ダグザの地を救済するのに忙しくて投稿が遅れそうでした。
風花雪月もビックリなボリュームだよ。
真焔将ルート×4と救世編で三週間以上溶けました。
ダンテェ……
一応クリアはしましたが、まだ支援会話を全回収出来ていないので多分また遅れます。
と言うかブルアカ二次の方は今月出せませんごめんなさい。
探索がかなり苦痛なのは分かるけど、この程度の苦行なら私には効かなかったです。
全く良いアイディアが浮かばない時の執筆より断然マシ
アプデでセーブ周りやUIとかの諸々が改善されたら、まあ……?
キャラデザとかBGMは間違いなく良かっただけに色々とね……しかも、DLCでまた炎上してるみたいですね。
……次に出る情報はきっと良い事だらけさ。
「ハハッ、どうした。かかってこないのか?」
私以外の声は響かない。
沈黙。或いは……ただ絶句しているだけ。
醜い本性を曝け出し、何をするか分からない狂人を前にして。
カラカラに渇いた喉も気にせず狂ったように笑い声を上げながら、私はたった一つの願望を抱く。
決して叶わない絵空事。
誰も賛同しない、独りで行く修羅の道。
私だけが望む荒唐無稽で腐った夢。私ですら躊躇う馬鹿げた目的。
決して満たされない渇き。
分かっていた。本当は。
私があの名前も知らないアカデミア兵をカードにした時。
一滴の水滴が私の器を満たした。
すぐに蒸発してしまったけれど、確かに感じた。
本当に僅かな間だが……私には少しだけ安息の時が訪れていた。
肉と骨に包まれた私の身体の内側から湧き出し悶える。
今までは機械的に誰かの真似をしたりする事で忘れていた。
その本能とも言える衝動を。
私以外の誰もが苦しみ、恐怖し、絶望し、身悶えながら絶えていく様。
それ以外、最早私には響かなかった。
どうせすぐにまた渇いてしまうだろうさ。
もしかしたら他に代替手段もあるかもしれない。
躊躇も、無いわけではない。
だけど、そんな事は最早どうでも良かった。
目の前にあるご馳走を、私は何年意地だけで口に付けなかったのだろう。
自分の事を兵士だと思い込んでる奴等。
こう言う奴等から噴き出す恐怖はどんな味だろうか?
自然と、口の中に唾が湧いてきた。
「くそっ、隊長の敵討ちだ! 皆、行くぞ!」
「「「おう!!」」」
「待ってくれ! 戦いを止めるんだ!」
私がやる気になっていると、遊矢が邪魔をしに来た。
ちっ、これからやるぞって時に。
余計な真似をする奴だ。
面倒な……
仕方ない。適当に追い返すか。
「おい、遊矢」
「先生……なん、だよな?」
「そうだ。そして、一つお前に言うべき事があるのを忘れていた」
「え?」
「私はいつも笑っている奴がな……死ぬ程憎いんだよ」
私がそう言い放つと、遊矢は怯えた表情で私を見る。
その視線。腹が立つ。
気持ち悪いな。私に対して、何を期待していたんだ?
「そんな眼をするくるいなら私を視界から外せ、阿保。私は誰かに定義されるのも嫌いだからな」
「せん、せい……」
「これ以上邪魔をするなら……お前も敵だ」
私はそれだけ言って兵士達へと向き直る。
さあ、お楽しみの時間だ!
これからまだまだ楽しくなるさ……私による私の為の私だけの逸楽だ。
誰にも邪魔させるものかよ。
◆ ◆ ◆
「——ハハハッ! 少しは楽しめるおもちゃが手に入るぞ!」
「き、貴様っ……何をする気だ!?」
「現れよ、ランク7! 世界に広がるビッグなアイ! 『No.11 ビッグ・アイ』!」
征服してやるぞ。
私の目の前に立ちはだかる奴ら。
そいつらの持つ全てをな!
「ビッグ・アイの効果! オーバレイユニットを一つ取り除き、相手モンスターのコントロールを得る!」
「何だと!?」
「最後のお前は……お前のモンスターでトドメを刺してやろう!」
私のフィールドに立ち位置を変えた『
ほう、相手をそのまま掴んだぞ?
