四番隊は今日もゆく   作:yuzuna*

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ここまでで、一旦止まります!
レポート期間終わったらちゃんとあげていきます。
まだ、序章すぎて、戦闘も日常もかけてない…レポート期間終わって書くのが楽しみです。がんばります…。


落とし子は見た(1)

 

 見知らぬ空間、体も動かないし、声も出ない。

 

 

怖いという感情よりも、不思議すぎて、なにがどうなっているのかがわからなくて妙に冷静でいる自分。

 

 

 「目が覚めたらしいわね。安心していいわ。敵じゃないし、なんなら守ってあげるから」

 

 

声のする足元の方へ目線を少し向ける。

 

 

 

ちっちゃい少女が何かを言っていた。

 

 

 

***

 

 

 

 気が付いたらここにいた。

 

 俺が目が覚めたことに気が付いたのか、ドタバタしている音とドアが乱暴にあく音が聞こえたのちに黄色のツインテ少女と二人の女性がやってきた。

 

 しきりに安心させようとしてくるちっちゃい人はユエリナ、その隣に控えているピンクの髪の女性がラナ、そして黄色のツインテ少女はラメというそうだ。

 

 「そろそろ、あなたたちの名前を聞かせてくれないかしら?」

 

 俺たちを見つけた時のこと、味方であることを何気なく伝えてきていたユエリナさんが、ふっと息をついてから優し気に名前を聞いてきた。

 

 

 あ、はい。えっと名前ね…

 

 「…っ。……!」

 

 

 名前を言おうとするが、案の定声が出なかった。

 

ちなみに名前は梅津一朗太という。

 

残念。長男ではない。次男だ。

 

はて、なぜ?どうしてこうなったのだろうか。

 

 俺は寝ていたはずだ。家で、大学に入ってから始めた、一人暮らしの家で。

 

 どうしてここに来たのか、最後の記憶は大学のレポートを書きながら寝落ちしたような気がする。そうしたらこうなっていたのだ。訳がわからん。

 

 「声がでないのかしら。寝たまま閉じ込められていたし…予想通り、筋肉量の低下が深刻ね。自分の名前はわかるのかしら?」

 

 少し困った顔になったユエリナさんが不安そうに聞いてくる。

 

 

 本当にほんの少しだけ、俺は顔を揺らす。これしか動かないことに恐怖を感じたが、この揺れで伝わるだろうか。

 

 「そう、記憶障害はないのかな…?なら後々あなたの声で聴かせてね。そっちのあなたは?」

 

 ユエリナさんが俺の左側を見た。

 

 そっちのあなた???

 

 なんと俺は一人じゃなかったらしい。

 

 

 左の女性も名前はわかるようで、布の擦る音が聞こえた。

 

 「あなたもわかるのね。良かった…。それにしても二人同時に目覚めるのは何かありそうね。」

 

 顔を動かさずに左に目を凝らすと、女性がちらりと見えた。

 

 

 ユエリナさんは少し考える振りをして

 

 「その…少し顔を揺らすだけでいいわ。言葉はわかる?」

 

 ユエリナさんが聞いてくる。

 

いや、今の今までその言葉に反応してたやないけぇと俺は顔を揺らす。

 

 

 「あなた今、左の女の人を見たでしょうけど、面識はある?」

 

顔を揺らさない。

 

 

 「そう。あなたは?ちょっと目だけで見れる?」

 

 続いてユエリナさんは女性にも俺のことを見てみるよう告げた。

 

 「二人とも面識はなし、と…」

 

うむむ…と言わん表情でユエリナさんは少し口を強く結んだ。

 

 彼女も顔を揺らさなかったようだ。

 

 まぁ、俺が知らないので一方的にこんなしがない大学生を知っているわけがないと思うのだが…。

 

 「なんでこうなっているかわかる?」

 

顔を揺らさない。

 

 まじで、わかりません…。レポート何について書いてたんだか…。果たして書き終わったのだろうか。

 

 ここにいる時点でレポート提出は叶わなかったようだが…。落単やんけ。

 

おい、学期末の配点高いんよ…。

 

 

