やっと資格試験の勉強が終わった(و'ω')و✧
と思ったんですが、
だがまた次なる資格試験の足音が………泣きそうです。
時間を空けましたので誤字脱字などがあるかもしれません。その場合は、感想欄にてお待ちしています。
では。
「へえー?それじゃあお前はドヤ顔してた俺に気を遣ってェ?魔王様御一行の二人と戦い、捕縛した後、一人を倒し、もう一人に逃げられたという重要な事を言わなかったとォ?」
ほほぅ?と青筋を立てた十六夜が七花を詰問していた。一方の七花はと言うと、顔を明後日の方向に向けて、黙秘権を積極的にを行使していた。
この状況には流石の黒ウサギも呆れる他なかった。何せ七花が話さなかった理由が、十六夜の顔(ドヤァにあったのだから。
だから、思わず吹き出してしまった。調子に乗った黒ウサギの嘲笑を十六夜が聞き逃す筈がないのに。
「───フフッ」
「おい黒ウサギお前そんなに兎肉になりたいかそうかそうかそれならお前に最終黒ウサギ用捕食型植物ブラックラビットイーター『F』をくれてやろう耐雷・耐熱性能に加えて地中に潜れる機能を加えたことによる地中からの触手攻撃を可能とし触手の初動は音を超え更に側面から新たな触手を増やすという従来の手数の少なさを補ったまさに黒ウサギのためにあるような一品をなッ♪」
「声は純真無垢なものなのに目にはハイライトが入っていないのが一層怖いのデスヨッ!?」
しかも青筋の御乱立までおまつけですか!?、と完全に形勢逆転となった黒ウサギ。またとない十六夜のいじる機会も不意にしてしまうあたりが"箱庭の貴族(笑)"の所以なのだろうか?
「なかなか子供っぽい一面もあるのね、十六夜くんにも♪それじゃあ私は前線に出させてもらうわね」
「まだそのネタ引っ張るのかよ。………ったく、お嬢様はここの守備な。お嬢様は戦力外だし、死なれても困る」
いつになく鋭い避難をする十六夜に飛鳥は目を細めた。十六夜が言外に示す事はともかく、ストレートに言って来たからだ。かくいう十六夜も珍しくドジを踏んだことからの周りからの羞恥心と苛立ちを持て余していた。その為普段の軽薄さの無い飾らない言葉が出ていた。それを深く気付いた訳ではなかったが、感じ取った飛鳥は声を荒らげ掴みかかるような事をしなかった。
「だからと言って不満が無い訳も無いんだけどね」
「そう言うと思ってたさ。だからこそこれからの魔王達とも闘っていくための提案がある」
「聞かせてもらいましょうか。十六夜くんが提示するその条件も気になるし」
「大方想像通りだとは思うがな。条件だが、ペストとおチビから一本取ったら認めるさ、まぁできればの話だがな」
ニヤリと口元を歪めて十六夜は飛鳥を煽った。飛鳥も乗り気で好戦的な笑顔で応えた。周りの人間は完全に置いてきぼりをくらっていたが、ペストとジンは勝手に自分の予定を決められて軽く憤慨と呆れていた。
「それじゃあジンくん、”黒死斑の御子”行きましょうか」
「ハイ………」
「ちょっと勝手に決めないで欲しいんだけど?」
「オイ、サラ殿?ここら辺で多少《・・》暴れても問題ない場所って言ったらどこがあるよ?」
「あ、ああ。それならこの水樹の地下ならどうだろうか」
手合わせの為と場所を聞かれてサラ水樹の地下を提案した。そこならかなり暴れても問題はないし、何より同じコミュニティの仲間内での諍いだ、と甘く見ていた。
三人はなんだかんだ言いながら十六夜の提案に乗って、水樹の地下へ向かう為会議室を後にする。その中でペストが飛鳥を挑発した。ジンに飼われたとは言え、魔王としての性が出てしまっていた。
「言っておくけど手加減はしておいてあげるわ。せいぜい悔しがってね、赤い人」
「私の悔し顔よりも貴方の方が既にかなりの精神的ダメージを追ってそうだけどね。そのミスマッチした衣装とかで」
正直な話、ペストは──”黒死斑の御子”という元魔王は久遠飛鳥を舐めていた。なにせ恩恵の木偶さえ無ければ、ただの脆い少女なのだからと。しかし飛鳥はペストの最も屈辱的な部分を突いた。
ペストは激怒した。吐き出したのは、不要物を完全に排除した一言。
