脳死で書き殴ってる文章なのでテンポ以外はお察し下さい。惰性で書いてますので更新もお察し下さい
ほんの少し前までいつものように学校から部活の友人達とともに電車に乗り、駄弁りながら幾つか駅を乗り継いで別れ自転車で自宅に向かっていたはずだ。
記憶では確か、そこそこ信号の長い国道を通り抜けて自宅近くの県道を通っていたはずであり、決してこの様な周囲に何もない――雲の中にいるような、こんな場所にいるはずがない。
「……夢か?」
もしかすると、今日の記憶は夢だったのだろうか? それならば、大遅刻に違いない。なにせ朝起きて一日学校で過ごしていたはずなのだから。
しかし、大胡にはとても今日一日の出来事が夢だとは思えなかった。そろそろ受験生としての自覚を云々かんぬんと言われ嫌気が差して飛び出した自宅、悪友と呼べる隣の女子との会話と絵しりとり、唐突に当てられて困った数学の授業、友人と顧問の愚痴を話しながら行った部活動――夢ならばいくら明晰夢だとしてもなにかおかしい点や矛盾が生じるはずだ。しかし、そんな事は全く無かった。
記憶は家から数百メートル程度にある交差点で途切れていた。車が来ないかは確認したはずだし、轢かれることはないはずだ。
とはいえ可能性は否定できない。そう考え期待と不安とともに頬をつねったものの、幸か不幸か夢ではないようで目が覚めることはなかった。
「夢じゃない、なら……」
「ここは天界です」
「っ!?」
声のする方を振り向くと、そこには女性が立っていた。いや、浮いていたと行ったほうが正しいのだろうか。
女性は様々な装飾が施された純白の衣を纏い神聖なオーラを放っており、その頭上には光の輪のような物が見えた。そして何よりごくごく普通の、性欲を持て余す男子高校生である大胡からみても美人と言える容姿の女性であるにも関わらず、一切情欲が湧いてこず、むしろ畏敬の念さえ覚えてしまう事がその存在の異常さを際立たせていた。
「あなたは……」
「私はこの世界を統べる神です」
「そりゃまた唐突な……」
確かにこんな意味不明な状況、神でもなければ作り上げられないだろう。その言葉は目の前の女性が放つ神気と共に心を揺さぶっており、妙に説得力があった。
「で、なぜ僕はここにいるんすかね」
「死にました」
「……へ?」
「死にました」
「今なんと」
「死にました」
「しにまみt「死にました」」
しばらくポカーンとしていた大胡だったがしばらくしてようやくその、五文字の意味を受け入れた。
「ええと、その、つまり僕って」
「死にました」
「僕の体って」
「グロいですよ。見ますか?」
「……耐性ないので結構です。っって「あ、失礼」やめてやめて!」
一瞬写った大胡の死体は見るも無残にグチャグチャになっており、まさに「見せられないよ!」状態だった。横にはよく見る車体が路傍のガードレールに突っ込んで炎上していたことも付け足しておこう。
グロ耐性のない大胡は多少吐き気を覚えながらもどうにか気を取り直して女神に質問する。
「……死因は?」
「若年性脳梗塞による交差点での意識の消失と転倒、その後酒気帯び運転のプリ○スが突っ込んでご臨終です」
「プ○ウスですか」
「プリウ○です。運転手はタバコ蒸して酔っ払いながら通話してました。あそこまで典型的なDQNって現代にいるんですね」
いわゆるプリ○スミサイルというやつだろうか。いや、あれは高齢者のことだったか? プ○ウス自体ヤンキーが乗る車としてよく挙げられてはいるが、迷惑な話である。無論プ○ウス自体に罪はない。人を憎んで車を憎まず。それよりも。
「脳梗塞というのは」
「遺伝です。ちなみにこれだけならせいぜいリハビリが必要な麻痺が残るだけで最終的には完治しますし、死にませんでしたよ。プリ○スの運転手は下半身不随全身複雑骨折ながらプラナリアばりの回復力で奇跡的に生きながらえる予定ですね」
「そうですか、正直殺してやりたいですね」
