劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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前作を読んだ人ならすでに知っていると思いますが作者は物語の進むスピードが遅いです、脱線寄り道余裕です。

とはいえ、そうでもしないと戦車戦だけだとわりとすぐ劇場版終わる気がするなーとエキシビションマッチ見返して思いました。


やはりイギリスの戦車開発は間違って(以下略)

「では、今回はよろしくね、マックス」

 

「あーと…まぁ、はい」

 

衝撃の抽選結果により俺は聖グロリアーナ、プラウダ高校の控え室へと入る。…というか、迫る大洗メンバーの糾弾から避難したというべきか。

 

この控え室は大洗学園の校内に聖グロリアーナ、プラウダ高校の為に予め用意したものだ。

 

くじ引きの結果とはいえ、俺はまさかの聖グロリアーナ、プラウダ高校と共に大洗と試合する事になった。

 

生徒会が悪いよー生徒会が、抽選箱用意したのだって生徒会なんだし。これが今流行りの追放物なの?いや、流行ってるか知らんが。

 

とにかく、比企谷 八幡は真の仲間じゃないと告げられパーティーを追い出されてしまったのだ。こうなるとあとは辺境でスローライフでも始めるか、復讐に走って回復術士にでもなるかだろう。

 

どちらが良いかと聞かれれば、答えはもちろんスローライフ。古来より復讐逆襲が録な事にならないのは、赤い彗星さんや幻のポケット的なモンスターの二代目さんが教えてくれている。

 

なので今回の試合、正直なにもしなくても良いんじゃないかなーとまで思っている。心理学的にも復讐は何も生まないというし…気が晴れるらしいけど。

 

「遅いわよ、待ちくたびれたわ」

 

「さて、マックスも揃った事ですし、素敵なお茶会を始めましょうか」

 

…うーん、しかしこの二人がそれを許してくれるだろうか?許してくれないだろうなぁ。

 

「マックスさん、何を飲みますか?」

 

椅子に座るとペコが聞いてくる。ダージリンさんやカチューシャさんは、もう何か飲んでるようだが…お茶会始めるというか、もう始めてるよね?宴会始まる前から酒飲んでる上司かよ…。

 

「悪いな、ペコ」

 

「気にしないでください。今日は紅茶だけじゃなくてプラウダ高校の方達がロシアンティー用にジャムも用意してますが」

 

…マックスコーヒーは?そこのティーポットの横に不釣り合いな黄色い缶々置いてあるよね。

 

「じゃあマッーーー」

 

「美味しい紅茶を淹れますよ?」

 

「せっかくだし、紅茶にジャムも付けて貰うわ…」

 

…にっこにこなんだが圧が。最近この子、どうにかして俺を紅茶派にしようかと暗躍してる気がする。くっ…マックスコーヒー最強は揺るぎないんだからね!!

 

ポトポトとティーカップに紅茶が注がれる、なんだろ…?あの注いでる蛇口ついた機械。

 

「あれはサモワールです。ロシアの湯沸し器、とでも思って貰えれば」

 

「はぁ…サモワールですか」

 

俺が不思議に思って見ていたのに気付いたのか、ノンナさんが解説を入れてくれた。要するにやかん的なものだろうか?

 

「どうぞ、ジャムは何を用意しましょうか?」

 

「っても、どれが良いのかよくわからんし、なんか甘いのを」

 

そもそもロシアンティーを飲む機会なんてなかったし、ジャムもいろいろあるようだが違いがわからない。

 

「ならカチューシャと同じのがオススメよ、甘くて美味しいんだから」

 

と、カチューシャさんが勧めてくれたのでそれをチョイスさせて貰う。ジャムを紅茶に直接いれるのはロシア的にNGらしいのは、前回プラウダに行った時に学ばせてもらった。

 

ジャムをスプーンですくい、紅茶を一口。ジャムの甘さを紅茶が引き立たせる。なるほど、これはなかなか。

 

「ピロージナエカルトーシカも用意してありますよ」

 

「…ピロ?」

 

なにそれ?サッカー選手?

