「よお!レギオンだ!」
「八重樫 雫です」
「前回はレギオンさんの正体と迷宮の攻略だったね」
「いやぁ〜、皆良い反応してくれて面白かったなァ!」
「私達からしたら、とんでもない事を飄々と言われたので何かと反応に困ってしまいましたけどね……」
「さて、今回は迷宮の最奥での戦闘だよ」
「楽しんでいってくれよな!」
「「「謎の男と危機!」」」
Side 三人称
レギオンはフラフラと漂って居た灰竜の首を何処からか取り出した短刀で切り飛ばし、その死体を踏み台にし、更に何匹かの灰竜を屠る。
「「「グルゥワァァ!」」」
仲間を殺されたと理解した灰竜達は激昂し、空中で無防備な姿を晒しているレギオンに向かい各々が爪や牙を突き立てようと急接近する。
「……エト」
「言われずとも分かっています」
エトは構えた大型の刺剣でレギオンに襲い掛かろうとする灰竜の翼の飛膜を貫いた。飛膜を傷つけられた灰竜は飛ぶことも儘ならずにマグマの海へと落下していけ。
「……」ドパァン!
そこでハジメは直ぐさま灰竜の頭を撃ち抜き、トドメを刺した。頭部を失った灰竜達はそのままマグマの海へとしずんでいた。
「……看過できない実力だ。やはり、ここで待ち伏せていて正解だった。お前達は危険過ぎる」
ハジメ達の頭上から男の声が降ってきた。エトとレギオンは声が聞こえたと同時に直ぐにハジメ達のいるマグマ蛇の背の上まで戻り、庇う様に立つ。 声がした天井付近に視線を向ける。そこには、純白の竜が飛んでおり、その白竜の背に赤髪で浅黒い肌、僅かに尖った耳を持つ魔人族の男がいた。
「まさか、私の白竜が、ブレスを直撃させても殺しきれんとは……おまけに報告にあった強力にして未知の武器……まさか総数五十体の灰竜の掃射を耐えきるなど有り得んことだ。貴様等、一体何者だ? いくつの神代魔法を修得している?」
魔人族の男はハジメに背筋が凍りつく様な殺意が感じられる様な視線を向けながら言葉を発した。
「……先ずは名乗ったらどうです?それとも魔人族はそんな事も出来ない様な下等な連中なんですか?」
ハジメは挑発する様に魔人族の男に言葉を返す。その瞬間、魔人族の男は不快そうに眉をピクリと動かし、殺気を放ち始める。
「……これから死にゆく者に名乗りが必要とは思えんな」
「それじゃあ、貴方をぶち込む墓石には『名無しの負け犬』とでも書いておきますね」
ハジメは魔人族の男の返しを更に挑発で返す。その挑発に魔人族の男はピクピクと眉を動かしながら青筋を額に浮かべる。
「……その様な低俗な挑発に乗るほど私は愚かでは無いぞ、劣等種」
「その見下していた劣等種に手痛い反撃を貰って無様にしっぽを巻いて逃げ出した負け犬がそちらには居ましたよね?」
今度はエトが挑発で返す。魔人族は更に青筋を浮かべる。
「……貴様等、余程死にたい様だな。ならば、望み通り殺してくれよう」
魔人族の男はそう言うと纏っていた雰囲気を変えた。濃密にして凶悪な殺気を放ち、そのプレッシャーは並の人間ならこれだけで心折られる程である。
「……先に逝く魂への手向けだ。特別に教えてやる。私の名はフリード・バグアー。異教徒共に神罰を下す忠実なる神の使徒である」
その言葉を聞いたレギオンとエトは突然噴き出し、ゲラゲラと声を上げて笑い始めた。フリード・バグアーと名乗った魔人族の男も突然笑い出した二人に一瞬、呆気に取られる。
「カッハハハハッ!おいおい、聞いたかよエト!あいつ『神の使徒』だとよ!」
「クフフッ!えぇ、聞きましたよ……『神の使徒』だ、なんて……滑稽としか言えませんね」
突然笑い出したかと思ったら今度は自分への侮辱的な言葉を言われたフリード・バグアーは怒りに表情を歪めながら口を開く。
「貴様ァ……何故、笑った?」
「クククッ……だってよぉ、自らを信仰している信者を救いもせずに高みの見物決め込んでる奴を『神』って言って崇めて、そんでもって自分を『神の使徒』なんて名乗るなんて……笑うなって方が無理だろ!」
