うわぁー、第8話が総集編で、おいおい大丈夫か、からの、俺たちの戦いはこれからだ。
終わってねぇー、
からの三か月後に特別編やりますで、完結させてくれるんだ。
と思った私は三か月待ちました。
特別編が一時間ある事を知って、ああ、やっぱり30分じゃ収まらなかったんだよね。二話分で完結させるのかーと思い。
録画予約して、仕事から帰ってきて、ワクワクしながら再生開始して
前半が総集編だったことで危機感を抱き
後半タイトルが特別編、私のプライオリティと表示された時点で確信に変わりました。
これは終わらないだろうと……そして事実、そうなりました。

あまりにもやもやしたので、ネットで考察記事を廻っていたら
ある種のメタファー的考察というか解釈をしている方が居て、なるほどなーと思い。自分にはそういう発想はなかったなぁと。
確かにメタファー的に解説されると、一定の決着にはたどり着いているように思えるのですね。
ただ、物語として考えると、どうしても未完に終わっているように思えるっていう。

素材は良かった。調理法も問題さそうに見えた。ただ、出てきた料理が何故か完成して無かった。そんな感じ……

そんな訳で、とにかく自分の気持ちに区切りをつける為にこの二次創作を書きました。
放送された特別編の後半。ねいるからの着信の所からのifです。アイが電話に出ていたらというところから、全ての解決を目指します。

※キャラの口調が違う等は、あるかと思います。ご了承ください。

前提条件
・アイに電話をかけてきた時のねいるはフリルの提案友達に成ろうという死の誘惑によって自殺に至る直前であるとする。
(電話をかけてきたときのねいるはまだ生きていて、自殺するかどうかを悩んでいる状態)

pixivとの同時投稿です。内容に変わりはありませんがpixivには文字数の関係でおけなかった本編の考察を後書に加えてあります。

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ワンダーエッグ・プライオリティ 完結編 if

   ※※※‐〈視点・大戸アイ〉‐

電話が鳴っている。

私は一瞬躊躇した後で、画面に触れた指でそれを繋げた。

「……ねいる?」

耳に押し当てた繋がっている筈なのに何も聞こえてこなかったから私は呼びかけた。

「……見た?」

軽く息を吐いた様な音の後で、ねいるの声が聞こえた。

「見たよ」

「そう……」

ねいるが言っているのが、ねいるが残して行った夢の事だというのは分かった。そしてねいるはまた考え込んでいるかの様に沈黙した。此方から何か言おうと息を吸い込む。

「私ね。アイに言ってなかった事があるの……」

吸い込んだ息を言葉に変えるよりも先にねいるが口を開いた。

「私は人間じゃない。寿に作られたAIなんだ」

その声は、ねいるらしくない、か細く震えた声だった。

「知ってる。聞いたんだパラレルから来た寿ちゃんに……」

「そう」

その会話は何処か、切ってはいけない時限爆弾の線を探っているようだった。

「ごめんなさい」

ねいるが数瞬間を開けて口にした謝罪に、私も数瞬返すべき言葉を選んだ。

「どうして、謝るの?」

「アイを騙していたから……」

「それって悪い事なのかな?」

ねいるの秘密を知ってから、ずっと考えていた。

「誰にだって秘密にしておきたい事はあるし、あっていいんじゃないかな。それが例え友達でも」

「友達?」

伝えたかった言葉を口にして私の心臓は跳ねた。私よりもフリルの方がねいるを理解しているのかもしれない。そう言われてしまえば、私はきっと何も言えなくなってしまう。けれどねいるは私にアダムを託していった。それは、頼ってもらえる程度にはねいるの中に私の存在があるってことじゃないだろうか。そう信じたかった。

「うん、私はそう思ってる」

「AIだと知った今も?」

「そう、そうだよ。それはねいるだって同じ筈。だってこうして電話してきてくれた。それに謝ったって事は、誰よりもねいるがそれに負い目を感じていて、悩んで苦しんでいたって事でしょ?」

それは、ねいるが私との関係を大切だと思ってくれている証しに思えた。その繋がりを断ち切らぬ様に手繰り寄せなければならない。以前は失敗した。私は小糸ちゃんと親友になりたいと思ってたのに、小糸ちゃんの事をほとんど知らなかった。知ろうとしなかった。そうしていたら、関係は壊れていたかもしれないけど、でも、そうしたらよかったんだと今は思う。そうしていたら本当の親友に成れていたかもしれない。もう永遠に失われた機会。だからこんどは

「だから、ねいる。何をしたらいいのか教えて?今ねいるが困っている事、私にして欲しい事、なんでもいい。何かがあるから、連絡してきたんでしょ?」

「……私は、フリルと戦う事にした」

意を決した様に口にしたねいるの声は何処か淡々としたものになっていた。

「なら、私も」

「でもこれはアイには関係のない事。アイは目的を果たした。それが、望んでいたものと違っても。だからもうアイが戦う必要はないんだ」

「それでも私は、それがねいるの……」

「もし、もしも、手を貸してくれるなら、明日の夜もう一度エッグを割って」

口にした言葉はねいるの声に遮られ、気付いた時には通話は切れていた。かけなおしても繋がる事は無いだろうという確信だけがあって、けれどその事に落胆はしなかった。明日の夜もう一度エッグを割る。今すべき事は、それを伝える事だった。例えそれが、残りの二人にとってもう聞きたくもないものだったとしても……

   

   ※※※‐〈視点・川井リカ〉

アイから連絡が入っていた。まだ残していた四人専用の伝言板。桃恵は「もう関わりたくない」と書いている。私も同じ気持ちだった。万年の敵を討ちたいという気持ちはあったが、ねいるは機械なのだ。機械の為に命を懸けるなんて馬鹿げている。私は、あの映像を見た後でアイに言ったのと同じ事を書いた。アイの返事は「分かった。じゃあまた」と、ただそれだけ。私はアイを止めるべきじゃないだろうか。アイは友達だ。その為に文字を打とうとして、私の指は止まった。ちえみの事を後悔している。助けられたのはちえみじゃなかった。少なくとも私が望んだちえみじゃなかった。死んだ人間は生き返らない。当然の事だ。おかしなゲームはそれを解決してはくれ無い。だからアイを失わない為に止めなくちゃならない。何を躊躇う必要があるのか、けれど友達という言葉が引っかかっている。アイも桃恵も友達だ。ねいるは機械だったから違う。携帯の画面、伝言板の背景には、設定した四人で遊んだ時の写真が映っている。

