私は気ままにデュエルがしたい   作:紙吹雪

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ふふふ……デュエルが遠いです。

次回はデュエルに行きたいけどちょっと無理かもしんない。



41話

 

 私、実は枕が変わると眠れなくなるタイプの人間なのだ。だからこの世界……や、あの次元に来た当初は割と寝不足気味だった。割とすぐに馴染んだのは疲労があったからだな。寝付きも寝起きもお世辞にも良くなかったけど。

 

 だが、このベッドはやばい……人を駄目にするタイプのベッドだ。ここに寝転んだ瞬間に気が付いた。これは真冬の布団並みに手放したくなくなるような心地になれる。一生をこのベッドの上で過ごしても良いような気がした。テレビも付いてるしパソコンも遊佐が予備の奴貸してくれたし。

 

 

 私は足の筋肉痛を言い訳にして、遊佐と再開した次の日はずっと横になって過ごした。

 

 そして今、遊佐に怒られている。

 

 

「いや、昔より元気になったって言ってなかった!?」

 

「運動不足ならこんなものでしょ」

 

「うーん……少し外に出て運動しない? ほら、軽く散歩だけでも」

 

「やだ。降りるのめんどい。おやすみ……」

 

「んぐぐ……ま、いいや」

 

 遊佐は呆れたような顔をしているが私は一向に構わない。もうこのお布団とベッドと低反発枕が私の恋人でいい。なんとまあ素晴らしい逆ハーレム状態じゃないか。こりゃ他の女性に嫉妬の目を向けられちゃうねあはは。

 

「どうせ明日には強制的に外出してもらうことになるからね」

 

「……え?」

 

 私は遊佐のその発言を聞いて思わず枕から頭だけ起こした。遊佐は悪戯っ子みたいな表情をしている。こんのメスガキがよぉ……

 

「ど、どうして? 私のこと嫌いになっちゃった!?」

 

「……本気で言ってるなら歯茎に小骨を突き刺すよ?」

 

 なんて地味な嫌がらせなんだ……

 

「……えっと、その逃れられぬカルマについて詳しく聞きたいんだけど」

 

「カルマって……ちょっと、知り合いから呼ばれててさ」

 

「知り合い?」

 

 この世界の遊佐の知人か。ちょっとだけ興味はあるな。無理に会いたくはないけど。このお布団とお別れするのはあと5年は早い。

 

「ちょっとした酒飲み友達でね。実は、なんか次元超えてきた人がいるから相談に乗ってくれないかってさ」

 

「ふーん……うん?」

 

 まさか赤馬零児か? アカデミアとかの可能性もあるにはあるけど、もうそうならもっと遊佐は慌てる筈……そう言えばまだアニメでのこの後の出来事聞いてないな。それも併せて聞いてみるか。

 

「社長か? あと、忘れてたけどこの後アニメだと何が起こるの?」

 

「社長で合ってるよ。んーと、アニメの展開かぁ……スマイルカップってデュエルの大会が行われるよ」

 

 ほーん、デュエル大会ねぇ……うん、あんまり良い思い出はないね。

 

「あ、興味ある? バイクに乗りながらデュエルするんだけどさ……」

 

「出るくらいならバンジージャンプでもするけど?」

 

「私も明美には出て欲しくないかな……折角また会えたのに、怪我して欲しくないよ」

 

 遊佐、ありがとう。でも言い方が口説いてるみたいでちょっと反応に困るよ。私、そっちの趣味はない。断固としてないのだ。遊佐もそんな趣味はないと知っているけど。

 

「で、だ。私が相談に乗るぜって了承出す前にね、私も次元超えてきた人会ったよ〜って答えちゃった訳よ」

 

 遊佐口軽いな……酒の席だからある意味仕方ないかもしれないけど。

 

「そしたら相手方がその人も連れて来てって」

 

「えーと……うん、明日はちょっと腹痛の予定があるの」

 

「なんだその言い訳……相手、行政のお偉いさんだから仮に逃げたら私でも庇える保証は出来ないよ」

 

 ま、マジかよ……つーかどうやってそんな公的な権力を持ってる相手と友好結べたんだよ。

 

「うう……分かった行くよ」

 

「ならよろしい。あ、私は今日は仕事あるから」

 

 二連休貰ってるとか遊佐の職場ベリベリホワイトかよ……羨ましい。たしか、元の世界だと父親の仕事を手伝ってるって言ってたな。ええと……たしか遊佐の父は保険会社の社長だった筈だ。何と言えばいいか……娘居なくなってあの人悲しんでるんだろうな。一度だけ会ったことあるけど凄い親バカ気味だったから。母親の方はあまり記憶に残ってないから分からないけど、心配しているんだろうな。

 

「それじゃ行ってくるね」

 

「……うん、行ってらっしゃい」

 

 口から出たのは弾まない声で唯一の友人を見送るのには相応しくない声だった気がするが、遊佐は気にせずに部屋から出て行った。

 

 遊佐もきっと家族と会えなくなって何も思わなかった事はないだろう。心のどこかでは寂しさを感じているのかもしれない。いや、本当は私に会うまでずっと心残りだけど私の前ではそんな態度を面に出せないと我慢しているだけなのかも。

 

 

 だって、私の家族はもう既に……

 

 

 その後、私は用意されてた朝飯を食べてから何も考えずにベッドの上で横になって目を閉じて過ごした。寝心地が良かったお陰かすぐに眠ることが出来たが夢見はあまり良くなかった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

「あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛……」

 

「女の子が何て声出してるのよ。ほら、シャキッとする!」

 

「あーい……」

 