ゲラゲラと笑うレギオンを、隣でエトもクスクスと笑いながら見ていた。その二人の態度が更にフリード・バグアーを苛立たせる。
「神を侮辱するか……異教徒共めがァ!」
激昂したフリード・バグアーは灰竜達に命令を出し、ハジメ達に襲い掛かる。ハジメはドンナーとシュラークを乱射し、ユエは『緋槍』などの連射可能かつ小回りの利く魔法を放ち、シアはドリュッケンからスラグ弾を乱射し、ティオはブレスを放つ。 しかし、ハジメ達の一撃は正三角形が無数に組み合わさった赤黒い障壁が出現し事により全て受け止められてしまった。
「私の連れている魔物が竜だけだと思ったか? この守りはそう簡単には抜けんよ。さぁ、見せてやろう。私が手にしたもう一つの力を。神代の力を!」
フリード・バグアーはそう言い、集中状態に入り、微動だにせずにブツブツと詠唱を唱え始めた。手には、何やら大きな布が持たれており、複雑怪奇な魔法陣が描かれている。
「……私達の前で無防備に詠唱するなんて、命知らずね」
「ッ! いつの間……グゥ!」
八重樫がいつの間にかフリードの背後まで接近し、刀を横薙ぎに振るった。それをフリードはギリギリで気付きはしたが完全に意表を突かられ、防御が間に合わずに背中に大きな切り傷を負い、更には詠唱も中断されてしまう。
「ッ、貴様ァ!」
フリードは八重樫に怒りを向け、振り向き様に裏拳を繰り出す。八重樫は上体を後ろに逸らして躱す。
「先ずは貴様から殺してやろう!」
「あら、私に意識を集中させていいかしら?」
八重樫は不敵な笑みを浮かべながらフリードの背後に指を指す。フリードは指差された方向に視線を向ける。その視線の先には、シュラーゲンを構えるハジメの姿があった。
「ッ!!白竜「逃がしはしない」グゥ!」
フリードがハジメに視線を向けた僅かな隙に、八重樫はフリードの両足の健を斬り、フリードを行動不能にする。そして、直ぐさま白竜の背から飛び降りた。
「チェックメイト」
ハジメはシュラーゲンの引き金を引く。銃口から放たれた弾丸はフリード・バグアーの体に大きな風穴を開ける────
『そう簡単にキングは取れやしないぞ?ガキンチョ』
「ッ!?」
──ー筈だった。 突如、ハジメの脳内に声が響いた。そして、ハジメの放った弾丸が突然、方向を変えてフリード・バグアーから逸れてマグマの海へと落ちていった。
「ッ、一体なにが……」
ハジメは目を見開き、視線を再びフリード・バグアーに視線を向けると、フリードの体には薄い灰色の膜がドーム状に展開されていた。 ハジメは何故、方向が変わったのか理解出来ずにいると、背後から嫌な気配を感じる。ハジメはその気配に対し、シュラーゲンを放り投げドンナーとシュラークを振り向き様に乱射する。
「ッ!」
『ほう、中々良い勘をしているな』
ハジメが放った銃弾は全て分解され、マグマの海へと落ちていった。ハジメは直ぐさま気配のあった方へ視線と銃口を向ける。そこには純白のフード付きローブを羽織り、フードを目深く被った人型の存在が居た。
「お前……何者だ」
ハジメは警戒の視線を白フードの男に向ける。エトやレギオン、ユエ達も同様に正体不明の存在に視線を向ける。
『何者かぁ……んー、どう答えたらいいのやら……』
「答えられない理由でもあるのか?」
敵意を剥き出しにしているレギオンは謎の存在の雰囲気に疑問を感じる。容姿は何かしらの魔術によってなのか霞が掛かった様に朧気だが、声質から男である事は分かる。
『いやね、俺ってこの姿以外、特にこれと言った特徴無いし……でも、そっちの二人ならこう言えば察しが付くだろう?』
白フードの男はそう言ってレギオンとエトの方へ顔を向けて、ポツリと言葉を零す。
『繝輔Λ繧ク繝シ繝ォ』
「……?」