「機械だぞ」

呟いた独り言はまるで自分に言い聞かせるみたいに響いた。端末を一度放し、机に置かれた小さな容器を取る。もう空になった容器。中に居た万年はもういない。同じ思いをもうしない為に、携帯を取ろうとして、不意に湧いた思考がそれを止めた。そもそも万年はなんだったんだろう。アカ達に渡されたお助けアイテム、私を守って死んだ亀みたいな生き物。でも亀じゃない。あんな亀いるわけがない。でも、敵を討ってやりたいと思った。もし助けられるなら、助けたいと、ちえみと同じ様にもう一度会いたいと。そこにある違いってなんだ。機械だったら全部偽物になるのか?迷った手はそれ以上伸ばせなかった。

 

   ※※※‐〈視点・大戸アイ〉‐

洋館に向かう途中。壁に誰かがもたれかかっているのが見えた。

「リカ、どうして?」

思わず上げた声に、リカは少しだけばつが悪そうな顔をした。

「私は機械を助けようとは思わない。機械の為に命を懸けない。でも、友達は別だ。それに万年の敵を取りたいってのもあるし、ガチャの代金も返してない」

言い訳の様に早口で続けられた言葉、だから何も聞かなかった。ただ顔に笑みを浮かべる。

「ありがとう」

「アイが居なかったら来てない。だから感謝なんていらない」

頷くとアイは顔を照れたように逸らした。

「よし、いこうぜ」

二人でガチャを回す為に歩き出す。リカは今日のガチャ代を持ってきているのだろうか、そんな事を思って少しだけ楽しくなる。私の財布には五百円玉が数枚入っているから、どっちでも構わない。

「待って」

叫ぶような声に振り返ると、駆けてきたのだろう桃恵が息を整えていた。

「もう関わりたくないんじゃなかったのかよ」

リカは不思議そうに聞いた。私もきっと桃恵は来ないと思っていた。

「怖い。怖いよ。でも、アイを失うかもしれない事も同じくらい怖かった。ハルカの事で、人の気持ちってそんなものなのかなって、いつかは私の気持ちも簡単に変わっちゃうのかもって思ったけど。でも少なくとも今の私は、アイに何かあったら絶対に後悔する。リカも、ねいるだってそう、機械だって教えられても、そんな風には思えない。だから私も行く」

「なんだよ。結局全員きてんじゃん」

リカが笑う。桃恵も、それから私も……

「じゃあネイル救出作戦といこうぜ。何も言わずにいなくなりやがって、絶対に連れ戻してやる」

「うん、行こう」

 

   ※※※‐〈視点・大戸アイ〉‐

「ねいる!」

目を開けて、その視界にあった背中に呼びかける。ねいるは振り返らなかった。立っているのは建設途中の様な橋の上。ねいるの世界だ。その先に初めて実際に見るフリルと、この間戦ったキララに合わせ、リカと桃恵が戦った異形が浮かんでいる。

「私は、待ってあげてたあなたの答えを聞きに来たはずだけど、どうして他の子達まで此処に居るの?ああ、わかったお土産でしょ。そんなに気を使わなくてもいいのに、別にお肉は……」

「違う、私はあなたの友達にはならない。あなたと戦う」

ねいるの宣言に、フリルの口元が笑みを作った。

「そう、じゃあ仕方ないね。勝ち目なんてないけど?それでもやるの?」

「皆、来てくれてありがとう」

フリルの言葉を無視して、ネイルが言った。

「アイと万年のかたきが居なかったら来てない」

ねいるらしからぬ素直な感謝に驚いたらしいリカが反射的に言ってから顔をしかめた。そんな事本当は言いたくなかった筈だ。

「それでもありがとう」

ねいるの言葉にリカの表情が変化する。私もねいるの言葉がむず痒い。

「お別れの言葉は済んだ?」

弾むようなフリルの声と共に異形が動き出す。

「くるぞ!」

リカの声と共に出現させた武器を構える。

ボールペンが飛んできたブーメランを弾き、巨大な鎌を傘の様な槍が受け止め、投げられた鉄球を二本のカッターナイフが逸らした。三人全員の身体が圧力に押されて後退する。

「ほら、あなたが連れてきた三人は、私が作った三人より弱い。役に立たないよ」

愉しそうなフリルの声。

「本当にそう思う?前は、相手にもならなかったでしょう。でも今は凌げた」

「辛うじてでしょ?」

「違う。三人がここに現れた時点で少なからずあなた達は動揺している。気づいてないの?」

フリルとねいるが言葉を交わしている間にも、攻撃は止まらない。

「桃恵!」

鉄球を躱したリカが、桃恵に向かって走っている。

「恐怖で足が竦むなら、違うやつとやればいいんだ」

リカの意図を察した桃恵も走り出し互いがすれ違う。桃恵を追って振られた巨大な鎌の刃を受けた二本のカッターナイフから火花が散る。鉄球を飛び越えた桃恵が突き出した槍をトンボの様な頭部が傾げられ躱した。

「それともう一つ、武器には相性がある」

「相性?」

高速で飛んでくるブーメランを叩き返しながら、私はリカに聞いた。

「ゲームと一緒だ。例えばそれがバットなら、あれは球だ」

ああ、そう言う事か

桃恵と入れ替わって、飛んでくる鉄球に自分の武器を合わせた。背後で開かれた桃恵の傘が、楯となってブーメランを受ける。撃ち返した鉄球が持ち主の所に返っていく、その顔に表情が浮かぶなら、トンボの翅が生えた顔は驚愕していた筈だ。響いていた耳障りな笑い声が消える。巨大な鉄球がその頭部を潰した。

