司馬兄妹の間の子がいるというn番煎じのやつ。
主従を全面的に押し出そうと思って書いてたらいつの間にか詩奈ちゃん矢車君といういい感じの主従が原作にも登場していた。あのペアもっと出してほしい(願望)
かなり昔に書いたやつですが続きを書くことはないなと思ったので供養で1話だけ出します。
敗因:原作っぽい地の文ムズい。あと詩奈ちゃんカワイイ。
「──いたか?」
「いや、見つからなかった」
「この辺りに逃げたはずだ。もっと探さんと、俺らがしばかれるぞ」
「世間じゃ
「そんなだらけてるから脱走されたんだよ」
「おい、ガキだからといって油断するなよ。もう何人かやられてるからな。手負いでも要注意だ」
もう、おいつかれたか。
やっと見れた空。
ひさしぶりすぎるであろう外の世界。
はじめて手に入れられた……自由。
「待てっ、血痕があるぞ」
「本当か!? よし、ここらを重点的に探そう」
「っ」
もう、むりだろうか。
「いたぞっ」
「よし、捕まえようぜ」
「殺すなよ? 生け捕りだ。大切な実験体だからな」
もう、つかまるのだろうか。
なかば、いや、90%以上はあきらめていた。
そして、おれは────
「『おーい、大丈夫でして? そこの、今にもくたばりそうな人』」
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魔法。
そんなモノはおとぎ話や物語の中にしか存在しない。それが常識だった。……1999年までは。
2000年の人類滅亡。多くの預言者が遺したその預言を、実現しようとした狂信者どもの核兵器テロ。それを未然に防いだ警官がいた。特殊な能力「超能力」によって。
それが近代以降、最初に魔法が確認された事例となっている。
それからというもの、人類は研鑽を積み、「超能力」は「魔法」という確立された一つの技術に、技能になった。
杖や箒といった魔法具はCADとなって、安全性能を高められた。
徹底した才能主義。そして残酷なまでの実力主義と
東京、八王子に位置する国立魔法大学付属第一高校。通称、『魔法科高校』においても当然のごとくそうであった。
優等生の『一科生』と、補欠であり劣等生である『二科生』。それぞれ制服に付いている
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「納得できません」
「まだ言っているのか……?」
2095年
第一高校入学式、開会二時間前。
講堂の前で、一組の男女が言い争っていた。真新しい制服に身を包んだ新入生のその姿は、こんな早朝でなければ衆目を集めたに違いない。
「何故お兄様が補欠なのですか? 入試の成績はトップだったじゃありませんか! 本来ならばわたしではなく、お兄様が新入生総代を務めるべきですのに!」
兄妹であろう男女はまったく似ていなかった。
妹の方は、艶やかな黒髪の美しい美少女。女優、いや、人形。はたまた、男子が創り出した妄想、ホログラムと言われてもおかしくないくらいの、である。
一方兄の方は、イケメン(死語)と言っても差し支えはない。が、妹と比べると平凡と言わざるを得ない容姿だった。
しかも、
血縁であっても平等でない。正にその典型例だろう。
「お前が何処から入試結果を手に入れたかは横に置いておくとして……」
「わたくしが教えたんでしてよ、達
「お姉様! お久しぶりです」
ひょっこりと会話に加わってきた
長い黒髪。これは、妹の方と同じだが(妹は背中まで程度に対して姉は膝裏程度の長さという違いはある)、姉は毛先が淡いピンク色となっている。
顔立ちは兄と妹、どちらにも似ているところのある少女である。妹と並ぶとまるで2輪の花が咲いたかのような華やかさな様子だった。
「来ていたのか、
「あら。酷いですわ、達兄。可愛い妹に対して『来ていたのか』だなんて。
……そうそう、とある方からお聞きしたんですが。一週間ほど前に仲睦まじい兄妹の出歩く姿が横浜で目撃されたらしいですわ。
まさか、わたくしを差し置いて。お二人でデート、なーんてことはありませんわよねぇ?
