第三者視点的な何か
作者東方にわか
今、紅美鈴は男と対峙している。
異様な男だった。
赤の甲殻に黒の棘がついた何かの素材で出来た鎧を着込み、その背には異様に長い刀を背負っていた。
その刀もまた、鎧と同じ素材で出来ているらしい。本来鍔がある位置には黒い棘がついており、刀身は常人の1.2倍はあるだろうという長さだ。
しかし、何よりも異様であると感じさせるのはその威圧感であろう。
まるで一歩間違えれば即死するような、そんな死線を幾たびもくぐり抜けてきた強者のオーラ。そして、自然の掟を体現した調停者のようなオーラを放っているのだ。
シャラン… 男が刀を抜き右手側に構えた。美鈴も構えを取り、男の動きを見る。
最初に仕掛けたのは男だった。2、3歩踏み出しながらの縦切りを放つ。
美鈴はこれを左に動いて躱した。
刀が地面に当たり土煙が舞う。かなりの重量があるのだろうことが容易に見てとれた。
初擊を躱した美鈴はそのまま相手の懐へ入ろうとする。
相手の刀の長さから、懐に入れば自身に分があると判断したのだろう。
しかし男もそれを分かっており、大きくバックステップをしながら先ほど地面に叩きつけたばかりの刀を時計回りに切り払った。
さすがの美鈴も長く重量のある刀を小枝のように振るわれるのは予想外だったらしく、咄嗟に気で強化した右腕を間に挟む。
ガキン と硬質な音が響く。
強化した右腕には傷一つつけられていない。どうやらそこまでの威力ではないようだと安心したのもつかの間、能力を使ったことで美鈴は初めて気がついた。
男の臍の下あたり、丹田と呼ばれる場所に、小さく気が溜まっていたのだ。
驚くべきはその密度だろう。小さく、といったがそれはとてつもなく圧縮されたがゆえの大きさであったのだ。
男は切り払った体制から突き、切り上げ、唐竹割りと滑らかに技をつなげて攻めてくる。
いっそ見惚れるほどの流麗で研ぎ澄まされた剣技は、美鈴にとってはたまったものではなく、ゆっくりと、確実に追い詰められていく。
そんな中で美鈴は、まるで自身が狩人の罠に追い詰められていく獲物のように感じられていた。
そう感じさせるのは流麗な剣技もそうだが、彼女にしかわからぬ理由がある。
男の丹田に溜まる気が、少しずつ増えている。
あれほどの密度の気が少しずつ溜まっていっているのだ。
常人なら、いや自分でもあそこまでの密度のに気を練るのにどれほどの時間を要するかわからないような気が、
刀が振るわれるたびに、躱しきれず受けるたびに、少しずつ溜まって行く様子に彼女の焦りは否応なしに加速する。
美鈴は無理矢理反撃に出た。
動きの節々で溜まっていく男の気に焦らされ、これ以上溜めさせたくないという思いと気で強化すれば切られないという実感が彼女に大技を切らせたのだ。
自身に出来る全霊の技と気を持って放たれる大技
三華「崩山彩極砲」
いかに全身を鎧で守ろうと容易く打ち砕く威力の三連擊、その初擊が男に迫り────
そして虚しく空を切った。
男が行ったのは単純明快、言ってしまえばただの前転である。
しかし、経験に裏打ちされた完璧なタイミングで行われたそれは、命の危機を回避すると同時に絶好のチャンスを生み出した。
美鈴は初擊が躱されたとみると同時に全身に気を回し攻勢に耐える準備をした。崩れた体制から回避をすることは出来ないと考えての行動だった。
これで刃は通らぬと先ほどまでの戦いで理解した量よりも、さらに多くの気を使った防御。
しかし、それでも彼女の心は警鐘を鳴らし続けていた。
そして放たれる男の大技
今まで男の肚で極限まで練られ、圧縮された気が爆発し全身に回る。
反時計回りの大振り から始まり
先の太刀筋をなぞるような時計回りの大振り
袈裟、逆袈裟、唐竹割りの三連擊
そして、溜めた気を全て爆発させて放つ
大きく前進しながら、美鈴の横をすれ違うようにして放たれる横薙ぎ
戦いで溜めた練気を爆発させて放つ男の大技
その名を「気刃大回転斬り」
振り抜いた男は静かに刀を背に背負う鞘に納刀する。
気刃大回転斬りを受けた美鈴の体は、強化したにもかかわらずいくつもの傷がつけられ、ボロボロになっていた。
しかし、それでも彼女はまだ戦えた。
傷こそつけられたが、それでも折れず立ち上がり敵を見据える姿は正しく武人であった。
かくして彼女は見ることになる。
納刀した男は全身に白い気を纏い、先ほどより一層のオーラを放っていることを。
そして知ることになるだろう。
先の大技は、それすら今だ見ぬ強化のための布石であったことを。
これが狩人の頂点と呼ばれた男
これが自然と人間の調和を成す者
これが───────
モンスターハンター
戦いはまだ 続く…
戦いは続きますが更新はしません。誰か任せたぜ…