「まず一匹!」

「まだだよ!」

リカの声に、桃恵が注意を促す。トンボのような頭をした異形は、ひしゃげた翅をばたつかせながら逃げようとしていた。

「なんでこんなひどい事するの?ドットちゃんいい子なのに、みんな幸せにするのに」

結構な損傷を与えた筈なのに上昇速度が速い。私の武器では届かない。

「アイ、今まで此処で助けた子達の事を思い出して、アイのだめだけど素敵なとこ、だからアイの中には、そのボールペンだけじゃなく、幾つもの武器がある」

ねいるに声で思い出す。手の中に現れるリボンの柄。覚えている。南ちゃんのリボン。振るったリボンが、逃げようとしているトンボ頭の身体に巻き付く。

「リカ!」

声を上げながら全力で引いたリボンが、トンボ頭の身体をリカの方へ移動させる。

「任せろ!万年の敵、取らせてもらう!あなたのハートにぃー、ズッキュンバッキュン!」

振り被られたカッターナイフ、リカが駆け抜けながら、トンボ頭の首を両断した。

「次だ!」

「ブーメランを防ぐのは私に任せて、二人は、あいつを、私には……」

桃恵は続きを口にしなかったが、トラウマを拭いきれていない事が分かる。ならそれから守る。その意思を伝える為にリカに目配せしようとすると、視線が合った。考えている事は同じだ。先行してボールペンを振る。ぶつかったボールペンと鎌が弾き合う。リカが投擲したカッターナイフを避ける為に蝶の羽が頭からはやした異形が身を動かす。こいつは飛べるのに戦い始めてから地面に降りていた。持っている鎌の威力を最大にする為には恐らく地に足をつけている必要があるのだろう。私はボールペンから二本のペンライトに持ち替え、それを異形の足めがけて投擲した。回転するペンライトの剣から逃れる為に、異形が羽ばたく

「お前、私が飛べることを忘れたのか?」

ボールペンを再出現させ突っ込んだ私に向けて鎌が振られる。受け止めたそれはやはり、先程よりも軽い。鎌だけが大きく弾かれる。その隙を狙った私の攻撃を躱しながら、異形は弾かれた大鎌を今度は縦に振り被り降ろした。確かに横に振るうよりは、重力を利用した振り下ろしの方が威力は増す。でも、それを待っていた。風を感じるほどにぎりぎりでそれを躱して、大鎌の柄にボールペンを振り下ろす。アスファルトに突き立った刃をそのまま固定する。

「リカ!」

叫んだ時には、リカが大鎌の後端を蹴っていた。カッターの刃を構え回転、巨大なのこぎりの様になったリカが、異形の上半身を真っ二つにして抜ける。

「あれ、キララだけになっちゃった?」

その声に振り返れば、キララは仲間が屠られたことを気にも留めていないようだった。

「その武器は私には効かない」

「殺さないようにしてあげてたのに、殺さないように……」

放たれたブーメランが桃恵の傘を強引に斬り裂いた。さっきまでとは威力が段違いだ。

「これは、長く持ちそうにない」

「なら短期戦だ」

さっきまで余裕のあった桃恵が口にした不安にリカが応じる。リカは私に近づいて耳打ちしてから駆け出して行った。私はそれを受けて、キララをリカと挟み込むようにして走った。高速回転しながら空中を奔ったカッターを避けたキララが首を傾げる。

「私のまね?でも、軌道を読めばそんなの簡単に回避できる」

「それは、どうかな?」

私は、武器を消した手で飛んできたカッターナイフを掴んで投げ返した。ブーメランには不可能な変則軌道。リカが二本目を投擲しながら私の投げ返したカッターを受け取り、さらにそれを投げる。私とリカの間を絶え間なく飛び交うカッター。手元にブーメランを戻したキララはそれら全てを巧みに受け切って見せたが完全に防御にまわった。それを見た桃恵が傘を閉じて駆け出す。

「私もいるんだ」

キララの前に桃恵が到達した。手にした槍は大きく引かれ輝いている。

「キラキラ?」

「一昨日、おいでっ!」

「キララの身体に、キラキラが……」

胴体を貫かれたキララが陶然としたように呟きながら爆散した。

全ての異形を倒した時、いつの間にか、ねいるはフリルと戦いを始めていた。ねいるの手には銃。フリルの手にも同じ形をした銃。両者が引き金を引き、撃ち出された弾丸がぶつかり合う。全く同じ武器、けれどねいるの弾丸は逸らされ、フリルの弾丸はねいるの身体を掠めた。ねいるの身体から、血の雫が散る。ねいるは一方的にボロボロにされていた。

「あなたじゃ私には勝てないよ。このまま続ければもうすぐ、それに、他の三人だって誰一人として私には勝てない。私は、誰よりも強いんだから」

「確かに私ではあなたに勝てない。他の誰でも……一人だけ、ならね」

「いくよアイ」

桃恵の声に跳びあがると、槍の柄が靴の裏に当てられる。一瞬で空中に打ち上げられた身体は放物線を描きながらフリルへと向かう。

「どうして、あなたの友達は負けたんだと思う?あなたの作った友達はあなたに従うだけの存在で、あなたの影響を強く受けている。そもそも人間と違う私達は個で完結しようとする。私達の持つ武器の万能性がそれを如実に表している。あなたは何かに頼ったりしない。その必要がない。でも、それが限界になる。生物としては弱い人が繁栄できたのは、自分にできない事を任せ合う事が出来たから。手が足りないなら、借りればいい」

私の存在に気付いたフリルがねいるの言葉を無視して、こっちを見た。逃げようとしたフリルの動きをリカが投擲し高速で通り抜けた巨大なカッターの刃が止める。そこに浴びせられたねいるの銃撃がフリルを一瞬だけ完全に固定した。