「ぶっ潰す」
「御託は結構。早く行きましょう」
二人は闘気を撒き散らし、衝突を待っていた。
ジンの心労は既にギブアップを訴えていたが。
三人がいなくなった会議室で十六夜と存在感が空気となっていた七花は息をついた。
勿論、呆れがかなり込められていたが。魔王と戦えるようになるためにも本気を出して欲しい飛鳥がこんな無茶をするとは考えてはいなかった───事はなかったがそれを踏まえても予想以上だった。
「七花。お嬢様が現状ペストを倒せる可能性は?」
「初手で意表を突いて一割未満、正攻法じゃまだ話にならないだろ」
「まあそんなもんか。その勝ち筋の初手もあの様子じゃなぁ。──それじゃあよ」
ガシガシと頭をかいて、十六夜は飛鳥達が出ていった会議室の扉を眺めた。そうして振り返ると七花を見て、一言行った。
「お前が鍛えてお嬢様が戦えるレベル位にはできるか?」
「直接戦闘が可能な位って意味ならおそらく無理だな。飛鳥はこれまでなんの鍛錬もしていなかったお嬢様だったんだろ」
「さすがの七花も基礎の無い奴を鍛え上げるのは無理だったか。どーすっかな」
二人は頭を悩ませながら、これからのことを考えていると、地下から地鳴りが不規則に響いた。サラとキャロロは顔を青くして十六夜を見た。一方の黒ウサギ達”ノーネーム”一同は呆れと納得の表情で、視線を明後日の方へと向けていた。十六夜に糾弾されていた七花の様に。
ノーネームの面々は七花が辿ったような道を自分達も通るのだと理解していたからだ。
「立ちなさい、赤いの。まだまだこんなんで終わるなんて思ってんじゃないわよ?……人様のコンプレックスに踏み込んでおいて只で済むなんて思わないでよね」
バニー姿のペストは、浮遊したままそのウサギ耳をゆらゆらとはためかせて倒れ伏す飛鳥へと体を向ける。一方の飛鳥は長い髪やドレスは水に濡れ、泥が付き、普段のプライド高い彼女からは想像もつかない格好だった。泥水にまみれた飛鳥は銀の十字剣を杖に、腕に力を込めて顔を上げ、ペストを見据え──睨み付けた。しかしすぐに真剣な瞳へと切り替えた。
「まだよ…まだ終ってないわよ。勝手に勝者気取っているんじゃないわ」
「ええだから、まだ立って頂戴ね。これから白夜叉の着せ替えの分も晴らさないとだから」
「───ペスト」
「分かっているわよ、ジン。もちろん殺したりなんかしないわ。ただ打ち身や痣くらいはもらって欲しいわね」
ジンに水を差されて幾らか気勢の削がれたペストは溜息をついて地に足を付けた。
付けた足は何の抵抗もなくその大地を豆腐のように貫いた。
「───え?」
「今よッッ、ディィィィィィィイイインンッ!!!!」
「DeeeeeeeeeEEEEEEEENNNNNNN!!!!」
赤い鋼鉄の人形の渾身の拳を前に、ペストの脳内は疑問に溢れていた。一分の隙無く行われた一連の攻撃にペストは逃走という選択肢を完全に無くしていた。
ただ、なぜ──と時間の感覚が引き伸ばされた状態で飛鳥に視線を向けた時、疑問は氷解した。ニヤリとしたり顔の彼女の胸元から郡精霊の一人、メルンが飛鳥の吠えた声に思わず耳をふさいで顔を出していた。
(今までボロカスにされていたのは全てこの時のための布石。あの精霊で地面をゲル状化させてたのね。そうして私がその罠に罹るのをひたすら待った。顔を伏せる事が多かったのは表情から悟らせない為、煽っていたのは私から冷静さや洞察力を欠かせる為か。ディーンのせいで私の攻撃できる空間が狭かったのも利用されたって訳──全く腹立たしいわね)
そこまでペストの視界は暗く染まり、意識は途切れた。
ジンは目の前の光景に目を奪われていた。
恩恵以外はただの女の子だと思っていた飛鳥が、あろうことかペストを打倒してしまったのだ。
そして今、首筋にはあの銀の十字剣がある。ペストが破られたというこの事態の隙を突かれてしまったのだ。
「これで、私達《・・》の勝ちよね?」
「お見事です」
ジンは諸手を挙げて飛鳥を賞賛した。
飛鳥とメルンは祝杯代わりのハイタッチを交わした