私は気ままにデュエルがしたい   作:紙吹雪

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お久し振りです。
半年以上待たせてしまっただけでも申し訳ないのに、今回は柚子ちゃん視点からVS先生(?)とのデュエルになります……
遊佐と素良きゅんのデュエルに関しては構想から書き上げる時に問題点とか色々浮上したので、機会があれば47.5話として書かせてください……
戦犯は前回のホープカイザーの効果を通してタイタニック出させた事。アレの所為で禁じられた一滴が使えなくなった



48話

 

「本日の最初の試合はなんと、女性デュエリスト同士だ〜!」

 

 まさか、先生と当たる事になるなんて……大丈夫かしら。

 勝てるかどうかってのもあるけど、1番の心配は先生の身体だ。

 

 塾で講師をしてくれていた時は、階段を少し登っただけで息を荒げていた。

 少し外を出掛けて帰って来たら、筋肉痛で腰を痛めて泣き喚いていた。

 箪笥の角に足の小指をぶつけた時なんて、しばらく悶絶して授業の開始が十五分遅れた。

 運動音痴な先生に、果たして危険なライディングデュエルが務まるのかな。

 

 そう思っていたけど、昨日のデュエルを見る限りは割と余裕そうなのよね。

 だから、私も全力でぶつかって行こうと思う。

 アクション部分では私の方が慣れてるんだし、頑張らないと!

 

「今日はよろしく、先生」

 

 デュエル開始前。

 私達はスタート地点に並ぶ。

 隣の先生に話し掛けるが、返答がない。

 おかしいわね……先生なら、寧ろ話し掛けてくると思ってたのに。

 

「……ヒヒッ……ヒッヒヒ……」

 

「先生……?」

 

 先生は俯いた状態で表情が窺えない。

 よく見ると、昨日被っていたのとは異なるヘルメットだわ。

 微かにだけど、たしかに私の耳に先生の発した小さな笑い声が届いた。

 

 ……先生ってこんな感じに笑ったっけ?

 いや、割と笑ったような。

 

 って、いけないいけない!

 そろそろデュエルが始まるわ、今は集中しなきゃ!

 

「アクションフィールドオン! 『クロスオーバーアクセル』!」

 

 

「ライディングデュエル、アクセラレーション!」

 

 

「「デュエル!!」」

 

 

柊柚子 LP 4000

 

藤野明美 LP 4000

 

 

 先生を相手に先攻を取らせるのは不味い……

 ここは、無理をしてでもっ!

 

 私はアクセル全開で第一コーナーを目指す。

 対する先生は……

 

「……」

 

 物静かだ。

 いつもなら騒いでる姿ばかりな人なのに。

 やっぱり、何か違和感が……

 いや、今はデュエルの方を優先しないと。

 

「コーナーを先に曲がったのは、柚子選手だ〜!」

 

「っ、先攻は私ね」

 

 バイクに乗ってデュエルを行うのにも、段々と慣れてきたみたい。

 この手札なら、まずは……

 

「私は魔法カード、独奏の第1楽章を発動! このカードは自分のフィールドにモンスターが存在しない時に発動でき、手札またはデッキからレベル4以下の幻奏モンスターを特殊召喚する! 私が特殊召喚するのは、幻奏の音姫ルフラン!」

 

 

「おっと、これは1回戦では見なかったペンデュラムモンスターだぁ! ってあれ、セッティングせずに召喚しちゃうの?」

 

「召喚した方が活きるモンスターなんでしょ。少しは頭を回したら?」

 

「昨日も思ったけど、なんか私の扱い酷くない!?」

 

 実況がうるさいわね。

 ……不本意だけど、騒がしいのには慣れてる。

 

「ルフランのモンスター効果! このカードが召喚・特殊召喚した場合、デッキから幻奏モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏の音姫クープレ。さらに、クープレの効果発動! このカードが通常のドロー以外の方法で手札に加わった場合、このカードを相手に見せることで、手札・墓地からレベル4以下の幻奏モンスター1体を特殊召喚できる! 私が特殊召喚するのは、手札の幻奏の音女タムタム! さらにさらに! タムタムの効果も発動するわ!」

 

 

「おお、流れるようなカード裁きです!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「幻奏モンスターが存在し、このカードが特殊召喚した場合に発動でき、デッキ・墓地から融合を1枚手札に加えるわ!」

 

 よし、これで準備は整ったわ。

 先生に私の今までの努力の成果、見せつけてあげる!