「逃げようにも、逃げられないでしょ?」

ねいるの声が大きく聞こえるようになる。フリルが近づく、握っている武器が光を放つ。

「とさかにきたぜーーーーー」

全力で叫びながら、武器を叩きつけた。衝撃で周囲一帯が陥没し、避けようと僅かに身を退いたフリルが躱しきれず吹き飛んだ。転がっていく体が地面との接触でさらに損傷。両足と片手があらぬ方向に曲がったフリルはそれでも生きており、立ち上がろうとした。近づいて、手にした武器をもう一度振り上げようとすると、フリルは酷く奇妙なものを見る様な眼で私を見た。

「彼女は私と同じ機械だよ。何故あなたは彼女の味方をするの人間なのに?」

「友達だから」

その質問に迷う事は無かった。

「友達?」

「あなたには理解できない」

近づいてきたねいるが言った。

「あなたは理解しているの?その認識は本当に正しいの?あなたは人間じゃない。機械はいつか捨てられる。私と友達に成れば、人間にしてあげるのに」

「私は機械でいい。彼女たちがそれを選ぶなら捨てられたっていい」

フリルの顔に浮かんだのは理解不能という表情。

「それに、人間になりたいのは、本当はあなたの方なんじゃないの?」

エッグで助けた少女たちの苦しみや思い。もしもフリルも同じだとしたら。強大な力を持っただけのただの女の子だとしたら。でも、もうどうしようもない。それだけの事をフリルはしてしまった。

「そんな訳ないでしょ」

そう言って微笑んだフリルを見て、ねいるは何も言わなかった。その距離がほとんど零になる。

傷だらけで立っているねいると傷だらけで地面に伏しているフリルはどこかよく似ていた。ねいるとあいるの様に姿が似ているというわけでもないのにそう思った。けれど、二人の間には決定的な違いがあった。フリルは居場所を全て自分ものにする為に邪魔になるもの排除しようとし、ねいるは自分の居場所を無くすことを知りながらあいるを助けようとした。二人を分けたほんの些細な違い。きっと寿はねいるに、十分な愛情を持って接したのだ。寿を友達と紹介し、彼女の事を話してくれた時のねいるには、自分を作った存在に対する愛着だけではないものを感じた。それが、今の二人の違いを作ったのかもしれない。絶対的な隔たりを……ねいるの腕が上がり、銃口がフリルに向けられる。

「私があなたの度肝を抜いてあげる」

そして銃声が響いた。フリルの身体が宙を舞い、地面に落ちる。

「勝った?」

リカの声。

「だったらよかったのにね……より絶望を与える為には、まず希望を与えてあげなくっちゃね」

「嘘だろ」

リカは絶句し、桃恵は恐怖で身体が震えていた。私の心も折れてしまいそうだった。あれだけ恐ろしかった異形さえ斃せたのに、これで斃せないなら、なんなら斃せるのか分からない。

「あなた達とても良かったわ。でもフリルは斃せない。この世界でフリルを殺せるものなんて存在しない。残念だったね」

損傷した身体を再生させていくフリルを見ながら、その身体に別の女の子がダブって見えた。

「ねいる、あれ」

私の言葉にねいるは、意味が分からないというような顔をした。自分の腕にあるブレスレットを見て気付く、私以外には見えてないんだ。あれが何なのかは分からない。けれど、あれだけが、唯一残された何かに思える。だから強引に気持ちをもう一度奮い立たせる。

「援護して」

「何をするつもり?」

ねいるの声を置き去りにして手を伸ばす。まだフリルの身体は再生途中で動きも鈍い。チャンスは今しかない。フリルの身体に重なって見える女の子の腕を掴む。

「やめてっ!」

今迄とは違う余裕のない声。私の手を払おうとするフリルを無視して、力いっぱい引っ張った途端。フリルの身体にひびが入った。卵が割れた時みたいに中から何かが溢れだす。光の奔流に思わず目を瞑った。

「ああ、やっと出られた。ありがとう。あなた達がこの子を揺さぶって、それから引っ張ってくれたおかげ」

「誰?」

全員が呆然としている事で皆にも見えていると分かる。

「私はひまり」

その名前が、裏アカから聞いた事を思い出させる。アカとフリルが殺したあずさの娘、そして裏アカは彼女もまたフリルによって自殺したと考えていた。アカ達が、調査を始めたきっかけになった女の子。

「あなたの中にずっといたからあなたの事は全部知ってる」

フリルを見たひまりは言った。

「離れて、この子は危ない」

状況は良く分からないけど、とにかくこの子をフリルから引き離さなきゃ危険だ。

「ああ、大丈夫。今の私は出てくる時にこの子から力を奪った。だから今の私はこの子と同じ程度の力を持っている。その気になれば、この子を消滅させられるぐらいの力」

それを示す様にフリルの顔には恐怖が浮かんでいた。桃恵が、蝶の異形に見せていたのと同じ顔。

「存在の抹消は不死身のこの子が唯一怖れる事。それを避ける為には自らが消される前に私を消せばいいのだけど、この子にそれはできない。私を消したら、やっぱり何もかも失くしてしまうから」

ひまりを言葉を聞いたフリルは、怒りと羨望が混ざり合ったように顔をゆがめた。

「あなたは自分だけを愛してほしかったんだよね。でもそれが得られなくなって、だから何だってよかった、とにかく自分を見て欲しかった。自分の言いなりになる友達も作った。だけどあなたは満たされなかった。当然だよね。あなたにとっては友情も愛情も、自分が支配するもの、一方的に貰うものであって、それ以外の何かではない。だとしたらそれは友情でも愛情でもない。だからあなたの欲しいものは最初から絶対に手に入らなかったんだ。あの子の言った通り、あなたが足りなかったと判断したたった一つの要素。例えあなたが人間だったとしてもそれは変わらなかった。あなたが、あなたである以上……」

