第三新東京市、そこに連続殺人鬼がやってきた。
殺した女の髪の毛を収集する危険なサイコは青い髪の綾波レイを標的に選んだ。
彼女の身を案じた赤木リツコはある人物に連絡をした。
それは葛城ミサトだった。
彼女は凶悪無比な殺人鬼の手から綾波レイを救えるのか!!

バトル要素あります。

「ミサトさんを好きになってしまったシンジ君のお話」と世界間を共有しております。
https://syosetu.org/novel/255916/

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連続殺人鬼に狙われた綾波レイをミサトが助ける話

ネルフ本部。

赤木リツコはパソコンのモニターをみながらニュースをみていた。

近くには伊吹マヤがいる。

 

「センパイ、聞きましたか。連続殺人鬼…この近くでも犠牲者が出たらしいですよ。」

「ええ、ちょうどいまその記事をみていたところ。」

 

リツコは怪訝とした表情でニュース記事をみていた。

 

『カミキリムシの犠牲者、箱根でも出る。』

 

脇で観ていたアスカとレイも思わず聞いてみた。

 

「え?なんですかーそれって。」

 

アスカはリツコとマヤの話を聞いた。

その横では綾波が立っていた。

 

「こんな話子供の前でするもんじゃないわ。」

 

マヤはそう言い苦笑いをした。

だが、リツコは真剣な目をして年頃の少女たちを震え上がらせた。

 

「いいえ、聞いた方がいいわ。あなたたちも気をつけなさい。同じ年齢の女の子が犠牲になってるらしいから。」

 

リツコはコーヒーカップを手に持ったまま話をした。

 

「カミキリムシ、連続殺人鬼。誰がヤツの正体かわかっていない。だけど奴は必ず殺した人間の髪の毛を切り落とすの、殺した人間の髪の毛を集めるためにね…。殺された人間は小学生から老婆まで、15人も殺された。それのどれもが髪の毛を切り落とされていた。殺し方も決まっていた。そのハサミで顔をめった刺しよ。中には大きな鋏で首ごと切り刻まれたものもあった。でも、指紋もないし証拠もない。だから捕まらない。かれこれ5年ほど日本中のあちこちで犠牲者が出てる。」

 

アスカはふと自分の赤く長い髪の毛をさわった。

 

「そうね、アスカ・・・あなたの長くて奇麗な赤い髪、それは特に狙われやすいのよ。」

 

アスカはゾッとした。

だが、強がってフンと鼻で笑った。

 

「もしそんなことをされたら蹴っ飛ばしてやる。」

「そう?そう思うでしょ。」

 

 

リツコは手元にあったコーヒーを飲むと言った。

 

「でもね殺された人間の中には警官や元格闘家もいた。殺された格闘家は外国人だった。ブラジルの1番治安の悪い地域でギャングに絡まれた時に病院送りにして返り討ちにしたこともあったほどの女傑よ。」

 

アスカは目を丸くして聞き返した。

 

「え!?」

「でもね、そんなのをたやすくやつはいなして顔をズタズタに引き裂いたの…だから用心なさい。犠牲者はどれもこれも家まで追いかけられて殺された。」

「家まで追いかけられたの!?」

「そうよ…犠牲者はどれも家の鍵を閉め忘れていたの…だから殺された。用心しなさい。家の鍵は絶対にしめること。いいわね?」

 

アスカは震えあがっていた。

手ががくがくと音を立てて震えあがっていた。

その様子をみたマヤはリツコを膝でコツンと叩いた。

 

「センパイ!いい加減にしてください!そんなに子供を怖がらせて何が楽しいんですか!」

 

マヤもさすがに怒っているようだ。

 

「フフ、怖がらせすぎたかしら。まあいいわ。あなたたちは保安部が守っている。だから大丈夫よ。それにアスカにはミサトという番犬がいるもの。碇司令も上層部もあなたがミサトと同居を許してるのは、いざという時はミサトがあなたとシンジ君を絶対に守るから。」

 

アスカは少し震えをとめた。

そんなアスカの肩を叩くとマヤは連れ出した。

 

「スイーツでも食べにいこっか。」

「はい・・・。」

「何がいい?」

 

マヤはアスカを連れると、食堂に切り出した。

リツコとレイだけがその場に残った。

 

 

「…でもね、レイ。あなたは別よ。」

「どうしてですか。」

「あなたの家には誰もいない。保安部も24時間いるというわけではないの。自分の身は自分で守らないといけない。」

「なにがいいたいのですか。」

「マンションの部屋に必ず鍵をかけなさい。」

 

レイは無感情にリツコをみつめた。

 

「私が死んでも代わりはいますよ。でしょ?」

 

