テロリストを撃退し平穏な日常を取り戻した土門魁斗達!
ですが入学してからまだ一月
彼らの苦難はまだまだ始まったばかりなのです!
新たな闘いまでの幕間の物語を皆さんも是非ご覧下さい!
それでは!マギクスファイト!レディー……ゴー!
「以上がブランシュ日本支部『エガリテ』アジト襲撃の報告となります。」
「……」
「えっと……会長?」
「ごめんなさい深雪さん……ちょっと整理する時間を頂戴……」
「会長の気持ちは痛い程わかります。」
エガリテへの襲撃から次の日、生徒会室にて七草真由美は司波深雪から報告を受けていた。
極秘で行われたものであるため生徒会室には二人しかいない。
報告であるため会話が弾むというものでは無いが、それを加味しても尚、その場は重苦しい雰囲気に包まれていた。
「敵のアジトに突入するもリーダーである司一と構成員たちは全員既に無力化されていたのよね?」
「はい。アジトにいた構成員総勢27名全員がロープで拘束された状態で気絶しており、死者は一人もいませんでした。」
「それで警戒する貴方達の前に現れたのが制圧した張本人である魁斗君のお師匠様だったと。」
「土門君と挨拶がわりの演舞?のようなことをされていたのでそうかと。」
「挨拶がわりの演舞って何……?それは置いておくとして、そこまではまだいいわ。ツッコミたいところはあるけどスルーできる。問題はその後よ。もう一度聞いてもいいかしら。」
「事情聴取の後、「お主がどれだけ成長したかワシに見せてみろ!」と突如土門君と師匠の組手が始まり、結果、土門君が全治一週間の怪我で入院、戦闘の余波でアジトとなっていた廃工場が消滅しました。」
「いったい何してくれてるの?!」
真由美の叫びが厳かな生徒会室に響き渡る。
突然大声をあげたこととなるが深雪はそれに苦言を呈することなく
なんなら同意を示すように首を縦に振っていた。
「唐突に組手始めるのも意味わからないし、その余波でアジトが消滅ってどういうこと!?倒壊とか崩落とかじゃないの!?」
「いえ、御二方の技がぶつかり合うことで爆発が発生し、アジトは跡形も無く消え去りました。私達は一キロ程離れた上で十文字先輩が《ファランクス》を展開してくれたおかげで無傷で済みましたが……」
「そこまでやって漸く防げる程なのが恐ろしいんだけど……まあ敵味方含めて死傷者が一名のみで解決できたのは喜ばしいことだわ。」
「その一人が土門君なのですが……」
「それよ!魁斗君よ!あの魁斗君が入院が必要になる程の怪我を負うってどうなってるのよ!?」
「土門君の師匠曰く、「久方振りの魁斗との手合わせに舞い上がってしまった。」とのことです。」
「そう言うことじゃない!」
「はぁ……十文字君から「すまんが七草の力も借りたい」って言われた時はどう言うことかと思ったけど理解した……報告ありがとう深雪さん。今日はもう帰っていいわ。」
「会長……失礼します。」
真由美は彼女を案じながらもその場を去る深雪をぎこちない笑顔で見送る。
そうしてガチャリと扉が閉まるのを確認してから大きな大きな溜め息を吐いた。
「そういうわけで本ッッッ当に!大変だったんだから!!」
「だからそれに関しては申し訳なかったと言っているだろう。」
あれから一週間が経ち、土門魁斗は無事に退院した。
全身の無数の打撲に数十本の骨折と重傷と言わざるを得なかったが、目覚ましい発展を遂げている現代の医学ではそれだけの怪我ですら数日ほどで完治するのだ。
そして学校に復帰した初日。
入院生活で鈍った身体を叩き直す為に昼の鍛練を行おうとしたらこの始末である。
しかもこれはこの時だけの話ではない。
登校時からわたし怒ってますと言わんばかりの真由美にぐちぐちと絡まれ続けての今なのだ。
迷惑をかけたという自覚も申し訳ないという気持ちもある。
しかし、こうも何度も来られて文句を言われても困るのだ。
「本当に申し訳ないって思ってるの?」
「本当だ。そろそろ面倒くさいと思いだしているがな。」
「十文字君には菓子折り用意してるのに〜?」
「七草家も後処理に動いたことを知らなかったのだからしょうがないだろう。また今度用意するから待っていろ。」
「え〜私そこまで待てないな〜」
「チッ……ならばどうすればいい?」
「今度の日曜日にデートしてくれたら許してあげようかしら♪」
「夏休み前に服を新調したいし〜新しいコスメも買おうかなぁって思ってるからきっと沢山買うんだろうな〜持ち運びが大変だろうな〜」
