生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
「それそれー!」
「うわぁぁ!?やったな〜、どりゃー!」
「「私達も!それぇ!」」
「「うわぁぁぁ!?」」
「・・・元気で良いですねぇ」
私はメイプルに誘われてサリーとマイとユイと水場で遊んでいた。と言っても、私は釣りをしてるんですけどね。4人が楽しそうで何よりです。私は泳ぐのは苦手なので釣りをしているんですけどね。まあ、楽しくないわけではないですよ。
「ミルフィーは泳がないのー?」
「あはは・・・私は遠慮しておきます」
「それにしても、すごい・・・」
「うう・・・」
「すごく、大きいです・・・」
「・・・?」
サリーと双子ちゃんは何故か落ち込んでいた。こんなケースは前にもあったような・・・
「そういえばミルフィー、レベル上げはいいの?」
「うん。一段落ついたし。それに、エクレアが新しいスキルを習得したから」
「え!どんなスキル?」
「えっとね、【視覚同調】ってスキル。なんとなく効果は分かりますよね?」
「うーん、それは分かるんだけどどう使えば良いのかな?」
「ああ、それは・・・ん?」
「?どうしたの?」
「いや、なんでも・・・えっと、ひとつ思い付いた使い方があってね———」
こうして話している間にも、私はひたすら手を動かして魚を釣り上げている。いやー、大漁大漁!現実だと無理な事も出来るからこのゲームは好きだ。
「イズさんが作ってくれた水着、素敵です!」
「ちょっとだけ【水泳】スキルにボーナスも付いてますし」
「対抗戦は、どんな感じになるんだろう?」
「楽しめるといいね」
「ですね〜。ふぅ・・・」
釣りの手を止めて、私は持ってきたビーチチェアに腰掛けて目を閉じる。4人も浮き輪の上でのんびりしている。
気分転換に来て正解でした。時々ゆっくりするのは重要だってお父さんも言ってましたっけ。しかし・・・全く、やれやれです。
「・・・サリー」
「うん。分かってる」
「あー!楽しかったー!・・・どうかしたの?」
「さて・・・ねえ!そこの人!もういい加減出てきたら!?」
すると、近くの岩陰から女性が顔を出した。
金髪で魔法使い風な装備をしている。
「あはは。バレてたー?」
「ずっと見つめられてたら、そりゃあ・・・」
「ええ!?ずっと見つめて・・・!?」
「そういう趣味なんですか?」
「あ、もう、違うわよ!」
「否定するなんて怪しい。やっぱり・・・」
「だから違うってば!」
そう金髪さんは言うけど、視線が私の・・・む、胸に向いているのですけど。
「でも、視線が私の・・・その、あんまり見られると・・・は、恥ずかしいです・・・」
「みみ、見てない!ましてや比べてなんかしてない!」
「・・・その気持ちは分かる」
サリーが何故か同情するように金髪さんに語りかけた。貴方はどっちの味方なのですか?メイプルまで何故か顔を下に向けちゃってるし、一体なんなんでしょう?
「うう・・・たしか、フレデリカさん?」
「・・・やっほー。久しぶり」
なんだか二人とも元気が・・・おや?何故か、天気が怪しくなって来ました。ゲームでもそういった事は起こるのでしょうか?
「あれ?ゲーム内で雨なんか降るっけ?」
「いや、そんな事は・・・まさか」
「もしかして・・・」
「な、何が始まるんですか?」
「なんだか不穏です・・・」
サリーとフレデリカさんには何か心当たりがあるらしい。うーん、そういえば私も何処かで天気が変わるという噂を耳にしたような・・・うーん、いつ聞いたっけ?
「クックック・・・ふはははは・・・ふーっはっはっはっはぁ!!!」
うるさ!?この声は何処から・・・上か!
声のした方を見ると、木の上に誰かが立っていた。
その人は真っ黒な鎧を装備していて、髪の色も真っ黒だ。手を腰に当てて口を大きく開いて高笑いをしている。声からすると、多分女の子だと思う。それにしては女の子らしくない行動だけど。
その子は「とぅっ!」と声を上げ跳躍し、空中で3回転捻りを入れて着地しました。体操選手の方でしょうか?
「くっくっく!そこにいるのは『集う聖剣』の
「あわわ・・・そ、その名前は恥ずかしいのでや、やめてください〜!?」
「恥ずかしい・・・?カッコいいとおもうが・・・?」
こ、この人、昔私が見つけたお父さんが中学校の頃使っていたノートに書いてあったことと同じような事を言ってる気がする・・・!たしかに貴方の鎧はカッコいいかもしれないけどその呼び方は微妙だと私は思うよ!?
「あなたはたしか、『炎帝の国』の・・・」
「ふっ・・・私の事を知っている者もいるようだな。ならば、名乗ってやろう!」
「第一回イベント十四位、『闇騎士』ニュクスでしょ?」
「なっ!?」
ああ!そういえばこの人の名前は聞いた事がある!たしか、行く先々で暗雲が立ち込める、なんて呼ばれていたような。まあ、そのせいで第一回イベントでは避けられたみたいだけど。
「か、勝手に名前を言うのは反則だろう!?」
「いや、知らないよそんな事」
「なん・・・だと・・・!」
「あー、おほん!・・・二人共、偵察でしょ?ギルド対抗戦に向けての情報収集ってとこかな」
「いや?私は唯の散歩だが?」
「「ゑ?」」
サリーとフレデリカさんの声が重なる。私も同じ気持ちです。まさかそんな理由とは・・・
「クックック・・・しかし、これはチャンスでもある」
「チャンス、ですか?」
「おうともさ!
「いやだからその名前で呼ばないで・・・って、ええ!?」
なんでわたしがこの人と!?
「・・・で、貴方に相談があるんだけど」
「な、なぁに?」
「私と決闘してくれません?」
「なんでそんなことしないといけないのかなぁ?」
「勝った方が欲しい情報を得るって事でどう?」
サリーがフレデリカさんに短剣を突き付ける。あれ、私達は無視ですか?
「見つけちゃった以上、ただで帰すわけにはいかない。4人を相手にするよりかは、良いと思うけど?」
「・・・良いよ。分かった。でも、渡すとしたら『炎帝の国』の情報だけど・・・」
「別に構わんぞ。そんな事で揺らぐ程我等がマスター
驚く事に、ニュクスさんは自分のギルドの情報が広まるのを全く気にしていない。それに、話し方からしてもなんだか強そうです。私が思うに、この人は自分のギルドに絶対的な自信があるのだろう。
「さて、我等も闘おうではないか!」
「え、いや、ちょ、たすけ・・・」
「じゃあ、行ってくるね!」
「さ、サリー!?」
「ふはは!もう逃げ場は無いぞ!」
うう、メイプル達は傍観するみたいだし・・・仕方ない。この決闘、受けますか。
「はぁ・・・分かりました。闘えば良いんでしょう?」
「ほう。覚悟を決めたようだな。いざ、尋常に勝負!」
こうして、折角羽根を伸ばしに来たのに決闘を行う事になってしまった。
『闇騎士』 ニュクス
真っ黒な鎧を纏い、髪まで真っ黒な少女。ぺったん。
痛々しい言動が特徴的な中性的な美少女。第一回イベントではスキルによる天気の変容が目立ち「あいつには近寄らんとこ」となった所為で惜しくも入賞を逃したが、本人はあまり気にしていない。
ミィとは友人。本人の素を察している節もあるが、その上であんな物言いをしているので、ミィは内心ぷんぷんしているとか。
別に呪いで歳を取れないなんて事は無い。
7/16 誤字修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!