さぁ、いよいよ悪党どもの登場です。
「そんでさ~ALIVE・UNTILE・SUNSETの曲、ヘビメタだけどあれはなかなかに良くてさ~。あっ、でも、EMPERORも王道なラップも外せなくてね~。最近はD.D.D.もSNSで人気になってるからな~。いや~、音楽はやはり偉大だね!!」
陽気な声とともに紅雀タワーのエントランスホールに入ってきたのは二人の男女だ。
一人は角の特徴からサルカズの長身ロン毛男性。
もう一人はヴァルポ(狐)の小柄な女性。
「ホット、君も音楽聞いてみなよ!いやぁ~最近の音楽ってファッションに遅れをとらないくらいレパートリーが増えててすっごいからね!」
「……」
二人組は受付の方に近づいてくる。受付の男性も一足先に来た
「あの―」
「ねぇ、受け付けの君はどう思うかい?音楽は何が好きかな?」
その直後に、
パシュッー
「ぅ―」
長身男性がコートの懐から取り出した
「あらら~♪死ぬほど疲れちゃってたかー♪えいっ!」
童顔女性は机を軽々と飛び越え、もう二度と起きることはない受付の男性を軽く蹴っ飛ばす。そして、懐から無線を取り出し、何かの合図を送る。
その間に長身ロン毛男はエレベータがある方へ静かな足取りで向かう。エレベーター付近には一人の警備員しかいない。
長身男性は円筒ものを取り出し…、
「うん?」
警備の男性はコロコロと転がってきた円筒に目線が行き―
瞬間、焼けるような強烈な一閃に目をやられ、
パシュッパシュッパシュッ―
「うがッ―」
警備の男性の体に数か所の穴が開いたのだった。
~~~~~~
【こちらヤブリ、OKよ~♪】
無線から聞こえてきた合図を受け取った男性は、大型トラックの荷台の扉を開ける。
すると荷台の中から出てきたのは、さまざまな種族の人間。それぞれ大きなバックを背負ったり、大きな箱を乗せた荷台をひいたりしながら、その多種族の集団は地下駐車場を後にし、数組に分かれてそれぞれのエレベータに乗り込んだ。
~~~~~~
「ふっふふ~ん~♪」
ヴァルポの女性は受付のすぐそばにあった管理室に入り、管理室に設置されている地下駐車場や監視カメラを制御しているパソコンを慣れた手付きで操作し、地下駐車場の防火シャッター全てを下した。
そして、
「機械は~♪ふぅん!ふぅん!壊すのが~、とっても~♪快ッ!感ッ!!」
陽気な歌とは裏腹に操作していたパソコンのコードを乱暴に引っこ抜き、さらにでかい箱のような制御装置に強力な蹴りをかます。その威力はバチバチと火花が出るくらいだ、もうその制御装置は作動することはないだろう。
そのタイミングで先ほどのエレベータの一つからから数人が出てくる。
その中の一人が冷たくなった受付の男性の服を手際よくあさり、玄関扉の開閉カードと着ていた上着を取った。
~~~~~~
「ここを左に…次を右に…、そしてここをまっすぐに…ハハハッ、図面通りだ」
地下にて残った眼鏡をかけたサルカズの男性は事前に調べたのか、内部の通路をすいすいと進み、とある場所にたどり着く。
そこは会社内の全ての電話やルーターに使われている電線コードが纏められている大きな箱が設置されている。箱からは数本の電線コードが入ったパイプが天井に伸びている。
さっそくサルカズの眼鏡男は作業に取り掛かるために、箱の中身を空けるためにバッグから小さい電動丸鋸を取り出し、蓋をこじ開ける。
~~~~~~
「ん~…」
30階の豪華な仮眠室のトイレに座り、絨毯の上で裸足になっている男は先ほどの連中の一人―ではなくて、ジュンである。
ジュンの足の指は何度も絨毯の上で閉じたり開いたりしていた。
なんだか、絨毯のモコモコ感も相まって、なんかくすぐったい。
「プフッ、あのボウズめ…クフッ、ククッ」
TAXIの、
なお、結果はジュンがクスクス笑うくらいだった。
「ククッ、『つま先を丸める』ねぇ~」
ブツブツつぶやきながらジュンは皮製の折り畳み式カードケースをポケットから取り出す。財布とは違って、こっちには身分証や写真が入っており、どこに行っても肌身離さず持ち歩いている物だ。
さきほど貰った名刺を取り出すためにカードケースを開く、挟んだだけなので取り出すのも容易だった。
「………」
それでもジュンはカードケースを仕舞わずにとある小さい写真を見る。
それは彼の娘、リーリヤの写真であった。娘に面会できるとはいえ、時間も機会もほとんどない彼にとって、この写真はその代わりと言っても過言ではなかった。
写真は防水加工されており、水に漬かっても大丈夫なようにされている。
写真の娘は元気いっぱいでニカッとした表情で幸せに満ち溢れており、ジュンはそれを愛おしそうに眺める。
少し眺めた後、ジュンは別の紙を取り出す。こちらは半分に折りたたまれており、開くと、クレヨンで子供が描いたような3人の男女の絵が描かれていた。
家族の絵だ。マイヤ、リーリヤそしてジュンの並びで、3人が手をつないで満面の笑顔な絵だった。そしてその上にはウルサス語でこう書かれていた。
"いつまでもずっと一緒!!"
