生産職になりたいのでDEXに極振りしたいと思います。 作:紙吹雪
スデウコウトツハ ニママクムモオノキ
「勝てた、か」
戦闘中、私は新しいスキルを習得した。と言うか、【絲使い】のスキルレベルが上がりました。まさか、こんなスキルだとは・・・私は今、金色の絲に囲まれています。外の様子はエクレアに見てもらっているお陰でよーく分かります。
・・・なんですかコレェ!?大きすぎませんかこれ!?【暴虐】発動中のメイプルが凄い小さく見えますよ!?拠点がある洞窟の入り口にも入れません!?う、うっかり踏まないようにしないと・・・
私はこのスキルが獲得した通知が来た時に確信した。これは相手にトドメを刺すことが出来る、ってね。それで、エクレアの【分身】というスキルを使った。このスキルは対象を文字通り分身させるスキルです。ただし、オリジナルのステータスよりやや下がってしまいます。スキルは使えるようですが。それでも、勘のいいドレッドさん相手だと勘付かれると思ったのでオーブを持たせてみました。怪しんでいたようですが、引っ掛かってくれてなによりです。
しかし、この状態だと会話が出来ませんね・・・メールを使いますか。ええっと・・・
『なんとか倒せましたね』
送信っと。お、早速サリーから返信が来ました。どれどれ・・・
『なに、それ』
『【絲使い】の新しいスキル。戦闘中に獲得した。』
『大きすぎない!?』
『うん。うっかり踏んだらごめん』
『それで、解除しないの?』
『メイプルの【暴虐】と同じで一日一回しか使えないからね。ちよっと勿体無いかなって』
『2人は考え方も似てきたね・・・それでなんだけどね————』
・・・メール打つの、面倒くさいです。しかし、このスキル、【女王の墟城】は一日しか使えませんから解除するのは勿体無いですね。因みに、この状態だとSTRが100、AGIが1に固定されます。あまり暴れ回るのには向いてない、かな。まあこれだけ大きいので、数値よりは早く感じるんじゃないかな?
それから、サリーから今後の予定を聞きました。打って出る、との事です。あとイベントは3日もあるので、このままだと大規模ギルドに逆転されてしまう可能性があります。なので、他のギルドがポイントを取りにくくする必要があります。そこで、オーブの絶対数を減らす為に他のギルドを潰すそうです。私やメイプルがスキルを使っているのと、今ちょうど拠点に他のギルドのオーブが無いからと言うのもあるそうです。
移動は私に乗って行くんだってさ。メイプル達が降りてから襲撃を行うんだそうです。まあ今の私、かなり遅いからね・・・
「・・・よーし、行こうっ!!」
◆◆◆◆◆◆
あるギルドの拠点。
「かなりハイペースでギルドが潰れてるな」
「ああ。いつ大規模ギルドが仕掛けてきてもおかしくない・・・ん?」
「どうした?」
「いや・・・今、地面が揺れたような気が・・・!?」
「いや、気のせいじゃないぞ!?」
地面が揺れる。木々がざわつく。2人が音のした方に振り向く。
そこには、到底視界に収まらない程の巨大な何かが蠢いていた。
「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」」
唯の足踏み。たったそれだけで、2人のプレイヤーは消滅した。それも、直接踏まれたわけでもなく、足踏みの衝撃だけで、だ。
「お、おい!?なんだ、あれは!?」
「で、でけぇぇぇぇぇぇぇ!!?」
「に、逃げろぉぉぉぉぉぉ!!?」
逃げ惑うプレイヤー達。そこに、追い討ちがかけられる。
「うわぁぁぁぁぁ!?ま、また化け物だぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「だ、誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」
「おい!?ボスモンスターが出んのか!?」
「知らない!聞いてないわ!」
新たな化け物の登場だ。背中には8人のプレイヤーが乗っている。
「1人も逃しちゃダメだよ!キッチリ全滅させて、オーブを消滅させないと!」
その宣言通り、二体の化け物と8人のプレイヤーに襲われた結果、このギルドは消滅した。
「(私に襲われたのは、災害に遭ったのと同じだと思ってね?)」
◆◆◆◆◆◆
集う聖剣の拠点にて。
「悔しいっ!あんな小さいギルドに何度も何度も!しかも最後のメイプルと推定ミルフィーの何なのアレ!?あんなの存在自体が反則だよ!反則!」
「反則じゃないさ。何処かでちゃんとイベントを経て手に入れたスキルなんだろう」
「そりゃそうだろうけど・・・」
「負けたのに、あんまり悔しそうじゃねぇな、ペイン」
「そんな事はない。いつかきっと借りは返す。だがそれは、今じゃなくていい」
「ああ、オーブを奪われたわけでもねぇし、順位は俺らが一位でほぼ確定だ。なんも焦る事ないって」
「だよね、うん。完全に負けたわけじゃ無い!負けたわけじゃ!」
「私は普通に悔しいぞ・・・はぁ」
「ははは、俺もやはりちょっとは悔しいかな」
「ペインさん!」
「———なるほど・・・分かった。ありがとう」
「・・・また、面白い事になりそうだぞ」
◆◆◆◆◆◆
楓の木、移動中。
「大規模な戦闘が起きているみたいだな」
「あれは、『炎帝の国』の方です」
「え?何が起きてるの?」
「そういう事か・・・ミルフィー!って聞こえないんだっけ・・・」
いや、近くに居たら聞こえるみたいですよ?私からは声を伝えられないみたいですけどね。
『聞こえてる。『炎帝の国』の方に行けばいいの?』