 

「ロシアのお菓子です、カチューシャも大好きなんですよ」

 

まぁカチューシャさん好きそうだよね、もちろん俺も甘い物は嫌いじゃない。というより好きなのでありがたく頂戴する。

 

しかし、ピロージナエカルトーシカ…声に出して言いたいロシア料理である。そういう必殺技ありそう。

 

紅茶、ジャム、ピロージナエカルトーシカ、甘さの暴力が襲ってくる…ひょっとしてプラウダって甘いのでは?

 

「で、試合に出る戦車は決まってるの?」

 

「そうね、今回は混合チームで制限車両は16両、ここはお互い8両ずつ戦車を出すという事でどうかしら?」

 

「まっ、プラウダだけで余裕なんだけど、仕方ないわね」

 

…言ってる事は全然甘くないんだけどね。やっぱり恐ロシア、甘さの欠片も感じない。

 

エキシビションマッチの車両制限は16両までと決まった。数としては中途半端だが、そもそも大洗の保有戦車が8両しかないのでバランスをとった訳だ。

 

16両対16両のフラッグ戦、それがエキシビションマッチのルールである。

 

まぁ、聖グロリアーナとプラウダ高校という、戦車道高校4強の内の2強がチームを組んだ時点でバランスも糞もないんだけどね…。

 

「で、ここからが本題なんだけど」

 

むしろ俺がする事もないくらいだと、このままここで紅茶とお菓子でだらだら過ごそうか考えていると。

 

「マックス、あなたはどの戦車に乗るのかしら?」

 

…ですよねー、この人が俺のスローライフをそのままにしておくはずないもんね。

 

まぁ、ここで試合にも出ないとなると、なんのためにここに来たのかもわからんし、そりゃ戦車には乗るんだろうが。

 

「もちろんプラウダのロシア戦車よ!!」

 

「あら、先にマックスとこの話をしたのは私なのだけど」

 

…問題はどの戦車に乗るかである。大洗で模擬戦をする時にもちょくちょく戦車に乗る事はあったが、大洗はもともと人数の足りていない戦車も多い。

 

俺が戦車に乗る時はそんな人数の足りない所にお邪魔させて貰ってただけなのだ。…なにこのクラスで班分けする時にあぶれた奴入れる感じ。

 

つまり特にこの戦車に乗っていた、という事はない。まぁ一番どれに乗っていたか?と聞かれれば生徒会のヘッツァーにはなるんだろうが…会長?干し芋食べてるよ。

 

「後も先もないわ、だってプラウダの戦車の方が強いんだもの」

 

カチューシャさんが自信満々に答えた。確かに聖グロリアーナとプラウダの戦車を比べればプラウダの方が保有戦車が強い。

 

「なんだったら、かーべーたんに乗せてあげてもいいんだから」

 

「かーべーたんってkv-2、ギガントでしたっけ?」

 

kv-2、街道上の怪物とまで呼ばれた152mm榴弾砲D-10Tを搭載した回転砲塔を持つ戦車。

 

そのあまりの巨大さと火力からドイツ兵からギガントとまで呼ばれ恐れられていた。

 

「ギガント、なんて野暮な呼び方は止めてよね。かーべーたん、もしくはドレッドノートよ」

 

たん?たんって何…?エミリアたんみたいな?kv-2そんな可愛らしい呼び名が似合う外見してないんだけど。

 

「てか、そもそもkv-2試合に出すんですか?」

 

「何言ってるの?当たり前じゃない」

 

当たり前かー、準決勝の時はまだ雪原と廃村だったから良かったんだけど、今回試合会場が大洗の市街地なんですが?

 

…kv-2の砲撃一発で家やらなんやら吹き飛ぶんですがそれは?まぁ戦車道保険もあるし、何かあれば戦車道連盟がなんとかしてくれるんだろう、頑張れ、蝶野教官!!

 

「どう?ハチューシャもかーべーたんに乗りたいでしょう?」

 

「それはもちろん」

 

kv-2に乗りたいか?となればそりゃ乗りたいに決まっている。あのロマン砲はカチューシャさんのような小さな女の子から大きな男の子まで、誰もが憧れる高火力だ。

 

かつてただ1両でドイツ軍の進行を阻んだ街道上の怪物の異名は伊達じゃない。上手くハマれば相手戦車もまとめて吹っ飛ばせるし。戦いは火力だよ。

 

「おぉ、比企谷さんがkv-2に乗ってくれるんだか?」

 

「男の人なら、きっと装填も楽々だ」

 

「そったら頼りになるなぁ、あれ、弾重いもんなぁ」

 

…そんなニーナとアリーナの嬉しそうな声が聞こえてくる。ははっ、kv-2の装填だって?

