私は気ままにデュエルがしたい   作:紙吹雪

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初投稿です。投稿が遅くなってすいません。


32話

 

「ほわぁ〜……」

 

 ……おおっと、欠伸が出てしまった。一応今は仕事中ではあるんだ。ビシッとしておかなければ。

 

『聞いていたぞ』

 

「げげっ……何のことなのか分かりませんね。そんなことよりもそろそろ榊遊矢くんの試合が始まりますよ」

 

 無線越しで欠伸を聞かれていたらしい。社長は騙されにくい性格をしていると思うので誤魔化すのは適当にして目の前の試合に注意を引かせることにした。

 

「ああ……そうだな」

 

 既にジュニアユース選手権は始まっているニダ。そっちに集中するニダ。たしか、もう1つ小さい子用の大会もあったっけ。そっちの方がある意味興味深いけど残念ながら見る機会は無くなってしまった。やれやれ……今夜は白ワインでも飲むか。

 

 零羅きゅんの試合見たかった(血涙)。でも、スタジアムが違うからなぁ……んにゃろう、後でふんだくってやらぁ。

 

 私は今観客席ではなく、大会の運営員としてスタジアム内を歩き回っている。名目上は整理員ってなってるからね。一応制服みたいなのも着ている。まあ今は立ち止まって試合を見ようとしてるけれども。

 

 辺りは結構煩い。まあ、大会なんだから当たり前なんだけど、これは元の世界で言う甲子園みたいなものだろうか……あんまり、私は好きじゃないな。うるさいのは嫌いだし。人だかりとか見るだけでうんざりする程度には嫌いだ。でも、仕事だから我慢しよう。

 

 歓声が耳をつんざくので昨日酔っ払ってたら絶対頭痛になってただろうなぁこれ。まあ、私は滅多に酔うほど飲まないけど。翌日頭が痛くなるし……ちょろっと飲んだだけで翌日頭痛くなる体質だけど。

 

 うーん、やっぱり年に一度の大会だけあるなぁ。元の世界……OCGの遊戯王の大会よりもよっぽど祭典みたいだ。こんな時ばかりは自分の住んでいた世界と異なる世界だと感じざるを得ない。デュエルディスク付けてデュエルしてる時点でも割と感じるけども。

 

 ……いつか、帰れるだろうか。それとも私は帰りたいのだろうか。異世界漂流モノでよくある問いだけれども、まさか真剣に考えざるを得なくなるなんて思いもよらなかったな。

 

 まあ、今考えても仕方ないし……今は素直に大会を楽しもうか。どうせ後に面倒な仕事をするのは確定してるんだし。

 

「ええと、対戦相手はたしか……ああ、あの子か」

 

 遊勝塾所属  榊遊矢選手 

 VS

 LDS所属  沢渡シンゴ選手

 

 遊矢くんはまあ置いといて、沢渡シンゴって……ああ!

 

 思い出した思い出した。ええっと、たしか前にデュエルしたっけ……帝王使ってたな。油断とか慢心なければそこまで酷いデュエリストでもないんだよなあいつ。慢心せずして何が帝王か! まあ性格はちょっと大分アレだけれども。

 

「彼にはペンデュラムカードを渡している」

 

 それは私も聞かされたっけ。たしか妖仙獣だっけ。この人ペンデュラムをデッキバウンスさせるつもりだわ。んー、でも……

 

「うーん、でも鎌壱弐参太刀だけデッキ入れてあとはひたすら相手の動きを封殺するカードとドローソースでも突っ込んだ方が私は強いと思うけどなぁ」

 

「ほう、と言うと?」

 

「取り敢えず強欲で謙虚な壺を入れてー、虚無空間とか一回休みとか特殊召喚に対するメタカード積めば相手によるけどかなり厄介になると思うよ」

 

「ふむ、たしかに特殊召喚を行わないデッキは数少ない。君の言う通りにすれば榊遊矢にも勝てるだろう。しかし、今回は此方もペンデュラム召喚を行いLDSが開発したペンデュラムカードを使い、召喚エネルギー等を観測する予定だからな」

 

 ああ、そう言えばこの人達カード作ったりしてるんだっけ……そういや私の持っていたカードを研究の為に貸したりしたっけ。それはさておき、1つ私の知らない単語があったな。

 

「召喚エネルギーって何? 初耳なんだけど……」

 

「文字通り、エクシーズ召喚や融合召喚を行った時に生まれるエネルギーのことだ。ちなみに、君が作る召喚エネルギーは召喚するモンスターや状況によってまちまちだな」

 

 へー、そんなのがあるんだ……うん、これ以上感想ないね。だって別に私はどうでもいいし……

 

「取り敢えず、試合を見て考えよっか。対戦相手の沢渡くんも見極めないといけないし」

 

「ああ、私も直接見るが判断については……」

 

「私と黒咲に任せるってことでしょ?」

 

 さて、見届けますか……

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「ふむ、やはり榊遊矢の勝利か……」

 

「これでも私が直々に教えてるんだし。上手く教えられているかはさておき、私に追い付こうと必死でしたからね」

 