 

「私は魔法カード融合を発動! 私が融合するのは、幻奏の音姫ルフランと幻奏の音女タムタム!」

 

 本気で行かせてもらうわ……!

 

「繰り返す輪舞よ! 魂の響きよ! タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台に素晴らしき歌を! 幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ!」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2500

 

 

「スペクタキュラー・バッハのモンスター効果発動! このカードが特殊召喚した場合、デッキから幻奏モンスター1体を特殊召喚できる! さらに、この効果にチェーンして墓地に送られた幻奏の音女タムタムの効果発動! このカードが融合召喚の素材として墓地に送られた場合に、自分フィールドの幻奏モンスター1体……スペクタキュラー・バッハの攻撃力を500下げて、相手に500ダメージを与える! さらにさらに、この効果にもチェーンしてエクストラデッキに行った幻奏の音姫ルフランの効果を発動! このカードがエクストラデッキに存在する状態で自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合、スケール1のこのカードをペンデュラムゾーンにセッティングできる! 舞い戻りなさい、幻奏の音姫ルフラン!」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ

融合・効果モンスター

星7/光属性/天使族/攻2500/守1800

「幻奏」モンスター×2

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):融合召喚したこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

自分の「幻奏」融合モンスターが発動した効果は無効化されない。

(3):このカードが墓地へ送られた場合、

「幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ」以外の自分の墓地の「幻奏」モンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。

 

 

「ペンデュラムモンスターの扱いも凄ーい! て言うかまだ最初のターンなのに派手なデュエル見せちゃう柚子ちゃん素敵!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「次に、タムタムの効果で500ダメージ!」

 

「っ……ヒヒッ……」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2500 → 2000

 

藤野明美 LP 4000 → 3500

 

 

「最後に、スペクタキュラー・バッハの効果で特殊召喚するのは、幻奏の歌姫ソプラノ!」

 

 

「柚子ちゃんのフィールドには、もうモンスターが沢山並んでいるぞ〜!」

 

「まるでソリティアですね」

 

「ちょっと、さっきから全く同じセリフじゃない!?」

 

 先生の友人だけあって、あの人も変わった人なのね……

 それにしても、先生の様子は相変わらずおかしい。

 ここまで派手に動いたのに一言もコメントがないし、反応が希薄過ぎる。

 

 もしかして何かあったんじゃ……

 うぅん……でも、デュエルで手を抜く事は出来ないわ。

 

「幻奏の歌姫ソプラノのモンスター効果発動! このカードが特殊召喚に成功した時、墓地の幻奏モンスター1体を手札に加える事ができる。私が手札に加えるのは、幻奏の音女タムタム! さらに私はスケール9の幻奏の音姫クプーレをペンデュラムスケールにセッティング! そして、そのペンデュラム効果を発動! この効果は、自分フィールドに幻奏モンスター以外のモンスターが存在しない場合に発動でき、デッキから幻奏魔法・罠カード1枚を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏協奏曲! まだまだ行くわよ!」

 

「えー!? まだ何かするつもりなの!?」

 

「まるでソリティアですね」

 

「何度も何度もソリティアとばかり……他に言葉を知らないんですか貴女は!?」

 

「スペクタキュラー・バッハを対象に、幻奏の音姫ルフランのペンデュラム効果を発動! デッキから幻奏モンスター1体を墓地に送り、ターン終了時までそのモンスターのレベル×200、対象のモンスターの攻撃力をアップさせるわ。私が墓地に送るのは、レベル4の幻奏の音女アリアよ!」

 

 

幻奏の歌姫ルフラン

ペンデュラム・効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1600/守 800

【Pスケール:青1/赤1】

このカード名のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分フィールドの「幻奏」融合モンスター1体を対象として発動できる。

