なんなら急遽用事が入り込んで現地にも行けませんでした。
悔しいですが、次いいもの作って再挑戦します。

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落としました

ここは幻想郷。

 

少女たちが弾幕と共に踊る美しくも残酷な世界ーー。

 

「えー、白玉楼に立て篭り中のミスティア・ローレライー。今すぐ人質を解放してここから出なさーい」

 

『うるせーこのファッキン巫女!!! 神社でボールペンの先端の丸い部分だけ鼻に詰めて遊んでなっ!!』

 

「突撃! 突撃ー!!!」

 

「霊夢さん落ち着いて!?」

 

警察の制服を着た高麗野あうんが必死に博麗霊夢を羽交い締めにして抑える。

 

サングラスを掛けどう見ても危ない刑事の霊夢は人質などお構いなしに突撃命令を出す。

 

これはもう正気とは言えない現場だった。

 

東方警察24時

〜落とすものは皆すべからく死すべし〜

 

これは、ミスティアが白玉楼を乗っ取り人質を取って立て篭もる最中での出来事だった。

 

 

「霊夢さん、ここは俺に任せてくれませんか?」

 

「あ、貴方は?!」

 

「人も妖怪も、説得するときはね、誰にも邪魔されず救われてなきゃあダメなんだ」

 

「ゴロー! 井之頭五郎じゃない!!」

 

交渉人(ネゴシエーター)、井之頭五郎。

 

孤独のグルメに出てくるキャラクターだが、数あるニコニコ動画の残滓が集い、無事幻想入りを果たした男である。

 

「私もいるぜ!」

 

「その声は!?」

 

「このミニ八卦路式サイコガンが火を吹くぜ」

 

「霧雨コブラ!! 生きていたのね!!」

 

霧雨コブラ。霧雨魔理沙が葉巻を咥えて作画が変わった姿である。幻想郷の弱者をピンチの際に助けに来てくれる頼もしいやつである。

 

白玉楼のピンチに現れたのは、紛れもなく奴さ。

 

「ふん、私を忘れてもらっては困るな」

 

「その声は!!?」

 

「この事件を作ったのは誰だぁ!! 作り直してこい」

 

「雄山!! 海原雄山じゃない!!」

 

ベテラン刑事、海原雄山。

 

元々は美味しんぼのキャラだが、事件を丸っと調理し、人をいたわる気持ちを一切持たずに事件を解決に導く料理人である。

 

「「「我ら三人が交渉人として、命という名の盾になろう!!」」」

 

「助かった! ありがとう三人とも!! でも魔理沙、あんたは警戒されるからダメよ」

 

「ヒュー! 参ったもんだぜ」

 

ここで霧雨コブラ、無念の脱落。

 

秋の終わりを風が伝える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミスチーさん、……もうやめましょう」

 

井之頭五郎と海原雄山は無言で白玉楼に入り、ミスティア・ローレライと人質を発見する。

 

人質の名前は、西行寺幽々子。

 

縄で縛られるのと共に、タスキがかけられている。

 

タスキには「博麗神社秋季例大祭新譜落としました」と書かれていた。

 

後悔と苦悩の表情を浮かべる幽々子。

 

ミスティア・ローレライはただ無言で座っていた。

 

「ふん、例大祭で新譜を落とすことはままある事。しかし初サークル参加で成果ゼロ。サークルチケットのみを目的とするイナゴと同じ扱いを受けるのは道理。心中は窺い知れるが、計画通り進めていれば何も問題なかったはずだ」

 

海原雄山、容赦のない男である。

 

「ミスチーさん。もうやめましょう。例大祭はもう終わったんです。これ以上はいけない。明日から月曜日で…」

 

井之頭五郎、現実を伝えるクレバーな男。

 

しかしミスチー、怒りの絶叫。

 

「何も終わっちゃいません!!!! 何もです…!! あの例大祭はまだ続いている!! 私にとっては今でも!!」

 

「女将ッ!!」

 

海原雄山が動く。

 

しかしミスチーは止まらない。

 

彼女にとって例大祭は未だ終わることを知らないのだ。

 

理由があった。

 

「締め切りが無ければ何も生み出せないと思い、曲を出そうと必死にやった! 結局は間に合わなかった!! 正直初参加だしコピーCD1枚に1曲無配でやろうとした!! CAKEWALKでだ!! そしたらどうだ!! MIXを終えて保存をして、最後に調整をしようとしたらピアノ音源でピアノとギターとドラムのMIDIが合体してとんでもないキメラ音楽が完成していた!! お前らにも聴かせてやりたかったよ、ピアノの低音部分でドラムのMIDIが宿ったせいで魂の16連打が無限に続くのを!!」

