※言い訳:リアルの多忙さと、スランプで更新が遅れました。申し訳ない成績が虚無
雪原の拠点にたどり着き、竜車が止まる。ここから先は、地形の関係上少し歩かなければならないのだそうだ。
荷物を持って竜車を降りる。今回はきちんと、雑貨屋で売っていた(売ってくれた)閃光玉と音爆弾を持ってきている。流石にこやし玉は売ってなかった。そりゃそうだよな。
「さて、改めてここで一旦お別れになるわね」
「そうですね。フェルト村は南で……」
「狩場は西だからな。と言っても」
また会いそうなんだよなぁ……というのは、この場に居る3人全員同じだろう。狩場の一部を通るし。
「ま、その時はその時ね」
「だな……です。じゃあ、まあ……また会おう、だな」
「ああ」
そう、2度目の別れの言葉を言い合って二人と別れた。
別れ際、エルネロッテさんが「あっ」と言って振り返った。
「道次第だけど、崖崩れが起きやすくなっているわ。くれぐれも落ちないようにね」
▼▼▼
雪原を進む。別段ギアノスに襲撃されるとかはなく、今のところ平和だ。
今向かっているフェルト村は、雪原を下ったところにある。規模はユアンシキリやドンドルマのような街程大きくはないが、ウユリ村よりもはるかに大きいらしい。イメージとしては、「陸のジャンボ村」のような感じだ。話に聞くにはあそこまで大きく発展しているようではないが。
今進んでいるのはポツポツ針葉樹が生えているだけのだだっ広い雪原だ。いやまあそもそもここは「雪原」なんだけどね。
「ポポとケルビはどこにでもいるな……」
ふわふわした子ポポを視界の端に更に進んでいくと、徐々に足元は雪の積もった土から、凍った地面に変わってきた。
ガムートの毛織物のコートを着ているため寒くはないが、滑って転びたくはない。下り坂になってきたし、気を付けるか。
辛うじて生き残っている、雪に埋もれた低木の茂みに脚を踏み入れた時、近くで鳴き声が聞こえた。
『……キュ……』
「ん?」
微かに聞こえる弱弱しい鳴き声。方向は、針葉樹の森の方だ。
針葉樹の森の方は、場所によっては切り立った崖が雪に隠されているため、危険だ。
しかし、近くくらいならいいだろう。近くに崖はみえないし。
雪をかき分けて針葉樹の森に踏み入れると、まず飛び込んできたのは赤く染まった雪だ。
嫌な予感がしつつも顔を上げると、衝撃的な光景が目に入った。
「……っ!」
そこには、あまりにも酷すぎる傷を負った"氷牙竜"ベリオロスが、いた。赤い血の源泉は、そのベリオロスだった。
その傍には中身がめちゃくちゃにされた割れた殻のようなものが散乱している。おそらく、タマゴだろう。それも孵化前の。
ただ一匹だけ、傷だらけの小さなベリオロスの幼体は、重症のベリオロスの傍で弱々しく、親に縋るように鳴いていた。
「これは……」
周囲を見渡せば、戦闘の跡が見受けられる。凍り付いた木々はおそらくベリオロスのものだろうが、雷などによって焼けたような痕や、殴りつけられたような痕は間違いなく別の何かのものだ。
親ベリオロスの傷はあまりにも深く手遅れだが、子ベリオロスはまだ間に合いそうだ。
とにかく見つけてしまった以上、ほおっておくわけにはいかない。昔、俺が……イヴェルカーナが住んでいた地の近くに同種が住んでいたよしみだ。
鞄の中から薬草を取り出す。回復薬はヒト用に加工されたものだから、下手にモンスターに与えられない。
一歩近づこうとすると、親ベリオロスは重傷だというのに俺の方を見て、首を少し起こして低く唸った。そりゃ、警戒するだろう。
しかし、このままでは親ベリオロスだけでなく子ベリオロスも死んでしまう。
だから、少し奥の手だ。
少し目を伏せ、それから、親ベリオロスを睨みつける。流石のベリオロスといえど、「敵意はない、動くな」という意味を込められて
龍の眼になった目をもう一度伏せると、人のモノに戻る……戻ってるよね?
あの
モンスターの言葉を理解することもできるが、話すことはできない。それっぽい鳴き真似はできるが声帯が違う。どこぞのジンオウガ教官みたいに上手くはないし。
子ベリオロスに、薬草を使う。できる限りベタベタ触らないようにしつつ手当を施す。
体温がかなり下がっていたので、(無添加)ホットドリンクをできる限り薄めたものに薬草を混ぜ、飲ませる。
「一口でいい。頑張れ!」
子ベリオロスはなんとか一口飲みこむ。それで少しずつ体温が安定してきたのか、呼吸が整ってくる。
親ベリオロスはそこまでの様子を静かに見守っていた。子ベリオロスの容態が落ち着いてきたのを見て、警戒を緩めてくれたのだろう。
「よし、次はお前だな」
手遅れかもしれないが、するだけしないとと思い、親ベリオロスの手当ても始めようとした時だ。
頭上を、黄金色の光線がかすめた。
親ベリオロスが、俺の背後に向けて弱々しく唸る。
背後を見れば、黒く大きなゴリラがそこにいた。頭部に角を携えたそのゴリラは……"金獅子"ラージャンは、気光砲を放った後なのか、口元にほんのり煙を持っていた。
そうか、この傷跡の主がラージャンならつじつまが合う!なるほど、このベリオロスはラージャンに襲われたのか。これまた厄介な!
ラージャンはおそらく、睨みつけた程度では退いてくれないだろう。だってラージャンだもの。
『グォゴゴゴ!』
ラージャンは大音量の咆哮を放ちながら黄金に輝く。
かと思えば、大跳躍。狙いは俺達纏めてだろう。回避するにはあまりにも速すぎる。
回避なんてできるわけなく、振動に脚をとられて尻もちをつく。
エイムがブレブレだったおかげで直撃こそ免れたが、どっちにしろピンチだ。
着地したラージャンはこちらに振り向く。せめてどうにかできないかとライトボウガンもどきに装填して撃ってみるが、硬すぎて抜けない。
唸り声をあげながら、ラージャンは再び跳躍しようと、雪の地面を踏みしめる。
今度こそダメだ。奥の手を……と思った瞬間。
「……?」
地面が揺れる。ベリオロスも、ラージャンも困惑している様子を見せる。
真っ先に我に返ったラージャンが、今がチャンスと拳を地面に叩きつける。
それがトドメとなったのか、地面が崩れ始める。
「おわあああ?!」
白い地面は俺もベリオロス親子もラージャンも吞み込み、下へと崩れていった。
ヴェルカのレポート
【ベリオロス】
・氷上を駆ける"氷牙竜"。物凄くかっこいい。
氷の螺旋気流を起こしたり、跳躍して回り込んだりと、その姿はどこかの伝承で聞いた騎士そのもの。
雪原に住んでいるのは知っていたが、大怪我をしていてびっくりした。
弱点は火。氷はもちろんしっかり耐性がある。
【ラージャン】
・スーパーライトニングキンピカゴリラ。