ひまりは憐れむような視線をフリルに注いだ。まるでそれが身体を刺しているとでもいうかのように、フリルが自分の身体を抱く。

「追い詰められたあなたは私を殺した。そしてこの世界で自分の中に私を閉じ込めて、同じ様に女の子たちを殺し始めた。そうすれば二人は、あなたの事を忘れない。あなたの事を考える。それをかわりにした。だけど本当は、自分の名前を呼んで欲しいよね。自分の事を想って欲しいよね。でももうそれが叶わない事もあなたにはわかっている。自分がそうしてしまった事も……全部があなたの所為だとは言わない。勝手に作り出されて、気持ちが薄れたら放り出されたその哀しみも今の私にはわかる。置いていかれるのが、忘れ去られるのが怖かったんだよね。それでも、別の選択をすれば、違う世界があったかもしれない。もしも私が男の子だったらママを殺した?ママを殺した時、あなたが殺されなかったのはどうしてだと思う?」

フリルはひまりの問いに答えず、ただ後退ろうとしていた。倒す事などできないと感じさせるほどの存在だった彼女が、自分たちと同じくらいの女の子の言葉に圧倒されていた。

「ねぇフリル」

呼びかけられたフリルの顔に恐怖が浮かぶ。対照的にひまりは優しい笑みを浮かべている。

「私と友達にならない?あなたに従うんじゃない。対等な立場の最初の友達」

「どうして?」

フリルの声は震えていた。意味が分からないというように、私も意味が分からない。

「ずっと一緒にいたから。あなたの中から、ずっとあなたを見ていたから……一緒に行こう?どうかな?」

「いい、の?私はあなたを……」

「うん」

フリルが言い切る前にひまりが手を伸ばした。躊躇いながら動いたフリルの手が、それに触れた途端、フリルの姿が薄れて消えた。

「どこに?」

まだ警戒していたリカが問いかける。

「あまりに時が経ってしまったから、私達は過去になる。あなた達から見た過去に、あとの問題は……」

「それは私がやる」

「でもそうしたらあなたが」

「いいの、私の目的は果たせたから」

「ありがとう……」

ねいるだけは、全てを理解している様で、そのねいるに向けて微笑んだひまりが消えた。

「どういう事?」

残されたのは私達だけ、戦いが終わったのかどうかすら分からない。

「私たちは勝ったの、戦いは終わった」

「よし!って言っても実感が湧かねぇ」

リカが微妙な顔をして、桃恵は安堵した様にその場に座り込んだ。随分無理をして戦っていてくれたんだと思う。でも私は、ひまりが消える前に口にした言葉が気になっていた。

「あの子が最後に言ってたのは?」

「ああ、あれは……戦いは終わったけど、この世界を司っていたフリルが消えたから、誰かがその代わりをしなきゃならないって事。それで私がそれを」

「どうしてねいるが」

「私が一番適任だから」

ねいるの夢で見たあいるの言葉を思い出す。

「居場所なら私が作るよ」

「私達だ。飲んだくれのろくでなしどもが集まる場所でいいならだけど」

「私も、親に説明すれば何とかなると思う」

「ありがとう、でも気持ちだけで十分。私は目的を果たせた」

「目的?」

「友達に会う」

ねいるが微笑んだのを見て、私も笑った。リカは照れたように頬をかいて、桃恵は頷いた。

「それに、永遠にってわけじゃない。フリルがかき乱してしまった部分が元に戻ったら、私も戻るよ。あっちの世界に……いつになるかは分からないけど、待っててくれる?」

「待ってる。いつになっても絶対」

「例えどんな状況になって居ても、その時はまた全員で会おう」

「そうだね」

私達の返事を聞いたねいるは、笑おうとして泣いた。でも誰も指摘できなかった。皆似たような顔をしていたから、誰もが失う辛さを知っている。心が変わる事を知っている。でもこの約束だけはきっと果たされるだろうと思った。その時、川の方から打ち上げられた花火が開いた。

「ねいるんとこ花火上がるのかよ。ずりぃ」

湿っぽくなった空気を払うようにリカが言う。

「リカの所は綺麗な花畑があったじゃん」

「花火のがいいだろ」

そのやり取りを桃恵が呆れたように見ていた。誰もが辛い場所である事には変わりなかったのに、今は違う。たぶん、私の学校世界でもそれなりに楽しかっただろう。危険はなく、四人でいるのだから

「せっかくなら、もっと見やすい場所に行く?」

ねいるが出現させた武器が、変形して飛行機みたいになった。これについてもリカは不満を述べていたが、とにかく全員で喜んでそれに乗った。そして吊り橋の天辺から花火を眺めた。より近くで見ようとするリカが落ちそうで不安なのか桃恵が注意しているのを眺めていると。座っている私の横にねいるが腰を下ろした。上空で開いた花火がその横顔を照らす。

「全部アイのおかげ」

こっちを向いたねいるが囁くように言った。また花火の音が響き。リカの歓声が聞こえる。

「私は何もしてない。皆が居たから」

「その皆が居てくれたのは、やっぱりアイのおかげ。アイが私達を繋ぎ続けてくれた。そもそもそうじゃなきゃ、私はフリルと戦おうとは思わなかった。あの電話は、その最終判断の為のものだった。アイが電話に出なかったら、私はフリルの死の誘惑を受け入れていた」

「ねいるは私の親友だよ。嘘なんかじゃない本当の親友」

「私にとってもアイは親友」

「……じゃあ、私はねいるのこと馬鹿呼ばわりしてもいいんだ」

必死に考えて、口にした冗談にねいるは笑った。

「いいよ」

 

   ※※※〈‐視点・大戸アイ‐〉

目を覚ました時、私は何も持っていなかった。レオンの入っていたポマンダーも無くなっていたし、あの洋館につながる道は初めからなかったかの様に消えていた。ひまりとフリル、アカ達がどうなったのかは分からない。小糸ちゃんや助けたほかの人たちはそのまま残ったけど、今になっては全部夢だったんじゃないかと思う事がある。戦いの日々ですら、今は遠い幻の様に感じられる。それぐらい急速に現実は私達の世界を満たした。安全だけど退屈な世界。此処にあるのは魔法の武器で敵を倒すような、そんな戦いじゃない。酷く見栄えしない、時には敵が何なのかすら分からない。簡単には解決できない終わりのないものだ。