不真面目に生きてきた運転手は生きながらえ、真面目に生きてきた自分はグチャグチャに潰されて人生を台無し、というか無かったことにされる。嗚呼、世の中は不平等にあふれている。心のなかでそう嘆いた。しかしながら――
「しかし、遺伝ですか」
「はい、強いて言うのなら最近の部活動の練習も一因と言えますね」
「あー……無茶してましたね」
大胡は自身の家系が妙に早死が多いことを思い出した。祖父は自身が生まれる前に44歳という若さで死んだ。祖母も60すぎで死んでしまったはずだ。そういう家系のもと、そういう遺伝子を引き継いでいたのだろう。運動部に入ると行った時、妙に心配そうだった両親が印象的だった。
遺伝ならば仕方あるまい、と大胡は納得した。とはいえ大胡はまだ高校生で人生これからという身。死んでも死にきれないことも事実だった。
「h「そんなあなたに朗報です」」
「まだ子音しか言ってませんよ」
「心を読み取る程度造作のないことです」
「さ「いですよ」」
「語頭だけとるなんてずる「い」」
「…………」
もう何も言わない。
しかし心を読み取られるなんて、なんだか気恥ずかしい気分だ。途端に全裸で美女の前に立っている様な羞恥心に襲われる。
その様子を女神は一瞥し、こほんと咳払いを行い話を続ける。
「死んでいるのですから今更でしょう。ともかく話を進めますよ。
あなたは死にましたが、幸運にも私の玩具として選ばれました。分かりやすく言うのなら死人の中から7BdTLtNHZtyUzW8Rj5-jrJRwfxjGZUPGRLC9TB5p2fHkJdi2nPで選ばれました」
「玩具って、もっとオブラートに言えないんですか。あとなんすかそれの7bうんたらってやつ」
先程立てた誓いを速攻で破る。人間なんてそんなもんだ。ともかく、7BdTなんちゃら。神特有の超すごいなにかだろうか。
「あなたに拒否権はありませんし事実ですから。7BdTLtNHZtyUzW8Rj5-jrJRwfxjGZUPGRLC9TB5p2fHkJdi2nPは……平たく言えば神界版神さまの言うとおりですね」
「デスゲームとかですか?」
「何を言ってるんですか? もしかして『どれにしようかな天の神様の言う通り』を知らない? これだから最近の人間は……」
「あ、はい。割と適当なんですね」
しょうもなかった。
「そうですね」
要するにただのくじ引きじゃん。大胡はそう思ったが、過程はともかく結果として幸か不幸か自身が選ばれたのだ。ここで説明を滞らせるのもどうかと思い、とりあえず話を聞くことにした。
「さて、玩具と言いましたが、あなたには別の世界に転生してもらいます」
「別の世界? 異世界転生とかいうやつですか?」
「平たく言えばそうですね。別の神が管轄している世界に送り込むわけです」
ラノベ含め小説本をあまり読まず、実用書を主に読んでいる大胡にとっては最近参考書を買いに行く書店でポップが妙に増えていて明らかに店として推しており、不思議に思ったジャンルである。なにやら、強力な能力を貰って異世界に行くのだとか。
ちなみに大胡はなんだかんだ現代日本が最高と考えている人間であり、異世界転生に惹かれることはなかった。
「どうして送り込むんですか?」
「現地神への嫌がらせに決まってるじゃないですか」
「なるほど。いい性格してますね。ちなみにどんな世界なんですか?」
「まあゲームみたいな世界ですね。言い換えるならば剣と魔法の世界って感じでしょうか」
そう言われ、大胡は最近やったゲームを思い浮かべた。剣と魔法。ダーク○ウルだ。大胡の脳内で不死人が灰色の世界で怪物を相手に剣客をしている映像が流れる。
「ゲームで剣と魔法……そんな世界本当にあるんですね」
「……もうちょっとライトですね。具体的にはドラ○エ程度です」
「あ、そうですか」
ド○クエ程度らしい。とは言うものの、ドラ○エよりポ○モンにハマっていた子供だったのでせいぜい敵が某有名漫画家のポップな印象ということと有名な魔法の名前しか知らなかったのだが。
