生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
完全にモンスターと化した騎士は襲い掛かってきた。
さて、屋内だから【装着・鉄塔】なんかは使えない。
取り敢えず、いつもの通り絲で相手を拘束してみる。
が、僅かな間拘束しただけで絲を引きちぎられてしまった。むむむ
「エクレア、【覚醒】!そして【黒雷】!」
エクレアにも手伝ってもらう。【黒雷】は直線を攻撃するスキルだ。
黒色の電撃は命中したが、すこし鎧を焦がしただけでそこまで効果的には見えなかった。
騎士が突っ込んで来た。そこまで速くないが、素の私より断然速い。
絲を天井にくっ付けて斬撃を躱す。空ぶった剣は床を抉っている。
「これは当たったら即死だね・・・」
「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」
空中の相手には攻撃手段がないかもしれないと思ったが、そんなことはなかった。
剣の斬撃を飛ばしてきた。そんなスキルあるっけ?
そこまで素早くはないので躱すことに問題はない。
絲で一瞬騎士の動きを封じて、その隙に鎌で斬りつける。
「やぁ!」
すると、なんと騎士の首が取れた。
「・・・え?え?」
「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「わあ!?」
デュラハンだったのだろうか、首への攻撃が全く効いていない!?
と言うかすごいビックリした!このゲームいつからホラーゲームになったの!?
真面目にこれは困った。首が弱点じゃないとダメージソースが・・・
このままではジリ貧だ。こうなったら・・・
「【スーパーノヴァ】!」
このスキルを使うことにする。
騎士の攻撃が激しくなる。首が取れたからだろうか?
しかし、躱せない程ではないので余裕を持って10秒の間耐え凌ぐ。
「終わりですっ、【黄泉渡り】!」
「があぁぁぁぁぁぁぁ!!」
そして、大爆発が起こる。
ドオォォォォォォォン!!
建物が耐えられる訳もなく、吹っ飛んだ。
「・・・・・・」
驚くことに、騎士はまだ倒れていなかった。しかし、もうボロボロで立っているのもやっとに思える。
「・・・ありが、とうこれ、でもう思い残すことは、ない。」
「・・・安らかに眠ってください」
いくらNPCとは言え、心が傷んだ。すると、騎士は何かを差し出して来た。どうやら、スキルの巻物のようだ。
「最後、にこのち、からを君にた、くす。有効、に使って、く、れ」
「は、はい!」
「それか、ら、私の亡骸か、ら、石のよ、うなもの、がでてく、ると思、う。それ、も、あんた、の好きなよう、に使ってく、れ。
ああ、今、会いに行くぞ・・・」
普通、モンスターはHPが0になるとポリゴンとなって消える。
しかしこの騎士はそうはならず、黒い灰になって、風で何処かに飛んで行ってしまった。
「・・・」
私は、無言で頭に手を当て敬礼のポーズを取っていた。
彼の友人は何故そんなことをしたのか。それはよく分からない。
でも、彼は親友を恨んでないように感じた。家族を殺されているにも関わらず、だ。
彼は、とても優しい人だったのだろう。そして、それ故に国を追われた。
もはや、誰も彼を慈しむ者はいないだろう。だったら、私くらい彼の死を悲しんであげよう。
まあ、あくまでNPCで、これはゲームなんだけど、なんだかそんな気分になってしまった。
「天国で会えると良いですね・・・さて。」
貰ったスキルの巻物を確認する。
【清濁併呑】
自分を含む全ての周囲のプレイヤー又はモンスターのスキルや魔法による一時的なステータスの変化を無効にする。
クールタイムは30分。
バフやデバフを無効にするスキルですか・・・
説明によると、【神業師】みたいな永続的にステータスが上昇するものには効果外で、【超加速】みたいなスキルの上昇効果を無効化するのだろう。悪くない、いや、かなり良いスキルだ。
そして、ドロップ品のような扱いの・・・宝石みたいなものが落ちていたのだが、これもスキルを習得出来るアイテムの一つらしいが・・・
「・・・なぁにこれぇ?」
なんというか、とても変わったスキルだった。
◆◆◆◆◆◆
数日後。ギルドホームに向かうと、メイプルが新しいスキルと装備をお披露目したいそうだ。
最近イズさんが張り切っていたのはそれででしょうか?
——私のスキルもついでにお披露目しようかな?
