私は気ままにデュエルがしたい   作:紙吹雪

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流石に今回はデュエルできるやろ……そう思っていた時期が私にもありました(ごめんなさい次回はデュエルします)。

最初は遊佐視点、エキシビションで遊矢がゴム頭ポン太郎した直後くらいから。




43話

 

「勝ったのは勿論我らが絶対王者、ジャック・アトラス!」

 

 

「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」」」

 

 

「遊矢!」

 

 王者への大歓声がスタジアムに響く。彼への絶大なる人気が人々を熱狂させているのだ。相変わらずこの世界の人達はエンターテイメントがお好きなようで……私もスキッ。

 

 ジャックコールが繰り返される中、敗北者である榊遊矢を心配する女の子が1人。

 

 柊柚子だ。背後にはユーゴくんもいる。

 

 意外と簡単に見つかっちゃった。私ったらラッキー!

 

 最悪スタジアム中を全力ダッシュで駆け抜けて探すつもりだったけど、そんな必要なかったんだぜ。良かった良かった。

 

 おっと、あの長官の手の者ことセキュリティの方々も発見。さて、確保させられる前にっと。

 

「へい嬢ちゃん! まずうちさぁ……屋上あるんだけど焼いてかない?」

 

 私は気配を消して柚子ちゃんの背後まで一瞬にして辿り着く。そして後ろから肩をポンっと叩く。柚子ちゃんは勿論ユーゴくんもびっくりしてくれた。心にゴーストリックを飼ってる者としては嬉しい反応だね。

 

「うおっ!?」

 

「へっ? い、いつの間に……誰ですか貴女は!?」

 

「ふふふ……なんだかんだと言われたら、答えてあげるが——」

 

 

「いたぞ」「あそこだ」「確保する!」

 

 ちぃ、せめて全部言い終えてから割り込めってんだ。空気読めよこんにゃろ!

 

「わっ、何!?」

 

「なんだなんだ?」

 

 取り敢えず困惑している2人を背中にセキュリティ達と相対する。ここで長官にこの子達を渡す訳には行かないね。

 

「やはっ! どーもどーも長官……セキュリティのクソ犬共、ごきげんよう! 私の前までやって来た褒美に死をやろう……と、言いたいところだけど人目も多いし辞めてあげよう。さ、とっとと去るんだな。お前達にも家族がいるだろう?」

 

 私は挑発してセキュリティ共の注目を私に集める。私も顔は念の為隠しているけどこの人混みの中目立ちたくはないからね。ジャックに注目が集中しているけどね。

 え? サングラスにマフラーしてヘソだしルックの格好とか絶対目立つだろうって?

 いやいやいや、変な髪している人達と比べたらまだマシ……いや、マシなのかな?

 

 まあいいや!

 

「このっ……貴様! キングの秘書で行政評議会にも気に入られているからって調子に乗りやがって!」

 

 うん、効果覿面だね★

 

 案の定激昂して襲い掛かるセキュリティの頭を私は片手で鷲掴みにした。

 

 私が力を込めると少しメキメキと嫌な音が聞こえてきた。やっぱり人の頭って頑張れば割れるんだよね。

 

「あがあぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

「はい、ごめんなさいは?」

 

「ごめんねさ……あだだだだだ!?」

 

 全部言えなかったからやり直し……と言いたいところだけど流石に人殺しは経験したくない。私は彼を離してやった。

 

「それじゃ、2人は貰って行くね〜」

 

「くそっ……覚えてろ!」

 

 よし、ちゃんと撃退出来たね。さぁて柚子ちゃんとユーゴくんを宿舎に案内しないと……ってあれ?

 

「いない……」

 

 馬鹿な、まさか逃げたのか! 自力で脱出を!? いやいや、そんなこと言ってる場合じゃないよ何処だ何処だ……

 私は必死に辺りを見渡した。幸い私の視力は2.0以上あると自負している。

 

 ……よし、見つけた。なんか柚子ちゃんがユーゴくんの手を引いて逃げてる。普通逆じゃない? まあいいけど。

 

 私は先回りして柚子ちゃんを待ち伏せする。デュエルホイールならともかく生身で私から逃げられる訳がないんだよなぁ。

 

「やっほーさっきぶり!」

 

「うぐっ、先回りされた!?」

 

「だから聞けよ柚子! この人はなぁ……!」

 

 おっとユーゴくんは私をご存知な様子。まさか、正体がバレた……ってコト!?