デッキから「幻奏」モンスター1体を墓地へ送り、

対象のモンスターの攻撃力をターン終了時まで、墓地へ送ったモンスターのレベル×200アップする。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが召喚・特殊召喚した場合に発動できる。

デッキから「幻奏の歌姫ルフラン」以外の「幻奏」モンスター1体を手札に加える。

(2):このカードがEXデッキに表側で存在する状態で、

自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2000 → 2800

 

 

 よし、次は……

 

「そして、魔法カード幻奏協奏曲を発動! このカードは手札・フィールドのカードで天使族モンスターを融合召喚するカード。ただしその際、ペンデュラムゾーンのモンスターも素材にできるわ!」

 

「私が融合素材にするのは、手札の幻奏の音女タムタムと幻奏の音姫ローリイット・フランソワ、そしてペンデュラムゾーンの幻の歌姫クープレ!」

 

 これが、私が到達した境地。

 

「魂の響きよ、優れた奏者よ、繰り返す回旋よ! タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台に花を咲かせる来春の歌を! 幻奏の華歌神フラワリング・エトワール!」

 

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール

融合・効果モンスター

星8/光属性/天使族/攻2800/守1500

「幻奏の音姫」モンスター+「幻奏」モンスター×2

このカード名の(1)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分・相手ターンに発動できる。

自分フィールドの「幻奏」モンスターを任意の数だけエンドフェイズまで除外する。

その後、この効果で除外したモンスターの数まで相手フィールドの表側表示カードを手札に戻す事ができる。

(2):融合召喚した表側表示のこのカードが相手によってフィールドから離れた場合に発動できる。

デッキ・EXデッキから「幻奏の華歌神フラワリング・エトワール」以外の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

 

 

「す、凄いよ柚子選手……デュエルの最初からクライマックスだ〜!!」

 

「まだまだ! 私は墓地に送られたタムタムとエクストラデッキに行ったクプーレのモンスター効果を発動! まずはタムタムの効果でスペクタキュラー・バッハの攻撃力を500下げて、500のダメージを与える!」

 

「っ……ヒッヒッ」

 

 

幻奏の音姫スペクタキュラー・バッハ ATK 2800 → 2300

 

LP 3500 → 3000

 

 

 先生はダメージを受けて、バイクごと少しよろけた。

 その結果、先生の肩が壁と接触してしまった。

 

「先生っ!?」

 

「……」

 

 先生はそれでも俯いて顔を上げない。

 今のは結構痛そうだったのに……

 申し訳ない気持ちと、今の先生に対する違和感が半々。

 やっぱり、何かがおかしい気がする。

 

「……クープレは、ルフランと同じ効果を持っているわ。舞い戻りなさい、クープレ!」

 

 

幻奏の歌姫クープレ

ペンデュラム・効果モンスター

星5/光属性/天使族/攻1200/守2000

【Pスケール:青9/赤9】

このカード名の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分は光属性モンスターしかP召喚できない。

この効果は無効化されない。

(2):自分フィールドに「幻奏」モンスター以外の表側表示モンスターが存在しない場合に発動できる。

デッキから「幻奏」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

【モンスター効果】

このカード名の(1)(2)のモンスター効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが通常のドロー以外の方法で手札に加わった場合、

このカードを相手に見せて発動できる。

自分の手札・墓地からレベル4以下の「幻奏」モンスター1体を特殊召喚する。

(2):このカードがEXデッキに表側で存在する状態で、

自分フィールドに「幻奏」融合モンスターが特殊召喚された場合に発動できる。

このカードを自分のPゾーンに置く。

 

 

 よし、後は仕上げね。

 

「幻奏の歌姫ソプラノのモンスター効果発動! 自身を含むフィールドのモンスターを素材にして、幻奏融合モンスターを融合召喚する! 私が融合素材にするのはソプラノとスペクタキュラー・バッハよ!」

 

 

「1ターン目から連続で融合召喚!?」

 

 

「天使のさえずりよ! 壮大な震響よ!タクトの導きにより力重ねよ! 融合召喚! 今こそ舞台へ! 幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト!」

 

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2400

 

