オールマイト出てこない。
折り主の一人称で繰り出される人生とその後。
原作はじめぐらいしかあんま見てないし、ほぼハーメルン知識だし、いろいろと矛盾あるかもしれません。
ま、いっかの精神で見てくれると嬉しいです。
前書きや後書きが雑いのは本文作ったら、作者の脳内PS装甲が電力不足でダウンするからです。ゆるして、おにいさん。
誤字報告ありがとうございます。
まあ、よくあるトラックに轢かれての異世界転生と思ったけど、転生したのはヒロアカだった。
…ぶっちゃけジャンプの最初らへんしかみてねぇし、微妙だわー。
そんなわけでヒロアカ世界に異世界転生したけど、持ってる個性が弱い。
だって、体をパンにする個性って戦闘向きじゃないし、何より失った部位の回復がめっちゃ遅いんだよ。だいたい腕のひとつまみ千切ったので2週間はかかる。
それでも、せっかくヒロアカ世界に転生したんだし、憧れてた雄英に受験してみたんだよ。
…まあ、結果は惨敗だったけど。
いや、真面目に凹んだよ。前世受験失敗してクソみてぇな人生歩んでいるから本気で頑張ったみたんだよ。
でもダメだったんだよなあ。
こんな人生生きていても強個性もない、転生で努力しても駄目という雑魚っぷり。
こんな情けない俺消滅した方がましだとネガティブに侵食されて、部屋で現世から宙ぶらりんりんサヨナラバイバイしようとしたんだよ。馬鹿らしいだろう?
実行中、朦朧とした意識の中ふと思ったんだ。
俺、どんな人生歩みたかったんだっけ。
何がしたかったんだっけとか、走馬灯の中前世のガキの頃を思い出していた。
とぼとぼと歩く町の中、ふと目に入ったガラスのショーウインドウ、そこには黄金色に輝く香ばしいパンがあった。その時お金もたずに家出してさ、腹減ってたんだよ。
銀河鉄道999っていう昔の漫画でさあ、レストランにへばりついて主人公を見ているこどもがいたシーンがあったんだよ。
そんな感じでパンを見ていたと思う。
普通の物語ならそこで気のいいパン屋にパンを分けて貰ったりするんだろうけど、世の中甘くはなかった。
だれも分け与えてくれる人なんかいず、そのままおまわりに捕まって家まで送られた。
せいぜいものをくれたのはおまわりが眠気覚まし用に噛んでいた苦いガムだけだった。
だから俺は自分で選べず、えらんだものにはそっぽ向かれて、与えられたものは欲しいものじゃないのにそれで我慢しなきゃいけない。
そうできないのはおかしいことなんだってずっと言われ続けてきたんだよ。
そういう前世も今世もそんな人生だったんだ。
そんな馬鹿げた恥部を思いだしていた。
今際の際に思い出すのがこんなことなんてな、笑えるだろう?
でもまあ、なんだ。
…だからといって、こんな馬鹿な道化で終わる人生なんて認められるか!
ああ、そうだよな!選ぶことすら出来なかったのに、一度や二度の失敗でへこたれてちゃだめだよなあ!
どんなに失敗ばかりだろうと自分で選び続けてやるよ!
よしそうだ!パン屋になろう!
あの金持ってない奴に冷たいパン屋なんかが霞むくらいのパン屋になってやる!
俺は、そう決めた。
あのあと、何とかして縄を外した。
無理理不尽残機ゼロのリアルというクソゲーからの速攻ログアウトに勢いつけ過ぎてて、麻縄ではなく、古びたビニール紐で首くくってた己のバカさ加減救われるなんて、人生何が役に立つのか分からないな。
あれから、資格をとり、パン屋に弟子入りして毎度怒られたり、お客さんに喜ばれたりしながら成長していって、気づけば結構有名なパン屋になっていた。
この業界に入るときに買った新品コック帽は、いつの間にか少し草臥れていた。
そんなこんなで充実して日々を過ごしながらある日、決定的な危機が訪れた。
その日の俺は、大手のデカイデパートのレストランにパンを卸しに行っていた。
そのデパートでオールフォーワン率いるヴィランが大規模なテロを起こしたのだ。
轟音、世界が崩れ落ちたかのような感覚。
閉じ込められた俺と子供たち、ただだだ暗い瓦礫の下でみんな空腹に耐えかねていた。
一週間いや三日かもしれない、暗くてほとんど見えず時間の経過が分かりづらく、日が過ぎたことしか分からなかった。
そして、手持ちの食料は子どもたちと分け合っていたので、すぐにすべてなくなった。
…どうする?