 いやまあ騒がれなきゃいいけど。まだスタジアムには歓声でうるさいから多少大きな声も掻き消されるだろうし。

 

「やあ、2人とも。私は遊佐って言うんだ。えっとね、この大会の参加者を宿舎に案内する係の人なんだ」

 

「は、はぁ……そうなんですか。てっきり変質者かと思って逃げちゃいました」

 

 失礼な。格好良いだろうにどう見ても。

 

「……なぁ、あんた。もしかして、遊佐ってあの東堂遊佐なのか?」

 

「ふっ……その通りさ」

 

 ユーゴくんの質問にも素直に答えた。これでも結構控え目に活動しているつもりなんだけど、いやぁ人気者は辛いっすわ(髪の毛ファサッ

 

「お、おおぉぉぉぉ! すげー、あのクイーンと生で会えるとか……! あの、サインとか貰えますか?」

 

「いいよいいよー」

 

 私は懐からサイン色紙を取り出してサインしてユーゴくんに渡した。ユーゴくんは子供のようにはしゃいで喜んでいる。まあ、実際子供と言える年齢か。何より私の性癖センサーにビビっと来てる。この子は守備範囲内だ……と。

 

「ちょ、ちょっと……この人何者なの?」

 

「この人はキングの秘書でデュエルの解説なんかもしている超有名人さ!」

 

「いやぁ、照れるなぁ」

 

 ほんとはデュエルで成り上がろうと思ってたんだけど、そっち系でも行けちゃったんだよね。案外どうにかなるものだ。

 

「この人もコモンズ出身でさぁ、キングと同じ時期に名前が売れて……キングの次に俺の憧れなんだ!」

 

「えへへ、そんなこと言っても何も出ない……ん?」

 

 なんか行政評議会からメッセージ届いた。なんだろ……

 

 

『おう、はやくしろや( ^ω^ )』

 

 

 やだ、私の教えた顔文字を活用していらっしゃる……!?

 

 やっべ。これ絶対怒ってるわ。はよ頼まれた仕事終わらせよ。

 

「あー、おほん。とにかく2人を案内させて貰うよ」

 

 うん、そろそろ真面目にやろう。さもないとサンダー・ボルトが落ちる。

 

「ちょっと待って、遊矢は……」

 

「ああ、ごめん。質問に答えてあげたいのは山々なんだけど今上司に脅されてて……」

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 私は東堂遊佐。何処にでもいる普通の女の子だったんだけど、ある日酔い潰れて終電に乗ったら遊戯王世界に来ちゃったんだ。

 

 なんで?

 

 知らん。

 

 でもまあ割と適応してそれなりに楽しくやっていけてる。この世界にきた当初は空前絶後の階級社会に戸惑うこともあったが、なんだかんだ人は慣れる生き物なんやなって……

 

 それに、原作開始前の時間軸に来れたのも運が良かった。下手な時期に来たら次元融合に巻き込まれてなんかヤバいことになりかねん。

 ズァーク……やっぱりこの世界にも存在しているんだろうなぁ。できれば奴は是非とも眠ったままにさせたい所存。

 

 今は色々あってキングことジャックの秘書やったりデュエルの解説を生業にしている。

 

 当初はメリッサと揉めたんだっけ……自分の方が歳上で先輩なのに知名度も知識も全部私の方が上回ってたからか地味にうざ絡みされた。

 まあ、そりゃ嫉妬されちゃうよね……私、スレンダーだけど美人だもんね。胸は無いけど。

 

 胸は無いけど。

 

 胸は無いけど。

 

 ……

 

 まあ、一緒にお酒酌み交わして全部感情吐き出してもらったらあっさりと仲良くなれちゃった。やっぱり飲みニケーションの汎用性を……最高やな!

 

 今では私の事を慕ってくれている。生憎タイプではないから恋愛対象ではないけどまあそこそこ仲良くやれている。たまに野獣の眼光みたいな視線をこっちに向けてくるけど。

 

 元ジャック……じゃないや、現キングことジャック・アトラスとは何と言うか……ビジネスパートナー?

 第三者が見るとすっげードライな感じかな。あの人感情を面に出すの苦手と言うか本心を伝えるの下手くそなんだよな。

 原作でもその所為で一部のコモンズから嫌われてたし。一応私がフォローはしたけどやっぱり彼とコモンズとの溝は深いままだ。

 

 あいつなぁ、もうちょい素直になれよ全く……カバーに回る私の気持ちになってみろってんだ。

 

 いつか原作が始まる頃に上手くやれるように行政の人達とも交流できた。何かイレギュラーなことがあっても柔軟に対応できるように。ただ、セキュリティに関しては全然手が回らなかった。あの長官、目的は小物臭がするのに中身結構有能なのが面倒だわ。

 

 だけど、奴との衝突は避けられる訳もなく。どうしようかと頭を悩ませていた。

 

 そんな時だったね……私の友人である藤野明美と再会できたのは。

 

 あの子とまた会えてとても嬉しかった。最後に彼女を見たのはもう数年前だったから……正直涙を見せないように必死だった。多分、明美にはバレてない筈だ。これでも私、内心を隠すの得意なんだから。

 