私は転入して、新しい生活を始めた。少しだけ離れた学校。気は進まなかったけど、世界が変わってしまった事で、私と周りの人の間に生じてしまったズレは無くならなかったから。ある意味ではよかったのかもしれない。それからママと先生の間には何もなかった事になっていた。それは良かったのか悪かったのか分からないけれど、とにかくどっちにしてもママの幸せを全力応援すると決めた事に変わりはない。あと髪も切った。今はもうこの色の違う両目を隠していない。たとえそれが嘘だったとしても、確かに小糸ちゃんがくれた言葉は私を救ってくれたから……

リカや桃恵とも前ほど会わなくなって時々連絡を取るぐらいになってしまったけれど、完全に切れてはいない。これから私達は歳を取って、どんどん変わっていくだろう。共有した以上に共有しなかった事を重ねていくだろう。でも一緒に戦ったあの日々を忘れる事はありえない。いつかネイルが戻ってきたら、集まろうという約束も………きっとその時がきたら私達は懐かしい話で盛り上がった後で、お互いが知らない事を話し合うのだ。それぞれが選択した、それまでの話を……久しぶりに会う親友と……。

 

おわりっ!

 




‐以下、このif完結編を作るまでに行った本編の考察です。‐

パラレル世界の寿が現れた事によって、ゲームのクリアによる彫像からの復活がパラレル世界から同一人物を招く事だと当初は認識したのですが
それは一種のミスリードであると個人的には思いなおしました。
パラレル寿の出会いの後に続くリカとアイの会話で、生き返った友人はパラレル世界きた同一人物を示している様に思えるのですが
あれは、リカとアイの所感に過ぎません。
返ってきたちえみはちえみじゃない。別人のように感じる。というだけの事です。

恐らく、彫像からの復活は、自殺に至る因果関係を抹消したうえでの復活を意味するのではないかと私は思っています。
(もっと簡単に言えば、その人が自殺しなかった世界に変えると言ってもいいです)
なぜなら、アイ、リカ、桃恵が助けた三人は一部の記憶を無くしており、世界からは彼女たちが死んだという事実は消えていますが
寿が死んだという事実は変わらず残ったからです。
つまりパラレル世界から移動しただけでは助けた三人の時に起こった世界認識の改変(過去の改変)は起こらないと言う事になります。
そう考えると、パラレル世界からの移動というよりも、その人物を自殺しなかった世界に変えたと考えた方がしっくりくるときます。

さて、ではゲームをクリアした場合に起きた世界の認識改変を見てみましょう。
桃恵の友人が死んだのは桃恵への恋心だったため、桃恵への恋心のみが抹消されました。
桃恵の発言から、生き返った友人は桃恵と親しい関係のままであることがうかがえます。
リカの場合は、リカによって死が発生した為、リカのファンにはならない。リカの事を知らないになりました。
アイの場合。アイと友達になる事が既に小糸が死ぬ原因になるのでしょう。だからアイとは友達になっていない小糸として戻ってきました。
或いは沢木先生の言葉を信じるなら、小糸は自身(家庭など)に何かしらの原因があって、教師を誘惑する子供だったのかもしれません。
それが原因となって死亡するのなら、その行動を生じさせた原因そのものが消失した可能性もあります。
(例えば、アイの友達に成ろうとした目的が先生の気を引くため(その結果自身がいじめられることも含めて)だったなら)
改変の結果、根本的な原因が無くなればアイと友達になる必要も無くなります。

結局このゲームで一番得をしたのは桃恵だったと言う事になります。

問題はねいるが助けたあいるです。
あいるが彫像から解放された時にねいると交わしたと思われる会話ですが、他の三人よりも圧倒的に長く
またあいるは、他の三人と違い自分の置かれている状況を理解しているようでした。
これは助け出された他の三人の時とは明らかに違っています。
(三人の内一番長くしゃべったのはちえみですが、ちえみは状況を理解していませんでした)
ねいるがあいるに状況を説明した可能性もありますが、仮に彫像解除から時間があったとしてもねいるがあいるに
詳細に説明するとは思えません。精々、驚いたあいるに、助けに来た。というぐらいでしょう。
ですが、あいるは、私を戻すならあなたがここに残るか?に加え、あなたの居場所はあっちには無いよ。と完全に状況を理解しているような事を言います。
そして、あいるの復活によってあいる自身の記憶と世界の認識改変が起こっていないようにも思えます。
此処で思い至るのは、あいるはワンダーエッグの元プレイヤーだったのではないかという可能性です。

そこで問題になるのは、誰を助ける為にあいるはゲームに参加していたのかと言う事ですが
もっとも考えられるのは、寿でしょう。
ねいるが語った経歴はおそらくあいるのものです。だとすると、寿はねいるを作る前からあいると友達だったものと考えられます。
で、あるならば、寿がAIを作ると言った時に、あいるが私と同じ姿にしようと提案した可能性があると思います。
(もし、寿があいると友達でなかった場合や、寿が提案、もしくは了承しなかった場合。わざわざあいるの姿に似せて作る必要が思い浮かびません。
むしろ自分の姿に似せて作る方が自然に思えます)
あいるはその時に、姉を作って欲しいとも言ったのかもしれません。
それを受けてのねいるのあいる妹発言だとすると辻妻があいます。田辺もあいるを妹と言っている以上それは共通認識であった筈です。
(会社の社長も二人一役でやっていた可能性があるでしょう。田辺と寿だけがそれを知っていたとか……でなければ、急に瓜二つの人間が現れ、それまで社長をやっていたあいるが死んだ。
(或いはそれを伏せられていたとしても居なくなった)ので、じゃあ次はあいるによく似たねいるが社長になりますは、流石に会社が混乱するでしょうし……)
また、ねいるがフリルと同様に肉体的な成長をしないと考えると、ねいるが作られたのはごく最近の話だと思います。
(もしかすると、ねいる作成時に寿は、少し成長したあいるの姿にねいるを作ったのかもしれません。そうならば、
ねいる誕生当時には、あいるは本当に妹の様に見えた筈で、アイと出会った時のあいるがねいるとほぼ同じ姿まで成長したのかもしれません)
なんにせよ恐らく、寿がねいるをつくる→寿が植物状態になる→ねいるを刺したあいるの自殺が短期間に起こっている筈です。
(寿の遺体が回収されていなかった事からも、寿の植物状態化からもそれほど時間が立っていないでしょう)

