ラスボスの子に転生したのでNO.1ヒーローを曇らせたいと思う   作:タメガイ連盟員

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ちびたXtreme様、ユーグレナ様、草鹿午午25色様

誤字報告ありがとうございます。

活動報告にも書いたのですが、目の病気になってしまいまして、次回も更新までかかると思います。どうか気長にお待ちください。


32.襲撃、そして金平糖

 ささっと時を飛ばして3日目の夕方である。

 

 ざっと確認してみたけど、なんとか行動隊は既に現地入りしているようだ。いや、あれ、ホントなんて名前だっけ。特別行動隊? いや、これは別の奴だ。中学2年生が考えたみたいな名前だったことまでは覚えてるんだけど。今夜の襲撃以外ではほぼ名乗ってなかったと思うからどうでもいいか。

 

 で、夏の定番イベント、肝試しである。この時代、科学技術は進歩しているけどオカルト方面は平成の頃とあまりノリが変わらないようだ。動画サイトでもホラー系のものがよくあるし。B組に幽霊っぽい個性の人もいるし、なんなら死後に幽霊として活動できるなんて個性だってあるかもしれない。ヨミヨミの実かノートリアスBIGかな? まあ、その柳さんの個性である『ポルターガイスト』はわたしの『念動力』に近い感じだけど。

 

 肝試しは脅かす側と脅かされる側に分かれる。先攻脅かし側はB組、脅かされる側であるA組は2人1組になって3分置きに出発、ルート中央に名前が書かれたお札があるのでそれを持って帰ること。所要時間は約15分、ざっと1kmと言ったところか。脅かす側は個性を使って脅かすことになる。直接接触はNG。で、全員が終わったら攻守交代ってわけだ。どうせ襲撃されるからA組が脅かす側になることはないんだけど。

 

 で、三奈ちゃん、切島くん、砂藤くん、上鳴くん、あと物間の5人は補習のため不参加。合宿所にいる方が安全だけどね。

 

 組み合わせは

 

①常闇・障子、②爆豪・轟、③わたし・緑谷、④百・青山、⑤梅雨・お茶子、⑥尾白・峰田、⑦響香・透、⑧飯田・口田

 

となった。原作だと緑谷くんが余っちゃったけど、わたしが追加されていることでペアができた。よかったね。たぶん良くないけど。

 

「よろしくお願いしますね、緑谷くん」

 

「よろしく」

 

「そういえば、最初の屋内戦闘訓練とか期末試験とか、ちょくちょく組みますね」

 

 屋内戦闘訓練みたいな実習は結構あるからだいたいクラスの誰でも満遍なく組むようにされているから、特別出久くんと組むことが多いわけではない。逆にわたしと百が組んだことってほとんどないんだよね。わたしと百だと100点満点の成果が出るのがわかってるからあえて組ませないんだと思う。お互い優秀なのも困ったもんだ。それに『念動力』の汎用性、『創造』の万能性は、今回のような個性伸ばしより様々な状況を経験させることで運用を磨く方が良いと思う。自分で言うのもなんだけど。

 

「脅かし役だと、僕たち何ができるかな」

 

「うーん、難しいですね。緑谷くんの個性はレクリエーションに使うにはちょっと威力がありすぎますし」

 

 これには出久くんも苦笑い。爆豪くんとか飯田くんもそうだろう。この辺、ヒーロー活動には、戦闘含めて有用な個性も肝試しのような限定状況ではいまいち役に立たないか。轟くんは氷を出して冷気を送り込むみたいなことはできるだろうけど。でまあ、最も有効であろう人は。

 

「やはりここは、口田くんに虫を操って貰うのがいいかもしれません」

 

「それは流石に……」

 

 おい、引くな。だって、ここは山、ここは森。虫なんていくらでもいるんだし、大量の虫に耐性のある人間なんてそうそういるものじゃない。失禁どころか失神者続出間違いなしだ。やっぱり、考えれば考えるほど口田くんの個性やばいな。強くはないけど、他の人にはできないことができる。例えばアニマルセラピーとか。応用性で言えば百に引けを取らないんじゃないか? 百も生き物は作れないし。

 

 悪用しようとするなら、そうだなぁ、蜂を使ってアナフィラキシーショックを起こして対象を暗殺するとか、それでなくても毒持ちの虫・動物なんていくらでもいるし。悪用と言えば、百も睡眠薬なんてものを作ってたから麻薬量産できるし。お茶子ちゃんだってトガちゃんが変身して使ってみせたように大量殺人が可能、いやあ、個性って悪用しようとするといくらでもできるね。わたしの言うことじゃないけど。

 

 ……さて、そろそろかな。

 

『じゃあ、マスキュラー、強く当たって、あとは流れでお願い』

 

「……! 緑谷くん!!」

 

 出久くんを庇うように突き飛ばす。へい、来いよ、マスキュラー。

 

「ハッハー!!!」

 

 出久くんを突き飛ばしたことで無防備になったわたしに森の陰から飛び出してきたマスキュラーの増幅した右腕が襲いかかる。

 

「ぐぅっ!?」

 

 無防備だっただけに直撃、そのまま周囲の木に激突するまで殴り飛ばされる。と言うか痛いなもう! これ左腕折れてるぞ。もう、『痛覚遮断』っと。よし、あとは死んだふりだ。いや、死んでないけど。にしてもパワーとスピードはマジでオールマイト並だなこいつ。

 

「志村さん!! っ、ヴィランが、どうして!?」

 

「どうしてもこうしてもないだろ? 俺らは知ってる、お前らは知らない。それだけだ。あー、お前、緑谷って奴か。資料じゃパワー系としかなかったが、いいね、少し遊んでやるよ」

 

「ッ!」

 

