何となく頭の中に漠然とあった妄想を書きました。

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鈴原るるちゃんの卒業の宣言を受け、今書いている小説を終えたら書こうぐらいの気持ちでいた小説を出します。


鬼殺隊隊士、鈴原るる

 草木が眠る丑三つ時。この時間には妖怪が跋扈すると言われている。

 

「はっはっはっはっ…!」

 

 月が雲に隠れ、静寂と暗闇が支配する山中に道無き道を駆け抜ける姿があった。黒い詰襟の背中に滅の字が入った軍服のような服装を着た傷だらけの青年だ。片手には刃が折れた刀が握られており、もう片方の手には同じ服装の傷だらけの少女を抱えて何かから逃げている様子だった。

 

「頑張れ…!鎹烏で助けを呼んだからもうそろそろ柱が…」

「来るわけないだろぉ、バカかぁ。」

 

 抱えている少女に激を飛ばそうとしたが、後ろから聞こえた声が聞こえたと同時に青年を突き飛ばした。

 

「がはぁっ!?」

 

 青年を突き飛ばしたのはぬるぬるした粘液を放つ触手だ。触手は助けようとする青年をまるでコバエを払うように押し退け、青年が抱えていた少女をひったくっていった。

 

「うへへへ…。おれのよだれまみれになった生娘は良いものだなぁ。おれのものだぁ。」

「やぁっ…いやっ!」

 

 触手の正体は長い舌だ。

 そして、その舌の主は身体は、かろうじて人の形を保っているが、肉塊のようにブクブクになっている人語を介する怪物だった。

 その頭には二対の角が生えており、器用に舌を動かし、嫌がる少女を唾液まみれにして下卑た目でじっとりと見つめる。

 

「くっ、クソっ!鬼め!!そいつを放せ!!」

 

 青年は折れた刀を鬼と呼ばれた怪物に向け叫ぶが、鬼は青年がそこにはいないように振る舞い、少女の服の中に舌を入らせ辱しめていた。

 

「やぁっ、止めっ…!」

「ぐふふふ、いいよぉ。もっともっといい声を聞かせてくれよぉ。」

「くっ…!くそぉ…!日輪刀が折れただけで、俺は何にも出来ないのかよ…!」

 

 青年は悔しさを噛み締めるように崩れ落ちる。このまま目の前で苦しむ同僚の少女を救えないのかと思った瞬間、

 

 

「こーんるるー♪」

 

 

 透き通った、鈴を鳴らしたかのような声が聞こえてきた。

 

「え…?」

 

 青年は声がした方向を見た瞬間、

 

 炎の呼吸、一の型『不知火』

 

 青年の隣に炎が鬼の方向へ走った。

 青年は慌てて目で追うと、少女を辱しめていた舌はぶつりと斬られており、空に放り出された少女は鬼の舌を斬った影に抱えられていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

 影は唾液まみれになった少女を青年に託すように優しく下ろす。

 

「おぉぉ、俺のしたぁ…おれの邪魔しやがってぇぇ…。」

 

 鬼は楽しみを邪魔された憤りを影に向かって怨嗟の声を放つ。

 その瞬間、雲に隠れていた月が顔を出した。

 

 月の光で視界が鮮明になる。そして、少女を救った影の正体が露になる。

 

 それは可憐な少女だった。薄い桃色が混ざったような栗色の髪の毛、青く澄んだ目、整った顔立ちで見た目から判断すれば青年が守ろうとした少女とは四つ上の印象だ。そして服装は青年と少女が着ている背中に滅の字が入った詰襟の軍服のような服装。舌を斬った桃色に光る刀を持つ。しかし、一番目に付くのは、背中に背負うように付いている布に包まれた棒状の何かだ。

 青年が言っていた助けが来たのだ。しかし、青年は安堵できなかった。

 

(一人だって!?やはり柱はそう簡単に来てはくれないのか…。)

「んん?こりゃあ、旨そうなおなごだなぁ。」

 

 鬼は影の正体がうら若き乙女だと分かるとまたよだれを垂らし始めた。

 

「ぐっふっふ。お前はどんな声をだすんだあ?」

 

 鬼はそう言うと常人ならば顎が外れても可笑しくない程の大口を開けた。

 口の中は歯を除けば、舌が口の上と下にビッシリと生えており、それら全てがうねうねと獲物を探るように蠢いていた。

 

