生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
イベント当日、私達はギルドホーム内に集合していた。
「もうイベントも3回目か〜。楽しいと良いね、牛イベ!」
「何、牛イベって?」
「牛を倒してベルを獲得するってイベントなんでしょ?だから牛イベ!」
「ベルの数に応じて報酬があるらしいね」
「イベントとしてはオーソドックスなタイプだな」
「はいはーい、注目!みんながたくさん羊毛を集めてくれたのでやっと完成しましたー!」
「作ったのは私で、デザインはイズさんです!」
完成したのは毛刈りした羊毛で作った装備だ。
「じゃーん!」
「かわいー!」
「うん!それに暖かい!」
「使った羊毛の量によってイベントドロップにボーナス補正が付くみたいよ〜」
「し、しかし・・・これでは可愛すぎる!」
「ん?」
「も、もう少しその・・・違ったデザインにはならなかったのだろうか?」
「ならなかったの〜!・・・もこもこ装備のメイプルちゃん達を見たかったから」
「あはは・・・しかし、ちょっと胸がキツイような・・・?」
「時々思うんだけど、ミルフィーって本当に私と同い年なの?」
サリーが聞いてくる。ど、どういう意味でしょう?
サリーは私だって成長すれば・・・とかなんとか呟いている。
「カナデもとっても似合ってる〜!」
「良いね、ありがとう、気に入ったよ!」
「私達も!」
「イズさんに貰ったハンマーで!」
「牛をやっつけまくります!」
「みんな、かわいいなぁ・・・」
「微笑ましい光景だ。優しく見守ってあげようじゃないか」
「ああ、そうだな・・・いや、お前がいて良かったよ。1人だけ仲間外れだったからな」
「そうか・・・」
◆◆◆◆◆◆
イベント開催時刻から一時間後。
「よっと、これで十匹目っと」
絲のお陰でそこそこの移動速度を持つ私はそこそこ順調に牛を狩っていた。
「そこそこ良いペースかな・・・ん、メールだ。サリーからみたい」
メールの内容を確認してみる。
『ちょっとメイプルのことが気になっているんですけど』
まあ、たしかに。今回のイベントはAGIの高いプレイヤーが有利です。
すると。クロムさんからもメールが来る。
『ああ。たしかにメイプルには不向きなイベントだったかもな。』
『それに変なことをやらかさないか心配で』
『じゃあメイプルちゃんにイベントのアドバイスをしましょうよ』
『賛成!』
『賛成!』
みんな、メイプルさんを心配しているんだなぁ・・・
『それに、ミルフィーがまた変なスキルを取ってきそうで怖い』
『その気持ちは分からなくもないな』
『私も首がいきなり取れたのは驚いちゃった』
わ、私も心配の対象なんですか!?
こ、ここは反論しないと!
『大丈夫です!』
『あ、見られてたか』
『ごめんごめん。でもまた怖いスキルを取って来ないか心配で・・・』
『イベント、頑張りましょうね』
なんと言うか、流されてる気がするけど・・・まあ、いいか。
とは言え、ここら辺りの牛は全て狩り尽くしたから移動しましょう。
『意外と集まらないよな。でも集中して頑張ろうぜっ!』
『草原には人がいっぱい来るから仕方ないよ。焦らず、のんびり行こうね』
『みんなが殺到しちゃうと、狩れないわよねぇ。
コツコツと一歩ずつ・・・牛歩作戦よ〜』
『みんなアドバイスありがとう!頑張ります!』
『私も頑張ります!』
さてと、では移動しますか。
◆◆◆◆◆◆
「せいっ!っと・・・」
私は気付けば以前【
建物は破壊してしまった時とあまり変わっていない。
「う〜ん、特に用事も無いし別の場所に行きますか」
私がそのまま立ち去ろうとした時、ふと足音がした。
振り返ってみると建物の入り口の前に騎士のような装備の男性が立っていた。
しかし、どこか様子がおかしい。
まず、全身が薄ら白く光っている。それになんだかボーッとしているみたいだ。
俯いてる為か顔が見えない。帯剣していて、鞘の上からも邪悪そうだと分かる剣だ。
そいつはふらふらしながら此方に向かってくる。
「あー・・・」
不気味だ・・・しかし、これはなにかのクエストか何かだろうか?
私がどうするか悩んでいると、そいつは急に顔を上げた。
「みつけたぁ・・・!!ひゃははは!!」
「ひぃ!?」
そいつは血走った目で此方を睨むと襲い掛かって来た!
かなり速い。が、躱せなくはない。
「よっ!」
「ぎざまをづがまえでやる!ぞじでおればもっどぢがらをえる!」
「くっ・・・!」
動きが速いだけでなく、攻撃も強い。絲が一撃で斬られてしまった。
私は【絲使いⅣ】で覚えたスキルを使う。思えば、このスキルはあまり使う機会が無かった。
「【装着・穿槍】!これでも喰らいなさい!」
【装着・穿槍】は【装着・鉄塔】の槍バージョンだ。
攻撃力はやや低いが、貫通効果を持ち、鉄塔より軽いのが特徴だ。
相手は避ける素振りも見せず攻撃を受けた。が、まるで無傷だったように突進してくる。
「このっ・・・!?」
絲で横っ飛びして回避する。奴の振るう魔剣が建物の瓦礫を掠る。
すると・・・
「がぁぁぁぁ!」
「なん、ですか、これ・・・!?」
瓦礫がまるでゴーレムか何かのように動き始めた。
そう言えば————
『俺の親友はある魔剣を持っていてな。それに切られると魔物になってしまうのだ。だから、早くここから離れなさい。』
まさか、この人ってあの人の友人の?
此奴が正気だとは思えない。あの魔剣の所為か、謎の光の所為か・・・
もしかしたらそのどちらかが此奴の異常な速さと攻撃力、耐久力の秘密かもしれない。
なら・・・!
「【清濁併呑】!」
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「だ、駄目か・・・」
どうやら全く効いていないようだ。
あのクエスト関連のイベントだから何かしらあると思いましたが、違いましたか・・・
このままでは埒があかないので、私は一旦建物に逃げる事にした。
此奴はこの建物から出てきた。もしかしたら、何かヒントがあるかも・・・!
頑張れ!たとえ評価が貰えなくても!お気に入りの数が減っても!
俺が
たとえ、誰も見てくれなかったとしても!
7/11 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
7/22 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!