それはそうと。みゆちゃん、その髪飾り、素敵ですわね。六芒星魔方陣を踏まえた、見事な細工の雪の結晶。とってもよくお似合いでしてよ」
(葉山さん辺りが情報提供者か? まったく、余計なことを)
パチンと愛用の扇子を叩きつつのマシンガントークの炸裂に、自身の妹から自分への確かな怒りと嫉妬を感じた兄。彼はスッと、ある物を差し出した。
「ちゃんとお前にも買ってあるさ、ほら。遅くなったが、入学祝いだ。
「お姉様。お兄様は、お姉様もお誘いするつもりでしたけど、海外へ行ってらしたからお諦めになったんですよ? わたしも、お姉様とお出かけできなかったのは残念でした」
兄妹のご機嫌取りに満足したらしい姉は、ひとまず渡された包みを丁寧に開けた。
中から出て来たのは桜の花が連なったデザインの髪飾り。確かに、妹の髪飾りとよく似ている。
「可愛いですわ!
まさかわたくしにまで買ってくれるとは思いませんでしたの。ありがとう、達兄」
よほど気に入ったらしく、その場ですぐ付けた姉。あと二時間程度で高校一年生になるとは思えない、とても無邪気な反応だった。
「よく似合ってるぞ、望桜。言うのが遅くなったが、制服姿も可愛らしいな」
「はい。とてもよくお似合いです、お姉様。お揃いですね」
言い争っていたとは思えぬ和やかな兄妹の会話を、周りの上級生も微笑ましいと言わんばかりに見守っていた。(勿論、早朝なので人はまばらだが)
「ふふ、嬉しいですわ。さて、みゆちゃん!」
「は、はい。何ですか、お姉様?」
いきなり強い口調で話さた上にポーズまでキメられ、戸惑う妹を気にする様子もなく姉はウキウキと言った。
この兄妹と、
「答辞、楽しみにしていましてよ。久しぶりに見られる可愛い妹ちゃんの晴れ姿ですもの。
それでは失礼いたしますわね。少し、会いたい方がいますの」
トトト、と今にもかけて行きそうな少女に、兄は待ったをかけた。
「望桜。
「やーくんでしたら、『自分の時間で動く、アホめ』とのことですの。きっとお師様と鍛練でもしていますわ。
それでは、今度こそ。ごきげんよう」
(相変わらず、主従共にマイペースだな)
ポツンと残された兄妹は。毒気をすっかり抜かれたようで、口論を再開させる気にもならず。妹は素直に答辞をすることを決意したらしい。
「わがままを言って申し訳ありませんでした、お兄様。お姉様も期待してくださっているようですし、わたしは職務を果たして参ります。
……なので、見ていてください、お兄様」
「ああ、行っておいで。望桜と共に、本番を楽しみにしているから」
流麗な会釈をした少女の姿が講堂へと消えたことを確認し、少年はやれやれとため息をついた。
(さて……俺はこれからどうすればいいんだろう?)
まだ入学式の二時間前。もう一人の妹のように知り合いがいる、ということもない少年はこれから二時間をどう過ごすか。悩み、途方に暮れた。
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「かーつー
可愛らしい声とは裏腹に、かなりの速度でアタックされた上級生……十文字克人は。しかし見事な筋力で耐えた。
「ああ、
ぽんぽんと頭を優しく叩きつつ言った彼の言葉に、少女はふわりと頬を緩めていた。
さりげなく褒めることを忘れないところが、兄と似ている。もっともこちらは天然であちらは養殖だが。
「自分ではよく一科生になれた、と思いますわ。実技試験における魔法力の評価は、魔法を発動する速度、魔法式の規模、対象物の情報を書き換える強度で決まりますもの。わたくしは領域干渉は得意ですけれど、それ以外はてんでダメですし……」
「周りの評価は気にするな。自分の思うようにすればいい」
はたから見たら噛み合ってない会話に聞こえても、本人達には意思の疎通が完璧に出来ていた。
むしろ、達兄と呼んでいた少年よりもよほどツーカーにみえる。(ちなみに、克兄とは呼んでいるもののこの二人に血縁関係はない)
「あらあら。克兄は何でもお見通しなのですね……
