私は気ままにデュエルがしたい   作:紙吹雪

46 / 65


宣言通り、最初は前回遊佐がこっそり消えて裏でやっていたことから。

……の、筈でしたがぁ!

ちょっと長引いたので1話分書き切ることにしました。
その結果短めにはなっちゃいましたけど。
しかし、そこでは遊佐が大活躍していた!




45話

 

 シティの地下……そこには地獄とも形容されるゴミ処理施設が存在していた。

 

 阿鼻叫喚がひしめく監獄よりも酷い環境に……私、東堂遊佐は足を踏み入れようとしていた。

 

 ちょっと確認したい事があったからね。大会の途中に抜け出しちゃったけど大丈夫なのか不安だけど……ま、メリッサなら多分平気でしょ。私が居ないのを良い事に陰口叩いてそうだけど。そこら辺りがある意味愛おしくもあるけどね。

 

 丁度2人の巨漢にロズウェル事件みたいな持ち方されて地下収容所エレベーターに乗せられそうになっている沢渡シンゴ君を見かけたので話しかける。よしよし、ここまでは予想通り。

 

「よぉ、元気に仕事やってるかい?」

 

「お、お前はっ!?」

 

「おいっそこのなんか見覚えがある女、俺様を助けろっ!」

 

 あ、うん。この人原作と全く変わらないね。まあ寧ろそれが癒し要因ですらあるね。シリアス続きだった展開があいつ出て来ただけでちょっと和んだのを覚えている。

 

 一先ず沢渡君は無視して巨漢と対話を試みる。

 

「……貴様、実況席にいる筈じゃ」

 

「ごめんごめん、ちょっとそこに用があってね?」

 

 私はそう言ってすぐそこにあるエレベーターを指差す。これで意図は伝わるだろう。

 

「……それは流石に貴女とは言え出来かねます」

 

「まあまあそう言わずに。ね?」

 

 私がそうお願いしてもこのガチムチのおっさん2名の表情は芳しくない。いや、逆にこれは……

 

「おい、お前はそいつを持ってろ。へっ、こんな細い女俺1人でも……」

 

 あー、やっぱりか。ロビン長官も部下の教育がなってないね。まあ、こいつらは末端なんだろうけども。

 

 

 ——さて、先に敵意を見せたのは相手だ。私はあくまでもとても温厚な性格だからね。何もしてないのにこっちから仕掛けるような好戦的な奴じゃないの。

 

 

「へっ、こんな女があのデュエリストクラッシャーを倒したなんてきっと冗談に違いない。ここでとっちめて褒美を貰ってやらぁ!」

 

「全く、図体しか取り柄のないトーシローばかりよく揃えたものだね——」

 

 私は予備動作無しで……腕捲りをしていた巨漢の金的に無言の上蹴りを放った。

 

 

「アアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァィァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!??!?」

 

 

「「ひえっ……」」

 

 

 うん、もう1人の巨漢と沢渡君は俗に言う……かはどうかは知らないけど玉ひゅんとか言われるやつをしているようだ。

 

「——ただのカカシですね。ジャックが見たら彼も笑うでしょう」

 

 私がそう言って微笑みを浮かべつつ、アソコを抑えて蹲っている男の背後に立つ巨漢にもう一度要求する。

 

「さて、もう一度言うよ。そこのエレベーターに私を乗せてくれ。行きと戻りで2回な。別に上に報告してくれても構わない。ついでにそこの不運にも何故か突然大事な部分に激痛が走ってしまったそいつの慰謝料も後で払おうじゃないか?」

 

 私はそう言いつつ右足をプラプラと揺らしてやる。すると巨漢は敬礼のポーズを取って私の願いを了承してくれた。何故か沢渡君をつられて敬礼していたのは見ててちょっとふふってなった。別に君まで脅そうとしてなんか……いや、まずこれは脅しではなくてただのお願いだよね。

 

 呻き声を上げながらまだ無事な方の巨漢に呼ばれて来た者達に担架に乗せられていく哀れな男を尻目に私達3人でエレベーターに乗り込んだ。やれやれ、何事もなく予定通りに事を進められて何よりだ。やっぱり平和が1番だと心から思う。

 

「おい……あいつは大丈夫なのか?」

 

「ん? ああ、平気平気。加減はしたよ」

 

 私が本気で蹴ったら確実に再起不能だろうけど、今回は精々しばらく安静にしてたら治るだろう程度に力を抜いた。未だに怯える巨漢にそう返しつつ私は屈託のない笑みを浮かべる……しかし、何故かもっと怯えられてしまったように思える。何故だ、こんな無邪気で素敵な笑顔を見せたのに。金取るぞ?