 

「だからCUBASEでやれと言ったんだ」

 

「ソフト音源があれば行けると思ってたんですよ!!! バグりやがった!! 大嫌いだ!! あいたたはんふバーカ!!! 畜生め!!」

 

海原雄山、この世界線ではDTMもお茶の子さいさいの壁サークル主である。

 

代表曲は、「クワノミダンス」である。

 

そんなこともお構いなしに個人サークル主のミスティアは怒りに眉間に皺を寄せるのであった。

 

「初めて音楽で挑もうと、向き合うことができた!! 突然友人だと思ってたやつからアンチ活動をされても、低評価を押したと言われてTwitterもフォローを外され、私の音楽を死ぬほど馬鹿にされても耐えた! この仕打ちがこれですか!!」

 

近くにあった湯飲みを畳に叩きつける。

 

突然友情にヒビを入れられた女の憎しみは、深い。

 

(溢れたお茶は罪袋が責任を持って処理いたしました)

 

「何故西行寺幽々子を人質に取る」

 

「この幽霊が新譜の作詞担当です。ギリギリまで歌詞を送ってこなかったせいで時間が本当にギリギリになりました。あと曲の保存任せたのこの人です」

 

「なんて無茶を……」

 

井之頭五郎、頭を抱える。

 

確かに西行寺幽々子は作詞が出来そうな苗字をしているが実際にできるかは別問題。

 

ついでにどう見ても機械音痴そうである。

 

機械においてスペルバブル以外の取り柄が彼女にあるだろうか。

 

サイコロを回して動く姿を楽しむか、周回要員にするしか彼女に生きる術は無いのだ。

 

適材適所。

 

幻想郷において、機械というジャンルで西行寺幽々子ほどの弱者はいなかったのかもしれない。

 

 

「惨めすぎる…」

 

ミスティアが膝から崩れ落ちる。

 

「ちきしょう、こんな、こんなことって……。音源はどこに行ったんだ。ちきしょう、どこへ……。せせこましく用意した歌詞カードは……。この空のCDは……。ベロシティだけで真っ黒に染まったCAKEWALK、32分音符しか無いんじゃないかと疑いたくなるCAKEWALK。中盤で音の処理に耐えられなくなったのか無言で落ちるCAKE WALK……。この光景が、頭に焼き付き、例大祭前からずっと夢を見る…。目を覚まして最初から作ろうと思った自分もいた。だが物理的に間に合う気がしなかった…。精神的に弱り、前日には酒をのんで誤魔化した……。もう歌しか勝たんのに自分に負けたんです」

 

「ミスチー」

「女将」

 

ゴローと雄山は、ミスチーの肩に触れる。

 

「焦りすぎてませんか。こういう時は、腹を満たしましょう」

「ふん、このくだらない世界で飯は不味すぎて舌が腐るわ。……だが、女将。貴様の料理は別だ。早くもってこい!!」

 

「ゴローちゃん……、海原さん……」

 

涙をポロポロと溢すミスチー。

 

そして飯と聞き涎をポロポロと溢す幽々子。

 

「次がある。その時、すごいものを出してやろう」

 

「次は、新譜落としましたではなく、新譜完売しました以外聞く気はないぞ」

 

「ありがとう、ありがとう二人とも……」

 

その時ようやく、ミスティアの顔に笑顔が戻ったーーーーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あのクソ雀及び新譜を落とした元凶含み何食わぬ顔で幻想入りを果たしたクソども目掛けて、ミニ八卦路、ヨォーーーイ! 放てぇッッッ!!!」

 

「カリフォルニア・ドリームスパークッッッ!!!」

 

誰も知らなかった。

 

ミニ八卦路式サイコガンのパワーはその時のノリと精神力によると。

 

誰も知らなかった。

 

博麗霊夢、未だにブチギレ中であると。

 

こうして白玉楼は燃え盛る火の海に消えていった!

 

魂魄妖夢は涙を流す。使える家が無くなったこの瞬間を、彼女は一生忘れないだろう!!

 

 

 

♫ 東方萃夢想   作曲U2

 

 

 

何故人は締め切りを守れないのか。

 

何故人は新譜を落とすのか。

 

何故人は、それでもまた挑もうとするのか。

 

願はくは

またサークル参加で

曲出したい。

 

ミスティア・ローレライ

心の一句

 

 

 


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