「や、やめろ! やめてくれ!」
「どうしてやめる必要があるんだ? 私は、こんなに楽しいのに?」
「ひっ!? う、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
轟音と共に、兵士が地面に叩き付けられた。
……ふむ、カードになってるって事は、つまり死んではいないか。
私も別に物言わぬ肉塊を眺める趣味はないからな。
寧ろ、血は嫌いだ。
「ハハハッ……はぁ。もう終わりか」
予想してたとは言え、まるで相手にならない奴等ばかりだな。
当然、私はまるで満足できなかった。
人数だけ多い烏合の衆共が。けっ。
予想はしていたが、まあいい。
それにしても疲れたな。
視界が揺れるな。地震でも起きたか?
「ハハハ……ハ……」
バタン。
私の身体が地面に倒れた衝撃を感じる。
そしてそのまま、私は意識を失った。
……気力だけで身体を持たせていたからな。
私の肉体はかなりひ弱な部類だ。
後遺症は精神力でどうにかなる類のようだが、そちらはどうしようもない。
はあ、つまらないな。
これだから……現実は、ままならないんだ。
やはり諦めたままで居たかったかもな。
もう、手遅れだけれど。
目が覚める。
二度目の天井だった。
今度は身体が動くようだ……すぐにでも起き上がれる。
だが、周囲を見回すと起き上がるのはあまり賢い行動ではないことに気が付いた。
近くに立っている誰かが私を見ている。
名前も知らない兵士。
きっとエドの部下か誰かだろう。
それとにあの姉妹……タイラーとか言ったか。
あの二人までいる。
誰もが監視をしているかのような視線をしていた。
私が目を開けたのを認識した途端、タイラー姉妹以外は少しだけたじろいだような気がした。
恐怖……きっと、私を恐れているのだろう。
事実、彼女二人以外は目を合わせようとするだけで顔を顰めている。
……私の行動故にだろうね。
別におかしいことはない。
しばらく私が周囲を観察していると、タイラー姉妹の方から話しかけてきた。
「……目が覚めたか」
「取り敢えず、起きた途端に暴れ出したりはしなくて良かったね」
私は何も答えない。
何も気にならない。
私が気になるとしたら、それは……
「遊佐は、どうした?」
「向こうで寝てる。医療班が「何故こんな状態で動けたんだ?」とか言ってたね」
全身の至る所の骨を複雑骨折している上に打撲や擦り傷が大量。
そんな状態で動いているのが信じられない……と。
まあ、私からしても少しおかしいとは思うよ。
多分だけど、刃物に刺されようが銃撃を受けようがピンピンしてるんじゃないかな。
長い付き合いだけど、化け物みたいな身体能力をしてるよ。
ちょっと気持ち悪いくらい。
「一応言っておくけれど……遊矢達はさっきアカデミアに向かったよ」
「そう……」
その答えを聞いて、私はゆっくりと目を閉じた。
どうせ、これから私は身動きは出来ない。
もう既にこの手は汚れてしまった。
これ以上、彼女達は私の行動を許さないだろうから。
私にも、道徳観は一応の理解はあった。
盗むなだの人を傷付けるなだの……そういうやつだ。
何処か、馴染みの無い遠くの物として感じていたけれど。
結局の所……墜落して何も為せずに終わる。
人の人生なんて大半がそんなものだろう。
所詮、私は凡人の域から出ない。
「これからあんたはどうするつもりなの?」
「知らない」
「……あの暴れ様が嘘みたいやな。躁鬱が激しいのとはまた少し違うみたいだが」
私はこれ以上何も聞こえないように、思考を意識の底へと潜らせる。
もう、何も考えたくなかった。
今の私は機会を狙う卑怯な奴だ。
もし道さえ見えれば……きっと、再び立ち上がる。
世界へと向けるどうしようもない怨恨が滲み出すだろうね。
ここで終わればきっと……私もこれ以上、期待しなくても良いだろう。
私が満たされる日が来る。
そんな、儚い願望が叶う日は決して訪れない。
私以外の誰もがその日を望んでいないから。
でもね。
恵まれている奴等は知らないのかもしれないけどさ。
自分の持つ苦痛から逃れる為に、普通は自分以外の人間を傷付けるのは……
実は、それ程おかしなことでもないんじゃない?
