そろそろリンバスの10章が来ます
私の頭が爆発する時間ですね。良い一日でした
あっ、そう言えば9/9のニンダイでタッグフォースのリメイクが発表されましたね!
私の頭が爆発する時間ですね。良い一日でした(2回目)
引き続き遊矢視点
「ぐっ……!?」
「遊佐さん!」
遊佐さんの苦しげに咽せる声が漏れる。
口の中には赤いものが混じっていた。
……紛れもなく、血だ。
「あーくっそ……これは駄目だ。肋骨とかは完全に折れてるね……口の中に血の味がするのはいつ振りだか」
咳き込むと激痛が走るのか、遊佐さんはなるべく息を落ち着けようとしている。
それでもまだ眼には強い意志が宿っている。
俺が思ってたよりもタフな人らしいな……
しかし、そんな人がこんな怪我をするだなんて。
話からして融合次元……アカデミアの本拠地で暴れたんだとは思うけど。
「遊佐さんこそ、何があったんだ?」
「私があの勲章の人に巻き込まれてアカデミアに転移した直後、全力で逃げ出そうとした結果がこのザマだよ!」
「ちょっと待ってよ。私達はアカデミアについてよく知ってるから分かるけど、あそこはそう簡単に抜け出せるような場所じゃないわよ」
グレースが少し驚いた様子でそう言った。
確かに、この2人みたいなデュエリストが他にも居るんだとしたら……
俺も確かによく逃げ出せたなと思う。
満身創痍とは言え、どうして逃げ出せたんだろう?
「……本当なら、私ではなくセレナを逃すべきだったんだけどね」
「セレナ……そうだ、セレナはどうしたんだ!?」
「彼女は先に捕まってしまった。私は逃げ出すのが精一杯だったんだ。アカデミアの兵士達を薙ぎ払いつつ、私は転移装置のある部屋を探したってわけ。様々な罠に嵌って色々と大変だったけどね……鉄檻が急に前後から生えて来たり」
「え? どうやってそこから逃げ出せたんだ?」
正直、捕まってもおかしくない状況だと思うんだけど……
「素手で檻をひん曲げた」
ちょっと待ってくれ。
この人、確か先生が暴走した時も力尽くで止めてた気がするけど……
腕力がとんでも無さ過ぎるだろ。
ゴリラ並なんじゃないか?
「って、今は私の事よりも今は明美の事を教えて。私の為だろうと、あそこまで感情的になってるあの子の姿は初めてみるから……」
「で、でも……先に手当をしないと!」
俺がそう言ったのに、遊佐さんはゆっくりと首を振った。
「駄目。あの子について知ってるのは私しか居ないの。お願い、私はあの子が……苦しむ姿は見たくないの」
「遊佐さん……」
「その怪我でよく言うものだ。遊矢の言った通り、先に手当を受けるべきだろう」
「私も遊矢の言った事が正しいと思うけど?」
「いや、何が正しいかは私が決める事にするよ」
……全身傷だらけで満身創痍なのに、実は意外と余裕なのか?
苦しそうには見えるけど、割と元気なのかもしれない。
遊佐さんの意志が固すぎて俺に止められる気がしない。
「——魔法カード、ブラックホールを発動! 貴様のフィールドのモンスターは全て破壊される! ハハッ、消え去れ!」
「エクレプシスの効果発動。相手が魔法・罠カードを発動した時、オーバーレイユニットを2つ取り除くことでその発動を無効にして除外する」
「ちっ……ならば俺は『融合』を発動!」
「バロネスの効果。このカードが表側表示で存在する場合、一度だけモンスター・魔法・罠カードの効果の発動を無効にできる」
「何だと!? くっ、だったら俺は『
「効果は通すがヴォルニゲシュの効果発動。フィールドの表側表示のカード1枚を破壊する」
「き……貴様っ!」
先生の方は……もう終わりそうだ。
でも、既に他のアカデミア兵達の姿も何人かやって来ている。
このままじゃ、流石の先生とはいえ多勢に無勢だ。
人数差で無理矢理抑え付けられるのは不味い。
……その時は、俺が何としても割り込まないとな。
「くっ……私の事よりも、明美について早く聞かせてくれ。私が来る前に何があったんだ?」
仕方ない。
そう思った俺は、この次元に着いてからの先生の行動について、知ってる限りの事を話した。
カイトやグレース、エドとのデュエル。
この次元に来てから……いや。
よく思い返せばシンクロ次元に居た頃からおかしかった様子について。
「……っ!」
キツく目を瞑った遊佐さんは、ダン! と音を立てて床を思い切り殴り付けた。
手にも傷があったのにお構いなしに。
怪我人なのに、思わず後退りしてしまいそうな迫力だった。
「くそっ……じゃあ、やっぱり今の明美は……!」
「どう言う事だ? 何が言いたい?」
「教えてくれ、遊佐さん」
遊佐さんは忌々しそうな表情を隠さなかった。
「……明美は自分が異常だと自覚していた。何も感じない人形のような振る舞いを辞めて他人の真似をするようになったの」
明美にとっては身近な人なんて私くらいだったから私の真似をしてたんだろうね、と。
後悔の色濃く残った声色で遊佐さんはそう語る。
最初にこの人を見た時は明るい雰囲気の人だと思っていたけど……
でも、先生が異常ってどう言う事だろう?
