本日2話目。
渋谷事変、4話目です。
すり鉢状に沈んだ地面の中央に、相変わらず獄門疆は鎮座している。先程と変わった点は、と言えば、羂索がそれを指で弾いて揺らしたり、爪先で小突いたりしているところだろう。
想像し難い質量を持っていた先程とは違い、軽量化が進み、起き上がり小法師のような挙動ができるようになっていた。動かせるようになるのも、時間の問題だろう。覚悟を決める。
行くか。息を吐く。
*
七海
行かなければ。
眠りに落ちるのとはまるで違う浮遊感が、七海を震わせた。
全身が焼け付くように熱いのに寒くて仕方がない。
七海は自らの意識が今にも泡のように弾け、そのまま溶けて消失してしまう、そういった危うさの中、どうにか意識を繋ぎとめていた。
行かなければ、と思った。
肉体の感覚は最早消えている。強い使命感だけが心の芯をぎゅっと掴んでいる。身体が無理やり突き動かされて苦しい。
そうだ、本が読みたい、と思った。人間としての感情が、最後に蜘蛛の糸を垂らすかのように現れた。マレーシア、クアンタン、海辺に家を立てよう。そういった考えが、さざ波のように寄せては返す。
「違う」
伏黒を助けに行かなければ、と足を引きずり歩く。
火山頭の呪霊に触れられた後、身体が何かに覆われた感覚だけがあった。燃えているのだと気付いた頃には、七海は何も見えなくなっていた。
伏黒は?
真希は、直毘人は無事なのだろうか。
ふと前を見ると、爛れた視界に、異形の集団がこちらをじっと眺めているのが映った。囲まれていた。無邪気な殺気が、周りから、絡みつくように漂ってくる。
疲れた。
疲れたな。疲れたんだ。もう充分やったさ。七海は駆け出した。
音もなく、地面を蹴りながら、するすると異形の間を縫うように行く。相手を叩き切ることだけを考える。腕を振るう。拳に力を入れ、一度、振るい、もう一度力を入れる。黒目がぐるんと上を向きそうになった。歯を食い縛り意識を繋ぎ止める。右側から走ってくる異形に視線を向ける。個々の力は強くはないものの、それぞれが臆せず、走ってくる。タイミングを計る。ふっと息を洩らし、腕の神経に呪力を集め、相手の身体を屠る。
やがて静かになったところで、顔を上げた。
ぽつんと一人、誰かが立っていた。
*
特級呪物がなぜ破壊できないか、知らないだろうから教えてやろうか。
まず、呪術師が高専の忌庫に溜め込んでるやつの大半が、強大な呪力を宿していて、破壊不能な代物なんだ。その中でも、摂取すると呪物に宿った呪力の主が、精神と肉体を支配して肉体の形状を変態させる。これを受肉と言ってね。
真人はそう言った。
僕の返事を待たずに、特級呪物について語り始める。
相手が興味を持てて且つ共感できる内容を、目をきらきらさせ、興奮をあらわにしながら、わーわーと喋られるのなら、聞いている側は渋々耳を傾けるのかもしれないが、彼はいたって小馬鹿にしたように、どうせお前は暇なんだろうと言わんばかりの様子で、僕に配慮もなしに話すのだから不快感しかなかった。
ただ、真人が前述の通りの様子で優しく僕に語り掛けてくるのなら、それはそれで戦々恐々としていたに違いない。
祓いきれない強力な呪いを抑え込む手段には、封印がある。経年劣化で綻ぶこともあるから、呪術師は、それの補強も定期的に行わなければならない。
「──その特級呪物。あえて外に置いといて、魔除けにすることもあるんだろ」
僕はその内容に全くもって興味が無かったが、記憶にある情報をつらつらと諳んじると、真人はまさに豆を顔面に打たれたかのような表情で、きょとんとし、「あ、見たことあるんだ」と言った。