 「わからない…か。やっぱり記憶喪失の可能性も捨てられないのかなぁ」

 

 ユエリナさんがボソリとつぶやく

 

 「とりあえず…あなたたちは私の言葉がしっかり理解できているようだし、今後じっくりとお話しさせてもらうわね。ラナ、放送でラノと四番隊を執務室に呼んでもらっていい?ラメ、さっき読んできたラテに執務室でみんなを待ってからくるように伝えて?」

 

 そう言い始めたユエリナさんの顔は少し明るかなっていた。さっきまで悩んでいたのに、なんか…不気味なんですけどぉ…。

 

 「了解しました」

 

 「りょうかーい!」

 

 ラナとラメの返事をよそに俺は不安でいっぱいな状況を整理していた。

 

 

 

 そこから、俺と彼らの物語は始まった。

 

 

 

 

***

 

 

 

 目が覚めてから次の日に、俺が寝ていた部屋は空を飛んでいたらしいことを知った。

 

 四番隊と十一番隊にベットごと移動させられ、隣に寝ていた女性ともども隅々まで検査をされたのだ。

 

 外に降りた時はびっくりした。「え、これ飛行艇やん…」って。

 

 目が覚めて二日目だというのにこのところかなり騒々しい。

 

 だが、なぜかそれでも大丈夫である。点滴のおかげなのだろうか。何入れてんだか知らないけど。

 

 また、薄々感じていたことだが、降りてみて確信したのだが、この世界、オレ、シラナイ。

 

 かの巷で有名な異世界転移ですかぁ?これは、

 

 

 そして隅々まで調べられてる途中にやっぱり思ったわけだ。

 

 昨日は鵜呑みにしてしまったけど、この人たちは本当に味方なのだろうか。

 

 俺たちは動けないので黙って従うしかないのだが、おそらく女性もそんなことを考えているのだろう。

 

 うーん。考えたとしても、昨日の今日で何がわかったのかという話だが、丁寧にお世話をしてくれたし、返事もできないのに話しかけてくれる四人の女の子たちとか、たまに部屋に来る四番隊の子達を悪い人だとは思えない。

 

 一つに彼女らに親近感というか、なにか悪い人だと思えなくなった大きな理由がある。

 

 それは四番隊の燈という子が部屋に来て、ラノというパステルカラーの髪の女の子と話していった後のことだった。

 

 

 

 

 

***

 

 

 

 時刻は夕方、汗を少しかいた様子の燈が部屋を出て行った後だった。

 

 

 「ラノねえさん。よかったですね!お仕事頑張れるのです!」

 

 と、ラテがにこやかにラノに言う。

 

 その笑顔はやはり自分が面白いと思う、いじりがいのあるおもちゃが見つかったときのもので、おとなしい言葉遣いで盛大に爆弾を落としてくる。

 

 

 「え、いや!!ラテ…そんな急に…!」

 

 ラノは頬を紅潮させながらも平然を装おうとする。

 

 しかし、言葉は切羽が詰まったように力がこもり、なにか特別な感情があることがバレバレである。

 

 

 「燈さんとお話ですよ?普段なら任務で会うこともない時間に…。ラノねえさん幸せなのです」

 

 部屋の中で梅津たちの衣類を畳みながら「と、も、し、び、さ、ん、と」とラテは激しく強調してその言葉を繰り返す。

 

 

 「ラテちゃん!!!!お二人もいるのですよ!!言葉は謹んで!!!!!」

 

 ラノが梅津たち二人をチラチラ見ながら言い返す。声はかなり大きい。

 

 

すると、ラテは「はぁ」と息を吐き、ツインテールの片方をくるくるしながら呟く。

 

 「一応私たちは補助の任務中なんですけども…その中で好きなh…「ごめんね!!!ごめんねなさい!!!!」…ふふふ。」

 

 ラノの必死の謝罪に、ラテはその前までいじけたようにツインテールをくるくるしていたのに満面の笑みでよろしいと言う。

 

 ラテはラノより年下なのだが…。現在はラテが圧倒的に立場が上であった。

 

 二人はその後、ラテが主導で燈について話をしていたのだが、綵がしれっと会話に乱入してきたことで作業へと戻った。

 

 その際、ラテが恋愛話に混ざろうとする綵へ冷たい視線と共に「うるさいです」と言葉の刃物を突き刺し、

 

 「う…、これが、女の世界…恋愛とは…難しい…」

 

 と、苦しそうに、しかし恍惚とした表情で呟いた綵にラノが畳みかけていたシーツをぶち当てた事件はまたの話としよう。

 

 

 

***

 

 

 

なぁ???

