ちょっとグッバイグッバイうるさい肉塊と
機嫌が良くても悪くても逃げ出す面倒臭い音楽家と
汚い団子三兄弟と戦ってたので……あと危険度詐欺兵隊とも。
よしっ、後1人だ。なんとか約束は守れそうだとほっと胸を撫で下ろしてステージから降りる。正直、次は棄権してもいいっちゃいいけど……まあ、折角のデュエルだし、最後までやろう。そして2位の人と賞品を入れ替えて貰おう。
「ふぅ……」
「おや、貴方はたしか試合で注目されていた15番選手でしたね?」
お、おう?私に話しかけて来たのは……あ、受付っぽい人か。え、なに、こわ……
「えっと、何か御用でしょうか?それともゴヨウでしょうか?」
「……?いえ、用と言うほどのものではありませんよ。ただ、まさか貴方がここまで勝ち残るとはなぁ、と」
「……ど、どうも?」
この人なんで私に話しかけてくるの?取り敢えず話を逸らすために今行われているデュエルの観戦でもするか。ええっと、今デュエルしてるのは1番と6番か。どっちも女の子だね。
「私のターン、ドロー!手札から永続魔法マドルチェ・チケットを発動!さらに、手札からマドルチェ・エンジェリーを召喚——」
おお、マドルチェか。なんてバレンタインらしいデッキだろうか。
「この試合、どちらが勝つと思います?」
「1番に決まってるじゃないですか」
何故に断定系?ええっと……マドルチェ使っている方が6番かな。1番のフィールドは……おお?なんだあれ、バルバロスが棒立ち状態だな?伏せは3枚……いやあれ絶対スキドレやんけ!エンジェリーの効果を使った時点でスキドレ発動しないのは止められないと理解してるからか……たしかに強敵だなぁこりゃ。つーか1番の容姿が女子校で死ぬ程モテる女の子のそれなんだけど。
「私はマドルチェ・ホーットケーキの効果を発動!墓地のモンスター1体をゲームから除外し、デッキからマドルチェと名のつくモンスター1体を特殊召喚する!」
「残念、永続罠スキルドレインを発動!ライフを1000支払い、フィールドのモンスターの効果を全て無効にする!」
「な、なんだって!?」
ほらー。
「実は1番は、私の彼女なんですよ」
「えっ、そんなん関係無いでしょ(正論)」
「……そもそも、今回の大会は彼女が勝ち上がるだろうと踏んで企画しました」
「……ん?」
「彼女はデュエルが私なんかよりもずっと強くて……本当に、私なんかじゃ勿体ないくらいです」
なんで私は惚気を聞かされているんですか(キレ気味)。
「でも彼女は料理が苦手で……去年のバレンタイン、私は彼女からチョコを貰えませんでした。その事を悔やんでたみたいなんです。そんな時、私がアルバイトしていたこのお店でデュエル大会が開かれる事を聞きました。優勝賞品が高級チョコだとも。それを彼女にさり気なく伝えると、今度こそチョコを渡して見せるから、と……」
いや、自分で買えよその彼女……金欠か何か?料理下手なのは私と同じだけどさ。
「あー、うん。それで、どうしてそんな話を私に?」
「……負けてくれませんか?」
「……」
……そう来たか。
「貴方は強い。彼女では勝てないかもしれない……ですから、」
「まあ待ってくれ。ぶっちゃけ、私は2位の賞品が目当てだからそれでもええんよ」
「ほ、本当ですかっ!」
「だけど、やだ」
「どうしてですか?先程は……」
何故かって?そんなもの、考えずとも分かるだろう。少なくとも、この話を聞いた奴なら分かる筈だ。
「私の目の前でカップルが幸せになるのが許せない!」
「そ、そんな理由で!?」
「そんな理由だよ。それに……な」
「全く、何しているんだか……」
「……!き、聞いていたのか!」
私の背後から、デュエルを終えた1番が現れた。どうやら試合はちゃんと1番が勝ってたみたいだな。
「貴方って人は……」
「ちょ!?ち、違うんだ!君の事を想って……」
「言い訳するの?」
「あ、いや、その……」
しどろもどろに弁明しようとする受付君にため息をついている1番ちゃん。そりゃそうなるわね。最悪別れるんじゃね?
「まあいいわ、今回だけ許してあげる……気持ち自体は嬉しいし」
なんだこのリア充……たまげたなあ。
「えっと、15番さん。彼が失礼な事をしてしまった。私としては決勝戦を棄権してこの事を詫びたいのだが……」
「うーん、でも私としては2位の賞品が目当てなんだよねぇ……」
「いや、しかしそれでは……」
1番ちゃんが渋る。何というか、真面目系な子だな。でも、このままだと平行線だろう。早く帰らないと文句を言われそうだ。
「ふむ……あ、1つだけ、案を思い付いたよ!」
「それはなんだ?」
「どちらが棄権するかをデュエルで決めよう!」
「え!?」
彼氏君が驚いた声を上げる。
「……なるほど、それならいいでしょう」
「ちょ、まっ……」
お互いにデュエルディスクを構える。さあ、スキドレ相手にどれほどやれるかな……!