「"ずっと一緒"か……」
ジュンは微笑んだように見ていたが、だんだんその笑みに暗さが混じっていった。
「ごめんなリーリ、俺はこれから
ジュンはそれらの写真をカードケースにしまい、壁についてた電話にもらった名刺に書かれていた電話番号を入力した。
反応はすぐに来た。
「もしもし、オーガスタか?」
「やぁ旦那さん!待ちくたびれましたよ!」
もちろん電話に出たのはオーガスタ本人だった。相変わらず音楽の爆音ですごいことになっている。
「そりゃあ悪かったな、そっちは今どこ?」
「もう地下駐車場にいますよ。それで奥さんとはどうなりましたかい?」
「う~ん、そうだなぁ…『出だしはまずまず』って、ところだな…」
~~~~~~
「…ここは…繋いで…そしてこのコードは切って…」
同時刻にて、地下ではサルカズの眼鏡男は慎重に電線コードを持ってきた装置に繋げてたり切っていたりした。
と、そこに、
「♪~、やぁ兄弟、まだかかってるのか?」
先程、受付の男性と警備員に風穴をあけた、『ホット』と呼ばれたサルカズの長身ロン毛男がヘルメットを装着、手にはこれまたチェーンソーを持っていた。
「待て、まだだ―」
ギュルルルルルrrrrrr―
眼鏡男の制止を待たずに、長身ロン毛男がチェーンソーを起動させる。眼鏡男は慌てる。
「おいよせ!!まだだって言っているだろう!?おい待てよ!待ってたら!!」
眼鏡男の再度の制止でも長身男は耳を貸さずに、チェーンソーで鉄パイプを切り始める。
「ちぃ!!」
眼鏡男は盛大な舌打ちをしながら作業を慌てて再開させる。
1本目、2本目のパイプが切れる中、残りのコードをペンチで切り、装置のコードに繋げる。
3本目、4本目、最後のコードを慌てて切り、繋げようとし、
最後の5本目のパイプが切れる前に、最後のコードも終わらせ、間一髪なんとか全ての作業が完了したのだった。
「…ふぅ…」
眼鏡男はほっと一息ついた後に長身ロン毛男を睨んだ。ロン毛男はニッコリと笑顔で返してその場を後にした。
~~~~~~
ポーン♪
30階のパーティー会場でそんな音と共にエレベータの扉が開く。その中にいたのは―
それぞれ銃を手にした連中だった。
~~~~~~
「オーガスタ?おーい、オーガスタ?」
オーガスタと話していた最中に突然無音になった。いきなり無音になったのでジュンは受話器に何回か呼びかけ向こうの返事を待った。
一方のオーガスタも、
「旦那さん?もしもし?」
プー…プー…
いきなり途絶えた電話に彼も驚くのだった。
「……」
ジュンは突然切れた電話に怪訝の表情を浮かべた。おかしい。ふつう、電話が切れたならツーとかプーとかの待機音がなるはずなのだが、それすらも一切聞こえない。
停電か?いや、明かりや電気はついてる。少なくともブレーカーが落ちたわけではない。
ジュンはもう一度電話番号を打とうとしたとき―
ズガガガガガガggggggg―!!!!
彼の耳に飛び込んできたのはけたたましい銃声音だった。
おまけ
オーガスタ
フェリーンの丸坊主の青年。TAXI運転手。結構勘が良くて、ジュンからは良い読みを持っていると言われた反面、ズバズバとなんでも言ってしまう。でも気前は良いのでフツーにいい奴。
最近は爆音奏でる音楽にハマっている。うるせー。
タウウェン
見た目は髭を生やしたフェリーンイケメン、仕事ができてルックスもそれなりにいいので皆からはエースとして尊敬されている、が、裏の性格は他人の人妻を狙い、その夫に嫌味をさらっと言うクズのうえ、ストレスが溜まっているとはいえヤクを吸ってるどうしようもないクソ野郎。
ジュンは彼の裏の性格を出会った際に一瞬で見抜いた。
リー・チュンイ
紅雀タワーの社長。リーベリでダンディな雰囲気をもつ。気前が良くジョークもうまい。ホントに良い人。しかし、タウウェンのヤクの件については、仕事のストレスが原因だろうと仕方なく目をつむっている。
あれ?ここまでアークナイツ本編のキャラたちがあまり登場してない…?
ま、大丈夫ですかね☆
さぁ、いよいよ「中年オヤジがいなければ難易度ベリーイージーだった人質立てこもりテロ事件」がはっじまりますよ~♪