白フードの男が発した言葉はハジメを含め、大半の者が理解出来ない物だった。だが、その言葉の意味をレギオンとエトの二人は理解し、目を見開く。
「まさか、そんなバカな……貴方が、何故!?」
「……落ち着け、エト。俺達やお前がこっちの世界に来てんだ、アイツが此処に居ても不思議じゃない……死んだ筈なのに生き返ったって点を除けばな……」
突然の事態に動揺を隠せず、思考を停止しかけているエトとは違い、レギオンは冷静に状況を判断する。
『おいおい、そんなに呆けてて良いのかぁ?』
2人の様子を見て、ケタケタと笑っていた白フードの男の姿が掻き消えた。
『背中がガラ空きだぜ、ガキンチョ』
「っ!?」
「カッ……ハッ……」
『先ずは一人……っと』
白フードの男の腕がハジメの右胸を貫き、ハジメは口から血を吐く。そして、白フードの男は腕を引き抜くと、ハジメは糸が切れた人形の様に力無くマグマの海へと落ちて行く。
『チェックメイト……だな』
腕に付着した血を舌で舐め取り、白フードの男はケラケラと笑い始める。その時、ゴポリとマグマの海から音がした。そして、海の中から何かが浮かび上がっていた。
「「「クルルルルルッ……!」」」
マグマの海から現れたのは数え切れないほどのマグマ蛇だった。マグマ蛇は白フードの男を取り囲むと、牙を向けながら低く唸り声を上げる。
『おっと、流石に多勢に無勢だな』
白フードの男は囲まれても飄々とした態度を崩さず、まるで新しいおもちゃを見つけた子供の様な無邪気な笑みを浮かべた。
──────────────────ー
マグマ蛇達が白フードの男の注意を引いている僅かな時間の間にレギオン達はハジメの治療をする為に一箇所に集まっていた。
「ハジメ君! しっかりしてください!」
「エト! 俺達が焦ってどうする!」
マグマ蛇の一匹が死にかけのハジメを背に乗せ、レギオン達の元へと運んだ。エトがハジメに回復魔法を施し、レギオンが顔色を窺う。だが、フリードと白竜達がそれを許してくれる筈も無く、ここぞとばかりに突貫してくる。
「……エト、その坊主の事は任せる。他のメンバーは寄ってきてる灰竜共の相手するぞ。今はエトに任せるしかない」
『っ……はい!』
レギオンの一言によって、ただ呆然としていた者達は迫り来る灰竜達に向き直り、各々の武器を構えた。
「失血量が多い……それに幾ら回復魔法を掛けても、この傷では……くっ!」
エトの行使する回復魔法が幾ら高度な物であっても欠損した四肢は再生させる事は不可能である、ましてや肺などの複雑な臓器を再生させるなど不可能に近い。
「──ー『界穿』!」
「ッ!? 後ろです!エトさん!」
突如、エトの背後に光の膜の様な物が出現し、大口を開けた白竜とその背に乗ってエト達を睨むフリードが現れた。白竜の口内には、既に膨大な熱量と魔力が臨界状態まで集束・圧縮されている。
「邪魔すんじゃ……ねぇ!」
「グルゥアアァ!?」
レギオンが咄嗟にエトと白竜の間に割って入り、大口を開けていた白竜の顎を蹴り上げ、ブレスの軌道を上にずらした。
『おいおい、折角隙を作り出してやったってのに仕留め損ねるとか……無いわ〜……』
白フードの男は呆れた様な声で、フリードに言葉を投げかける。しかし、その声音は何処か楽し気で、まるでこの状況を愉しんでいる様だった。
「ゲホッ……ヒュー……ヒュー……」
「ハジメ君!」
「おい、じっとしてろ!」
エトは必死に治癒魔法を使い、治療に専念しようとする。しかし、徐々に傷は塞がる事もなく、出血量ばかりが増えていっていた。
「ティ……さ……ん……」
「ッ! ご主人様、その様態で無理に喋ろうとするでない!」
ハジメが薄っすらと目を開け、かすれた声でティオを呼ぶ。しかし、大量の出血と気道に入った血により上手く声に出せない。
「これ……を……もっ…………アンカジ……に……」
ハジメは身に付けていた『宝物庫』をティオに手渡し、そのまま意識を失った。