 

 こんなかわいい子が悪い人なわけがない!!むしろ青春真っ盛りのただのかわいいこちゃんたちだわぁ!!

 

まぁ、俺はその後、少し息の乱れた綵からの「花持ってきたよ。この花見たことあるかな」とかいうロマンチック風な多分そんな感じの話を聞かされたのだけど…

 

 聞いてなかったけど…ごめん。綵さん。

 

 そんなことを思い返しながら俺は検査を終えた。

 

異常なしという結果を聞かされた時は安心したし、嬉しかった。

 

 

 

***

 

 

 

 さて、再び俺と女性が飛行船内の部屋に戻って二日が経った。

 

 ユエリナさんは、二日前の出発前に俺たちの名前聞き、俺たちに今後のことを話しに来てくれた。その時に、「あなたたちの質問はあなたたちが回復してから答えるから。いまは休むのに専念してね。」優しく言い渡し、これからよろしく。と言って部屋を出ていった。

 

それ以来ユエリナさんは来ていない。

 

 ちなみに隣に寝ている女性の名前は”ふじ とうか”というらしい。

 

 名前も案の定知らなかった。

 

 話は変わって、今、この飛行艇は俺たちを見つけた場所に向かっているらしい。

 

 ユエリナさんからは、少しだけその場所を見せるから、何か思い出したら今度教えてほしいと二日前に言われた。

 

 そうだ、あの人小さいけどかなり地位の高い人間だそうだ。

 

 不思議に思っていることは未だにわからないし思い出せないままだが、案外、この4日間は楽しいものであった。

 

 相変わらず、みんなが優しく、そして可愛い、青い子は青春をしているし(俺は関係ないけど)。

 

 とまぁ、こんなことを考えていられるほど、余裕もある。

 

 

 「「あ…」」

 

 左を見たら、左に寝ている女性と目があった。顔がお互い少しだけ左右に動くようになったのだ。

 

 毎日リハビリのマッサージを文句ひとつ言わずに十一番隊と綵さんがしてくれているおかげで動くようになってきたのだ。

 

 ちなみにだが、俺のマッサージが四番隊の男の娘、綵だ。

 

当たり前ではあるが、そうなった理由を振り返ろう。

 

 あれは、初日のことだった。

 

 

 

***

 

 

 

 初日。俺は尿意を感じ取った。

 

ピンチです。

 

 

 もちろん、それを伝えられないし、力が入らないので我慢もできず、少し嫌だったが履いていたおむつっぽいものに用を足した。

 

 俺は大学生だ。しかし、仕方がない、と割り切っての行動だった。

 

 すると、十一番隊の女の子ラメちゃんがそれに気づいた。

 

 「トイレ…しましたか??」

 

 と、両手を前で合わせて少し不安そうに聞いてきた。

 

俺が、うわ、なんか引かれたかも…?と思いつつ首を縦に振ると、 

 

 「わかりました!!!今ラメが変えてあげます!!」

 

と、笑顔で言い、俺のズボンを下げようとした。

 

 後々わかったことだが、不安そうだったのは尿をしたように感じたが、本当にしたかがわかんなかったからだそうだ。

 

 

 さて、ここでさ。

 

 …はい!ありがとう!

 

 

 とはいかないよな???

 

 俺は焦った。

 

いや、え?わからんけど、いい年してるはずの俺よ?その俺のおむつ替えをこの女の子がする?え?やばくない?