 残念ながら現状の出久くんとマスキュラーでは出久くんが圧倒的に不利だ。基礎的な身体能力、個性の習熟度、戦闘経験などなど、出久くんが勝っている部分はほぼない。強いて言えば『ワン・フォー・オール』の存在ぐらいだけど、これを使いこなせているとは言い難いから、勝率は限りなく0に近いと言って良い。いや、ホントよく勝ったな、原作の出久くん。

 

 原作と違って、守るべき存在としての洸汰くんはいないから、感情爆発によるパワーの上乗せは期待できない。

それともかく、出久くんもマスキュラーが尋常な相手ではないと最初から100%でいくようだ。

「スマッシュ!」

 

出久くんとマスキュラーの拳が激突する。そして。

 

「ああ!?」

 出久くんの右腕が爆ぜた。100%〈ワン・フォー・オール〉のパワーとマスキュラーと激突した衝撃が彼の右腕を襲ったのだ。出久くんが競り勝っていれば、そのエネルギーはマスキュラーが受けていたことだろう。しかし、そうはならなかった、その結果ってわけだ。原作と比べて出久くんのダメージはそれほどでもなかったんだけど、その帳尻合わせが起きたようなものだ。マスキュラーにわたしがバフをかけたから、だからわたしが起こしたようなもんだけど。

「ナイスパンチ緑谷!」

 ただ、マスキュラーも衝撃がなかったわけでもなかったのか、増殖した筋肉がボロボロと剥がれ落ちている。本人は満足げだ。

「もう少し遊んでやりたいが、あいにく今日は仕事があるんでな! またな!」

 そう言うとマスキュラーは気絶したふりをしているわたしを肩に担いでその場を去る。

「ま、待て……!」

 出久くんが声を振り絞る。腕が痛むだろうに健気だね。それから出久くんは傷みを堪えながらスタート地点まで戻り、ヴィランの襲撃と、わたしが拐われたことをマンダレイにつたえたのだった。

 

で、わたしとマスキュラーだけど。どうやら2人きりになりたかったらしく、原作で出久くんとマスキュラーが戦った場所に移動した。わたしにとっても好都合だけど。念のため、周囲に遮音と目眩ましのフィールドを展開しておく。これで邪魔が入ることはないだろう。

 

「まっ、ここでいいか」

 言いながらマスキュラーはわたしを地面に下ろす。

「起きてんだろ? 黒外套」

 やっぱりこいつは気付いてるか。記憶操作とか特にしてなかったし。

「まさかこんなところにいるとはおもいもしなかったぜ。死柄木の話に乗って大正解だ」

「なに? そのためにヴィラン連合に入ったの?」

「いや? 暴れるのにちょうど良さそうだったんでな。それより、会いたかったぜ!? あのときは楽しかったなぁ。だからまたこうしてやれるときが待ち遠しかった」

「ああそう」

 わたしも暇じゃないんだけどね。

「さあ! やろうぜ!!」

 

「やだ」

 

「はあ? なんだよ、つれねえじゃねえか」

 

 言っても聞かないからさっさとやっちゃおう。『ガス』を発動、無味無臭透明の麻痺毒を散布する。それを吸い込んだマスキュラーが膝をつく。

「てめえ、なに、しやがった」

 麻痺毒と言っても、体の自由を奪うだけで首から上にはあまり影響がない。つまり、マスキュラーにはこれからなにをされるのかじっくり味わってもらえるってわけだ。適当な小石を『念動力』で粉砕する。続いて、毒がいい感じにまわって仰向けに倒れたマスキュラーに近づき、『ガス』を停止してから『個性結晶化』を発動する。これ、メモリを使うから、他の個性と併用できないんだよね。だから解除しても効果が持続する毒ガスを使ったのだ。マスキュラーの腹に右手を突き入れる。

「なにを、する……!」

 

「なにかなぁ?」

 しばらくしてから右手を引き抜く。そこにはバレーボール大の赤黒い石がある。うーん、流石、使い込んでるだけあって大きいな。あと、結晶化すると赤くなる個性多いな。その石をマスキュラーが見える位置に浮遊させる。

「なんだ、それは……」

「あなたの個性。使えないでしょ?」

「!? あ、あああ!?」

いやあ、いい反応だ。なにしろ、マスキュラーは個性を使って好き放題暴れたい、って奴だ。それがなくなるなんて最悪の事態だろう。

「返せ!! 返せ!!」

「ねぇ、マスキュラー、その手の台詞は聞き慣れてるんじゃない?」

 石に最大出力で衝撃波を叩き込む。

 脳裏に浮かぶのは、前世の私が木槌で金平糖を砕く光景。

そして、赤い石が金平糖のように砕け散る。

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」

 マスキュラーの絶叫が響く。遮音してなかったら誰かに気付かれそうだ。

「ふっ、ふふふふふ」

 思わず笑みがこぼれる。ずっと、ずーっと、これが見たかったんだから。

 

 マスキュラーの叫びが途絶える。そちらを見ると完全に呆け、虚空を見つめるだけになった今筋強斗の姿がある。

「バイバイ、マスキュラー。素敵な絶望をありがとう」

 さて、あとは拐われるだけだけど、弔が待ってるバーにいけばいいか。『念話』で黒霧に今からそっちに向かうことを伝える。さあて、次はオールマイトだ。

 楽しみにしててね、お父様。




常夜が『個性結晶化』なんて個性をつくったのはこのためだったわけですね。『オール・フォー・ワン』だと、奪って自分のものにするところですが、これなら相手の個性を破壊する、ってことができるので。まあ、だいたいのヒーロー・ヴィランの尊厳破壊になりますからね。

それにしても、マスキュラー曇らせとかどこ需要なのか
常夜ちゃん「わたしー」
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