そんなことを考えながら、ギルドメンバー全員でフィールドに向かった。
「じゃーん!」
「おお、それがイズの作っていた装備か?」
「いいんじゃないかな、似合ってるぞ!」
「イメージ一新って感じだね!」
「メイプルさん素敵です!」
「きれい・・・!」
「うん、騎士みたいで良いんじゃないか?」
「かわいいです〜」
メイプルは普段の黒い全身鎧とは正反対に、真っ白な鎧を着ていた。
VITではなく、HPに極振りしているらしい。
「でも、それだけじゃないでしょ、メイプル?」
私もそう思った。
「新装備のお披露目ならギルドホームでも出来るもんね」
「ですよね。なんででしょう?」
「流石サリー!実は私の新しいスキルを見て欲しくて!」
「「新しいスキル?」」
私とサリーの声が重なる。
メイプルがスキルの名前を言う。
「【身捧ぐ慈愛】!」
すると、メイプルを中心として半径十メートルの範囲の地面が薄っすらと輝く。
それだけではない。
メイプルの背中からは二つの真っ白い翼が伸び、頭の上には白く輝く輪が浮かんでいる。
その髪は綺麗な金に変わり、瞳は深い青色になった。
「「「「「「え?・・・」」」」」」
「私も最初はそう反応したわ」
あ、モンスターが来た。
「あ、来たよ!」
「私が受けるわ…皆分からないだろうしね……」
イズさんがモンスターの前に自ら歩み出るとその攻撃を胴体に受けた。
しかし、イズさんのHPバーは全く動かない。
これは、どういう・・・
「どういうことだ?」
「これが新しいスキルよ。
身捧ぐ慈愛の中にいるパーティメンバーに、常にカバーが働くんですって。」
「えーっと、じゃあ、この光の中にいる限り、私達はメイプルと同じ防御力になるってこと?」
「そう!最初にHPを一定値持ってかれちゃうけどね!」
「これは強力過ぎるだろう・・・」
クロムさんの言う通りだろう。これは強い。
これで私も万が一攻撃を受けても大丈夫ってことだ。
「ちなみにメイプル、今のVITは?」
「えーっと、いくつだろ?1000は超えてることは確かだけど・・・」
「「「「「「「・・・」」」」」」」
「あ、私のDEXも多分そのくらいです。」
「まさに守護天使メイプルちゃんね!」
「えへへ・・・あ、そう言えばミルフィーもなにか見せたいスキルがあるって言ってたっけ?」
「は、はい。これの後では霞んじゃうかもしれませんが・・・」
「それは仕方がないと思うぞ。で、どんなスキルなんだ?」
「えっと、二つあってね、一つ目は【清濁併呑】ってスキル。
敵味方関係無くバフもデバフも剥ぐスキルなんですが、一時的にステータスを上げるスキルを持ってる方、居ますよね?」
「ふむ、なるほど。だからみんながいる時に・・・」
「そうです。味方も影響するので気を付けて欲しいかなって」
「分かった!で、二つ目は?」
「・・・この中にホラーが苦手な人居ます?」
みんなが顔を見回せる中、サリーが1人だけ震えている。
「な、なに!?どど、どんなスキルなの!?」
「・・・見ます?」
「うー・・・見たくないけど見る・・・」
「わ、分かりました・・・あの、私もホラーはあまり得意ではないですから」
「慰めは良いから早くスキルを見せて!」
「では・・・よいしょっと。」
「「「「「「「「「!?」」」」」」」」」
「!?!?!?」
サリーだけ驚き方が違う。何をしたのかと言うと・・・
私の首は取れていた。
「き、きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「さ、サリー!落ち着いて!」
「み、ミルフィーちゃん?これ、どういう事?」
ふっふっふ、流石にこれにはイズさんもビックリしたようだ。
「【
「なんでそんなスキルを・・・?」
「私が聞きたいくらいです・・・」
サリーちゃんが怯えて後ずさるのをメイプルが抑えている。
他の人もポカーンとしてしまっている。
・・・どうしてこうなったんでしょうね(棒)
評価、感想お願いします!
特に、評価数が少なくて悲しいです。
低評価でもいいので投票して頂けるとモチベが上がります!
ミルフィー「そう言えばクロムさんも装備新しくなったんですね」
クロム「写輪眼の本当の力を見せてやる・・・」
ミルフィー「なんだ別人ですか・・・」
7/8 誤字訂正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
8/26 【清濁併呑】のスキル内容を一部変更しました。