イヴェルカーナ、MHST2に出ましたね。狩技めちゃくちゃ綺麗で豪快で大好きです。ところでオオナズチとバルファルクのオトモン実装どこですか?
雪に呑まれ、落下する。そういえばエルネロッテさんが言っていたっけ、「崖崩れが起きやすくなっている」と。
なるほど、此処は針葉樹の森の中でも崖に近い場所だったのが、雪が積もって崖に見えなくなっていたのか。それが、ラージャンの行動がトドメになって崩れた、というあたりか。
視界が白に呑み込まれる中、胸元に何かふわりとしたものが飛び込んでくる。俺はそれを、反射的に抱きとめながら落下していく。
「ッグ!」
数秒して、背中に衝撃が走る。身構えようにも共に落ちる雪に阻まれていたので無理だ。
衝撃の後、すぐにどさどさどさと雪塊が積もる。抱えたふわふわを守るような体勢。口の中に雪が入らないよう、口を閉じて。
すぐにどさどさとは聞こえなくなったが、覆いかぶさる雪が重くなっていくあたり、かなりの量なのだろう。息がしにくい。
段々と意識が朦朧としはじめてきた。ヤバい――――――――
『グォルルルルル!』
轟音と衝撃で意識が覚醒する。気がつけば、体が空中に投げ出されていた。
「?!」
雪に埋もれたラージャンが、勢いよく飛び出した。そばに埋もれていたからか、その時に一緒に跳ね飛ばされたようだ。
そのまま、再び雪の地面に叩きつけられる。が、今度は雪が覆いかぶさったりはしてこない。
全身が痛いが、ふわふわを抱きかかえたまま無理矢理体を起こす。
『キュ……』
抱えた物体から鳴き声がして見てみれば、ベリオロスの子供だった。あの手当をした子だ。縋るような眼でこちらを見ている。
ラージャンの方を見れば、崖崩れで落ちたのが癇に障ったのだろう。イラついた目でこちらを見ている。おおかた、俺達が原因とでもおもっているというところか。八つ当たりやめてください。
手元にライトボウガンもどきはあるが、手持ちの弾は効かない。閃光玉で目くらまししたいが、手元に荷物がない。落ちるときに飛ばされたのか、ラージャンの向こう側に荷物が見える。あれでは取りに行けない。
ラージャンは拳を振り上げながら息を吸い込む。気光砲の前動作だ。
おそらく避けきれない。切り札を切るべきか?いや、まだか?と、悩んで反応が遅くなっているうちに、ラージャンは量の腕を地面についていた。
避けることはできず、エネルギーの波が俺達を襲う――――――――
――――――――ことはなかった。
代わりに頬を撫でる冷気。
不思議に思って、反射的に瞑っていた目を開けば、俺達とラージャンの間に割って入るように傷だらけの白い影が……親ベリオロスが、いた。
ラージャンの攻撃が中断させられたのは、親ベリオロスの放った冷気のつむじ風が命中したからだ。
『グ、クルルルル……』
「お前……!」
牙はひびが入り、棘は半数折れ、体中についた傷から血を流しながらも、しっかりとラージャンを睨みつけている。
ラージャンは割って入って邪魔をして来たベリオロスを睨み、唸りながら睨み返す。
かと思えば、突然ラージャンは跳躍し、ベリオロスへ向けて空中から飛び込みを仕掛けた。
若干鈍いながらも、ベリオロスは的確にラージャンへとブレスを命中させる。
左脚を凍らされたラージャンは、空中にいるというのに無理矢理体勢を立て直し、ベリオロスに向けて雷電を纏って飛び込む。
既にボロボロのベリオロスは避けきることが出来ず、モロにダイブをくらう。
しかし、それでもなおベリオロスはラージャンに一矢報いて撃退しようと、その琥珀の牙を突き立てる。
鮮血が飛び散る。ラージャンの剛毛と言えど、牙のように一点に力を込められれば貫通する。
ラージャンはベリオロスを剥がそうとベリオロスの首根っこを掴むが、その体のどこに力が残っているのか、ベリオロスは食らいつき続ける。
呆然と見ていたが、ふと今なら……と思い立ち、俺は子ベリオロスを抱えたまま鞄の方へと走った。
そして、鞄の中から閃光玉を探り出す。
その瞬間、「ボキッ」という音が響いた。見れば、ベリオロスが中空に投げ出されていた。牙が無くなっており、折れた牙はラージャンの腕に深深と刺さったままになっている。
どさり、と雪の上に叩きつけられたベリオロスから、白い雪の上に赤い血が広がっていく。ラージャンはそこに追撃をしようと腕を振り上げた。
「っ、せい!」
ラージャンの顔面の前で、投げた閃光玉が破裂する。強烈な光が周囲を包む。真っ白い雪にも反射して、光の強さは普段よりも強く襲いかかる。
俺は咄嗟に目を瞑り、子ベリオロスの目を塞ぐ。それでもなお、瞼の上から刺すような光が襲いかかる。
そしてしばらくして、光が止んで目を開ける。
光に眩んでクラクラしたラージャンは、驚いてその場で地面を殴りつけている。
その間に、慌てて親ベリオロスの方へと駆け寄る。
親ベリオロスに近づくなり、すぐに子ベリオロスは腕の中からするりと抜け出した。
『キュ〜……キュー!!』
『クルルル………』
親ベリオロスは風前の灯火どころか、残り火しかないような状態だ。
子ベリオロスもそれが分かっているのか、それでも親が死ぬのは嫌なのか、必死で傷を舐める。
親ベリオロスは穏やかな眼差しで子ベリオロスを見つめると、優しく子ベリオロスを毛繕いした。
「………」
親の死に目に会える子は少ない。それは、人間もモンスターも変わらず。
むしろモンスターなら、親に殺されかねない事もある。電竜などがその好例だろう。
しかし、このベリオロス親子はまだ幸せな方だ。死ぬ間際に、何やら話せたのだから。
しばらく親子が話しているのを見ていれば、子ベリオロスは『キュ』とひとつ力強く頷き、こちらへと飛び込んできた。
「うわっとと?!」
どういうことかと親ベリオロスを見れば、「任せた」とでも言わんばかりの小さな鳴き声を発した。
断るなんて野暮なことは出来ない。こればかりは仕方ない。
「分かったよ。任せてくれ」
ならば、まだラージャンが混乱している間にこの場を離れなければ。
荷物と子ベリオロスをしっかりと抱え、ラージャンの脇を抜けて走り出した。
しかし、その瞬間目くらましが解けたラージャンが、怒り狂った様子でこちらへ突撃してきた。
ヤバい、と思ったものの衝撃は来ることがなかった。来たのは頬を撫でる冷風だ。
親ベリオロスが、最後の力を振り絞ってブレスをぶつけたのだ。その執念にビビったのか、左半身を凍らせたラージャンはどこかへと逃げて行った。
「……ありがとう」
親ベリオロスが目を閉じたのを見送り、フェルト村へと足を進めた。
モンスターデータ
【ラージャン】
・白トカゲに「ちゃんとやって」と怒られたから改めて書く。
金色の雷を纏う"金獅子"。超攻撃的生物、古龍級生物とも言われる、自然界の超実力者・黄金の暴風雨。キリンの角を折って食べるらしい。怖い。
普段は黒い色をした剛毛だが、ひとたび闘気化すると黄金に変わる。超野菜人
弱点は氷。雷と火だけでなく、龍属性も無効化する。親ベリオロスがラージャンを撃退できたのは、弱点だったというのもあると思う。