ふふっ、話は変わるのですが、ちょっとしたお願いがありますの」
「またか。今度はなんだ?」
今までの少女のちょっとしたお願いという名の難題をよく記憶している彼は、次はどんなモノがくるかと身構えた。
「一つ目は、うちの可愛い妹ちゃんが今年度新入生総代ですの。なので、入学式の映像記録をわたくしにもくださいな」
当然のごとく、新入生総代を把握していた彼は『司波』深雪というフルネームを頭に浮かべてから気づいた。目の前の後輩と同じ名字だ、と。
彼がそうと気づくのが遅くなったことは、仕方が無いだろう。なにせ、少女は親しくしていたにも関わらず兄妹の存在を一言も漏らしたことはなかった。そのため、今の今まで1人っ子だと思っていたのである。
「ああ。確かに、『司波』だったな。いいだろう、手配はしておく。他は?」
さて、第一高校における三つの大きな組織といえば生徒会と風紀委員会、そして部活連だ。
生徒会か風紀委員会に所属している生徒は学内でのCADの携帯が許可されている。つまり、魔法の使用が許可されているのだ。
十文字克人はそのどちらでもなく部活連の会頭だが、部活連の幹部もCAD学内携行を非公式に許可されている。
実際、彼も携帯端末形態の汎用型CADを携行しているし、魔法で映像を記録することも可能だ。
それに、十文字。
「二つ目は……やーくんの風紀委員入りを検討して欲しいのですわ」
風紀委員の推薦枠は三つ。教員推薦枠、生徒会推薦枠、部活連推薦枠だ。
少女は卒業による欠員が出たことを見越して、部活連推薦枠に自分のガーディアンを入れて欲しいと懇願した。
「
「でしたら……」
ぱあっと顔を輝かせた少女に申しわけないとは思いつつも、彼はこう続けるしかなかった。
「だが、確実に推薦するかは保証できない。既に2年からも何名か見繕っている上、更なる才能を持つ新入生が入るかもしれん」
「まあ、そこらは大丈夫でしてよ。どっちみち、やーくんはとっても強いのですわ」
絶対的な信頼。十師族、十文字家次期当主とは縁が遠いソレを羨ましく思いつつ。入学式のリハーサルが迫っていることを確認した彼は、会話を切り上げることを余儀なくされた。
「そうか。話はこれだけか? 悪いが、リハーサルの関係でそろそろ行かねばならん」
「お引き留めして申しわけなかったですの。では、ごきげんよう」
「ああ」
ニコニコといつも通りのほんわかした笑顔で見送る後輩に、彼はどこか
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残りの時間をどうするかと考えた望桜の目の前に、まるで誘うがごとく、ベンチがあった。
人通りの少ない、ひらひらと舞う桜の下にあるベンチはまさに絶好の昼寝スポットだろう。
「願わくは 花のしたにて 春死なん そのきさらぎの 望月の頃……ですか」
勿論座った望桜はうつらうつらとし始め、ついには眠りについた。
目覚めた望桜の横には少年がいた。
同じ新入生だろう。
青味がかった黒髪は手入れという手入れをされてないらしく、ボサボサだ。鋭い目つきと気だるげな瞳、目元の隈が相まって尋常でないオーラを放っている。
「こんな所で寝るとか何考えてんだ。少しは
「あらあら、わざわざ護衛してくれたのですね。ありがとうですわ、やーくん」
「そう呼ぶなって言ってるだろぉが」
はたから見たらいたいけな少女を不良が
しかしここの人通りが多ければ、風紀委員を呼ばれていたかもしれない。そう思われる様子である。
「まあまあ。そろそろ行きましょうか。遅れては、みゆちゃんに申し訳ないですし」
「チッ」
悪態をつきながらも、なんだかんだおとなしく付いて行く様子は
「流石みゆちゃん、素晴らしい答辞でしたわ」
「ありがとうございます、お姉様」
入学式という本来ならとても疲れるであろう行事のあと。
しかし今年の新入生は元気だった。
理由は明白だろう。
「今年の新入生代表の子、むっちゃ綺麗だったよな」
「司波さんな。同じクラスだったら俺、絶対仲良くなりたいなぁ」
「はぁ、あんな綺麗な子がいるなんて……」