「ご主人様!」
「ハジメ!お願い!目を開けて!」
ティオ達が必死に呼びかけるもハジメの意識は既に無い。ハジメの体から力が抜け、浅い呼吸しか出来ずにいた。
『……そんな容態で、他者の身を案じるとは……ハハハ、面白ぇ奴だな』
白フードの男はハジメを興味深そうに見詰め、そう言葉を漏らした。白フードの男はフリードの方をチラリと見て、呆れた様な視線を向ける。
『何時までそうしてるつもりだ?目的は達成したんだろ?さっさと行くぞ、マヌケ』
「ッ!誰がマヌケだ!私はあの御方に見とれらた『神の使徒』だぞ!」
『あーはいはい、そうかそうか……それはご立派で……』
白フードの男は呆れた様にそう呟き、フリードの怒りを適当に流す。白フードは再度、ハジメ達の方へ視線を向ける。
「……ティオさん、『宝物庫』を持って直ちにこの場を離脱してください」
「ッ!?何を言っておるのだ……ご主人様はこのまま此処に残して……切り捨てろと、そう言うのか……?」
エトは真剣な表情でティオに言葉を投げかける。ティオはそれに対して、信じられないと言いたげな表情を浮かべる。
「……いいえ、違います。私達の目的は二つ……一つ目は『神代魔法の入手』、二つ目は『静因石の確保と運搬』……この二つです。目的の達成には今のこの状態では不可能です」
エトは淡々とした口調で、しかし有無を言わさぬ強い意志のこもった声でティオに言葉を投げかけた。ハジメの治療は今の状態では不可能、ならば、一刻も早くこの大迷宮から離脱し目的を達成する事の方が先決であると。
「それに……ハジメ君は貴方に託したのです。貴方なら必ずやり遂げてくれると……彼の命は私が絶対に繋ぎ止めます」
エトはそうティオに言葉を投げかける。その眼には強い覚悟が宿っており、必ずやり遂げるという意志が見て取れた。 ティオは暫くの沈黙の後、覚悟を決めた様に口を開いた。
「……託されたのなら、やり遂げねばならぬな」
ティオはそう言うと『竜化』を使い、黒竜へと姿を変える。その際に、自らのウロコの内側に『宝物庫』をしまい込んだ。自分の身の内に『宝物庫』がしっかりと入った事を確認したティオはハジメに頭をこすりつけた。
『必ず、やり遂げてみせる。じゃから、エト殿もご主人様の事を頼む』
ティオはそう言うと、翼を大きく広げ飛び上がる。だが、フリードと白竜達がそれを見逃す訳もなく、ティオの行く手を遮る様に展開し、ブレスを一斉に吐いてくる。
「シアさん!私を『飛ばして』!!」
「!了解ですぅ!」
八重樫の掛け声に答えたシアはドリュッケンを構え直し、八重樫はその上に飛び乗る。シアは飛び乗った八重樫をドリュッケンの振り上げ、ティオの方へ投げ飛ばした。
『……おいおい、嬢ちゃん。死ぬ気か?』
「あの人の隣に立つ前に死ぬ気なんて無い!」
八重樫は投げ飛ばされたと同時に身体を捻り、その勢いのまま抜刀する。そして抜刀すると同時に刀身に掌を当てて、そのまま刃を滑らせる。
「八重樫流刀術……『水月・漣』!」
刃に付着させた血が刀全体を覆い、刀身が倍近くにまで伸びた。八重樫は刀を振り抜き、灰竜達の何体かと白竜の片翼を斬り落とした。
『おいおい……何だありゃぁ?』
白フードの男は八重樫の刀が血で伸び、灰竜達の翼を斬り落とした光景に驚愕する。
「今です!ティオさん!行って!」
八重樫はティオに向かって叫ぶとティオは頷き、速度を上げて大迷宮を離脱する。その様子を心底楽しそうに見ていた白フードの男はハジメ達の方に視線を向けて、軽く拍手をしながら笑いかけた。
『いやぁ、凄かったよ。何かしら奥の手があるんだろうとは思っていたけどまさか血を操って刀身を伸ばして、灰竜共を切り払うなんて……常人には出来ない芸当だな。そっちのハウリア族の嬢ちゃんも身の丈以上の得物を十全に扱ってるし、金髪のちびっ子は使える魔法も多岐に渡るし、場面に適した魔法を選択してる。竜人族の姫さんは常に周りの状況を観察し、それぞれの隙をカバーする様に動いていた……いいチームだ』