「つまり荷物持ちが欲しいというわけか。なら最初からそう言え。」
「それじゃあ付き合ってくれるってことでいいのね?……それで、あの子の事は何もしなくていいの?」
後半を小声にして尋ねる真由美。
チラリと横に視線を向けるとその先には壁から半分だけ顔を出しながらこちらをじっと見ている少女がいた。
土門も少しだけ横を見て少女の姿を確認した後すぐに目線を正面に戻す。
「声を掛けてくるならば応対する。あのまま何もしないのであれば俺も何もしない。それだけだ。」
「そう……それじゃあ私、生徒会の仕事があるからお暇するわね。」
そう言って真由美は少女がいた方向とは逆方向へと立ち去っていく。
さり気なく少女へウインクをしながら行った為、見ていたことがばれているのに気が付いただろう。
真由美の姿が見えなくなった所で件の少女が姿を現した。
「あの……今って時間大丈夫?」
「……お前は?」
「私は北山雫。あの時助けてくれたことのお礼を言いたかったの。」
「ああ、あの時の。あれは友を助けるために行動したお前に敬意を評した結果だ。改めて礼を言う必要はない。」
「それでも貴方は私の命の恩人。だから、ありがとう。」
薄く微笑みながら感謝を伝える雫。
その笑みは儚げな美しさを見る者に感じさせるが
自分の意志を押し通す強情さに土門魁人は七草真由美を幻視させ辟易した。
「そうか……要件はそれで終わりか?」
「えっと……それとお願いがあるんだけど……」
「なんだ?」
「……私を、鍛えてほしい!」
「それで北山さんのお願いはどうしたの?」
日曜日
都内のとある高級デパート
土門魁人と七草真由美の二人は朝から
厳密に言えば買っているのは真由美だけで土門は付き添っているのみ
荷物持ちのつもりだったが、買ったそばから自宅への郵送を行っているために手持ち無沙汰となってしまっているのだ。
そうしてあれがいい、これがいい、やっぱりあっちのほうがかわいいかもと品を変えて見比べては
「魁人くんはどっちのほうが似合うと思う?」と聞かれ続けることに嫌気がさしだした。
一通りの買い物も終わり、休憩しようとこれまたお高めなカフェに入っているところである。
「断った。」
ただ一言、端的に答える土門。
「あら、どうして。」と聞き返しているが、そこに一切の驚きの感情がこもっていないあたり予想できていたのだろう。
「まず、俺がまだ武を極めていない。そんな状態で他人に教えるなど責任感に欠けた行動だろう。」
「それに、魔法をまだ学んでいる状態で武術にまで手を出したところでどっちつかずのまま中途半端な人間で終わるだけだ。」
話を聞いていた真由美は口をポカンと開けたまま土門を見つめていた。
今の彼女が彼の言葉に驚愕していることはだれの目から見ても明らかだろう。
「ほんと意外と魁人くんってちゃんと考えているわよね。」
「お前、俺のことを唯の脳筋だと思っているだろう。」
「それは……ねえ?」
悪びれることなく言う真由美に対して怒る気が削がれたのか土門が溜息を吐いたところで注文していたものを店員が持ってきた。
土門の前にコーヒー、真由美の前にカフェオレと店の人気No.1となっていたショートケーキと季節限定の抹茶ティラミスの二つのケーキが置かれる。
「……太るぞ。」
「あっ!ひど~い!女の子に太るなんて言っちゃいけないのよ!」
「だがケーキ二個は食べ過ぎだろう。」
「この後、魁人くんの服選びでまた動くからいいのよ♪」
「なに?聞いていないぞそれは!」
「だって今決めたことだもの。」
「自分の服はいらん!俺は帰るぞ!」
「私が魁斗くんのコーディネートをしたいのよ……付き合ってくれるって言ったわよね?」
「チッ……なら早くするぞ。」
その後、土門を着せ替え人形にしているうちに夜になった為にレストランで夕食を食べた後、解散となった。
帰り着き、日課の修行をやらないままベッドに倒れ込む程に疲れていた土門だったが、ほんの少しだけ口角が上がっていたことには彼自身、気がつかないままだった。
皆さんお待ちかね!
波乱のあった一学期はこれにて終わりを迎えました!
ですが「一難去ってまた一難」また新たな騒動が起きようとしているのです!
次なる舞台は『九校戦』栄光を手に入れるのはいったいどこになるのでしょうか!
次回 魔法武闘伝Gの劣等生
『新たな闘い 九校戦!』に
レディー……ゴー!
注:実際の内容と異なる可能性がございます。