「あ、そうなんだ・・・うん、お願い!」
任されました!とは言ったものの、そこまで速度が出ませんねぇ・・・まあ、やりようはあります。
◆◆◆◆◆◆
炎帝の国の拠点にて。
「隊列を乱すな!ダメージを受けた者はミザリーに回復してもらえ!」
「流石はミィですね。あの状況から、ここまでオーブを集めて挽回するなんて」
「その分、襲ってくる数も増えちゃったけど・・・味方の数も半分になったし。それに、うちを全滅させて自分達の順位を上げようとしてるところもあるし、これ以上数が増えたら・・・」
「シン、ニュクス、頼む!」
「りょーかい!」
「分かった!」
「【崩剣】!」
「【黒炎剣】!」
「ぐわぁぁぁぁぁぁ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
炎帝の国は、多数のギルドに襲われ、このままでは全滅であろう事は容易に想像できた。
「えぇ・・・嘘ぉ。無い無い無い・・・え、待って。何それぇ・・・」
そこに、ある知らせが伝えられた。
「どうしたのですか、ミィ?」
「偵察部隊から報告だ。ミルフィーらしき巨大な城が此方にやってくる・・・そうだ」
「「へっ?」」
「俺、カスミにも負けてるんだけどなぁ。あと、城ってなんだ?」
「分からん」
「動く城・・・ハ◯ルか!」
「なんの話だ?」
「辛い・・・とても・・・」
「私達を包囲している敵の数は・・・この上、『楓の木』が加わったら・・・」
一瞬、諦めのようなものがギルド内に流れた。
「・・・どうせ全滅だ。1人でも多く道連れにするぞ!」
「分かりました!」
「我々は何処までもミィ様についていきます!」
「ミィ様の力をお見せください!」
「回復は任せて下さい」
「ほら、ミィもああ言ってんだから!」
「・・・やるよ、やる・・・」
「あんたがそう言うなら、私は何処までもついて行くだけさ・・・ふっ」
————みんな、ありがとう・・・
「行くぞ!【フレアアクセル】!はぁぁぁぁぁぁぁ!!【爆炎】!」
ミィによって多数の相手が葬られていく。しかし、いくら倒しても次から次へと新手が現れる。
「・・・MPも残り僅かだ。これまでか・・・」
ミィがそう思った、その時。
「なっ・・・!?」
そこに、化け物が現れた。
そして、周りのプレイヤーを倒してすぐにその場を去った。
「(・・・え、なに?)」
「どうなってるんだこれ?」
「分からん・・・とにかく、『楓の木』が敵ギルドを攻撃しているのはたしかだ」
「私達を助けに来たのでしょうか・・・?」
「まさか、前のお詫びとか・・・?」
「その方が自分達にとって都合が良いのだろう。詰まるところ、私達と協力して敵ギルドを殲滅した方が効率が良いって判断じゃ無いかな?」
「何にせよ、チャンスだ!反撃に出るぞ!」
「「「「うん!」」」」
「そう言えば、ミルフィーは?」
「・・・もしかして、あれじゃ無いかな?」
「え、どれ?」
「あれ、か。いやいや、デカすぎんでしょ!?マジでハ◯ルくらいあるぞ!」
「ま、まさかあれ程の大きさだとは・・・」
「あ、糸吐いた」
◆◆◆◆◆◆
「ふ〜、危なかった〜!間違ってミィさんもやっつけちゃうとこだったよ。『炎帝の国』の人達は攻撃しちゃダメなんだよね?」
「そう!私達の目的はここに集まってるギルドを一個でも多く壊滅させる事だから。『炎帝の国』にも手伝って貰わないとね」
「うん!」
サリー、考える事が黒いねぇ。まあ、私も多分全く同じ事をすると思うけどね。それにしても、『炎帝の国』の人達、頑張ってたなぁ。私達も頑張らないと!
「ちょっ!ミルフィーはこれ以上頑張らなくて良いから!」
「ミルフィー・・・また無茶するのぉ・・・?」
物事は程々が一番だよね!うん!
そして、しばらくギルド殲滅行脚をしていたところにペインさん達を発見しました。どうやら、私達と同じで周りの敵を片っ端から殲滅しているようです。
「ペインさん達だ」
「考える事は同じみたいだね・・・カナデ、一気に決めるよ!」
「例の作戦だね?」
ああ、あれですか・・・本来、メイプルにだけ使うつもりだったんですけど、私にも使うそうです。楽しみ。
「朧、【影分身】!」
「【ファントムワールド】!」
「さて、と。エクレア、【分身】!」
【ファトムワールド】と【影分身】、そして【分身】は対象の分身を3つまで作るスキルです、これによって、私達は9体に増えました。
さあ、敵は殲滅です!何処まで抗えますかねぇ!あっはっは。
私は目に見える敵プレイヤーを片っ端から絲で捕まえて踏み潰していきました。
メイプルが追い立てて私が踏み潰す。それはさながら『追い込み漁』のようであった。
「ミルフィーとメイプルが9体・・・!?」
「来るぞ、ミィ!」
「え、何が来るの?」
「知らん」
「どういうスキルなんだ・・・!?」
「助けてくれるのはありがたいですけれど・・・」
「なんつうか、なんなんだろうな・・・」
「どうなってんだ、ありゃあ?」
「見る度におかしくなってんぞ、おい」
「だから言ったじゃない、存在自体が反則だって・・・」
「・・・鍛え直すか。俺も、新たなスキルでも探してみるとしよう・・・」
「それにしても、すごく、大きい・・・いや、元から一部は大きかったけど・・・」
「ん?何か言ったか?」
「い、いや、何も・・・」
「・・・分かるよ、ティアラ・・・」
夜明けのメイプルを見て。
ニュクス「巨◯兵かっ!」
ミィ「どうした?」
ニュクス「腐ってやがる。早すぎたんだ・・・」
ミィ「だから何の話だ!?」
なんとか、次で一旦完結できそうです。満足。