 

「お、おい。お、脅されてもこいつの身柄は渡さないからなっ」

 

 こんな美女と一緒にエレベーターに乗れて緊張しているのか、巨漢は沢渡君を指差してそう言う。うーん、流石に自分の役割は放棄しないか。

 

「心配しなくても、別にそんな気は一切無いよ」

 

 原作だと確かこの後オベリスクフォースの襲撃のいざこざに紛れてシンジ達が反乱を起こすから。その日までの辛抱だと伝えたいが、沢渡君がうっかり口を滑らせて変な行動を取らせて失敗する……なんて事があるかもしれないし黙っておこう。

 

「……」

 

「ひっ……い、いやいや! 俺様は全然ビビってないぞ!」

 

 ふふ……やっぱりこう言う子はいいね。とても。

 

 おっと、到着したらしい。エレベーターの扉が開き、あまり愉快ではない光景が私の視界を埋め尽くした。

 

「やれやれ、ここは相変わらずか……」

 

 私だけでこんな酷い施設を抹消させるのは不可能だからと放置していたけど……ちょっと後悔するな、こう言うの。たしかに罪を犯した奴もいるけど、無実の罪を着せられた奴や嵌められた奴もいる。丁度、フレンドシップ大会に出場していたランサーズのように。

 

「……何をするつもりか知らんが、変な真似をするなよ」

 

「はいはい。ええっと、ギャラガは……っと、いたいた」

 

 あ、デュエルチェイサー227君が迫真の虐待受けてる。原作通りで良かった……いや、良くはないけども。見てて気分は良くならないよ。私、そんなサディストじゃありません。

 

「おーいギャラガー」

 

「あん? なんでお前がこんなところに……」

 

 ギャラガの側には既に負けた権現坂君と徳松長次郎、それにギャラガに見い出されたデュエリスト達がいた。ふむ、私の知らない事が起きていないようで何より。

 

 肝心のギャラガは私を見て驚いたような嫌なような顔をしている。

 

「あんたはたしか……」

 

「あ、どうもどうも! 貴方の心臓をブレイクハート! ハートクラッシャーこと東堂遊佐ちゃんです! きゃぴ♡」

 

 そう言いつつ幼い頃テレビで見たうろ覚えのプリ○ュアでやってたポーズを私は披露する。

 

 ふっふっふ、この私がこの地獄にとっての清涼剤となるのだ! ちょっとここ汗臭いしそっちの意味でも清涼剤が欲しいけど。

 

 と、思っていたのだけれど……何故かここにいる全員が私を見て「うわぁ……」って思ってそうな表情をしている。もっと正確に言い表すなら……ドギツイ物を見せられたかのような反応だった。

 

「おいギャラガ。ここにいる者の教育はどうなってやがるよ?」

 

「俺に言われても困るんだよ! 頼むから他所へ行け!」

 

 本気そうな口調でギャラガはそう言うが、用事を終えるまで私は帰らんぞ。塩を撒かれようが爆弾で脅されようがな。

 

 私がギャラガに話をしようとすると、先に権現坂君が私に対して質問してきた。

 

「お前はたしか、あの時先生の友人とか言う……あと、大会を実況していた人だったな」

 

「うん、そうぁよー権ちゃん」

 

「ご、権ちゃん!? お前まで俺をそう呼ぶのか!?」

 

 うん、この子も変わらないね。あ、そうだ。ついでに聞いとくか。

 

「ねーねー、君って明美のこと知ってるんでしょ? 塾での様子とか教えてくんろ?」

 

「む……何故そのような事聞くのだ?」

 

「本人から聞けよって事かな? それがねぇ、明美ったら恥ずかしがって教えてくれないのよね」

 

 全く……初めて出会った頃と比べれば大分人間味が出てきたようで嬉しいけど、私としてはやっぱり気になっちゃうんだよね。

 

「あ、ああ……俺は遊矢とは違う塾出身だったがたまに授業に参加していたのだが……」

 

 権ちゃん曰く、実際にデュエルしながら教えることが多かったらしい。デュエルの相手は主に遊矢君がやっていたそうだ。たまに柚子ちゃんや権ちゃんもやっていたみたいだけど。