一つ気になるのは、エッグから出てきた寿がアダムについては元気か聞いているのにあいるについては言及していない事です。
しかし、あいるの自殺の後で、寿が植物状態になったのだとすると、あいるがエッグに関わったのは寿じゃない別の誰かの為という事になります。
もしくは、助けたい対象が居なくてもゲームに参加する事が出来るかですが……
それよりも一番ありえそうなのは、アダムは元気?と寿が聞くシーンの前に、作中では描かれていなかっただけで
このエッグ世界のルールとあいるの自殺について、ねいるが説明していた可能性でしょう。
私を守るんでしょ?と寿がねいるに聞いている以上、寿がこのゲームのルールを知っている事は確かです。
ゲームに参加せず、臨死実験で死に至った寿がそれを把握しているのは、ねいるが説明したからではないでしょうか?

さて、ついでに、寿とねいるがエッグ世界で出会う回にはもう一つ、あいるプレイヤー説を否定しようとするものがあるので少し考えてみます。
エッグ世界でねいるは寿に
寿が死に至った場所に行って、彫像になった寿を生き返らせるというのですが
死に至るビジョンを見ていない。抽象的な場所に行くのは不可能と寿は答えます。
臨死実験をすれば、到達可能な事が仄めかされますが、そこに至れば死ぬとも
では、寿を助ける為にエッグ世界のプレイヤーとなる事は不可能なのでしょうか?
確かに、アイと桃恵は明確な死亡状況を知っています。
ですが、リカは死亡原因を聞いたのであって、見たのは棺桶に入った花束に囲まれた遺体です。
そこから世界が構成されているのですが場所は斎場ではなく、海辺です。流石にあの場所で死んだとは考えにくく
かといって、リカはちえみの自宅などは知らないものと考えられます。
であるならばあれは抽象的な場所ではないでしょうか?
もしかすると、寿はねいるに自分の身体を処分させる為に嘘を吐いたのかもしれません。
もしくは人間ではないねいるは明確な情報がなければ死をイメージできないか、
或いは、寿の語った死に至るビジョンというのが、死んだという確信とそれに至るまでの光景の想像だとするならば
死亡原因と遺体をみたリカにはそれを想像する事が出来たのに比べ
エッグから寿が現れるまで寿が完全に死んだとは考えていなかったねいるには不可能であったということかもしれません。
ならば、もし、あいるが寿の死を確信したならば、寿の為にプレイヤーに成れた可能性があります。
またそうでなくとも、プレイヤーになる事が出来る可能性があります。
その根拠となるのは一話でエッグから現れた少女と、特別編最後のアイです。

第一話でエッグから登場した少女はゲームのルールを知っていました。よって、この子は、かつてプレイヤーだったと思われます。
ですが、初回エッグはサービスじゃなかったらしく。かつ助けたい友達がいたというようなことも言っていません。
友達が欲しくてエッグを買ったみたいな感じだったので以前はルールが違ったか、助けたい誰かが居なくてもプレイヤーにはなれるのでしょう。
その説を、特別編のアイが補強します。特別編でアイはエッグをもう一度割る事でねいるに会おうとします。
ねいるが死んでいる事をアイが認識している様な気もしますが、一方で、アイはねいるは人間に成れたのかな?と言ってもいます。
もし、アイがねいるは人間になって死んだ。或いは人間になる為に死んだ。とねいるの死を理解していれば問題にはなりませんが
アイはねいるに会いたいからとエッグを買いに走ります。
助けたいではなく、会いたい、です。
そこから考えると彫像になって居る可能性は低いと思います。
会えなかったら?とアカが聞いて、何度だって挑戦する。
とも答えているので、やはりエッグに入っているか、フリルの友達になってエッグの世界に居るとアイは考えているように捉えられます。
(ただやはりエッグを買いに来た以上、この世界でねいるは少なくとも肉体的には死んだのではないでしょうか?
でなければ、エッグを買うという手段よりねいるの携帯にかける(番号を覚えているか、携帯のデータが破壊時に焼失、もしくはアイが削除していなければ)
それが不可能なら田辺に聞くという手が先に思いつく気がします)
これを踏まえると、明確な救い出したい誰かの明確な死の認識がなくとも、或いは救いたい誰かが居なくともプレイヤーにはなれるのではないでしょうか?

あいるはゲームのプレイヤーだった。
そしてその途中で死の誘惑を受け、エッグ世界での敗北はしなかったが、現実世界での自殺を選んだ。
もしくは、エッグ世界での負傷は目覚めた時の負傷となるがエッグ世界での死は、現実世界での即死ではなく、強力な自死への衝動に繋がるのだとしたら。
(少なくとも、アカの娘であるひまりは謎の自死を遂げていますし、フリルは人を自死させる方法を持っている筈です)
作中でもエッグに入っている女の子たちは感情的や感情の爆発といったことが自死の原因になったと言うようなセリフがあったかと思いますので
女の子の中にある感情を(フリルが)死の誘惑によって拡大させた結果自死が起こっているなら、その可能性があると思います。
また、ねいるの例もあります。
ねいるはエッグ世界でフリルに友達に成ろうと言われますが、その後一旦は現実世界に帰還し、アイにアダムを託してから消えています。
友達になって帰還したのか、答えを保留、もしくは断って帰還したのか
それは謎ですが、とにかく、一度帰還した事だけは確かです。
そして、特別編最後のアイがエッグを割る事で再会しようとしているので後に死んだ事も確かなのでしょう。
どちらにしても、あいるは、帰還した後、死の誘惑に負け、感情を爆発させ、嫉妬心からねいるを刺し自殺したのではないでしょうか?

