生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
さあ、反撃の時間です!私を散々追いかけ回した事を後悔しなさい!
「【堕天】!」
「なんだ、アレは!?翼が生えた!?」
「おいおい、滅茶苦茶嫌な予感がするぞ・・・」
くくく、首が拠点にあるから一体何のスキルを使ったか分かるまい!さてと、切り札の一つを使ったからにはなるべく迅速にサリーの救出に向かわないと!
「【ダークボール】!【エビルジャベリン】!」
「!これは、闇魔法か?」
「そんなものまで使えるようになっているとは・・・面白い!」
ぐっ・・・牽制とはいえ、そう簡単には当たってくれなさそうです。2人は冷静に私の闇魔法を避けていきます。ええい、ちょこまかと・・・
「間に合わないようなら私、行くよ!?」
メイプルがそう叫びました。サリーの事が心配なんでしょう。しかし、そうすると拠点の防衛が不安要素です。カナデもイズさんも外出中なので、メイプルがサリーの救出に向かうと双子の子達しか残りません。彼女達はSTR極振りなので一度攻撃を受けてしまうと即死してしまう可能性すらあります。なので、私一人でサリーの救出に向かうのが一番なのですが・・・このままだと間に合わないかもしれません。ここは覚悟を決めましょう。
「・・・仕方ない、か」
「えっ?何?」
「メイプル、サリーの所に行く方法はどうするの?」
「それは、えっとね————」
ふむふむ、機械神の砲撃の反動で飛んで行く、と。あはは、ちょっと何言ってるのか分からないです。まあ、メイプルらしいとは思いましたけど。
「じゃあメイプル、貴方も今すぐ向かってください。それと、私の首は置いていって構いません」
「え!?いいの?」
「心配しないで。キツいけど方法はありますから」
「・・・うん!分かった!」
「ユイとマイも留守番お願いね!」
「「はいっ!」」
頭だけでも闇魔法は使えるからたとえ誰かが侵入しても大丈夫でしょう。さて、と。あの二人を倒してから向かいたかった所ですけど、どうやらそれは難しいみたいです。ならば、私のする事は一つです!
「【
「くっ!?これは何だ!?」
「動きにくい・・・!?」
「この、待てぇ!」
「貴様、また逃げるか・・・!」
あーあー、聞こえない聞こえない!今私は急いでいるんです!幸いにもさっきまでまるでダメージが通らなかった所為でしょうか、攻撃がきません。今がチャンスです!
私は2人を無視して急いでサリーの所に走り出しました。マップによると、どうやらメイプルの方が早く目的の場所に着きそうです。早っ。このGOサインが吉と出るか凶と出るか・・・?無事でいてくださいね、サリー・・・!
◆◆◆◆◆◆
(振り切れない・・・やっぱり凄い・・・!)
サリーは追いかけられていた。それも数人ではなく、100人よりも大勢に追いかけられていた。それなりの時間走ったが振り切れず、先回りされていたのかとうとう囲まれてしまった。何処にも逃げ場はない。そんな中、サリーに声がかけられた。
「あら?サリーちゃん?」
「フレデリカさん!?」
フレデリカだった。
「うちの索敵部隊がね、一人で頑張ってるプレイヤーがいるって報告くれたから来てみたわけ」
「くっ・・・」
「派手に動き過ぎたみたいだね。悪いけど集めたオーブ、横取りさせて貰うよ!」
(ごめん・・・メイプル。多分、生きて帰れない。)
サリーは心の中で拠点を守っている親友に謝った。
次々と攻撃が向かってくるのを、ひたすら躱していく。武器での攻撃は短剣で弾き、魔法は避ける。側から見れば、まるで攻撃が避けているような錯覚すら覚える。フレデリカも、その回避力に戦慄すら覚えた。
「スキルじゃ、無い!?」