リツコは黙った。

その通り、彼女には替えがいる。

彼女は人間ではないクローンだ。

 

「時間ですので、帰ります。」

「ええ、またね‥レイ。」

 

レイもリツコの部屋から去ろうとしていた。

リツコがあえて子供たちの前で殺人鬼の話をしたのは理由がある。

彼女たちは貴重なエヴァパイロットだ。

それは替えの利く綾波レイであったとしてもだ・・・。

 

リツコはふとモニターに顔をうつした。

 

『伝説のカリスマ美容師、井岡マルコが第三新東京に出店!』

 

くだらない広告だ。

 

綾波レイはドアに鍵をかけない。

それが彼女のオリジナルたる碇ユイの性格なのか、使徒の持つ無垢な性格なのかわかる術はない。

だが、鍵をかけない。

もしも、彼女が件の殺人鬼『カミキリムシ』であろうとなかろうと・・・悪意の前に斬られる可能性がある。

それは避けなければいけない。

保安部の人間は諜報は長けているが、攻撃はヘタだ。

もしも女性であったとしても格闘家を殺すような危険な人間がいるなら勝てるかどうかわからない。

 

こんな時誰を頼れる。

それは、一人しかいない。

 

リツコは意を決した。

彼女はスマートフォンをとると、連絡をとった。

 

「私よ、リツコ…。あなたに頼みがあるの。」

 

 

綾波レイは電車に乗った。

家に帰るまでの帰宅方法、それはこれしかない。

そんな彼女をみつめる目があった。

 

端正な顔立ち、イタリアと日本のハーフの男性…。

井岡マルコ。

彼の薄いグレーの目は青い髪をした少女をみつめていた。

マルコはイタリア人と日本人の間に生まれた。

父は日本に来た美容師だった。

母は美しい髪をした大和撫子だった。

美男美女だった二人は彼にとって誇りであった。

 

 

 

はずだった。

 

 

 

父はある日母を残して蒸発した。

そして、帰ってこなかった。

残された母は孤独に耐え兼ね自殺した。

少年時代の彼は母の自殺した遺体をみた。

その時、彼女の黒い髪がみえた。

 

キレイだった。

その美しさはなんともいえないものがあった。

 

彼はその時わかった。

女性は死ぬその瞬間が美しいのだ。

特に髪のキレイな女性は…。

 

奇麗な髪の質がわかる、だから彼は選んだ。

父と同じ美容師という世界へ。

 

それ以降、きれいな鮮やかな髪を持った女性は彼のターゲットになっていた。

彼の持つ大型ボストンバックの中には複数のはさみがある。

この様々で女の首を斬ったり、めった刺しにして髪の毛を切り落とす。

 

 

ある時は目を付けた女を言葉巧みにかどわかして、ある時は家まで追いかけた。

あるいは女の方から寄ってくることもあった。

前者もいいが、後者は余計に楽しかったスリルがある。

 

 

黒髪、茶髪、赤い髪、金髪…どれも殺し飽きた。

そこにきたのは青い髪の女性だ。

マルコは舌なめずりをした。

 

 

年齢も若い。

肌もとても、キレイだ。

 

 

彼は息をひそめ、ゆっくりと綾波レイを尾行した。

どのように殺すかを考えた。

時間はまだ夕刻だ。

ゆっくり考えよう殺し方を…。

 

「ハァ…ハァ…。」

 

 

レイは駅を降りた。

そして、歩いて帰っていった。

その長さにマルコは驚いた。

 

だが、逃がさない。

逃がすモノか。

 

 

気が付けば夕刻から夜になっていた。

青い髪の女はようやく団地についた。

どうやら、他に住民はいないようだ。

 

 

ククク、殺しがいがあるではないか。

ゆっくり楽しもう殺しを…。

目の前にいる少女も自分に気が付いていないようだ。

とんだ間抜けだ。

マルコはレイのマンションの近くで待っていた。

彼女が寝静まるのを…。

そして、とうとうその時がきた。

 

 

マルコはバックを持った。

 

 

そして、綾波レイの部屋のドアノブに触れた。

 

 

しまっていない。

不用心だ。

やりがいがある。

 

ドアを引き開けた。

そして唸り声をあげながら、向かっていった。

 

 

「そのかわいい髪の毛を…俺によこせ!」

 

 

 

レイは動じていない。

 

 

「あなただれ?」

「誰かどうかはお前が知る由はない!」

 

 

マルコはレイを押し倒した。

彼女は悲鳴をあげなかった。

ただ、黙って…マルコをみていた。

それはまるでゴミを観るような目。

見下した目。

 

 

「あなた、私を殺したいの?」

「何?」

「殺したいの?」

「フハハハ、どうするかな?そのかわいい髪に聞いてみな。」

 

怖がっていない。

動じていない。

その冷たい目にマルコはゾク…っとした。

コイツ人間か?