「長生きしてるって言ったでしょ。見たことくらいあるよ」
「優しく教えてあげようとした俺が馬鹿みたいじゃないか」
そういった彼は不貞腐れたように、
「そもそも話を聞くとも、教えてくれとも言ってない」
溜め息を吐きながら僕は、波の花から
人間でいえば二十前後の容姿だろう。少年とも青年とも言い難い雰囲気がある。長い髪に、高い鼻、二つの縫合痕が大きく顔を走り、人相が良いとは言い難いものの、個性はある。そう思った。
僕の不躾で淡白な発言を面白がったのか、真人はさらに話を続けた。
興味のない内容を、目をきらきらさせ、興奮をあらわにしながら、わーわーと喋りはじめ、鬱陶しかった。
「教えるのならさっさと結論を言わんか」
隣のパラソルの下にいる、知り合った頃から数えれば最も歴の長い
『漏瑚』と花御がたしなめる。その後で、『真人も、挽歌を揶揄うのはどうかと』と聞き取れない言語を紡いだ。
それを不快に感じた漏瑚が憤慨するのも、ここ最近で何度も見た光景である。
この空間に滞在するようになったのは
人気のない森林や山の中にいるのに飽き、何となく街におりてきた際、この真人という呪霊に出会ったのだ。僕はその時背中を向けていて、後ろから彼に肩を叩かれたので、危うく飛び跳ねそうになった。
久しく誰かと会話していなかったものの、流石に驚いたので、「なに」と一言だけ返答した。すると相手は目を瞠るもすぐに笑みを浮かべて、「いや」と言葉を探し、そして発した台詞が、「面白いやつがいるなって思って」だった。
小馬鹿にして喋っていた彼は、花御の言葉で急に冷めたようで、「そうだね」と答え合わせを始めた。「特級呪物は
「縛り?」
「“生命を止め他に害を為さない”、その代わりに、存在を保証される」
僕は眉間に皺を寄せる。「それって意味あるの?」
「あるさ。強い呪物は、その縛りですら歳月をかけて弛緩させ、呪いを寄せる」
疑問点しかなく、さらに顔を顰めると真人が頭を搔く。「さっき、摂取すると呪物に宿った呪力の主が、精神と肉体を支配して肉体の形状を変態させる、って説明したのは聞いてた?」
「あぁ、受肉だっけ」
「それは人間だけじゃなく、
「思わなかった」
「それを食べると、雑魚呪霊なら一瞬で喰われる。魂ごと持っていかれて、特級呪物の呪力の主に成り代わられる。そうだな、例えば、両面宿儺なんかは確実だね」
視界の端でさりげなくと言うべきかあからさまにと言うべきか、コレクションである大量の宿儺の指を収納した巻物を、ちらりと見せてくる漏瑚と、それを視界に入れた瞬間腹を抱えた真人を、ぼんやりと見つめている、かつての自分を想像した。
「キミだろ。
長いエスカレーターを下り、改札を飛び越え、東京メトロ地下五階、副都心線のホームの階段を下りてきたところだった。
男は、変わらずそこいた。
袈裟を纏い、胡散臭い表情は狐じみているが、夏油という器の名残だろう。泥のような悪意が表皮に滲み出ている気がした。
「数ヶ月前にさ、呪術師と廃村に行ったんだ。そこで宿儺の指を食べた呪霊と戦った」
相手の口角が歪にじんわりと持ち上がる。
「……あの土地は中々に思い出深い場所でね」
羂索は否定も肯定も示さず、肩を竦めた。対話を望むのなら、と僕は視線で次の言葉を促す。
「かつて友人と会った場所だ。相手は珍しい術式を持っていて、出来ることなら私と一緒に来て欲しかったが、断られてしまった」
「へえ。利用したかったんだ?」
「まさか。純粋に叶えてあげたかったんだ。死にたくもないけど生きていたくもない、っていう我儘をね」
「そう、優しいね。それでその友人は、どんな術式を持ってたの?」