 まあそう簡単には追い付かせないけど。年長者舐めんな。誰がおばさんだ!(情緒不安定)

 

「ふむ、次の対戦カードはたしか……」

 

 遊勝塾所属 紫雲院素良

 VS

 LDS所属   黒咲隼

 

 ……黒咲と素良きゅんだったか。何故だろう。この2人は合わせてはいけない気がするんですけれども。なんかこう、犬猿の仲みたいになりそう。普段は可愛いショタだけど素良きゅんプライド滅茶苦茶高いからなぁ……折角十二獣ブルホーンと月光黒羊薦めたのに使おうとしないし。いじっぱりなんだよねぇ。

 

「彼……黒咲隼にはささやかなプレゼントを用意している」

 

「ふーん、プレゼントって?」

 

「ああ、それは……」

 

「っとと、始まりますよ?」

 

 うーん、素良きゅん勝てるかなぁ? 相手RRだからサーベルタイガーぶっぱした後シザーウルフでも出せば楽に勝てるかもしれないけど。RR-レディネス握ってたら知らん。

 

「アクションフィールドは……ハートランド?」

 

 はて、何処かで聞いたような……何処だっけ?

 

「このフィールドは黒咲の故郷だ」

 

「……ああ」

 

 そういやそんな話してたな……エクシーズ次元にハートランドがあるのか。うーん、ハートランド……はっ、もしかしてハートランドラコと何か関係が……!?

 

 そんなアホなことを考えている間に、黒咲はかなり動揺していた。まあ、滅んだ故郷の姿を再現されたら誰だって動揺する……よね? 私にはイマイチ分からん感覚だけれどもさ。

 

「さて、見届けようか……」

 

 君たちはどんなデュエルを見せてくれるのかな?

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

「うーん、この……」

 

 結果は……黒咲の勝ちだった。素良きゅん、言ってることが完全に悪役なんだよなぁ。ちょっとあそこまで酷い悪い顔されるとは思わなんだ。正直結構引いた。

 

 アクションフィールド破壊し過ぎでしょこれ。質量を持ってるんだから下手したら絶対死人出るってば。何なら素良きゅん最後に建物の崩落に巻き込まれて死んだと思ったし……意外と死人は出ないようにされているのかもしれない。怪我人出てる時点で大分アレだけれども。

 

 リアルソリッドビジョン……これ絶対軍事利用される技術でしょ。遊戯王世界やっぱりヤバいなぁ。

 

 と言うかまさか素良きゅん敵サイドなの? 発言は悪の組織そのものだったし。そうか……うん、あの子敵だわ(顔を思い出しながら)。

 

「……彼には、色々と尋ねたいことがある。彼が使っていたデュエルディスクも調べなければ」

 

 私には、社長が眼鏡をキラッと光らせる幻覚が見えた気がした。なんかこうあれ、悪役がよくやりそうな。

 

「彼って……素良ですよね?」

 

「ああ。応急措置が済み次第、彼をLDS本社へ移送する。彼の性格上、移送に抵抗する可能性がある。できれば寝ている間にひっそりと送りたいが……もし既に目覚めていた場合、君には彼の説得を手伝って欲しい」

 

 ああ、うん……しそう。ワカル。

 

 移送の手段は……って、車しかないか。ヘリで行くのが大穴だろうか。うーん、カプコン製程ではないにしろ落ちそうだなヘリだと……

 

「うん、分かったよ。今日の試合が全部終わったら行くね」

 

「ああ、頼む」

 

 

 

 最後の試合を見届けた後、私はその場を後にした。たしか、素良きゅんは会場内の医務室に運ばれたんだっけ。もう結構遅いし、ちょっと急ごうか。

 

「ええと……此処ら辺りの筈」

 

「おや、貴女は?」

 

 んあ? ……なんだ、ただの警備員か。

 

「ええと、私実は紫雲院素良の説得を……」

 

「ああ、貴方が零児様が言っていた……」

 

 ああ、よかった。ちゃんと指示が行き渡ってる。カリスマあるだけあるなぁあの社長。

 

「それでは向かおうか。今ちょっと迷ってて……」

 

 

「分かりました。それにしても……なんか静かですね」

 

 

 ……その発言はやめろ。怖いから。普通にギャグ抜きでもトラウマだから。

 

「う、うん……もう試合も終わりましたからね」

 

 当たり障りのない返事をしておく。

 

 

「ええ。もう暗いですし、昼間とはえらい違いですね。警備員も軒並み向こう側に回していますし……」

 

 

 ちょ、おま……それは中の人的に社長の仕事だろ!?

 

 

「ま、自分もそろそろ仕事の終わる時間ですし……もうそんなの関係ないですけどね!」

 

 

 おい馬鹿やめろ。銃撃は洒落になってないぞ!? ここ室内だけど……スナイプでもされるのか? それとも角待ちショットガンか!?

 

 

「え、ええと……じょ、上機嫌ですね?」

 

 

 あ、やべっ、間違えて乗ってしまった!?