 初めて明美と出会った頃と比べると見違えるようになった。特に、虚弱だった身体が良くなっていて本当に良かった。

 以前は、学校に登校することすら満足に出来てなかったから。

 

 一応仲直りも出来たし、嬉しい誤算だったよ。まあ、私の所為でフレンドシップカップに出場させられることになっちゃったけど……

 

 セルゲイはなんとか再起不能に出来たし原作よりも事態が悪化することはないだろうと思ったけどまさかこんなことになるなんてね。あの1枠どうするかセルゲイを始末した後に考え出したからなぁ。

 

 明美の身体の弱さを1番知っているのは私だ。幼少の頃から私は明美を見てきたんだから。

 

 だから、こんな危険な事をやらせたくなかった。私は全てを投げ出してでも貴女を助けるべきだった。

 

 もし貴女が危険な目に遭いそうになったら私が助けるから。

 もし負けても地下収容所まで助けに行くから。

 

 だから心配しないで明美。私は何処までも貴女の味方だから。

 

 私は着慣れてなさそうなスーツを着込んでデュアルホイールに跨る親友を見つめながら、どうか彼女が怪我しませんようにと祈っていた。

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

 わーお、スタジアムに人がゴミみたいに詰まってらぁ。

 

 こんな大勢に囲まれてデュエルするのは流石にちょっと緊張するかも……その緊張が仇になって事故る未来が一瞬見えた。いやだなぁ……事故りたくないなぁ。

 

 デュエルホイールに乗ってからもネガティブな考えが堂々巡りしちゃうな。我ながら無理もないとは思うが。

 

「さあ、次の試合は第七試合! 第一回戦も残すところ残り2試合になりました!」

 

 メリッサさんとやらがすげーハイテンションで実況してくれている。

 頑張っているみたいだなぁ……あ、隣に遊佐もいる。

 

 これまでの試合の結果は……うん、正直いつ私の番が来るのかとビクビクしながら見ていたからかあんまり記憶がない。

 

 まあ流石に勝敗や使用デッキの大まかな内容くらいは覚えてるし多分平気かな……多分。

 

「さあ、今回の出場選手は〜……デイモン・ロペス! そして〜……藤野明美ぃ!」

 

 彼女のその言葉で私はスタジアムへと入場する。いやぁ、これ普通に緊張するなこれ。

 

「そう言えば、今回戦う藤野明美選手。出場選手紹介の時に遊佐さんが友人だと言っていましたよね?」

 

「ええ、たしかに藤野明美選手は私の友達です。ですが、だからと言って決して贔屓はしませんよ? 平等に見ますとも」

 

 うわっ遊佐が清楚な喋り方してるきもっ。なんかこう、鳥肌が立った。

 

 そして遊佐はすごい人気らしく、遊佐が喋っただけで歓声があがる程だ。黄色い歓声の方が心なしか大きく聞こえるのは気の所為だろうか?

 

 私がそんなことを考えていると、対戦相手の……名前なんだっけ? ええと、たしか……思い出した、デイモン・ロペスだったかな。そいつが話しかけてきた。

 

「遊矢から聞いたぜ。あんた、あいつの先生なんだって? アクションデュエルでは負け無しだったそうだが……ライディングデュエルだとどうかな?」

 

 へぇ、遊矢くんがねぇ……変な事吹き込んでないだろうなあいつ?

 

「……ふふ、答えはもうすぐ分かるんじゃないかな?」

 

 答えは適当にお茶を濁しておくことにする。変に返して傷付く反応されたくないし。

 

「それもそうだな。ふ、負けても文句は言うんじゃねぇぞ!」

 

 仮に私が負けたら多分文句撒き散らしてもうデュエルなんてこりごりだ〜っていいながらエンディングに入るのを希望する。

 ギャグ展開ならなんかこう……許されない? ま、そうならないように努力はするけどね。

 

「では、早速アクションフィールドオン! 『クロスオーバーアクセル』!」

 

 メリッサがそう言い終えると前方に数字が現れた。これは……カウントダウンか。

 

 って、あと3秒で走り出すのっ!? ちょ、おま、心の準備が……っ!

 

 

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」

 

 ……ええい、やったらぁ!

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

 





Q.クイーンってお前絶対感想欄参考にしただろ!
A.そうだよ(素直)

なんかそれっぽかったので採用されました。


ちなみに遊佐はメリッサがヘリを飛び降りるシーンで一緒に降りてますが彼女は何も使わず生身で着地しました(強い)。
そのシーンを文字数の関係でカットせざるを得ないのが残念ですね。
他にも遊佐の解説役とか描きたかったんですが……うん、いつか番外編でやることにします。

エーリアン、好きなカテゴリなんですけどデイモンくん原作での使用カードソルジャーだけとかマ?
多分彼のデッキは結構捏造されると思います。
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