羂索は一貫して腹心を悟らせなかった。ただのっぺりとした笑みを浮かべている。僕も不思議と落ち着いた心地で訊ねていた。
「奪おうと思えば、どんな相手からも寿命を奪って吸収する術式」それと、と羂索は軽々に続けた。「奪った寿命を他人に付与、もしくは蘇生に回す、なんて使い方もあった。何度思い出しても素晴らしい可能性だ。未練がましく、その仕組みを模した
すぐに廃村で見つけた反魂人形のことだ、と思い当たる。何かを食べて、吸収したエネルギーを蘇生に回す。失敗作だったから不完全なシステムで終わっていたが、間違いなく元となったのは僕の術式だろう。
そうすると自ずと、彼の目的に確信が持ててくる。殺して、回収して、自分の糧とするのだろう。
惜しむ気持ちがないと言えば嘘になる。僕の胸の奥の蝋燭の灯りが、慰めるようにゆらりと光を揺らした。
吐く息が震えた。
意を決して、矢筈を弓の弦にかけ、照準を合わせるようにこう口にする。
「でもまた、その術式を得るチャンスが訪れた。違う?」
のっぺりと貼り付けていた微笑みが剥がれた。邪悪と純粋を綯い交ぜにしたような顔で、羂索が心底嬉しそうに、「やっとか」と笑った。
「────長かった。やっと、思い出してくれて良かった。薤露」
やっぱりか、と僕は胸の内で何度も繰り返す。
やっぱり、友達になりたいって言ったのは嘘か。「違うよ。今の僕は挽歌だ」
*
七海
前に佇むつぎはぎの呪霊を見る。
消えかけの魂を費やし、思うままに改造人間を屠っていた七海の前に、気付けば
その長い髪が垂れた顔は、見えた。
薄青色の前髪越しに、七海を睨んでいるであろう真人の目も一瞬窺えたが、内包する感情までは把握できない。
が、死に
立っている感覚が薄い。もはや夢見心地だ。
自分を含め二人しかないのに、誰かに見られている気配すらした。
もしかすると草葉の陰から故人たちが、七海が無惨な死を迎えるのを、今か今かと、まるで映画を見るように鑑賞しているのかもしれない。
致命傷を負い、命の炎が消えかかっていた。頭が重たくなり、身体から力が抜けそうになる。
視界が一際強く瞬いた。七海の足がかくんと曲がり、バランスが崩れる。咄嗟に踏ん張り、体勢を整える。
「死にかけじゃん、
「いたんですか」
「いたよ、ずっとね。アンタを待ってた」
七海の頭に疑問符が過ぎったのを真人も察したのか、「挽歌のことだよ」と言った。「挽歌に余計なことを教えたのは、アンタだろ」
「余計なこと、の範囲は?」心当たりはあったが、ピンポイントで該当する項目が思い付かなかったのは事実だ。「生憎、無駄話をする時間は、持ち合わせていませんので」
真人は顎を引き、七海の溶けた左側の眼窩を突き刺すかのような面持ちで、数秒黙った。
七海も口を閉じ、相手の返答を待つ。
途中で、パンツのポケットの中身が強い熱を帯びた気がした。反射的に表情筋が引き攣る。
「ああ、傷が痛むのか」真人が言った。「顔を顰ませたけど。漏瑚がやったのかな」
「そんなところです」
真人は小馬鹿にしたいのか、それとも納得したのか、どちらとも取れる息を漏らした。
「で、そうだな。単刀直入に言うよ、
「敵討ちですか」
今のところ手にかけた記憶はない。
七海はそう認識していた。祓う支度は整っていてもまだ直接的な攻撃していない。
何故かと言えば、あれ以来挽歌と会っていないからだ。
「挽歌は、『死を畏れる感情』から生まれた呪霊だ。挽歌だけは、死の恐怖を克服しちゃいけなかった」
「そうですね」
足元に倒れていた改造人間が呻く。既に息はなく、死後の痙攣に近い。