当初、フレデリカはサリーの回避はスキルによるものだと考えていた。決闘の時に【攻撃誘導】、【流水】と言っていたからだ。しかし、そんな強力なスキルなら必ずクールタイムがあるはずなのに、そんな物はないと言わんばかりに避け続けている。と、言う事は・・・
「まさか、ただの反射神経!?」
試しに【多重炎弾】を使ってみる。
「朧、【影分身】!」
そう叫ぶと、サリーの姿が複数現れ、攻撃は全て躱された。
「何それ!?」
(これ、ヤバいかも・・・)
既にかなりの人数がやられている。このままだと・・・
「フレデリカ様、応援に来ました!」
「間に合ったー!ありがとー!」
(援軍が来た!サリーちゃんも肩で息していて膝も地面につけている。もう限界が近いんでしょ?ふっふーん♪)
「上手く騙してくれたもんだねー!実在しないスキルを有るように見せかけるなんて。」
「くっ・・・!」
「でも、これだけの人数と戦う力は残ってないでしょう?【多重障壁】!」
ギルメンに防御魔法を使う。これで勝った、とフレデリカは確信した。
「次は、負けないから・・・!ごめん、メイプル・・・」
「【多重・・・」
「サリー!!」
そこに、ある少女が空中から勢いよく降り立った。
その人物は金髪で背中から翼が生え、頭には天使の輪が付いている。目の色は青、漆黒の全身鎧を身に纏い、サリーとフレデリカ達の間を阻むような位置取りだ。やや、厳しい表情をしている。
「やらせない・・・絶対に!」
超がつく要注意人物、動く要塞とも呼ばれる少女。
メイプルだった。
「め、メイプルぅ!?ま、魔法攻撃!」
フレデリカがやや取り乱しながらも指示を出すと、次々と魔法攻撃がメイプルに降りかかる。
「シロップ、【城壁】!」
が、それらはメイプルに到達する前に突如現れた岩壁によって阻まれた。
「メイプル!?どうやってこんなに早く!?」
「話は後!私に捕まって!あ、後ミルフィーも来てるから!」
「え?う、うん!」
戸惑いながらも言われた通り、サリーはメイプルに捕まる。ミルフィーの事はやや気になったが。
「【砲身展開】!【全武装展開】!【攻撃開始】!【
そこからは、最早ただの蹂躙だった。
最初の爆発で飛んだメイプルは、空中から大量の赤黒いレーザーと毒の竜が襲いかかる。逃げ惑う人達の悲鳴が朝明けの空に響き渡る。たった一人のプレイヤーの為、フレデリカ達は敗走した。
◆◆◆◆◆◆
「何アレ・・・!?」
地獄と化したフィールドの中、フレデリカは辛うじて生き残っていた。毒無効と全力の防御によってなんとか難を逃れる事が出来たからだ。今は崖を登って逃走中である。背後を振り返ってみると、メカメカしい姿をしたメイプルが空中で佇み次々とレーザーを放っている。幸いにも、メイプルがフレデリカに気付いている様子は見られない。
「でも、タダでは終わらない・・・!ドレッド、ティアラ、緊急連絡!」
『楓の木』の拠点の場所は割れている。今ならメイプルも居ない。近くにいたドレッドとティアラに頼んで拠点に向かって貰う。これなら一矢報いる事が出来るだろうと思った。が・・・
「・・・?」
ふと、メッセージウィンドウに影が映る。不審に思い、崖の上を見上げる。
そこには、首の無い人物が佇んでいた。
そいつは片手で闇を凝縮したような大剣を担ぎ、黒いオーラを放っている。檳榔子黒のドレスを身に纏い、背中にはメイプルとは正反対の真っ黒な翼を生やしている。そいつは頭も無いのに、何故か視線を此方に向けているようにフレデリカは感じた。
「ひいっ!!?」
怖い、怖い、怖い!メイプルだけでも無理なのに、もはやフレデリカは限界だった。
彼女が最後に見たのは、首の無いそいつが自分に大剣を振り下ろす姿だった。
姉がゴキブリを捕まえてたそうですが、どう見ても蛾だったんですけど。
後に調べてみると潰れたゴキブリだったそうな(だからなんだよ)。