【FGO(腐)×結界腐】1回ぐらいならよかったかな、と思う 作:駒由李
原作:Fate/
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▼ロマニは●●●●だった生前は女に不自由しなかったろうけど、人間になって駆けずり回っているうちに疲労とストレスでどうにかなっちゃうこともあったんじゃないかな……と思ってできたのがこれ 女性に手を出してたらやばかった ぐだ子とか
pixivより転載
宍色のカーテンが顔にかかる。それは長い髪でできたカーテンで、やや癖のあるそれはうねっていた。否、それより気にすべきことがある。
ベッドに押し倒されているこの状況だ。僕は男、相手も男。否、どちらかが女性でも問題はあったが今は置いておこう。とにかく、今の僕はベッドの上に仰向けになっていた。
医務室である。人理焼却後、カルデアの事実上のトップの執務室になっていた。実際今僕がこの部屋を訪ねたのも仕事絡みだ。書類を片手にやってきた僕は、ノックをしても返事がないことを心配して勝手に扉を開けた。
そこでは机に向かい、髪も結ばず項垂れているロマニがいた。
これは引き返した方がいいだろうか、「失礼しました」の「し」を言いかけたところで「トシモリくん?」と声をかけられた。どうやら気付かれたらしい。それに観念して僕は部屋の扉を閉めた。そして近寄る。
「お疲れですか、そりゃお疲れですよね。少し休まれた方が……」
「うん。……うん、休みたい」
ぶつぶつと呟くように、項垂れたまま彼は言う。これは重症だ。そう思いながら彼の肩に手を添えた。こう見えても僕は、ロマニに次いでなぜかこのカルデアで頼りにされる人間だ。まことに不本意だが。だから少しぐらいならロマニの代わりをやれることもなくもない――そう思ってのことだったが。
その手を取られた。
「え」
一瞬だった。
結界師として、そしてその基礎として体術を仕込まれた身だ。しかも僕の方が体格が若干だがいい。それをいとも容易くねじ込まれた。そして冒頭に至る。
「あの……ドクター……?」
僕の伸ばした長い黒髪が、ベッドと背中の間で擦り合う音がする。両手首はがっちりとベッドに縫い留められていた。この状況、嫌な予感しかしない。なので恐る恐ると尋ねた。
「ドクター……その、この状況はどういう意味ですか……?」
「……トシモリくん」
「はい」
ロマニの目に危ない光が宿っていた。
「抱かせて」
「嫌です」
「へぶらいっ?!」
咄嗟に右手の拘束を振り払い、結界でロマニの側頭部を吹っ飛ばした。結構ないきおいだったようでロマニは床にのたうつ。それを尻目に衣服と髪を整えた僕は、養豚場の豚を見るような目で床の上のロマニを見下ろした。
「なかったことにしてあげますから、トチ狂うのは人理を修復し終わってからにしてくださいね」
そして僕は書類だけ置いていくと、医務室を出た。外には「ドクター休憩中」という看板を出しておいてから。
そんなこともあったな、と思う。
「ダ・ヴィンチちゃん。立香は?」
「あぁ、マシュと一緒に外に行ったよ」
「外か……」
そう言えば、今日は久しぶりの晴れ空のはずだ。グランドオーダーを完遂した暁に相応しい好天。立香とマシュはきっと嬉々として見に行ったのだろう。それぐらいの褒美は許されるはずだ。彼女たちが去ったあと、終局特異点で負ったカルデアの傷もある。
そして何より、喪ったもの。
「トシモリくん」
「……時計塔との……外との連絡がついた。それは喜ばしいことです。物資にも限界がありましたしね。ただ、僕は」
「『僕は』?」
首を傾げるダ・ヴィンチに、僕は苦笑した。
「……何でもありません。何でもありませんよ。ただ」
(1回ぐらいなら寝てあげてもよかったかな)
騒ぐスタッフ、サーヴァントたち。彼らの声を聴きながら、胸の中で呟いた。
それは、ささやかな後悔。
End.