「わあ!すごい、ビッシリ!」

 

 助っ人の少女は驚きを見せるが、恐怖の色は微塵もない。まるで珍しい生き物を目撃したと言わんばかりに目を開かせ、鈴を転がしたかのような声を出した。

 

「お前、いい声だぁ。どんなあじだぁ?」

 

 鬼は舌舐りをするような声で鈍重そうな巨体に似合わぬ速さで、助っ人に飛び掛かる。

 

「危ない!」

 

 青年は叫んだが、その時、既に鬼は助っ人の眼前まで迫っていた。

 

「ほい。」

「ごべぇ!?」

 

 しかし、助っ人はそう来るのが分かっているかのように背負っていた棒状の物を素早く振り抜き、鬼は仰け反る。その瞬間、棒状の物をくるんでいた布が外れ、その姿が露になる。

 それは巨大な棍だった。見るからに重そうな棍を助っ人の少女は軽く振ったのだ。

 そして、鬼の様子を見て助っ人は残念そうに呟いた。

 

「う~ん、血鬼術は使えないのかな?まぁいいや。」

 

 強大な鬼を見てクジのハズレを引いたかのような表情に青年は呆気に取られ、怯んだ鬼は怒りを露にした。

 

「おぉぉ…おれがぁ、弱いって言いてぇのかぁ!?こんなにおなご食いまくってるのにぃ、血鬼術をつかえねぇおれをぉ…ばかにしてんのかぁ!おなごのくせにぃぃぃ!!!」

 

 完全に冷静さを失った鬼は身体を沈ませ、空高く飛び上がった。

 

「このままおれの身体におしつぶされろぉ!!」

 

 まるで大岩が落ちてくるような迫力。それでも、助っ人は焦ることなく、桃色の刀と棍を構えた。

 

 不屈の呼吸、一の型。連撃。

 

 特殊な呼吸音を出しながら、迫り来る鬼の巨体に目にも止まらぬ速さの斬撃と打撃を繰り出した。

 

「おりゃりゃりゃりゃ!」

 

 その華奢な姿と可憐な声には似合わぬ荒々しさと豪快さが目立つ攻撃。助っ人目掛けて落下していた鬼の身体は次第にその速度を落とし、遂に曲芸士の玉を回して乗せる芸のようにその場にとどまってしまった。

 

「うぅ、おおおおおおおお!?」

 

 このままだと身体を削られてしまう。そう察した鬼は再生した長い舌を近くの木の枝に絡ませ、自分の身体を引っ張って避難した。

 

「あれ?逃げるつもり?逃がさない。」

 

 助っ人には鬼が逃げたように見えたようで、武器を構え直し、追い討ちを掛ける。

 

「ひいい。や、やめてくれぇええ。」

 

 鬼はこれまで女を自分の欲求を満たすだけの道具だと思っていた。あの恐ろしいお方から得た力でもっと女を好きにできる。だが、今目の前に迫っている女はあのお方以上の恐ろしい怪物に見え、恐怖から命乞いをしてしまった。

 

「ダメです。あの世で反省してください。」

 

 助っ人はそんな鬼の命乞いを首もろともバッサリ切り捨てた。

 恐怖に彩られた顔が血の線を引きながら宙を舞い、鬼が最後に見たのは自分の首を斬って一息つく女の姿。その後は残った身体もろとも灰となっていくのだった。

 

 

 

「す、すごい…。」

 

 青年は助っ人の強さにただ開いた口が塞がらなかった。

 

(さっき、鬼に叩き付けたあの連撃…。まさか独自の呼吸法か?)

「あの、大丈夫ですか?どこか痛いところありませんか?この後、隠の人たちが来ますのでその人と一緒に楽にしててください。」

「あ、あぁ。ありがとう。俺は大丈夫だ。」

 

 助っ人が声を掛けてきた事で青年は我に帰る。

 

「それにしても、随分とすごいな君は…。名は何て言うんだ?」

 

 自分の実力では逃げるしかでなかった鬼をこうもあっさり倒した助っ人。青年は興味本位で名を聞いてみた。

 

「私ですか?私は鈴原るる!階級は甲です!鬼殺隊のお兄さん、こんるる~!」

 

 助っ人の少女はそう元気良く答えた。




改めて、鈴原るるちゃん。卒業おめでとう。

2025/12/23
戻ってきてくれて本当にありがとう。

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