「美容法とか聞きたいねー」
「司波さんってこの世に降臨された天使じゃないか?」
「いや……結論を急ぐな。女神かもしれないだろ!」
入学式に出たほとんどの、いや全ての人々が『司波深雪』という一人の人物に魅了され、憧れ、噂してるようだった。
「みゆちゃん、人気ですわね。まあわたくしの可愛い妹ちゃんですもの! 衆目を集めても仕方が無いのですが、流石にこれは少し辟易させられるんですの」
姉妹の周りでは多くの生徒が話しかけるタイミングを見計らっていた。
姉妹としては見知らぬ他人よりも兄に会う方が先、と考え放置していたが……歩く度に雪だるま式に大きくなっていく人の輪に流石に疲れと呆れを抱いたようだ。
もっともこの状況で誰も深雪に話しかけない、というのもいささか不自然なことだが。
「申し訳ありません、お姉様。わたしのせいで────」
「いえ、みゆちゃんはまったく悪くないですわ。まあ
本気でカボチャを見る目になった
「そういえば、お姉様のクラスはどちらですか? わたしはA組だったのですが……」
普通、兄弟姉妹はクラス編成ではわざと別けられる。だけどそれでも、という深雪の願いは
「わたくしもやーくんもB組。残念ながら、みゆちゃんとは別れてしまいましたの。でも隣ですから、近くてまだ良かったですわ」
「そうですか。お姉様と少しでも近くて嬉しいです。
……あら、弥栄さんはどちらに?」
「そこに
そう言われた深雪は雑踏に紛れた弥栄を探すも見つからず。
姉と、その
「お疲れ様、深雪さん」
「
雑踏がまるでモーゼが現れた時の海のように綺麗に割れ、出てきたのは小柄な女生徒。生徒会長である彼女は、付き従う仏頂面の男子生徒そっちのけで深雪へと話しかけてきた。
「そちらは……ああ、十文字君の言ってた子ね!」
「はい、深雪の姉の司波望桜と申します。どうぞよろしくお願い致しますわ」
「私は生徒会長の七草真由美です。こちらこそよろしくお願いしますね、望桜さん」
真由美にとってこの姉妹は是非とも自分側に引き込みたい人員であった。新入生総代である深雪は勿論、
「……実は深雪さんとお話したいことがあったのだけれど、せっかくの姉妹団欒を邪魔したくはないのでまた今度にしますね」
「会長!」
後ろで控えていた男子生徒が初めてこの場で言葉を発した。
しかし、真由美の心はもう決まっていた。そもそも真由美にも可愛い妹たちがいるのだ。仲良し姉妹の団欒を引き裂くなんてことはできなかった。
もしかしたらこの後、家族で食事の予定でも入っているかもしれない、と思えば尚更だった。まあ今、無理に連れていくよりも後で機会を作ってから話した方が生徒会への印象がよくなるだろう、という打算もあったが。
「また日を改めて、そちらの都合がいい時に呼び出させてもらいますね。では」
優雅に一礼した真由美を追いかけ、生徒会役員であろう男子生徒も軽く礼をして立ち去った。
「……中々、可愛らしいお方。九校戦の映像でお見かけする機会は多かったですが、実際にお会いすると違うものが見えてきますわね」
「違うもの、ですか?」
コテンと可愛らしく首を傾げる深雪に、望桜は苦笑しつつ答えた。
「芯の強さ、かしら。そうそう、
ふふふと笑う望桜の様子は誤魔化しているようにも、本気にも見えた。ただそれよりも深雪は、何でそんなことを知っているんだろうと自分の姉に少し恐れを抱いたのだった。
「同人誌、ですか……」
「みゆちゃんも九校戦の後には発行されてるでしょうね、と、達兄ですわ!」
姉妹はしずしずと愛する兄のもとへ向かった。
「お兄様?」
いつも通りおしとやかな挙動で。しかし深雪は確かに怒っていた。
親しげにする美少女2人と
「ひどいですわ。あんなにも愛を誓い合いましたのに……」
よよよと泣き崩れる(フリをする)望桜の肩をそっと支える深雪。姉妹のコンビネーションは抜群だった。
抜群すぎて、
「えっ、えっ、えええええっっ!」
「望桜、冗談が過ぎるぞ」
達也はやれやれとため息をついた。