同じ疑問を抱いたらしいグレースが質問を投げかけた。
「あの人が異常ってどう言う意味?」
「……あの子が世界を見つめる瞳は、どうしようもなく他人とは違っていたの」
遊佐さんは傷だらけの身体を引き摺って先生の後ろ姿を覗いた。
先生は俺の知ってる姿が嘘みたいにしゃんと立っていた。
誰にも負けないくらいに……強い意志で。
「……やっぱり、また溢れて来たんだね。一度抱いた苦痛を決して離さなかった故に、今のあの子に積もった感情は複雑に絡み合ってしまっだ。まるで、もつれた糸みたいにね」
「ふむ……何か、重たい感情を抱えているのは分かった……一つ聞こう。その糸を解く事はできないのか?」
グロリアの問いかけに、遊佐さんは悲しげに首を振った。
「簡単には断ち切れないんだ。明美も……それに、私も」
……遊佐さんも?
「ぐはっ……」
アカデミア兵 LP 4000 → 0
あ、どうやら決着したみたいだ。
呆気なかったな……でも、これで終わりじゃない。
遊佐さんを追って来た兵士はもっと沢山いる筈だ。
俺の考えは正しかったらしく、程なく別のアカデミア兵士が姿を現した。
数は……三人。
「た、隊長!?」
「貴様、何者だ!」
「誰であろうと、敵には変わりないな。デュエルだ!」
「……ふふ」
あれ?
先生、今少しだけ笑ったような……
ん、でも一瞬だったから単なる見間違えかもしれない。
いや、僅かに笑い声も聞こえたな……
またデュエルが始まろうとしている。
くっ、流石に三人相手はキツい筈。
すぐに助けに行かないと!
だけど、俺が駆け寄るよりも先に遊佐さんが動いていた。
嘘だろ……あんな重体でまだ動けるのか!?
いやいやいや! 絶対無理してるだろそれは!
「やめろ! 私ならここにいる!」
「こいつは……居たぞ、ターゲットの女だ!」
「明美、これ以上戦わなくて良い! 後は私達に任せて——」
遊佐さん、まさかとは思うけどその身体で戦うつもりなのか!?
「この女……やはり怪我だらけだ。隊長が居なくなったとはいえ、手負いの女程度なら我々でもやれるぞ!」
「アカデミアのあらゆる設備を破壊して回りやがって……!」
「そうだそうだ! 壁を素手で破壊の限りを尽くしやがって……テメェはゴリラか!?」
「おい、遊佐。今の話は本当か?」
「私って方向音痴で……破れそうな壁はぶち壊しながら逃げ回っただけだ」
「やっぱり貴女ってゴリラなんじゃ……」
「それ以上言うならお前もゴリラにしてやるぞ」
謎の脅しを言いながら遊佐さんは先生を庇うように立っている。
それなのに、先生は俯いたまま何も言わない。
ただ、その場で佇むだけ。
……なんだろう、すごく嫌な予感がする。
唐突に、俺の背中に悪寒が走った。
肝の冷えるような寒気が全身へと行き渡る。
この不吉な予感が当たらなければいいんだけど……
でも。
その願いは叶わなかったんだ。
「くっ、流石にこの人数はヤバいか……3人、いやもっといる。遠くから来ている奴等もいるな。ここはエドやタイラー姉妹に説得をお願いするしか……!」
「……」
先生が顔を上げて歩き出す。
今の俺の位置からは表情が見えない。
だが、不思議な事に……先生の顔を見たアカデミアの連中は——
怯えていた。
「ヒッ!?」
「な、なんだコイツは……!?」
「あ、明美……? 明美!」
遊佐さんは先生の肩に手を置いて歩みを止めようとした。
きっと俺と同じくただならぬ様子を感じたんだろう。
そして、先生はゆっくりと振り返る。
その眼は、俺が見た何よりもドス黒い悪意と憎しみに満ちていた。
「あけ、み……?」
「邪魔をしないで」
先生は遊佐さんの手を乱暴に払う。
虚弱な人間の動作ではない……乱暴で粗雑な動きだった。
別人のようにしか見えないけれど、姿形は先生で間違いない。
遊佐さんも先生の変貌に驚いたようで、手を引っ込めてしまった。
しかも、呆然としている……
正直、俺も同じ気分だ。
どうしてあんな……人間とは思えない表情が出来るんだ?
まるで……悪魔じゃないか。
「……」
先生は手を翳した。
一体何をしているのか、俺が考えるよりも先にそれは起こった。
先程負けて地面に転がっていたアカデミアの隊長が、光り輝く粒子へと変わって行く。
俺はこの現象をこの目で見た事があるから分かる。
これは……!?