「「デュエ——」」
「待ったぁぁぁぁぁ!!」
うお、ビックリした。
「そんな理由でデュエルするくらいなら大人しく決勝戦をやれよ!?」
「「あっ」」
「まさか気付いてなかったのか、2人共……?」
……ま、まさかそんな事ないでしょ?私は別に?デュエルで全部解決できるから?適当にデュエルって言った訳じゃないし?
「うぐ……」
「なんでこう、デュエル以外だと……ほら、そろそろ決勝戦の時間だよ」
さてと、やるか。
「……こうなっては仕方ありません。正々堂々勝負致しましょう!」
「おっけい、お互い頑張ろうか!」
2人揃ってステージに向けて歩いて行く。彼氏君は若干落ち込んだ様子でありながらも私達を見送った。
「さあ、注目の決勝戦だぁ!」
「……彼が言った事を許して欲しいとは言いません。が、それはそれとして!私が勝ちます!」
「いいよ……かかっておいで!……正直、かなり疲れたけど」
「……そうか」
私はあくまで運動音痴だからなぁ……
「戦いの殿堂に集いしデュエリスト達が!」
「モンスターと共に地を蹴り宙を舞い!」
「フィールド内を駆け巡る!」
「見よ、これがデュエルの最強進化系!」
「アクショォォォン……」
「「デュエル!!」」
「先攻は私か……私のターン!」
残念、私は後攻。スキドレ相手なら先攻の方が有利かもだが……ある程度急がないと生徒達に悪いからな。ある意味好都合だ。
「私は神獣王バルバロスを召喚!このカードはリリースなしで召喚でき、その場合元々の攻撃力は1900となる。さらに、装備魔法愚鈍の斧を神獣王バルバロスに装備!このカードを装備したモンスターは効果は無効になる代わりに攻撃力が1000ポイントアップする!つまり、バルバロスの攻撃力は、4000!」
神獣王バルバロス ATK 1900 → 4000
「なな、なんと!最初のターンから攻撃力4000のモンスターをあっさり出してしまった〜!?」
実質サンダイオンみたいなもんだね。
「私はカードを2枚伏せてターンエンド……さあ、来なさい!」
「よし、言質はとったぞ。私のターン!ドロー!」
完璧な手札だぁ……と言うかあの伏せカードからスキルドレインの霊圧を感じるんですがそれは……どちらかは分からないけど。
「念の為だが……ここで使わせて貰おうか。私は永続罠スキルドレインを発動!ライフコストを1000払い、フィールド上の全てのモンスターは効果が無効となる!」
LP 4000 → 3000
「おおっと〜!早くもここで1番のフェイバリットカードが登場だ!果たして15番はこれを乗り越える事ができるのか〜?」
ナイトショット辺りでも警戒したのか?まあいい。
「手札からレベルの合計が8以上になるように捨てる事で、マシンナーズ・フォートレスは手札または墓地から特殊召喚できる!私はマシンナーズ・フォートレスとマシンナーズ・ピースキーパーを捨てて、墓地からマシンナーズ・フォートレスを特殊召喚!」
「自らも含むのか……」
それはまあ……うん。考えたら負けだと思うよ。
マシンナーズ・フォートレス
効果モンスター
星7/地属性/機械族/攻2500/守1600
(1):このカードはレベルの合計が8以上になるように手札の機械族モンスターを捨てて、
手札・墓地から特殊召喚できる(自身を捨てた場合、墓地から特殊召喚する)。
(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、
このカードを対象として発動した相手モンスターの効果が適用される際に、
相手の手札を確認し、その中からカード1枚を選んで捨てる。
(3):このカードが戦闘で破壊され墓地へ送られた場合、
相手フィールドのカード1枚を対象として発動する。
その相手のカードを破壊する。
「更に私は可変機獣 ガンナードラゴンを召喚!このカードは神獣王バルバロスと同様にリリースなしで召喚でき、その場合は元々の攻撃力・守備力は元々の半分……つまり1400と1000になるわけだが、スキルドレインの効果によってその効果は打ち消される」
「私のカードを逆に利用してくるか!」
流石にスキドレは対策しないとだったからね……
「更に私はおろかな埋葬を発動。デッキからモンスターカード1枚を墓地に送る。私が墓地に送るのはマシンナーズ・カーネルだ」
さて、準備は整った。
「悪いが……このターンで決めさせてもらおうか!」
「攻撃力は負けているのに強気……まさか、リミッター解除かっ!」
残念、リミ解は握れてない。だか、それでもやりようはある。残り1枚の伏せはなんとなく予想はつく。が……一応警戒はしておくか。
「永続魔法
「くっ、自爆か!?迎え撃て!」
巨大な機械と獣がくんずほぐれつ、やがて機械の方が押し倒され戦いは危険な領域に突入する……と言う言い方は悪いか。とにかく、機械の方が負けたと言う事だ。