 私は後部座席で横たわ。遊佐は車を運転している。再開した日にも見たこの車、黒塗りの高級車なんだよね。まあ、ぶつかられる側よりかはおいゴラァ! 側の方がマシか。

 

「ほら、そろそろ着くよ」

 

「え、早くない? まだ出発して5分位しか立ってないと思うんですけど」

 

「この道は行政の人達が整備した道でね。私のマンションと直通出来るように調整して貰ったんだ」

 

 いや、マジでどう言うことなの? 行政に知り合いがいる友人とか遊佐じゃなかったら一目散で媚びに行くレベルなんだが。この世界に来て数年でとんでもないコネ作ってやがるよ。

 

 身体を起こして窓の外を見ると、如何にもな感じの建物が目に入った。なんか……近未来都市ってイメージがほぼ完全に一致している建物だった。この世界の技術はどうなってるんだか。

 

 車をそこら辺に停めて私と遊佐は建物の入り口へと歩いて向かう。駐車場とかないみたいだけど平気なのかな……まあ遊佐のことだし多分大丈夫かな。

 

「やっほー、あんたらの上司に呼ばれて来たよん」

 

 入り口に立っていた2人の警備員らしき人に遊佐はこれ以上なく気軽に話しかける。おいおい、その話し方で本当にいいのか?

 

「ど、どうぞ此方へ!」

 

「お通りください!」

 

 ……私の気の所為じゃ無ければちょっと怯えられてないか?

 

「うむ、職務ご苦労様ってね。行くよ明美」

 

「お、おう……ねぇ、なんか怯えられてなかった?」

 

 建物に入ってすぐに見えたエレベーターに乗りながら私は素直に疑問を口にしてみた。遊佐は聞かれたことは大体答えてくれる性格だから。まあ時々おふざけが入ることもあるけど。ちなみにエレベーターは最上階に向かうらしい。

 

「あー、それね。昔セクハラして来た奴がいたのを返り討ちにしたんだけどね」

 

「あ、そう……まあそんなおへそ丸出しにしてたらそりゃね」

 

 言い忘れてたけど遊佐は未だに腹筋丸出しの露出が激しい服装をしている。幸い(?)まな板みたいな胸筋をしているので痴女らしさはやや薄いが、何故かマフラーとサングラスもさも当然のように着用している。正直不審者にしか見えないんだけどいいのだろうか?

 

「まあ、私が鍛えているってことを見せつける為だねそれは。んで、そのセクハラ野郎を背負い投げして壁に埋めてやったのを見たからじゃないかな?」

 

「うん……うん?」

 

 ……この建物って何製なんだ? いや、ギャグ漫画にしてもどんな筋力してるんだ遊佐。たしかに高校生の頃から腹筋は割れてたけど流石にちょっと何かがおかしい気がする。少なくとも一般人がサラッと出来ることじゃない。

 

「いやぁ、アニメでクマを一頭伏せてターンエンドってネタが合ってね? 私もこの世界に来たんだから鍛え続けたらそのくらいできるようになるんじゃないかなってずっと鍛錬を続けて来た成果だね」

 

 遊佐満面の笑みを浮かべながら謎の筋肉主張のポーズを取る。そんなポーズみたことないけどジョジョ立ちか何か?

 

「……そうか」

 

 誰か返事を出来た私を褒めろ。隣にフィジカルモンスターがいるエレベーターの中でこんな事できるのは私くらいでしょう?

 

 そうこうしているとエレベーターは最上階についた。やっとか。まあ外からみたら相当高かったしな……

 

「さて、到着っと! じゃ、行ってみよ〜!」

 

「はいはい。あー……」

 

 これからお偉いさんに会うのかぁ……辛たん。幾ら遊佐の知り合いとは言えどもちょっと身体が思うように動かないなぁ。あ、それはまだ筋肉痛が続いてるからだった。まだ足がやや痛むよ。

 

「頼もー! いつもニコニコ貴方の後ろに這い寄る混沌、外神ナイアルラ! 重ねて外神アザトート! ここに見参!」

 

 ハイテンションでドアを思いっ切り開けながら意味不明な事を叫ぶ遊佐から、私はそっと目を逸らして今からでも何とか赤の他人の振りが出来ないか模索していた。部屋はだだっ広くて何の用途に使うのかイマイチ思い付かないような内装だったが、私が知っている奴もいた。

 

 

 遊矢くん達だ。

 

 

 おい、聞いてないぞ遊佐。先に説明しろよっ。社長からランサーズを結成してシンクロ次元行くよーとは聞いてたけどさ!

 

「貴女は……確かキングの秘書の」

 

「遊佐でーっす! いやぁ、元気してたかいセキュリティの長官殿ぉ? それにしてもわたしゃそっちの方々に呼ばれて来たのになんで貴方がいるのか……全然これっぽちも分かりませんねぇ!」

 

 最早胡散臭いを通り越して売れない道化師みたいになっている遊佐だが、付き合いが長かった私には分かる。あの、鷲鼻の金髪で前髪が後退している長官と呼ばれた人物。今は澄まし顔をしているがなんか内心怒ってそうだ。

 

 遊佐は彼に強い敵意を持っている。

 

 

 ……いや待て、キングの秘書ってなんだ? そう言えば遊佐の仕事について聞いてなかったけど、芸能人のマネージャーみたいなものかな?

 

 





キングは芸能人だった……?

明美「トランプの柄が私達になったトランプセットが発売されるんだって。誰がどの数字やる?」
ジャック「キングは1人、この俺だ!」
遊佐「では、私はクイーンだ!」
明美「ジャックはアトラスさんだね」
遊佐「って、キングとジャックは兼役なんかーい!」

どっ

みたいな……
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