「それはどうも……」
八重樫はエト達の居るマグマ蛇の背中に着地しながら白フードの男に素っ気なく返事を返す。そんな事など気にせず、白フードの男は言葉を続ける。
『そっち坊主は特に凄かったな。この世界には無かった現代兵器を造り、それだけに頼らず格闘術まで収めてるとはねぇ……さらには自分の命が危ないって時に他人を気遣えるなんて……そうそう出来る事じゃない』
白フードの男は称賛と驚愕が混ざり合った声音でハジメに言葉を投げかける。その声音を聞いて、白フードの男のハジメに対する興味は強い事が伺えた。
『もう少し君達で遊びたい所なんだが……もう時間が無いんでな、ここらで引き上げさせて貰うとしよう』
白フードの男はそう言うと、フリードの傍に一瞬で移動した。フリードはと言うと、何体かの灰竜達に白竜の身体を支えさせて、何とか空中に留まっていた。
『さっさと撤退するぞ、マヌケ。此処での目的は達成したんだ、行くぞ』
「なっ!?まだ異教徒共が生きているではないか! このまま見逃すというのか!?」
『……聞こえなかったか?撤退するぞ』
白フードの男は有無を言わさぬ口調でフリードにそう言葉を投げかけ、フリードは歯噛みしながらも、白フードの男に大人しく従う。白フードの男がパチンッと指を鳴らすと、足元に展開されていた魔法陣が光り輝き始めた。
「……このまま、見逃す訳にはいかん!この大迷宮もろとも果てるがいい!」
『……はぁ、おい。何をするつもりだ?』
フリードはいつの間にか肩に止まっていた小鳥の魔物に何かを伝えた。すると、空間全体が振動し始め、凄まじい轟音と共にマグマの海が荒れ狂い始めた。
「おいおい、冗談じゃねぇぞ……野郎、『要石』を破壊しやがったな!」
レギオンが慌てた様子で、そう叫ぶ。白フードの男も流石にこの事態は予想していなかったのか、数秒間動きを止めていた。
「これで貴様らは終わりだ!異教徒共よ、頭を垂れて惨めn『黙れ、マヌケ』がっ!?」
フリードが何かを言い終わる前に白フードの男はフリードを殴り飛ばし、意識を刈り取った。
『ったく、折角良い気分だったのによぉ……』
白フードの男はポリポリと頭を掻きながらそう呟くと、八重樫達の方へ視線を向けて、言葉を投げかける。
『まぁ、迷惑料兼餞別って事でコイツを渡しておこう』
白フードの男はそう言うと、ポケットから結晶の様な何かを取り出し、八重樫達に放り投げた。八重樫がその結晶をキャッチすると、結晶は淡い緑色に発光し始めた。
「これは……何なの……?」
『さぁ? 何だろうなァ?』
八重樫がポツリと零した一言に白フードの男がそう返す。そして、白フードの男は八重樫に視線を向けて言葉を投げかける。
『っと、そろそろ限界だな嬢ちゃん達。今度逢う時はもっと強くなっててくれよ?それじゃあ……ciao〜』
その言葉を最後に白フードの男とフリード、白竜は魔法陣の中へと消えていった。エト達は眼前から消え失せた脅威に少しばかり安心したのか、肩の力をフッと抜ける。
「何を安心してんだ!俺達も直ぐに脱出するぞ!」
レギオンの叫び声によって、エト達は未だ危機的状況に在る事を改めて思い出す。周りには未だに灰竜達が飛び回り、マグマの海は荒れ狂っている。
「とりあえずは中央の島に行くぞ! あそこなら灰竜共は手を出せない!」
レギオンがそう声を張り上げると同時にマグマ蛇が中央の島へと進路を取った。
えぇっと……お久しぶりです……更新が遅れてしまって大変申し訳ありませんでした……スランプとか書いてたプロットがバックアップごと全部消えたりとかで執筆するのが億劫になっていました……まだ不定期な更新になりますが首を長くして待っていただけるとありがたいです。