神秘は消えた。
神の恩恵を持つ英雄が一騎当千の働きをする時代は終わり、剣や槍は届かぬ棒へと成り果て、鉄の塊を飛ばすのが今の戦争。
しかしそれは表向き。
天使も悪魔も堕天使も、聖書には記されぬ神々も確かにこの世には存在する。彼等はこの世ならざる場所に住まい、この世に関わる。
「でも、まだ創造主、管理者を語るのはどうかと思うのよ私。だって、ねえ?恐竜の存在は確定。進化論こそ今の主流。夜の闇は払われ整備された道を進む蒸気機関車、車のおかげでかつては数日かけた距離も半日で!ああ素晴らしきかな人類!」
古城跡地にてベーコンを挟んだパンを食べながら仰々しく両手を広げたりしながら語る少女。少女の言葉を聞く人影は、一つもない。あるのは白い翼を生やした沢山の死体だ。
「この世界は、人類は、自らの足で立ち道具を使い発展した事はもう周知の事実よ。だからこそ、何でしょうね。宇宙を焼き尽くせるゼウスにシヴァ、そんなシヴァと争ったインドラこと帝釈天に、叡智の為に片目を捨てたキチガイオーディン、泥から人をつくる女媧。そんな存在が宗教争いに参加しないのは。そりゃ自分が作って育んだ訳じゃないもの。どうでも良いわよね。逆に我等の領域に〜とか言ってる神様ちょっと失礼じゃないかしら?ここは人間の土地よ。もしくは虫の惑星だわ!」
『………つまり何が言いたいんだ?』
と、一人しかいないはずのその場に男の声が響いた。女は驚く事なく言葉を紡ぐ。
「ハーデスがギリシャの常識神って絶対嘘ねって言いたいのよ。領域侵犯で三大勢力嫌ってるんでしょう?じゃあ人類全員お前等大嫌いだっての。元いた世界に帰れ骨め。大体なんで骨なのよ。あんた死の神として生まれてないしそもそもギリシャの死神はタナトスだけだし神話に死神の軍勢なんて出てこないわ!それを指摘したら人間風情が偉そうに!質問に対する答えもなしに我等は魂を管理するもの、ですって。だったらギリシャ神話圏外で魂が溢れてないのは何なのよって話よ!というか死神とか言ってるだけで死の運命操れてないし!」
『そりゃあそうさ。神々に人の運命を操る事なんて出来ない。語られてるほど万能ではないのだから』
「そんな神々が……ううん、人外がまだこの世に関わり続けるのはどうかと思うのよねえ私」
『悪かったな、人外で』
「やだ、拗ねてるのドライグ?」
カラカラと笑う女の左腕に赤い篭手が現れ、篭手に組み込まれた緑の宝玉にキスをする。
「ごめんなさいね。でも私、貴方のことは嫌いじゃないのよ。さ、戻りましょうか……マザー・セシリアが美味しい料理を作って待ってるわ」
『ふん………今代はまた変わっている。ただの神器持ちに従うなど』
「ごめんなさいねドライグ。赤龍帝としてのプライドが許さない?大好きなあなたの願いは叶えてあげたいけど、セシリアも大好きだから」
『まあ良いさ。どうせ白いのとは何れ見える。その時にお前の強さを示せ』
「私は弱いわよお?だから逃げるわ」
ふふん、と胸を張る女にドライグと呼ばれた声は呆れたように黙り込む。
『ジャネット、お前は歴代で一番誇りのない赤龍帝だ』
「だって私ドラゴンじゃないし〜」
ぶー、と頬をふくらませる女……ジャネット。すぐに笑みを浮かべ古城跡地から消え去った。
聖書に記されし神が生み出した道具がある。その道具は神器と呼ばれ、様々な効能、能力を持ち人々に宿る。
中でも神をも殺すと言われる力を持つ物は
ジャネットはその所有者。しかし、それはほんの少し先の時代、誰も知らない。精々名が知られることになるであろう赤龍帝の場繋ぎ、この時代にもいたな、程度の認識しかされない、ただの力を得ただけの
ジャネット
家名無し
嫌いな物∶マザーのお叱り 天使、悪魔 死神
好きな物:マザー・セシリア! セシリアの手料理
仲間 ドライグ!!
強さ
歴代の中でも下から数えたほうが速い