つまり何なのだ、と会話に茶々を入れ急かしてくるかのようだ。誰かの気持ちを代弁しているのだろうか。
「もし、『死の恐怖』を凌駕する、
真人は唄うように言い、七海が挽歌と行動した期間について指摘してくる。
「アイツは次に死ぬ時、『まあ、でも楽しかったし、仕方がないか』って思うんだよ。そういう性格なんだ。幸せな生活を送ったら、
「そんな単純でいいんですか、呪霊」七海は揶揄う。
「挽歌の場合は、だよ。生まれる原因となった感情の本質が、人間に近過ぎたんだ。生きる側を選べるとしたら、あの類の呪霊は確実に、人間側を選ぶだろうね」
「確かに、呪霊らしくありませんでした」
「人間側を選ばれたらどうしようもなかった。なんせ、すぐ満足して死んでいただろうから」
貴方を祓わず見逃す理由はない、と挽歌に脅しをかけたことがあった。
その時、誰かに感謝される温かさに気付いてしまったから、その理由を知りたいのだ、と反論してきたのは流石に驚いた。
それがまるで、生き甲斐に縋って、呪術師の世界に戻ってきた自分自身を見ているようだったから。流石の七海も手を差し伸べてしまうほどだった。
「ああ、やっぱりアンタも気付いてたんだ」と真人が吐き捨ててくる。「挽歌を真の意味で殺す方法」と言ったかと思えば、「
「薄々勘づいていただけです」七海は言った。
本音だったのだが、よく言うよ、と真人はつまらなそうに人差し指を向けてきた。
「“
*
ずるっと滑って転びそうになり、足を踏ん張る。下を向くと鼻からぽたぽたと血が溢れて、地面に花が咲く。
「諦めが悪いな」
「どこが」
「強がらなくていいよ」
激しい音と共に、足元の地面が弾け飛んだのはその時だ。
羂索が放った呪霊に、後ろから攻撃されたのだ。狙いを外した威嚇射撃のようだったが、これ以上、逃げ回れば次は本当に撃ち抜かれるのは間違いない。
「今の挽歌程度の呪力じゃ、私を殺せないよ」
ぱん、と目の前が真っ暗になる。思考は真っ白だ。爆発するような衝撃と、頭蓋が砕ける痛みが伝わる。
今のは何度目だ。何度目の、死だ?
まだだ、と踏ん張る心地で蘇ると目を開けるより先に、地面を蹴って距離をとる。
僕は息も絶え絶えに口を開いた。
「今、この瞬間も、陀艮がたくさんの人間を、吸い込んでいるだろ」
羂索が、「ああ。この作戦の一環だからね」と黒い球体の呪霊を取り出す。
短く息を吐いた。「陀艮は、強いからね」
作戦成功に向けて力を奮う陀艮を思い浮かべ、意識を強く保つ。弱気になるな。僕は呼吸を整えて、半身の力をだらんと抜く。
「その人間たちが今、何を考えているか、分かる?」
そう言って、陀艮が活動している方向を指差した。
「さあ、興味もないから」羂索はかぶりを振る。「気にしたこともなかった」
「僕には分かる」
「へえ。何を考えているか、分かるのか?」
「分かる」と言ってから、するりと空間ごと握り潰すように手に力を込めた。「皆、同じことを考えてるよ」と言うやいなや、羂索が立つ一帯を呪力の波で覆った。
羂索は動作を一旦停止し、じっとしている。
「死にたくないってさ。最悪の気分だ、よ!」
気分は、さながら地に根を下ろし、養分を吸い上げる大樹のようだった。
一分、いや一秒ごとに、爪先から頭の頂上まで溢れるほどの呪力が漲っていく。未だかつてないほど、思考が冴え渡っていた。穴の空いたコップに水を注ぎ続けるのと同じだ。万能感が滾る。今なら何でもできる気がした。
真人に見せてやりたい、と僕は全身の力を抜く。
そうこうしている間にも全身には呪力が漲っていく。真人と僕は似たもの同士だから、と考えていた。なら名前を借りてもいいよね、真人。いやむしろ、こっちが先か。すっと息を吸って、初めての単語を口にする。