 

ズボンの次は…今変えますからねー、とラメがおむつへと手をかけた。

 

 「ちょっとラメちゃん!まって!!」

 

 おむつがオープンされる前に部屋にいたラノちゃんがラメちゃんがしようとしていることに気づき、焦ったようにストップをかけた。

 

しかし、

 

 「これはどうしよう…」

 

 止めたはいいがラノちゃんも完全に悩んでしまった。

 

恥ずかしいものは恥ずかしいので、男性を呼んできてはくれないだろうか

 

 どうして止めたの?と言いたげなラメちゃんの横でラノちゃんが思案していると、奥にいたラテちゃんが声を上げた。

 

 「こーゆー時は四番隊なのです!待っててください…!」

 

その答えにラノちゃんがなるほどと頷いたのもつかの間、ラテちゃんは廊下へと駆けて行った。

 

 確かに四番隊なら男が3人いたからな…お願いしよう、と俺も思ったので、股が少し気持ち悪いながらもラテちゃんの帰りを待った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 いや、でもさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

確かに四番隊だけど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんで、この人?????

 

 

 

 「はーーい。おむつ替えますよ~」

 

そう。彼女が連れてきたのは綵さんであった。え。四番隊ならダイジョブとかって言う話でしたっけ?

 

 いや、やばいよね?どうみたって女性やん?所属隊の過半数が男なら男とかいう世界線ですか?ここ。

 

 この時の俺は、まだ綵さんが男だということを知らなかったのでものすごく焦っていた。

 

しかし、抵抗する体はもちろん動かないので、しっかりとおむつを替えられた。

 

 

 

 そう、俺のおむつは替えられた。俺の何かを失わせて。

 

後々、綵さんが男だと聞いたが、失った心の破片はなぜか今も戻ってこない。

 

 

 

***

 

 

 

 「明日、現場に到着します」

 

 おむつ替え騒動について思い返していた梅津は凛とした声に現実に戻された。

 

いつの間にか入ってきていたユエリナがそこにいた。

 

 「調査する時に、写真を撮ったり、持ち帰れそうなものは持って帰ってくるけど、追々、二人が動けるようになったら、実際に一緒に入ってもらえたらと思うの」

 

 2人は頭を縦に揺らす。

 

 その場所を見れば何か思い出すのかもしれない。そして、眠った後に何が起きていたのかが知れるのかもしれない。と思うが故に梅津たちも自分たちが発見された場所について興味がわいていた。

 

 「それでその前に、ちょっとだけこの機械についてみてもらいたいの。」

 

 ユエリナがそういうと、ドアが再び開かれラナが一つの機械を運んできた。

 

 

 「調べてもらおうと思ったら、情報漏洩を防ぐためにお前らのとこで調べろって言われちゃって…。さて、これが、カプセル内にいたあなたたちを世話していたと思われている機械よ。」

 

 始めに梅津が持った感想はなんだこれはというものだった。

 

円柱状な胴体にアームがあり、突き出すようにカメラが搭載されている。

 

 あれ、でもこれ似たようなやつなら知ってるな…。なんだったっけな…。

 

梅津は再びその機械を凝視する。

 

 

 うーん。でもあれ、アニメだし…あ、ここもしかしてあのアニメの世界だったりする!?

 

いや、でもこんな世界観のアニメではないしなぁ…。

 

 と梅津が考えていると。

 

 「梅津さん、何か考えてそうだけど…なにか思うことがあったの?」

 

 二人と共に改めて機械を見ていたユエリナが梅津の様子に気づき、声をかけてくる。

 

 うーん。似てるだけだし、アニメだし…。これは関係ないことだよなぁ…。

 

 梅津はそう考え、首を横に振った。

 

 「そう、ふじさんはどうかしら?」

 

 梅津がわからないというのでユエリナは藤に尋ねる。

 

 梅津もふじが何かを知っているのかもしれないと横を向いたが、彼女は首を横に振った。

 

 「そう。また今度見てもらうけど、なにかわかったりしたときは教えてほしいの。ゆっくりいきましょう。」

 

 ユエリナは少し落ち込んだ様子で、口を結ぶ。

 

 そして彼女は、やっぱり、明日の調査でなにかを得るしかないのね。と、呟いてから、明日の詳しい予定とその時の二人の周辺の状況について梅津とふじに話し始めるのであった。

 

 

 

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