さて、そのように考えていくと、あいる救出時のねいるとの会話がすんなりと理解できます。プレイヤーは、クリア時でも記憶改変が及ばないので、
プレイヤーだったから記憶を保持したままだったというのはありえそうです。
(少なくともプレイヤーでない一般人だった場合よりもしっくりくると思います)
でなければ、あいるは自分が自殺する原因になったねいるの事を覚えていない筈です。
一応ねいるへの嫉妬心だけが消去された可能性についても考えてみましょう。
そこで問題になるのは、アイと出会った時のあいるの発言です。
「私はあなたとは友達にならない」
ここから考えられるのは二つ
①あなた以外とは友達になった。もしくはなる。
②私以外の私が知っている誰かとは違って、私があなたと友達になる事は無い。
あなた以外とは友達になったの意味であった場合。パラレルから来た寿と友達になった可能性ですみます。
ですが、二つ目の意味だった場合。アイがねいると友達だったことをあいるが察して言っている事になります。
この場合、ネイルがエッグ世界で言った。友達に会いたいから私も戻るをあいるが覚えたまま(エッグ世界の記憶を保持したまま)
現実に帰還していると考える方が自然ではないでしょうか?

そして、あいるはねいるの存在と、アイが自分をねいると勘違いしている事を理解していて恐らく敢えてそれを訂正していません。
この事からあいるはねいるを良く思っていないことが伺えます。
この世界で自死しなかった事になって居る筈のあいるは、ねいるへの嫉妬を、好きじゃない程度まで改変されたと言う事でしょうか?
ちえみと小糸はリカとアイの事を忘れ、桃恵を愛していたハルカは、その愛を無くしたのに、アイルだけそんな最低限で済むでしょうか?

問題になるのは田辺ですが、これは戻ってきたあいるが、実は自分は一度死んでいて、ねいるが助けに来たと説明すれば済むような気がします。
あいるの死が無かった事に修正されても、エッグのゲームが存在している事と、ねいるやアイたちがそれに参加している事を知っていた田辺は
それが理解できない程の記憶改変に巻き込まれないのではないかと……。
そして田辺はねいるの事を気にかけているようですが、人間であるあいるよりも少なくとも公的な優先度は低いのでしょう。
或いは、ねいるの肩を持つ事が、あいるから聞いたのと同じ出来事を引き起こす可能性を怖れているのかもしれません。

以上が、ねいるとあいる関係の考察です。
最後に、アカ達とフリルの目的について考えてみます。

アカ達の目的とは?
フリルなんてどうでもいい、ひまりさえ救えれば。
と言っているので、アカ達の最終目的は当然ひまりを救う事でしょう。
ですが、問題はその方法です。
ひまりを救うというのが、生き返らせる事を意味するのかは分からないですが
仮にエッグのゲームをクリアする事によってにひまりを助けられるとしてもそもそも、彫像になったひまりを助けたいと願う少女が存在しないでしょう。
(これは年月が経ちすぎている為です。アカ達が肉体を捨てた事から考えるにそれなりの年月が経過していると思います。
ひまりを救いたいと思っている少女がいたとしてもすでに大人になって居るでしょうし、
もし年月が経っていなかったとしてもそのような少女が居たならば、アカ達が投入しているでしょう。
ひまりの描写を見る限りでは、友達がいなかったという様な印象もありません。
そしてアカ達も参加しておらず、大人がゲームに参加できる描写はないため、ゲームには少女しか参加不可能なのだと考えられます)
ですが、ひまりを救いたいと願う誰かがいないのに、アカ達がゲームを続けている以上、作中では明かされていないだけで
フリルをどうにかする事がひまりを救う事に繋がるのは確かでしょう。
フリルの打倒。或いはフリルに死の誘惑を止めさせる事といったあたりでしょうか
であるならば、ひまりはフリルに何かしらの方法で囚われているのではないかと考えられます。
(フリルがひまりが生きている世界を実現する事の障害になる。或いはひまりの魂とでもいうものをフリルが捕らえている)

逆に今度はフリルの目的を考えてみましょう。
フリルは、何かしらの方法でひまりを殺した後、同様に女の子たちを死の誘惑で自殺に追い込んでいます。
ところがエッグによる死者復活がアカ達の介入によって可能になったゲームだとしても、フリルはそれ自体を妨害しようとしてはいません。
ゲームクリア時に現れて、自殺者を死ななかった事にする代わりに、プレイヤーの命、ないしは別の命を奪うようハイフンやドットたちに指示しているようです。
しかしそれも別に人間の命である必要はなく、アカ達が作ったワンダーアニマルの命でもいいですし、エッグからでてきたパラレル世界の命でも構わないようでもあります。
(最後のパラレル世界の命。パラレル世界のアイに至っては、死んだかどうかすら分かりません。キララは、殺さないよと言っていますし、目玉を取られただけという可能性もあります。
ですが、本作世界のアイの方は殺さないよという意味で言っている可能性もあります。一話で、目か心臓をやられたらプレイヤーは死ぬと言われていますが、エッグの中から出てきた女の子にもそれが適応されるかどうかは分かりません)
以上から纏めるとフリルがしているらしい事は、
①死の誘惑によって女の子たちを自殺させる
②自殺した女の子たちを生き返らせるためにアカ達が送り込んできたプレイヤーたちをゲームクリア時に殺す、もしくは追い返す。
の二つであり、ゲームそのものの妨害や、クリア時に自殺者を戻している事から、殺す事自体が目的ではないようです。
では、フリルの目的は何なのか?考えられるのは、手段にも思える今のこの状況こそが目的であるというものです。
裏アカに見ないふりをしないで、とフリルは言っています。
そこから考えれば、アカ達は、フリルを止める事。フリルとの戦いを通してひまりを救おうとしている。
その結果、アカ達はフリルの事を考えています。それはつまり、フリルを見ていると言う事であり
フリルはアカ達に自分を見てもらう事(忘れられない事)を目的に行動しているのではないかと思います。

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