生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
建物は前に来た時は作業場くらいしか調べなかったので、今度は他の部屋も調べてみる。
奴は相変わらず私を追いかけて来ている。
今もドアを全力で絲で塞いでいるが突破されるのも時間の問題だろう。
ドアを壊されたら絲で時間稼ぎしてその間に逃げる。
そんなことを繰り返す事3回目。
「なにかないか・・・む?」
三部屋目の調査に入った時、違和感を覚えた。
謎の魔法陣が床に書かれている。しかし一部分が欠けてしまっているようだ。
普通の転移の魔法陣なら詳細を確認できるがこの魔法陣は出来ない。
「これはなにかあるはずです!一体どうすれば・・・!?」
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「くっ、早い・・・!」
思っていたよりも早く奴が入って来た。
どうすれば良い・・・?
そんな時だった。
『・・・、聞こえるか?』
「!??な、何!?」
『この部屋に落ちている本を拾え。そして魔法陣を完成させろ。
描くものはこの部屋のチョークを使え・・・』
な、なんだ?今、男の人の声が頭に響いてきた。
本・・・あった。チョークも見つけた。ここは、声の言う通りにするべきか・・・
「がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「考えてる暇は、ないみたいですね・・・!【絲生成】!」
取り敢えず、絲を新しく作って時間稼ぎのために奴を拘束する。
奴の魔剣は灰色のオーラを放っていて、彼の身体の光とは正反対だ。
「おのれぇ・・・あいづをよびだずぎが。ぞゔばざぜない!」
「あいつ・・・?」
よく分からないが、声の主と此奴は知り合いなのかな?
絲で自分の身体を持ち上げ、回避する。
此奴は私よりも魔法陣を消す事を優先することにしたらしい。
「そうはさせません!【鎖鎌】!」
「ぐぅ・・・!」
久々に鎖鎌を使う。奴は攻撃を躱すと私をターゲットにし直し、こちらに向かって来た。
絲で邪魔しながら、また魔法陣を完成させていく。
これが案外難しい。
邪魔は入るし、なにより魔法陣がかなり細かい。
本によると、一センチでもズレるとアウトらしい。
現実の私だったら多分無理だろう。DEX極振り様々だ。
「これでっ、完成・・・」
「ごの、おのれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
『・・・良くやった。』
魔法陣が煌々と赤く光る。少し眩しいくらいだ。
私は思わず眼を閉じ、光が収まったと感じると目を開いた。
目を開くと眼前には謎の人物が立っていた。
そいつは美しい白銀の長髪に黒い服、黒い翼を三対、計6枚持っていた。
頭の上には天使の輪っか・・・ではなく、赤い輪っかがあった。
ただの輪っかではなく不思議な紋様で出来ていて、その一部は魔法陣の紋様とそっくりだった。
そいつは私と奴を見つめている。
「・・・呼んでくれて感謝する」
「あ、はい・・・」
「ぐぐぐ・・・がぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「あ、危ない!?」
あいつは最早私のことなど目に入っていない様子で謎の人物に襲い掛かった。
あわや、袈裟斬りにされると思った時。
「ふん・・・」
「ごばぁ!?」
急に奴が吹っ飛んだ。彼が手を一振りすると、まるで何かにぶつかったように奴が吹っ飛んだのだ。
彼は今まで攻撃しても効かなかったのに、何故かすごいダメージを受けたような反応だった。
そのまま奴は壁まで吹っ飛び、倒れた。が、まだHPはゼロになっていないらしい。
「ふむ。あまり余裕はないようだな。そこの我を呼び出した人間」
「は、はい・・・」
「なんとか我は降臨できたが、どうやらあいつを倒すには時間が足りないらしい。」
「は、はぁ・・・」
「よって、貴様に命じる。我の力を貸す。そして、奴を倒すのだ」
「わ、分かりました!」
この人かなり美形だけど、怒ると怖そうだったので声が少し上ずってしまった。
彼が此方に手を伸ばすと、彼は黒い結晶になって私の身体に吸い込まれて行った。
『スキル【叛逆の翼】を取得しました。