LP 4000 → 2500
「くっ……!しかし、マシンナーズ・フォートレスの効果発動!このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、相手フィールドのカード1枚を破壊できる!私が選ぶのはその伏せカードだ!」
「わざわざ自爆したのはこのためか……!まあいい。伏せていたカードは宮廷のしきたりよ」
ん、宮廷のしきたりか。予想通りだ。これで後は攻撃するだけだ。
「私はさらに墓地のマシンナーズ・カーネルの効果を発動!このカードが墓地に存在する状態でマシンナーズ・カーネル以外の機械族・地属性モンスターが戦闘・効果で破壊された場合、このカードを墓地から特殊召喚できる!更に永続魔法機構部隊の最前線の効果を発動!機械族モンスターが戦闘によって破壊され墓地に送られた場合、そのモンスターと同じ属性で攻撃力が低い機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する!私はデッキからマシンナーズ・ギアフレームを特殊召喚!」
「なるほど、だからわざわざ……!」
マシンナーズ・カーネル
特殊召喚・効果モンスター
星10/地属性/機械族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できず、カードの効果でのみ特殊召喚できる。
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分・相手ターンに、自分フィールドの機械族モンスター1体を対象として発動できる。
その機械族モンスターと、その攻撃力以下の攻撃力を持つ相手フィールドのモンスターを全て破壊する。
(2):このカードが墓地に存在する状態で、
「マシンナーズ・カーネル」以外の自分フィールドの表側表示の機械族・地属性モンスターが
戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
機甲部隊の最前線
永続魔法
(1):1ターンに1度、機械族モンスターが戦闘で破壊され自分の墓地へ送られた時に発動できる。
墓地のそのモンスターより攻撃力が低い、同じ属性の機械族モンスター1体をデッキから特殊召喚する。
このまま行くぞ。
「バトル続行!私はマシンナーズ・カーネルで神獣王バルバロスを攻撃!」
「またか……迎え撃て!」
「この瞬間、手札からマシンナーズ・リザーブレイクを捨てて効果発動!自分フィールドのマシンナーズと名のつくモンスター1体の攻撃力を1200ポイントアップさせる!」
マシンナーズ・カーネル ATK 3000 → 4200
「おおっと〜!?これで15番のモンスターが1番のモンスターの攻撃力を上回った〜!」
「私は可変機獣 ガンナードラゴンとマシンナーズ・ギアフレームでダイレクトアタック!」
1番ちゃんは、静かに目を閉じた。
「見事でした……」
LP 3000 → 200 → 0
◆◆◆
「——と言う事があってね」
「け、結構大変だったのね……」
「だから、みんな大切に食べてねー」
「「「「はーい!」」」」
いやあ、疲れた……無事に景品交換もして貰えたし。
「それにしても、なんで最後その人はアクションカードを使わなかったんだろ?」
「あー、なんでも私が一向に使わなかったから自分も!とかなんとか……」
「権現坂みたいな理由じゃないだろうな……と思ってたら」
うーん、何というか……デュエリストとしてはアレだけど人間としてはいい人なんだろう、きっと。
「それにしても先生、カップルを目前にしてよく暴走しなかったね?」
「みんな私の事何だと思ってるの?」
「「「変人」」」
みんな揃って私を虐める……
「いいもん。そんな事言うならこのチョコあげないもん……」
「わー!?悪かったから返してくれよぉ〜」
……今日のは大変だったけど、まあ、こんな風に子供に囲まれて過ごすのは、悪くないね。いや、ちょ、犯罪者とか言わないでくださいよ?私は至って普通な一般人だよ。ちょっと小さい子を可愛いって思う感性の持ち主であるだけであってね?大体小さい子が嫌いな人なんて居ないでしょ?つまり、私は何処にでもいる凡人であって決して世間一般で言われるようなロリコンではなく紳士であることは明らかであるとして
ハッピーホワイトデー!(遅刻気味)
さあ、みんなで不幸になろう!
ぶっちゃけここまで長くなるなんて思ってませんでした()
最後ちょっと雑になってすんません許してくださいなんでもしますから!(なんでもするとは言っていない)
アクションデュエルにする理由……なかったんじゃ
3/18 スキドレのコスト忘れてたので修正しました。指摘してくれた方ありがとうございます!