それはともかく。
「しかし、そんな世界現実にあるんですね」
「ありますよ。他にも軟体動物しかいない世界や重力が存在せず緋力というものが代わりに存在する世界、全てが一様にインフレーションを起こし崩壊していく世界なんてのもあります。もしかして軟体動物がお好みですか?」
「そういう世界じゃなくてよかったです。あと軟体動物はいいです」
「そうですか。私的には住めば都なんですけどね。特に軟体生物の世界は。自身も軟体生物になれば体が溶けるような気持ちよさがありますよ」
「実際に体溶けてますよねそれ。てか謎の軟体動物推しは何なんですかね」
「神ジョークですね」
「…………」
…………。
「話を続けましょう」
「さて、あなたには一つ能力をプレゼントします」
「チートってやつですか」
「そうですね。チートと言って差し支えありません。とは言っても軟体動物になる訳でもありません」
「どんな能力ですか、後そのネタもういいですよ」
「7BdTLtNHZtyUzW8Rj5-jrJRwfxj「それももういいです」」
「ともかく無数のスキル群からアトランダムに選んだ結果あなたに与えられた能力は《ハッタリ》です」
「……《ハッタリ》、ですか?」
「文字通りです。使うとあなたに関する任意の情報が遮断され、妙な説得力が出ます」
「妙な説得力ってなんですか」
「ほら、例えば何か大損こいた人ってサクセスストーリーは胡散臭いのになんか失敗談だけは現実味あるじゃないですか。ああいうやつです」
「具体的ですね」
「後は現実で虐められていた結果いじめ描写だけ妙にリアルに描かれている小せ——「やめろ」」
やめろ。
「それはともかく、その能力割と強いのでは? 繰り返し使えば事実を歪めて洗脳紛いのことだって出来るんじゃ無いですか?」
「スキルそれ自体だけではできませんよ。あくまで説得力が増すだけです。まあ、その説得力を材料として洗脳なんかはできるんじゃないですかね」
「それって結局スキルにする程の価値あります?」
「そうですね、刺身で例えるとツマみたいなスキルです」
「コメントに困ります」
「牛丼で例えるなら紅生姜みたいなものです」
「超重要で必須じゃないですか」
「は?」
「は?」
は?
「ただ、このスキルはそれほど効果が強力で無い代わりにあらゆる知的生命体に効きます。それこそ王でも姫でも魔王でも勇者でもボノボだって」
「魔王と勇者とボノボってなんかシュールだ」
「シュールレアリズム目指してますよ」
「急になんですか? カレー味のうんことうんこ味のカレー並に意味違いますけど……え、なんだ、この謎の説得力は……」
「これが《ハッタリ》ですね。他にも鍵をかけ忘れたかもしれないと思わせたりガスを消し忘れた事について説得することも出来ますよ」
「やめて差し上げなさい」
「但し現実的に不可能な物事に関しては違和感が上回るので無理です」
「あー、確かにさっきのシュールレアリズムも明らかに違和感あった。これ流石に騙されることはないですね。むしろ意味不明なのに説得力ある感じが気持ち悪い。割と大きな欠点じゃ無いですかこれ」
「要するに信じさせればいいんですよ。あのお方ならなんでも出来るって。今の貴方だとせいぜい蚊を3連続ではたき落とした程度の実力としか見られないでしょう。
しかし、噂が噂を呼べば30頭のドラゴン殺しになれる筈です」
「なんか噂の巡り方によっては普通にありそうで怖いんですけど」
「そうでしょう。何せかくいう私はもう三千世界を滅ぼした邪神ということになってますから」
「ものすごい尾鰭のつき方ですね」
「実際3000個程度なら世界を滅ぼした気はするんですけどね」
「想像以上に尾鰭が無かった、というか三千世界って大体宇宙一個ですよね。数え様によってはさらにひどくありませんかそれ」