「何故、お前はあんな事をした。折角、遊矢のお陰でこの次元での戦争は終わったというのに」
「戦争を仕掛けていた側がそれを聞くの?」
「……それは」
「質問に答えてよ。遊矢だってあなたの事を気に掛けてたんだからさ?」
タイラーの姉も妹も声色がとても険しい。
ギリギリのところで手が出るのを抑えているかのようだった。
「私が苦しんでいるのに平然と回っていく世の中が。私の苦痛を受けても知らない顔で気にも留めない隣人が。全てが。憎かった」
「お前の過去は遊佐からある程度聞いた。確か、家族全員で入水自殺未遂だったか」
「両親の勤めていた会社が倒産したからだって……」
「ふぅん。倒産の理由は聞いてないのか?」
私の問い掛けに、2人は首を振った。
……だろうな。
遊佐がそれを口にする筈がない。
「私の父は社長だった。幼い頃の話だからやや記憶が曖昧だが、おそらく社員一同を路頭に迷わせた罪悪感とかもあったのかもね」
「そうか……だが、お前は生き残った。彼女のお陰で」
「ああ。それでも、私に残された物は何一つ無かったけどね」
「命があるじゃない?」
「……私はあの時死ぬべきだったんだろうさ」
それだけは今でもそう思う時がある。
苦痛しかない無味の生にしがみ付く理由は持ち合わせていないから。
私が生きようが死のうが世界の営みには何の変化も齎さないだろう。
蝶の羽ばたきにすら満たない小さな変化だ。
「そうだったら面倒事が一つ減ったのに。そう思う奴も、もしかしたら居るかもな」
「自分の命すら軽んじているのだな、貴様は……」
「私が死んだって、悲しむ奴なんか——」
「いるさ! ここに一人な!」
……耳がキーンとなる程の大声量。
この声の主を、私は間違えようがない。
いつもあいつはこうやって、事ある毎に大声を張り上げていた。
私が声のした方を向くと、そこには全身包帯でぐるぐる巻きで、ハロウィンの仮装みたいになった遊佐が仁王立ちしていた。
だから、何故その怪我で立っていられる。
人間ならダウンしていてくれ。
それとも実は妖怪の類なのか?
私と目が合った遊佐は手頃なベッドの上に腰掛ける。
流石にずっと立ったままはキツいらしい。
寧ろ、何故足の骨が逝ってそうなのに立って歩けたんだか。
それと、包帯以外の服は着てないのか?
大分センシティブな格好になってるじゃないか。
男のアカデミア兵が無言で顔を背けてるぞ。
まあ、ガン見してたら目潰すくらい遊佐はやるだろうけど。
「……取り敢えず服着たら?」
「え、なんで?」
「その格好は痴女にしか見えないんだが」
「大事な所は隠れてるんだし平気平気」
……相変わらずだな。
学生の頃もこんな感じで同級生の男子を困らせていた記憶がある。
「ねぇ、真った……じゃなくてタイラー姉妹のお二方」
「今何と言いかけた?」
「果てしなく失礼な言い間違いをしかけなかった?」
確かに、何か遊佐は言いかけた気がする。
ふむ……何となくだけど分かったかな。
でも、それならさ。
「遊佐も真っ平らでしょ」
「明美!?」
「「……」」
私が正直に言ってやると、二人は黙り込んだ。
哀愁と怨恨の詰まった瞳で私を見ていた。
……別に要らんから持って行けと言いたい。
「い、今はふざけてる場合じゃないの!」
「最初にふざけたのは貴様じゃなかったか?」
「そうよね、姉さん」
「謝るって、悪かったから! それより……ちょっと、明美と二人にして欲しいんだ」
遊佐が真面目な顔でそう言うと、二人は少し考え込んだ後姉の方がこう言った。
「二人きりは駄目だ。だが、あまり大っぴらにしたくない話をするつもりなのは分かる。だから、私達姉妹だけ同席して他の者は外に出す。それなら許可しよう」
「うんうん、勝手に変な事されたら困るしね」
「……分かった。二人だけなら妥協するよ」
その提案に遊佐は乗った。
出来れば私以外には居てほしくなさそうだったけれど。
他に交渉のしようが無かったんだろうね。
普段なら実力行使を検討しそうだけど、今は万全じゃないから。
……遊佐は何を話すつもりなのだろうか。
私ともう二度と離れるつもりはない。
遊佐はそう考えていると思っていた。
でも、今はどうなんだろう?
何処まで遊佐は私の味方でいてくれるのかな。
……もう、どうでもいいか。