 

 

「お前は人間なのか?」

「私が何なのか、あなたには関係ない。」

 

レイは冷たく言った。

マルコの胸の奥でゾクリとするものがあった。

 

「あ、いい・・・。」

 

いい。

こいついいぞ。

怖がるだけじゃダメだ。

こうやって何か抵抗してくれないと。

そして人間か、そうではないかそれも知りたい。

 

「お前が何なのかはお前を殺した後に考えるとしよう!!」

 

 

大きな作業用バサミを持つと、マルコはレイの顔面近くに振りかぶった。

 

 

「死ィねぇ~~~~~~~~~!!!!」

 

 

 

その時だった。

 

 

ガチャ…。

 

 

ドアが開く音。

 

 

「なんだ!!!誰だ!!!邪魔しやがってェ…!!!」

「その娘から離れなさい!!!」

 

 

声だ。

女の声。

20代後半か。

 

黒い髪をした、女は赤いジャケットをつけていた。

背は高い。

 

 

「お前の髪の色は黒い、黒髪は切り飽きた…。」

 

 

 

 

その時、倒れたレイの声が漏れた。

 

 

「葛城三佐?」

 

 

そうか、この女の知り合いか。

マルコは睨んだ。

葛城ミサトを。

この女、血の臭いがする。

生臭い血の臭い。

そうか、コイツも人殺しなのか。

俺と同じ殺人中毒者。

 

 

「同業者か?」

「ある意味ね。」

 

 

否定しなかった。

面白い。

人殺しを殺すのはそうそうない。

 

 

「二度は言わない、離れなさい。以上。」

「そんなことできると思っているのか?」

「じゃあ、あなたには消えてもらうしかないわ。」

「ハハハハハ!!!じゃあこいつの前にお前を先に殺してやるぞ!!」

 

 

マルコは大きなハサミを持った。

2m近い大物。

 

ガチィン…ガチィン…。

 

 

金属音を響かせると大型ハサミは光輝いた。

マルコは口から泡を吹きながらミサトに飛び掛かった。

 

 

 

「クビを切り裂いてくれるわああああああああああああああああああああ!!!」

 

 

ミサトはその様子にたじろく様子はなかった。

そして、冷静に銃を取り出した。

 

 

「銃!?」

 

 

マルコがそういった矢先だった。

 

 

パァン。

 

 

銃撃が響いた。

その時、マルコの足に激痛が走るのを感じた。

 

 

痛い。

 

 

 

「あ・・・。」

 

 

 

わかった。

こいつ撃ちやがったんだ。

撃った。

マルコはふと、足を観た。

太腿を銃弾が貫いている。

 

 

「…この売女がああああああああああああああああああ!!!!」

 

 

マルコは怒り狂い雄たけびをあげながら、ミサトに襲い掛かった。

 

 

「怒りで痛みを忘れてるのね。」

 

 

ミサトは冷静だった。

そして、マルコとの差が数センチになったその時だった。

そして、ハサミで狙ったはずだった。

 

 

「死ィぃねえええええええ!!!!」

 

 

ハサミを引いた。

首は切り裂かれた。

マルコは確信した。

 

だが、そこにミサトはいなかった。

 

「何っ!!!」

 

寸前のところで、ミサトはしゃがんでいた。

避けていた。

 

 

「なんてスピードだ、このズベタは!!!」

 

 

 

 

マルコはそのままドアを抜け、バルコニーに飛び出た。

その時だった。

 

 

ガシャン!!!

 

 

マルコの持っていた大きなハサミは壁に突き刺さった。

姿勢を崩した彼はそのまま地面に倒れた。

 

「ぐおっ・・・。」

 

 

マルコはすぐさまミサトを探した。

あのアバズレ…。

よくもこの俺様を…よくもこんなことを…。

そんなことを思いながら、起き上がりミサトを目で追った。

 

 

「どこだ!?」

 

 

いない…。いない!!!

