、おう……」
「ふん、やれやれ。君は相変わらずだね、システィーナ。…まぁ、いい。それがクラスの総意だというなら、好きにすればいいさ」
ギイブルは皮肉げに冷笑して着席してしまった。
「ま、せいぜいお手並み拝見させていただきますよ、先生?」
ギイブルが挑発的に言う。
「あはは、よかったですね。先生の目論見どおりに行きそうですよ?」
システィーナがそんなことを言って、くすりと笑った。
「ま、せっかく先生がたまにやる気出して、一生懸命考えてくれたみたいですから、私たちも精一杯、頑張ってあげるわ。期待しててね、先生」
「お、おぅ……任せたぞ……」
珍しくご機嫌なシスティーナと、どこか引きつった笑みを浮かべるグレン。
「なあアヤト、なんか二人の会話噛み合ってないような気がするんだが」
「奇遇だな。オレもそう思う」
アニメ呪術廻戦2期での『ひゅーひょいっ』が面白かったので入れてみました。