このままでは子供も俺も死ぬ。餓鬼のように腹をふくれたまま。
飢えで朦朧とする意識の中、あることを思い出していた。
似たようなことあるもんだなあ、何度も経験したくはなかったけどさ。
前世で読んだ雑誌だっかな。紛争地域の子供にあんパンを与えるカッコ悪いスーパーマンじみたおっさんがいた
。
そのおっさんはあんパンを送った帰り際に、敵の飛行機に間違えられて撃ち落とされた。
その悲劇を書いた遅咲きの作家がいた。
彼の有名な作品はそれを改良し、戦争で死んだ弟をモデルにした前世日本でポピュラーな、愛と勇気だけが友達のヒーローを作った。
自身の顔を分けて他社の空腹を満たす自己犠牲のヒーローを。
…ああそっか、おれがなりたいヒーローはもう決まっていたのか…。
だから新しいヒーローの概念に馴染めなかったんだ。
それがわかって思いついた。この状況を打開できるすべは…ある。
そっかそっかあ
俺はこの瞬間のために生まれてきたんだな。
おれはこの世界で一度しか使ってない個性を発動する。
全身をパンにするだけの忌まわしかった弱個性。
神様バカにしてきて悪かったよ、今この瞬間においては最高の個性だ。
ギフトをくれてありがとう。
その与えられた役目を今、果たすさ。
俺の一世一代の勇気を振り絞って、最後にして最大の愛を捧げよう。
腹が減ってつらかっただろう、もう大丈夫だ。心配いらない。
さぁ、僕の身体をお食べ。
がらからと瓦礫が取り除かれる音がする。
「おーい、生存者だー!担架急げー。…!これは…」
不眠不休でレスキュー系ヒーローがやっとのことで生存者たちをみつけて、怪訝な顔をした。
その場には子どもたちがいた。
子供たちはずいぶんと汚れていたが血色よく生きていて、泣いていた。
そして、その足元に大人用のカジュアルな服と草臥れたコック帽だけがあった。
その状況を上手く理解できていないヒーロー達、やがて何人かが理解し始めて青褪めた。
そんなヒーロー達を余所に、子どもたちの中から一人の少年が立ち上がり、服があったところに近づいた。
涙で潤んだその眼には、決意の光があった。
「ごちそうさまでした!とても…とてもおいしかったです!ありがとうございました!」
そう、いい終わって、少年はその場にあったコック帽を手に取り、涙を振り絞って頭に被った。
そして数年後、ヴィラン連合のテロ活動によって荒廃した世界を、一人のパン職人が渡り歩いていた。
そのパン職人は、荒廃した世界で飢えに苦しむ人々にパンを作り、無償で配り続けた。
パン職人の作るパンはどれもほっぺが落ちるほどおいしく、人々に荒廃した世界を復興させる余裕と笑顔を取り戻させたのだ。
やがて世界が復興したあとも、パン職人は飢えに苦しむ人々のためにパンを作り続けた。
パン職人が通ったところは、人々の笑顔で満ちあふれていたという。
時になぜそこまで他人のためにパンを作るのかと聞かれると、決まってこう答えていた。
「俺は愛と勇気をもらったんだ。だから同じようにお腹が空いた人に愛と勇気を届けたいだけさ。」
パン職人はそう言うときに、いつも古びて草臥れたコック帽を撫でながら誇らしげにしていたという。
ここまで読んでくれてありがとうございました。
できれば感想・評価頂けたら嬉しいです。