達也にとって望桜は大切な妹だが、このいたずら好きにはどうも困るところがあった。特に深雪にも影響を与えていることなどである。深雪が家では露出の多い格好を好むのも望桜の影響だと達也は思っているのだ。(実際の所は望桜が深雪の服装に関して口出しすることはなかったため、間違いなく冤罪である)
「ごめんあそばせ。
はじめまして、わたくしの名は司波望桜。そちらの司波達也の双子の妹ですわ。よろしくお願い致しますわね。そしてこちらが、
地味に達也も含んでいる言葉だったが、実際に深雪は可愛い妹なので特に訂正する必要はなかった。
「ご紹介ありがとうございます、お姉様。
はじめまして、司波深雪です。わたしも新入生ですので、お兄様方と同様、よろしくお願いしますね」
「柴田
「よろしく。千葉エリカよ。あたしのことはエリカでいいわ。
「どうぞお好きに呼んでくださいな」
「はい、苗字では区別がつきにくいですもの」
エリカの初対面にしてはフレンドリーな挨拶は達也以外、気にもとめなかったらしい。本人自身が独特の雰囲気と言葉遣いを持っている望桜はともかく、深雪も戸惑うことなく頷いていた。
「あはっ、望桜は面白い人だし、深雪も見かけによらず気さくな人ね!」
「面白いだなんて、照れてしまいますわ」
「貴女は見かけ通りの、開放的な性格ね。よろしく、エリカ」
すっかり打ち解けた様子である。特に深雪とエリカはどこか通じるものがあったのか、前から知り合いだったような態度だった。ブラコン、という言葉が望桜の頭をよぎったかは、わからない。
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「よかったのか?」
夕食の最中。いきなり出た発言としては意味のわからないものだったが、そんな弥栄の言葉も望桜にはあっさりと通じたようだった。
「あの場でエリカの昼食の誘いを断ったことですわね? まあ、信用のおける誘いかはわかりませんでしたし……父と義母との先約がありましたもの」
「……自分の兄妹の方を優先する、と思っていたが」
「流石に大した理由もなく先約を無かったことにするほど無粋ではありませんのよ。それに、美少女3人に囲まれて食事をする達兄、という面白そうな状況にも興味が湧きましたの。お師様なら泣いて喜びそうなシチュエーションですわね」
「流石に
望桜の父母や達也の評価はともかく、
「そうそう、今年はお師様から入学祝いはもらいましたの?」
「あ、ああ……」
確かに弥栄は、義父であり望桜たち兄妹と共通の体術の師匠である九重八雲から「入学祝い」と称されたモノをもらった。
中学の時は、忍者服だった。ちなみに望桜にはその時くのいち装束が渡された。
そして今回は、スーツだった。もちろん今回も望桜の分の服もセットで渡されている。
ちなみに両方ともサイズはピッタリだった。そしてサイズを測らせた記憶はない。
弥栄が義父にある種の恐怖を感じたのも当然と言えよう。
「……そうですの」
「なんか問題でもあんのか?」
「いえ。被ってなければよろしいのですけど。どうぞ、やーくん。わたくしからも、プレゼントですわ」
「…………おう」
「とっても可愛い置時計ですの。気に入ってくれると嬉しいですわ」
弥栄は望桜の「可愛い」は普通とはちょっと異なることを知っている。が、それでもえらく少女趣味な置時計だった場合を想定して不安になった。
芸術的な包みを破り、出てきたのはアンティークの置時計。どうみても高級品であったし、一般的には綺麗とか言われるであろう物だった。
やはり望桜の感覚はどこかずれている、と再認識される。
「あんがと。部屋に飾っとく」
できる限り感情を見せないそっけない返事でも、望桜に対して感情を隠すことは不可能である。
喜んでもらえたとわかった望桜はうふふと優雅に笑った。普段ならその生暖かい視線を伴った笑みに文句を言う弥栄だが流石に思いとどまり、軽く睨む程度に抑える。
(そろそろみゆちゃんにお祝いの電話でもかけているころでしょうか)
自分の掌の上で動く両親たちを思い浮かべつつ、望桜は明日からの学校生活に想いを馳せた。