「──
黒々とした呪力の波が羂索に向かい、その手を伸ばし、得体の知れない揺れを見せる。絶望感よりも、安堵や懐古を思わせる穏やかさで、じっと見ている内に、自分の頭の中の雑念が消えていく気分になった。
目に映る波が、自分自身のエネルギーであり、
羂索を囲い守るように盾に徹していた、百足のような呪霊たちが、波に飲まれ、次の瞬間、忽然と死に消える。邪魔という邪魔が消え去り、周囲は青天白日に包まれている。僕にはそう見えた。
視線の先に立ちつくす、羂索は驚きに目を瞠っていた。「ああ」と感嘆する。
「嗚呼──畏怖の念による呪力の増幅が、リアルタイムで行われているわけか!」
面白い、と羂索は弾けるように笑った。「ますます取り込む必要ができた」
*
七海
「だから、アイツは人間から寿命を奪う行為を嫌悪していた」
静かに、淡々と話してくる真人の声には感情が篭っていないため、七海はどのような表情なのかと拝みたくなった。
ただ、意図的に感情を抑えようとする気概は見て取れたから、なんとも言えない気持ちになる。
「俺も色々と工夫したんだ。挽歌は会った時から、なぜか術式に
「天与呪縛に似ていますね」
「ある種のそれだよ。『生きるのも苦しいけど死にたくない』と思っている限り、『絶対に死ぬことができない』生態だったんだ。それで、一応呪霊仲間だし、無意味に死なせるのも非合理的だろ」
「その割には、随分と私怨もあったようですが」
七海は言ってみるが、真人は無言になった。
「地下水路に残った紫色の変死体。心当たりがあるでしょう」
それにも答えはない。
大きな体長、紫色に膨張した肌は、幼い少女の面影など微塵も残していなかった。
変死体を見つける少し前、挽歌と住宅街で遭遇し、五条が乱入して来た頃に、七海は迷子の少女を母親の元に送り届けた。筈だった。
地下水路で七海が見つけたのは、十メートルをゆうに超えた紫色の巨体で、元が人間だとしても、その性別は男なのか女なのか、そして年齢はいくつなのか、全くもって予想できなかった。
何かを喋ろうと腫れた唇が痙攣していたが、空気が洩れる音だけが伝わってくる。
あまりに残酷な光景に、こんなことをした相手は、死ぬまで苦しむべきではないか、なんて思ってしまう。
「すみません」と七海は内心で救えなかった少女に謝罪し、拳に力を入れる。関わったばかりに。
「生きていることに満足しない限り、あの呪霊は死なない。そうですね」
「まあね」と応える真人は、さっきからそう言ってるだろ、という様子だった。「
「だから、殺したんですか」
「そうだよ」
「それは吉野順平もそうですか」
「そっちは元からその予定だった。挽歌が想定以上に肩入れしただけさ」真人は表情一つ変えない。「ま、餓鬼の方は腹いせに思われても仕方がないね。……ここまで聞けば、アンタに会いに来た理由にも納得がいくだろ」
挽歌が死ぬ可能性を作った七海に、腹いせをしに来たのだろう。
息を吐く。動機があまりにも人間臭過ぎる。あいつも、こいつも、何が呪霊だ。
蛍光灯が点滅する天井に目をやれば、地上から、戦闘を想像させる地響きと爆発音が響いた。
しかし七海は不思議なことに、諦念や無力感を抱くより先に、頑張らなければ、と感じていた。ここが踏ん張りどころだ。
「ああ、だとすれば」と七海は笑うでも、嘆くでもなく、のんびりと言った。「皮肉ですね」
七海と真人の支線が合い、二人の間の空気が少し冷気を帯びた気がした。
評価、お気に入り等本当にありがとうございます。
予約投稿の次話は24時に投稿予定です。次で渋谷事変終わります。