 

「墓地に送られたスペクタキュラー・バッハのモンスター効果発動! このカードが墓地に送られた場合、スペクタキュラー・バッハ以外の自分の墓地の幻奏モンスター1体を守備表示で特殊召喚できる! 私が特殊召喚するのは、幻奏の音姫ローリイット・フランソワ! さらに、墓地の幻奏協奏曲の効果も発動!」

 

 

「墓地から魔法カード!?」

 

 

「このカードが墓地に存在する状態で幻奏融合モンスターが墓地に送られた場合、このカードをデッキの一番下に戻す事でデッキからカードを1枚ドローできる! そして、ローリイット・フランソワのモンスター効果発動! 墓地の光属性・天使族モンスター1体を手札に加える。私が手札に加えるのは、幻奏の音女アリアよ!」

 

 

「なるほど、それで先程ルフランのペンデュラム効果で墓地に送ったんですね。ローリイット・フランソワの効果で回収する為に」

 

「そして、手札に加えたアリアのレベルは4。セッティングされているペンデュラムスケールは1と9。これは来ますね」

 

 

「揺れて、魂のペンデュラム! 天空に描け、光のアーク!」

 

 遊矢……この力、真似させて貰うわ。

 

「ペンデュラム召喚! 現れて、私のモンスター達! 幻奏の音女エレジー! そして幻奏の音女アリア!」

 

 

「柚子ちゃん、融合召喚だけでなく何とペンデュラム召喚まで決めてしまった〜!」

 

 

「特殊召喚された幻奏の音女エレジーの効果によって、私のフィールドの天使族モンスターの攻撃力は300アップする!」

 

 

幻奏の音女アリア ATK 1600 → 1900

 

幻奏の音姫ローリイット・フランソワ ATK 2300 → 2600

 

幻奏の華歌神フラワリング・エトワール ATK 2800 → 3100

 

幻奏の音姫マイスタリン・シューベルト ATK 2400 → 2700

 

幻奏の音女エレジー ATK 2000 → 2300

 

 

「私はカードを1枚伏せて、ターンエンドよ」

 

 これが、今の私が出来る最善を尽くした結果。

 これでも先生に勝てるかどうかは分からないけど……

 

 

「いやぁ、柚子ちゃんはいきなりモンスターを5体も並べた上で相手に1000ダメージを与えました。これはもう、決まったんじゃないか〜?」

 

「たしかに、明美にとってこれは大分厳しい状態ですね。アリアの効果で柚子選手のモンスターは効果の対象にならず戦闘では破壊されない。しかも、エレジーの効果で効果破壊からも守られています」

 

「え、それはどうやって突破すれば……?」

 

「……明美、どうしたのよ貴女」

 

「何か言いました?」

 

「いえ、何も」

 

 

 先生が、緩慢な動作でデッキに触れた。

 接触した肩を庇いながらなのに、何処か強さを感じさせる動き。

 何かが始まる前の、嵐の前の静かさ。

 

「私のターン……ドロー……」

 

 ドローしたカードも確認すらしない。

 先生は今日、初めて顔を上げた。

 

 先生は、口を綺麗な弧を描かせて笑っていた。

 片眼から怪しい光を灯し、何処か遠くを見上げながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒャーッハッハッハッハッハ! この痛みが、苦しみが、私が生きていると感じさせてくれるゥ! いいよォ柚子ちゅわ〜ん……もっと撃ち込んでよォ、さぁさぁさぁさぁさぁ!! クハハ、ヒャハハハハハハァァ!!」

 

「先、生……」

 





セルゲイがいないなら、主人公自身をセルゲイにすればいいじゃない。

ギミパペ新規出たのを知ってwikiで効果を眺めてたら、フィールド魔法1枚からできるワンキルルートがもう書かれてた。
コンマイ、ブラッディ・ドールとか大丈夫か……?
何かしらは規制されそう(超重武者を見ながら)


Q.柚子ちゃん強くない?
A.先生の教えの結果もあるけど、まず幻奏が強い。特に新規のペンデュラム2枚とスペクタキュラー・バッハがヤバい。

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