 

「ふーん……なるほどね。意外と元気そうにやっていたようで良かったよ」

 

「むむ……しかし、何故貴方のような御仁がこのような場所に?」

 

 おっと、ここに来た本来の用事を忘れてた。まずは……

 

 私は唐突に用意していたダーツをとある場所目掛けて投げ付けた。

 

「シッ!」

 

 投げ付けたダーツは私の狙い通りの地点に突き刺さった。

 

「ど、どうしたんだ急に?」

 

「いや……誰かに見られているような気がしてな。まあ気の所為でしょ」

 

 私はそう言いつつも原作で月影が隠れていた物陰を見つめる。彼ならきっとダーツに括り付けておいた手紙に気付けるだろう。あいつ有能だし。

 

 さて、あと残る用事は1つ。

 

「さてギャラガー。お前に聞きたいことがあってわざわざここに来たんだが」

 

「けっ……何だ?」

 

 ふん、こいつは相変わらずだな。まあ私に若干の非はあるけど。

 

「ギャラガさん……この女の知り合いなんですかい?」

 

「げっへっへ……かなりの美女みたいですが」

 

「おい馬鹿、こいつに手を出すな。文字通りに地獄行きになるぞ」

 

 失礼な。私、誓って殺しはやってません。

 

「はぁ、こんな細そうな女がですかい? まあ、腹筋はたしかに凄いですが……」

 

 ふっ……こんな奴の取り巻きにも少しは見る目がある奴も居るみたいだ。

 

「げっへっへ、でもこの女……貧乳だな」

 

 私はその言葉を吐いた奴にゆるりと歩いて近付いて顔を鷲掴みにした。

 

「ファッ!? 女、いつの間に……ぐべら!」

 

「全く、下品な奴め……」

 

 私は掴んだ男をひょいっとゴミの山場に投げて両手をポンポンと払い、改めてギャラガーに向き直る。投げた男は見事にゴミ山てっぺんに突き刺さった。

 

 権ちゃん達からなんだあの女強過ぎだろ霊長類最強かよみたいな声が聞こえてくるけど無視した。このくらいデュエリストなら出来ても不思議では無い。熊を一頭伏せるよりかは軽い軽い。

 

「それで、聞きたい事なんだが……」

 

「はぁ、なんだ?」

 

 

 

「……セルゲイ・ヴォルコフがどうなったか知ってるか?」

 

「……お前、よくもまあいけいけしゃあしゃあと」

 

「いやいや、私がぶちのめした後の事だよ。再び此処に来たりしてないかい?」

 

「知らん。そもそもお前が奴をノックアウトしてからは行方知らずだ。長官なら知ってるんだろうがな」

 

「……そうか」

 

 あの後、シティの病院とかをコネも使って探ったけど……何処にもアイツは見当たらなかった。ここにも来てないとなると、まさかまだ……

 

「……分かった。それじゃ、用事も済んだし帰るよ」

 

「おう、とっとと帰れ。次来たら塩撒いてやる」

 

 嫌われ過ぎワロタ。まあいいけど。

 

「それじゃね〜」

 

 私はとっととエレベーターへと戻った。そろそろ明美、試合終わらせたかな。一応録画はしておいたけど……

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

 

「零児殿。この手紙を……」

 

「これは何だ?」

 

「例の女性……東堂遊佐が地下の施設へと踏み込んだ際に周りの者に悟られぬよう渡して来た物」

 

「ふむ……」

 

 

『この手紙を赤馬零児へと渡して欲しい。

 貴方に伝える。ジャン・ミシェル・ロジェは融合次元の者だ。

 大体の事情は明美から聞いたので知っている。

 既に知っているかもしれないが警告はしておく。

 柊柚子の身柄は私もなるべく気を配っておきます。

 私はどんな時でも明美の味方だと決めている。

 貴方が明美の味方なら私も貴方の味方だと言う事を忘れないで。

 ロジェ以外の融合次元の者達にも注意して欲しい。

 奴等はいつでもこの世界を襲いに掛かるか分からないのだから。

 

 追伸:零羅君を私にも後で撫でさせて欲しい』

 

 

「……なるほどな」

 

 赤馬零児は1人、頷いたのだった。

 

 






赤馬零児「あの2人ともそう言う趣味なのだな」


この人、デュエルよりも暴力の方が万能だと思ってる……
如くの世界から来たのかい?
8も発売されるらしいし……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。