「カード化だと!? 何故彼女が……!?」
「エド!」
「くっ……彼女は一体、何者なのだ!」
遊佐さん程ではないけれど疲れ気味なエドが此方へ歩いて来る。
くそっ、それは俺にも分からないぞ!
とにかく、止めなきゃ!
「やめろっ、先生!」
俺の声に再び先生は振り返る。
が、しかし。
隊長のカード化は止まらない。
彼の悲鳴が辺りに響く。
「う、うわあぁぁぁぁ!?」
「隊長!?」
「くそっ、エクシーズ次元の残党が我等の技術を盗んだと小耳に挟んだはいたが……!」
確かに黒咲やカイトが同じ事はしていたさ。
でも、今はもう彼らはそんな事はしない筈だ。
デュエルを通じて、お互いの心情を曝け出しあったから。
もうこの次元での争いは終わった。
ハートランドの人達がこれ以上傷付くこともないと思っていた。
やっと少しだけかもしれないが、平和に近付いたのに……
どうしてだよ、先生!
結局、先生は俺を一瞥しただけでまた正面へと向き直る。
路傍の石でも見つめるかのような冷たい視線だった。
先生がしたことのない……いや、俺が経験したことのないような眼だ。
本当に同じ人間なのかどうかすら疑わしくなってくるような……そんな眼差し。
それが今の先生だった。
隊長の姿は消え、代わりに1枚のカードがヒラヒラと舞い落ちる。
「貴様、よくも隊長を!」
「……ふぅ」
この場には相応しくない、気の抜けるような溜め息が一つ。
それの主は勿論先生だった。
不満そうな口調で先生は話し始めた。
……地面に落ちたカードを踏み躙りながら。
「やはり一瞬だけ生を実感できるだけ。私の本望を遂げたところで、結局のところ安寧の時を得る事は叶わないのだな」
「何を言って……」
「結局はこの刹那の喜びさえ、私は消えていくことを知っているのだから。でも……やはり、ここは」
「明美っ……やっぱり、貴女は!」
遊佐さんが悲痛な叫びを上げる。
その声に対して……
先生は、心の底から笑った。
初めて外に出る子供みたいな無邪気さと熱量で。
全身で幸せを噛み締めるかのように。
「アーハッハッハッハッハ! ハハハッ、ハハッ! ハハハハハハハッ! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!!! アハッ! ハハハッ! アーハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハッハ!!!」
『苦しみを与えたいが為に噴き出す喜び』
先生の魂が震えるような歓喜の声が響く。
それに合わせて……俺の中のナニカまでもが連動するかのように震えていた。
心臓が早鐘を打つ音がハッキリと聞こえてくる。
「グッ……!?」
『遊矢、大丈夫か! っ、俺もか……!』
ユートも俺と同じ感覚に襲われている、のか?
俺は心臓の辺りを抑えながらその場に膝を突いてしまった。
くそっ、何なんだこの感覚は!?
俺が抑えきれないドス黒いものが溢れそうだ!
一体、何がどうなって……
「ハハッ……誰もが皆、自分の中を満たす何かを欲している。空っぽな空間を埋めてくれるものを求めているんだ」
淡々とした声色で先生はそう語る。
温度がおよそ感じられないけれど、その声には悪意が満ちていた。
……いや、悪意というのも本当は違うかもしれない。
俺の本能がそう訴えてくるんだ。
あれは、存在してはならない生物だと。
「あらゆる幸福は一時的なものだ。日持ちはしない、すぐに消えて行ってしまう。私のような穴の空いた心の持ち主には余計そうだろうな。この渇きは決して満たされることがない。しかも、誰もが皆幸福を堪能するには総量はまるで足りていない。誰かの幸せを取ってしまえばその分幸せは減ってしまう。故に、常に私は飢えている。そう、今も」
左手を力強く天へと掲げ、握り締める。
俺も含めて、この場に居る誰もが先生の動きに釘付けだった。
圧倒的な存在感とプレッシャーを放っているから……
少しでも目を離せば、すぐに食いちぎられてしまう。
そんな予感が俺達の動きを氷像のように止めていた。
「ハハハッ……つまり、何が言いたいのかって聞きたい顔をしているな? 簡単なことだよ……」
天を指を差しながら、高らかに叫び声を上げる。
その姿は山をも覆う程の迫力があって。
でも、先生の言う通り……飢えた獣の咆哮のようにも聞こえた。
「飽くなき私のちっぽけな欲望を、精々満足させてみろっ! 貴様らと苦痛と不幸でな! アーッハッハッハッハハッハッハッ!!」
頭は爆発したけど脳は残ったので生命保険で蘇生して来ました
ズァークさんが明美の投稿にいいねを押しました
最近、ハントレスの投げ斧が当たるようになってきた
うれしいけど喜んでると逆に外してしまう