それは
見える恐怖
明らかな恐怖
驚愕の朝へ
さあ、起き上がれ。
「そうは言われますがね。ヴォルデモートが生きている、復活しているという証拠がないではありませんか?」
アンブリッジが
「ハリー・ポッターの証言も、ダンブルドアの発言も…全てそう言っているだけで、具体的な証拠は何処にもありはしない。ポッターには虚言癖があるとの噂ですし、ダンブルドアも既に100歳を過ぎて耄碌しているのでしょう。ダンブルドアはホグワーツの善良な生徒達を、自分たちの兵隊にしようとしている節もある」
「アンブリッジの件は、彼女の独断です。そんな彼女も
「困りますな」
長々と語ったファッジは紅茶を飲み、唇を湿らせながらそう言った。
「困りますな。ダンブルドアやポッターの証言を安易に信じては。外交の窓口は我々、魔法省であり…我々こそが正式なものなのですから」
「今後もこのようなことがあるのであれば、関係を見直す必要がありますな」
「ここは日本ではない。外交特権はあれど、自由にやって良い訳ではない。決定権は我々に……我々に、あるのです」
堂々とファッジはそう言った。
ここ最近良いことが殆ど無かったファッジだが、
「……」
刀原はいつもの笑みを浮かべて、ファッジの言葉を聞いていた。
ファッジはその態度に対して満足そうに頷くと「では、これからも宜しくお願いしますぞ」と言った。
会談は終わりだった。
「なんですかあの態度!偉そうに!」
同行していた雀部は、英国魔法省から出てから開口一番にそう言った。
「なんで言い返さなかったんですか?いつもなら倍返しに
言われっぱなしでらしくないと思った雀部は、刀原にそう聞く。
「…まあ、言わせておけば良いさ」
刀原はそう言った。
含みのある笑いを浮かべながら。
雀部はそれを見て微笑み、こう思った。
あ、怒ってる……。
このまま泣き寝入りするような人じゃないからな……。
アンブリッジが死んだ事で…英国魔法省は大いに揉め、大いに疑惑を向けられた。
ファッジにとっては胃痛の日々。
だが、ファッジの気分は幾分かスッキリしたものになった。
今まで言われっぱなしだった刀原に、強気に言えたからだ。
言われた側の刀原は微笑むばかりで、反論も無かった。
ファッジは久方ぶりに気分の良いまま帰宅し、気分の良いまま酒を入れ、気分の良いままベッドに入った。
「ここがチキン・ファッジとやらの住居か?」
「申し訳程度の柵しかなく、堀も石垣も見張りの櫓もない。警備の者もせいぜい四、五人しか居ない。なんと不用心」
「本当にファッジとやらは魔法大臣か?」
「まあ良い。ファッジとやらの警備思考が失格だとしても……当の本人が困るだけ」
「うむ、早速仕事に掛かるとしよう」
「……?」
微睡から起きたファッジは、違和感を感じた。
寝苦しさを感じたのだ。
ファッジは徐にベッドから起き、己が着ている服装を見た。
「……?」
困惑した。
そしてもう一回、今度は鏡で服装を見た。
ファッジが着ていたのは……紋付き袴だった。
「
コーネリウス・ファッジ、驚愕の朝。
昨夜、しっかりと
だが、いま彼が着ているのは紋付袴*1だったのだ。
しかもよくよく見ると…。
着ていた服はご丁寧に畳まれていた。
パンツは褌に変えられていた。
おまけにちょんまげのカツラを被せられている。
そして首筋には、一本の赤い線が描かれている。
コーネリウス・ファッジ。
人生最大の、そしてトラウマになる…驚愕と恐怖の朝。
誰がやったかなど……一目瞭然な訳だが。
そんなことよりもだ。
ファッジは気にしなくてはならない。
どうやって誰にも気づかれずに侵入したのか?
ではない。
なぜ着せ替えられていることに、自分も誰も気が付かなかったのか?
でもない。
なぜこんなことをしたのか?
である。
ファッジは直ぐに思い至った。
これは警告だ。
貴様如き、いつでも処理出来るぞ。
貴様など、まな板の上の鯉なのだ。
日本を、我々をあまり舐めるなよ?
という警告
実際に出来る証明と言ってもいい。
紋付袴も、ちょんまげカツラも、褌も…犯人が誰であるかを明確にするため。
本命は首をぐるりと一周している赤い線だ。
気づかれずに侵入し、紋付袴(ちょんまげカツラと褌付き)に着せ替えることが出来るなら…。
気づかれずに侵入し、首ちょんぱをすることだって可能なのだ。
いや、首ちょんぱの必要すら無い。
どうとでも
ファッジは戦慄し、そして察した。
アンブリッジが
だが、この件も含めて…公表することなど出来ない。
証拠がないのだ。
まあ、あるにはあるが…それはこの格好のまま世間に公表することになる。
それは恥以外の何物でもない。
間抜けと危機管理の無さを大っぴらにすることに等しいからだ。
しかも、それをしたところで…。
「自分で着替えたんだろ?」
「自作自演、ご苦労様です」
この様に言われるのは明白だ。
公表など出来るはずもない。
ファッジは泣き寝入りするしかないのだ。
むしろ…………。
『友好的な関係を、これからも継続していきましょう。我々は護廷十三隊の方々を深く信頼し、また深く感謝しております。決定権に関しましても、やはり日本側の外交特権は尊重せねばならないと考えております』
簡単な意訳
『な、生意気言ってごめんね。な、仲良くしよーね!』
「フッハッハッハ、見ろ雷華。平身低頭だぞ?」
「あれは、警告というより脅迫ですよ……」
(((いったいショウは何をしたんだ!?)))
「ちょっとしたプレゼントを渡しただけだよ」ニチャア
目に見えぬから?
聞こえぬから?
では、見せてやろう
まざまざとな。
起きたら自分の服装が、パンツ含めて全部変わっている件について。
ファッジはその日の夜、ちゃんと眠れたんでしょうか?
なお、カツラは100均の見れば分かる安いやつです。
ヴォルデモートに対してこれをやるのは…一瞬考えましたが流石に出来ませんね…。
警戒度はファッジの比では無いでしょうし。
やっぱりヴォルデモートもベッドで寝てるんでしょうか…。
彼も人ですし、睡眠は必要でしょうから……夜は寝てるんでしょうが…。
どうも、彼がぬくぬくとベッドで寝てるイメージが湧かないんですよね…。
肘掛け椅子に座りながらの方がまだイメージ出来ます。
ちなみに元ネタですが…。
内閣総理大臣が本能寺されちゃう系天下人の漫画です。
あの漫画、世代では無いんですが…めっちゃ面白いんですよね。
おまけ
アンブリッジ抹殺前のお話
雪化粧に覆われた夜。
「アンブリッジへの警告としてこれをやろうと思うんだが?」
「アンブリッジにだなんてそんな。服が可哀想…いや、服が勿体無いですよ。ホグズミードに連れてって、
「雪が降るこの時期にか?……あのカエル、死ぬんじゃね?」
「…別にどうでも良いのでは?」真顔
「…確かに我々にはどうでも良いことだ。だがな、それを発見する人とそれを処理する人が可哀想だろうが」
「じゃあ、禁じられた森の奥深くとかに放置しましょう。やがては骨になりますよ」
「それだな、それで行こう。って事で隠密機動の方々、宜しく頼みます」
「あの…隊長、それ…警告じゃなくて抹殺です」
「あと、我々としてもあのカエルを真っ裸にするのは……生理的にちょっと…」
「……計画実行は無期限延期とする」