 

 

「そりゃそうですよ! 皆も助かりますし、タカキも頑張ってたし! 俺も頑張らないと!」

 

 

 ああ、終わった……私今から死ぬわ。遺言今のうちに考えないと……

 

「ああ、着きました。この部屋で……あれ、扉が開いてる」

 

 たしかによく見れば横開き式の病院に良くありそうな感じの扉が開いている。と言うか、2人の警備員が中を覗こうとしている。しかも、中から声も聞こえてきた。

 

「……けてない……筈がない……今すぐ……せろ。今度こそ……」

 

 これは……素良きゅんの声だ。でも、独り言にしてはなんか違和感が……

 

 ……嫌な予感がするので私は扉から離れておこう。下手したらパラノイアよろしくドアが爆発するくらいあり得そうだし、6メートルくらい……いや、この際曲がり角から見守っておこう。その間に私を案内してくれた人を含めた3人の警備員の人達は部屋の中を覗いていた。

 

 ホラーだとこっそり覗いたりするのは死亡フラグだったりするけど……マジで爆発とか起こって死なないよね?

 

「そこで何を騒いで……!」

 

 ヒュン、と。すごいスピードで誰かが警備員達の間をすり抜けて、私の横すら通って行った。暗かったし、動体視力のない私にはあまりにも速かった為に見逃してしまった。

 

「待て!」

 

 素良きゅんは今出て行った何者かを追いかけようとしているようだ。まだ怪我も治ってないのに逞しいんだか……大人しく休むという選択肢はないのだろうか。

 

「まだ動いちゃいかん!」

 

「どけっ!」

 

 私は目撃した。まだ全快とは言えない身の素良きゅんが止めようとした警備員3人を薙ぎ倒す場面を。ぅゎぁ、しょたっょい……フィジカルモンスターだらけかデュエリストって奴はよォ!

 

「そこにいるのは先生!?」

 

「中に誰もいませんよ……」

 

「見りゃ分かるよ間抜け!」

 

 しまった!?

 

「ちょ、素良きゅんちょっと話を聞いて欲し」

 

「今あんたに興味ないから! くそっ、何処に行った……!」

 

 かはっ!

 

 私が心の内で吐血していると、さっさと素良きゅんは先程の何者かを追いかけて何処かに行ってしまった。

 

 うぐぐ……話を聞いて貰う隙すらなかった。仕方ない、一旦社長に連絡だ。無線はまだ繋がる筈。

 

「あー、あー、此方藤野明美! ごめんなさい、紫雲院素良を取り逃がしました」

 

『聞こえている……そうなってしまったか』

 

 なんか私の所為みたいになってない? 私は悪くねぇ! デュエリストとか言う猛獣を草食動物である私が止めれる訳ないんだよ!

 

「後、彼の部屋に誰かが侵入していた模様! 今彼はその人物を追っています!」

 

『……なるほど。その人物について何か情報はないか?』

 

 その質問について、実はその不法侵入者に対して心当たりがある。

 

「その人物が素早い動きで私の脇を通って行った際、その人の顔は分かりませんでしたが、嗅いだことのある匂いがしました。恐らく紫雲院素良の部屋にいたのは……ユートだと思われます」

 





デュエルは大体原作みたいな感じになっていたと言うことで……描いてもいいんですけどテンポアド失っちゃいそうなので今はカットします。
今後原作より成長したトマト達は描く予定なので許して……ユルシテ……
このペースでサクサク行かせてください(願望

先生の個人に対する所感的な何か

・遊矢
可愛らしい。青臭い。割と好み。
・柚子
可愛い。突っ込み力が凄い。割と好み。
・素良
見た目はめっっっちゃ可愛いぃぃぃ!!ただしゲス顔は普通に引く。
・遊勝塾の子供達
ありがとう。
・LDS召喚法コース3人組
ぐへへ……
・社長
まだ若いってのに……大変だね。見た目はすっごい大人びてるけど。助けないと(使命感)。
・零羅
彼の姿を見た時、私はアグニカ・カイエルの姿を見た。彼は……天使だ。まるでアグニカ・カイエルの伝説の一場面を見ているようだった。

おまけ 他の遊矢、柚子シリーズへの所感(まだ登場してすらない人いるけど)

・ナストラル
ふーん……埃臭いねぇ。
・主にネタの方で名前が知られている妹
なんか大人っぽい。これはこれでいいのでは?
・融合じゃない人
(無言で頷く)
・リン(緑髪妹大好きな情報屋の姉さんにあらず)
ふふ……あんた、良い女になるよ(眼鏡クイッ、髪の毛ファサッ、増Gスッ
・紫キャベツ
きぃぃぃ!生意気ぃぃぃ!でも良いぃぃぃ!
・槍サーの姫
おいおい、最高かよ。

好感度(一方的)ランキング
零羅、槍サーの姫と続く。残りは大体同じような感じ。

後書きでやってほしいコーナーってありますか?

  • 今日の最強カード
  • 次回予告と言う名のネタバレ
  • ややこしいルールの解説的なやつ
  • 没シーン集
  • 何も無くてええで

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