「さて、能力を与えたって事は何か条件があったりしませんか?」
「よく気づきましたね。最近は能力をもらって即転生する人の多い事多い事。というかそっちがデフォですね」
「……ちょっと待って、条件って」
「ありませんよ。いや数秒前まで無かったので今作りました」
「クソッタレ」
「今までは放置してましたが確かに何か目標があっても面白そうですね」
どうやら墓穴を掘ったらしい。口は災いの元とはよく言ったものだ。
「そうですね、どうにかして『人魔大戦』、終わらせてきて下さい」
「人魔大戦?」
「異世界で人と魔族の間で勃発してる戦争です。泥沼化してるっぽいですしそろそろ終わらせてもいいですよね」
「そんな適当な」
「いやいやこの目標には谷よりもマリアナ海溝よりも深い事情が」
「さっき考えた条件にそんなわけ……《ハッタリ》やめい」
「割とこの能力便利ですよね。実は貴方は軟体動物です」
「な訳あるか!」
☆
「さて、そろそろ貴方を異世界に送り込みます。とはいってもあちらでは赤ちゃんですけど」
「赤ちゃん……リスキルとかあり得ませんかね」
「それも一興ですね。異世界人生RTAします?」
「結構です」
「では、そろそろあっちを向いて下さい」
大胡が後ろを向くと、正面にワームホール的な何かが出現する。少し気になって後ろをチラリと見ると脚を大きく振りかぶった女神が見えた。
「ちょちょちょ、ちょっと待って下さい! 何しようとしてるんですか!?」
「か…み…さ…ま…キィッッックでぇぇぇす!」
直後、大胡の尻に途方も無い衝撃が襲った。
「原始的すぎるだろおおおおおおおぉぉぉぉぉぉ!」
そうして、大胡は暗黒の穴へと吸い込まれていった。
☆
目が覚めると、そこは異世界の——
「縺医?∵?・縺ォ迴セ繧後※隱ー縺?繧医%縺?▽」
「は?」
「縺ッ?溘▲縺ヲ縺昴l縺ッ縺薙▲縺。縺ョ繧サ繝ェ繝輔□繧」
「??????」
あたり一面の海。そして触手。そして何より正面のクトゥルフ的な何か。さっきから謎の言葉を喋っている。
「繧ゅ@縺九@縺ヲ縺ゅ?縺上◎繧?m縺ョ繝溘せ縺具シ溘♀縺上j縺九∴縺励※繧?k」
騒ぎを聞きつけたのか他にも全身から触手が生えているSAN値の下がりそうな物体やヘドロの塊の様な悍ましい何かが集まってきた。テケリ的な何かも聞こえた気がするがきっと気のせいだ。
「縺ェ繧薙□縺ェ繧薙□?溘←縺?@縺溘s繧」
「縺セ縺溘≠縺ョ繧ッ繧ス繧?m縺ヲ縺阪→縺?↓繧?▲縺ヲ繝溘せ縺励◆?wwwwww」
なんとなく笑ってることがわかるのが腹立たしい。
「縺サ繧峨?√←縺」縺九>縺」縺溘?ゅ♀縺上j縺九∴縺吶°繧」
「縺?¥縺樞?ヲ窶ヲ《101001011010111110100101101111011010010111100100101001011110110110100100110011101011100010110101101101011010001010100100110000111010010011000110101001011011011110100101111001111010010111110011101001011101100110100101111100111010010010110111101001001100011010111111101100101010010011101101》」
そう意味不明な言葉を最後に聞いた瞬間、大胡は再び気を失った。
☆
「間違って軟体動物の世界に送っちゃいました。てへぺろ」
「死語で誤魔化しても無駄ですよ駄女神」
「仕方のない事ですよ。送ろうとした瞬間今朝自然界に降りて食べたタコの事を思い出したんです」
「肝心な時にどうでもいいこと考えないでください」
「で、どうでした?軟体動物しかいない世界。とても良いところだと思うんですけど」
「アレですね、僕が神様とバンドやってたとしたら感性と音楽性の違いで即解散してますね」
「それは残念ですね」