どうやら、新しいスキルが「力」らしい。
私がスキルの内容を確認すろと、このスキルは複数のスキルを内包しているらしい。
なになに、【堕天】と・・・
そこまで確認すると奴が起き上がって此方に向かって来た。
「ぎざまをじまづじでやるぅ!!」
「え、え〜い!どうとでもなれ!【堕天】!」
すると、私の身体に変化が起こった。
まず、髪の色が彼と同じ白銀になった。黒い翼も生えたし、この分だと赤い輪っかもあるだろう。
ドレスも黒くなった。
「ぐぐぐ・・・」
怯んでいる・・・?今のうちに私はスキルをもう一度確認する。
それぞれ、【暗黒の主】、【純然たる傲慢】、【堕天】と言うらしい。
【暗黒の主】
MPを消費して闇魔法を行使できる。
また、光属性や善属性の攻撃やスキルの影響を半減する。
【純然たる傲慢】
自分の周囲半径10メートル以内の相手はHPとMPの回復が無効になり
回復した分だけ減少させる。
また、味方に闇属性や悪属性の攻撃やスキルを使うと、HPが回復する。
【堕天】
AGIとINTが50になり、MPが1000になる。
また、HPが少なければ少ないほどAGIとINTが上昇する(最大100)。
使用回数は一日二回。使用中他のスキルの使用不可。
すごく強い!これなら勝てる・・・!
私は早速闇魔法を使ってみた。
「【ダークボール】!」
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
す、凄い効いてる!初級の魔法なのに!
奴はふらついている。今がチャンス!
「おのれぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「トドメです!【ダークジャベリン】!」
「ぐぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」
奴は私の魔法を喰らって、地面に倒れ伏した。
「ああ・・・俺は・・・すまな・・・よ・・・」
・・・最期、奴が消える前に何か言っていた気がするが、聞き取れなかった。
一体どういう経緯でこんなことになったのかは分からないが、
奴も、あいつも被害者だったのではないだろうか?
私はなんとなくそう思った。
色々あって忘れてたけど、今はイベントの途中だった。
私は急いでその場を後にした。
「このスキル、魔法使いっぽい装備の方がいいかな?」
◆◆◆◆◆◆
「「「「「「「「「「イベントお疲れ様ー!」」」」」」」」」」
第三回イベントが終わって、私達『楓の木』は打ち上げをしていた。
「『炎帝の国』、『集う聖剣』、流石だな。キッチリランクインしている。」
「どっちももう、第三層に行ったみたいだね。」
「開放されたばかりなのに、流石に早いなぁ」
「ごめんね・・・今回はあんまり活躍出来なかったよ・・・」
「でも、個人報酬には届いたんでしょ?」
「うん!【カウンター】のスキルを取ったよ!」
「十分じゃない!今回はAGIの高い人向きのイベントだったもの!」
「それに、案ずることはない。皆で稼いだ分、ギルド報酬は最高のものを取れた」
「だな」
「できる限り!」
「頑張りました!」
「また次の機会に活躍すれば良いです!」
「これ、ギルドメンバーのSTRが3%上昇するんだよね」
「積み重ねが効いてくるって訳だ。」
「でも、メイプルには関係無いか。ゼロには何掛けてもゼロ何掛けてもゼロだしね」
「ふふーん!あるんだなこれが!」
「・・・もしかして、またなんかやったの?」
「それじゃ、第三層に、向かおう!」
「あはは・・・」
・・・私も新しいスキルを手に入れたことは、まだイズさんにしか伝えてない。
私は【裁縫】は得意だけどデザインのセンスはあまりないらしい。
前に自分だけで作った洋服を見ると、イズさんはあからさまな苦笑いをしていた。
頼んでいた装備が出来るのがとても楽しみだ。が、その前に・・・
「メイプル・・・今度はどんなスキルを?」
「ふふ!ボス戦まで秘密!」
評価、感想等お待ちしております!
あ、質問とかもしてくださって構いません。
今回絶対セフィ◯スとかクロワッサンとか言われそう。
7/12 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!
7/15 【堕天】の効果を一部変更しました。