 

 

「どこに目をつけてるの?」

 

 

声が聞こえた。

マルコは気が付いた。

横にいた。

そして、ミサトは大きな握りこぶしをつくると‥マルコの顎にめがけてアッパーカットを繰り出した。

 

 

「ぐぼっ!!!」

 

 

マルコは悲鳴上げ吹き飛んだ。

その体はバルコニーを越えて、マンションの外へと吹き飛びそうになった。

その時だった。

ミサトの手が伸びた。

マルコの足をつかむと、宙ぶらりんの状態で持ち上げた。

 

このクソアマ…俺の命を助ける気でいるのか。

 

 

「ククク…俺を助ける気か?」

「あなたには裁判を受ける義務がある。罪を清算しなさい。今まで殺してきたすべての人のために…。そして全てを明かしなさい。」

「バカな女だ。」

 

マルコは笑った。

そして、上着からあるものを取り出した。

美容師用ハサミだ。

 

 

「何を!」

「こうするのさ!お嬢さん!」

 

マルコはミサトの手の甲にハサミを突き刺した。

 

「っ!!」

 

ミサトの手は反射的に手を離してしまった。

 

 

 

「先に地獄で待ってるぜ!!!」

 

 

マルコはそういうと、真っ逆さまに落ちていった。

ミサトはバルコニーから身を乗り出すと殺してしまった相手の最期を確認した。

血まみれだった。

 

 

「地獄、そんなものがあれば世の中楽かもしれない。」

 

 

そういうと、ミサトはレイの元へと戻っていった。

レイは無事だった。

 

「葛城三佐…。」

 

青い髪の少女はミサトをみつめていた。

 

「無事だった?」

 

ミサトは笑顔で聞いた。

ふと、レイはミサトの手にあった傷をみつけた。

 

「あ、これ?大した事ないわよ…。」

「あの…さっきの人は?」

「死んだわ…落ちて…助けられなかった。」

 

レイは無表情だった。

まるで死を恐れていないようだ。

 

「この世界には死が救いになる命もある。」

 

レイは静かに言った。

彼女なりの気遣いだろう。

あなたは悪くない。

そういうことを言いたかったのか。

ミサトは彼女の目を見て小さく言った。

 

「かもしれない。」

 

 

ミサトは否定をしなかった。

あの男は殺人鬼。

死刑になってもおかしくない…。

 

 

「でもね、レイ…それは誰も決める事ではないのよ。そのために秩序がある。死んでもいい人間を決めるのは私たちではない。」

「ちつじょ・・・。」

 

 

そうだ、彼女に言っておくことがある。

リツコに聞いた。

彼女は自分が死んでも代わりはいると言っていたそうだ。

だが、違う。彼女は彼女だ。

代わりなどいたとしても、失いたくはない。

 

 

「リツコに頼まれてここに来たの。あなたが心配だったのよ、あいつも‥。だからねレイ、忘れないで…あなたは私たちの仲間なの。だから…自分が死んでも代わりがいるなんて悲しいこといわないで。お願い。レイはレイしかいない。綾波レイはこの世にたった一人しかいない。それがあなたなのよ。だから絶対に無茶はしないでね。」

 

レイはミサトを黙ってみた。

そしてやんわりと笑顔になった。

 

「約束よ。」

「…はい。」

「あと、ドアに鍵をかけなさい。」

「はい。」

 

 

 

その後、レイのマンションには複数の警官隊がやってきた。

ミサトは治療を受けながら、警察とネルフの保安部に証言をした。

 

リツコに頼まれて、ここに来た事。

レイを守るために殺人鬼と交戦したこと。

そして、殺人鬼は落下して死んだこと。

男の残した複数の遺品から身元がわかった。

そして、その正体すらも。

 

レイを殺しに来た殺人鬼はあの『カミキリムシ』だった。

表の顔はカリスマ美容師の井岡マルコ、裏の顔は連続殺人鬼。

男は何人の女性を殺し、その髪を収集するとんでもないサイコパスだった。

レイはその後、一時的にネルフの施設に預けられることとなった。

かくして、第三新東京はある意味では使徒より恐ろしい脅威から守られた。

 

 

数日後。

 

ミサトは手の甲に包帯を巻きながら、今日も仕事をしていた。

部下をまもって負った傷、それは軍人にとって勲章だ。

彼女はゲンドウから昇給を言い渡された。

綾波レイはゲンドウのお気に入り。

これでよかったのだ。

 

 

そんな彼女の執務室に綾波レイがきていた。

 

 

「ああ、レイ…元気?」

「はい。」

「元気そうで何より…。」

 

レイはミサトにどっさりとした本を差し出した。

 

「これ…あげます。」

「え?」

「碇司令が、与えられた恩は返せと言っていたので…。」

「え?い、碇司令が??」

「はい、では失礼します。」

 

ミサトは内心困っていると、綾波レイは黙って一礼をして去っていった。

 

「こんな本もらっても困るんだけどね。」

 

ミサトが適当に本を開くと、そこからメモが落ちてきた。

 

 

『ありがとう。』

 

 

奇麗な文字だった。

綾波レイのものか。

ミサトは微笑んだ。

 

「不器用な娘‥。」

 

 

感謝したければ口に出せばいいのに。

行動で示すのか。

かわいいところのあるヤツ。

ミサトはそう思うと、さらに上機嫌になるのだった。

 


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