 

「…乗りたいですけど、kv-2はほら、プラウダの象徴的なアレですから、他校の生徒が乗るのもどうかなと」

 

死んでも嫌だ、152㎜の弾の装填とか考えたくもない。男の子でも楽々に装填とか出来ないから。

 

いや、もし乗るとしてもさすがに車長にはなるとは思うが、女子に糞重い装填任せるのは絵面的にどうかとね…。

 

「そう?まぁ聖グロリアーナにはプラウダより強い戦車ないでしょうし、好きな戦車を選ぶといいわ」

 

うーん、プラウダの他の戦車というとT-34シリーズにIS-2だったか、と言ってもIS-2は当然ノンナさんが乗るだろうし…。

 

え?ノンナさんと一緒にIS-2?ははは、ご冗談を。

 

「あら、イギリスにも素晴らしい戦車は沢山ありますわよ」

 

だが、カチューシャさんの言葉に静かに反論をしたのはダージリンさんだった。

 

「トータス、ブラックプリンス、センチュリオン、どれもプラウダの戦車にも負けてないわ」

 

まぁ戦車って元々イギリスが発祥だし、ダージリンさんも言われっぱなしでは我慢ができないのだろう。

 

とはいえ、戦車の発祥はイギリスでも開発は結構斜め上だったりするけどね。優雅さと戦車は比例しないという事か。

 

アメリカのシャーマンに17ポンド砲を搭載する為に重りまで付けたり、チャーチルに火炎放射器搭載したり、最悪の戦車と(作った当のイギリス人から)呼ばれたヴァリアントなんかもある。

 

そもそもがパンジャンドラムまで作っちゃったお国の戦車だ、面構えが違う。

 

「…ところで、センチュリオンってレギュレーション的にどうなんでしたっけ?」

 

「試合に参加可能な戦車は終戦までに、戦線で活躍または設計が完了し試作されていた車輌となりますから、センチュリオンも問題はありません」

 

疑問に思って聞いてみるとアッサムさんがそう答えてくれた。なるほど、設計や試作段階でもセーフとなるとわりと使える戦車の幅もまだまだ広そうではある。

 

そんなのポンポン出されたら大洗の戦力じゃちょっとやってけないんだけどね…。

 

「まぁうちはどれも持ってませんが…」

 

「だよなー…」

 

ペコの言葉に相槌をうつ。知ってた。持ってたら試合で使わない訳ないもんね…、じゃあなんでダージリンさんがそれらの戦車を例に上げたんだと聞かれれば、あの人もなんやかんや苦労してるんだろうなぁとしか言えない。

 

聖グロリアーナはOGの圧力が強いらしく、その勢力がチャーチルとマチルダ、そして後が確か…。

 

とか考えているとドカドカと勢い良く廊下を走る音が聞こえてくる。…さすがにこの勢いにも慣れてきた。

 

「マックスさん!クルセイダーの準備は万全でございましてよー!!」

 

バタンッと控え室のドアが勢いよく開くと、姿を見せたのが赤みがかかった髪が特徴的なローズヒップだ。この登場のやり方もだいぶパターン化されてきた。

 

なんか静かだなーと思っていたが、そういや居なかったなこの子。

 

聖グロリアーナのOG勢力の残り一つでもある、クルセイダー。彼女はそのクルセイダー隊の隊長…らしい、これでも。

 

「ローズヒップ!他校の廊下まで走ってはいけません!!」

 

「あぁ、申し分ございませんアッサム様!私ったらつい…」

 

聖グロリアーナの生徒が廊下爆走してる姿を大洗生徒が見てどう映るんだろうか…、お嬢様ブランドが強いかなぁ。

 

「てか、準備?なんの?」

 

なんかクルセイダーの準備がどうとか言ってたけど。

 

「もっちろん、マックスさんが乗る準備ですわよ、私も久しぶりに操縦手として腕がなりますわ」

 

え?なにそれ、初耳なんだが…。

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