劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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展開にはいろいろと迷いましたがやっぱり風紀委員のお話となれば彼女は必須ですよね。

まだまだ最終章の続くガルパンですが俺ガイルの方もゲームの続編が出たり、まだまだ盛り上がりそうでなによりです。
なお、ゲーム機ハード…。


やはり、彼女達の風紀活動は間違っていない。

「何かが足りないのよね…」

 

そんな訳で風紀委員の不良行為に付き合いつつ数日、ふとそど子さんはそんな事を呟いた。

 

規則正しいイメージの強い風紀委員なので夜中の行動とか不慣れかと思われたが、大洗の時から夜の見廻りもしてきたのが彼女達だ、わりとイキイキしている気さえしてくる。

 

「やはりそうですよね…すいません、餃子を追加でお願いします」

 

「いや…違うだろ」

 

ちなみにここがどこかと言えば…普通にラーメン屋である。不良行為として夜中にドンキを練り歩き、帰りにラーメン屋に寄る…うーん、不良だね!!

 

「急にどうしたの?そど子」

 

「パゾ美、私達、これで本当に不良と呼べるの?」

 

「でもそど子、夜中に戦車で外出して、こうやってラーメンまで食べてるんだよ?」

 

「…そうね、確かにゴモ代の言う通りやってる事は不良そのものね」

 

まぁ、今までの風紀委員の人達からすればそうなんだろうが…数日たってようやくこの疑問が出てくる辺りやっぱり真面目なんだよな、この人。

 

どのくらい真面目かって数日たってようやくこの疑問が出てくる辺りマジ真面目だ。

 

「でも、このままじゃただの不良のままよ、私達は大洗にその名を轟かせる立派な不良になるんだから!!」

 

だがこの場合真面目だからこそたちが悪い、とさえ言える。そど子さんは現状に満足するつもりはないらしい。

 

…適当に付き合ってればすぐに飽きると思っていたが、その線は難しいか。

 

「…どうする?五十鈴」

 

「はい?」

 

チラリと五十鈴を見ると…彼女は先ほど注文した餃子をぱくりと食べていた。

 

「安心して下さい、比企谷さんの分もありますから」

 

なんの?そりゃラーメンに餃子は鉄板の組み合わせではあるけど今の時間考えてる?てか俺の胃袋の事考えてる?

 

「ここのお店も美味しいですね。少し意外でしたが比企谷さんはいろいろなお店を知ってるんですね」

 

「そりゃ大洗にも長く住んでるしな、一時期には帰航日とかにラーメン屋巡りとかしてた時もある」

 

「まぁ、それは楽しそうですね!!」

 

「だろ?他にやることなさすぎてわりとすぐに制覇できちゃったんだがな」

 

「あの…それはお一人で、ですか?」

 

「むしろ一人だからこそ、だな」

 

そもそも俺はぼっちではあったが引きこもりという訳ではない、むしろ他人に縛られず、自由に行動できるぼっちだからこそ出来た贅沢というものか。

 

「でしたら、今度はぜひ私もお供させて下さい、ラーメン屋さん巡り」

 

「いや、別にやることなんてラーメン食って帰るだけなんだが…」

 

「私は好きですよ、ラーメン」

 

そりゃあなた、ラーメンをスープ代わりにしてる時ありますもんね。やべぇ、説得力が違う。

 

「約束ですよ?ふふっ、これで楽しみが1つ増えました」

 

本当に楽しそうに、その日を待ちわびるように、五十鈴は微笑んで見せる。

 

「………」

 

約束…と五十鈴は言うがそもそも俺は返事をしていない。いや、嫌だとかそういうのではなく、無責任に答えていいものではないのだろう。

 

「…ふん、そんな事言ったって、どうせすぐに私達はバラバラになるのよ」

 

俺の代わりにそど子さんが拗ねたように呟いた。…正直、ありがたいと思いながら、そう思ってしまった自分が嫌になる。

 

転校先が決まれば大洗の生徒はバラバラに他の学校に振り分けられる、それがどこになるのかはわからないが、少なくともこうして気軽にラーメンを食べに行く事はないだろう。

 

「そうかもしれませんね」

 

「そうよ!だったら…そんな約束になんの意味もないじゃないの!!」

 

「意味ならあります。…例え転校先が遠くになっても、一緒にラーメン屋さんを巡る、という約束はありますから」

 

…やることなんてラーメン食って帰るだけ、ただそれだけの為に会えば良い、と五十鈴は言う。

 

「…一応聞いとくけど、俺の意思は?」

 

「ありません」

 

いや、そんなきっぱり言われても…そこ大事じゃないかなぁ?

 

「いや…ほら、めっちゃ遠い所に転校する可能性もある訳だし?」

 

「その時は新三郎を迎えに行かせますので、ご安心して下さい」

 

何一つ安心出来ないんですが…え?玄関開けたら新三郎さん居るの?人力車で待機してんの?怖すぎなんだけど。

 

…思えば、五十鈴は廃校の宣言があったその日でも、誰よりも前を見つめていた。

 

『どんな場所でだって花は咲ける』

 

『バラバラな花は集まって1つになれる』

 

これが彼女の、五十鈴 華の芯の強さなのだろう。真っ直ぐに実直に決して折れる事はない。

 

…とはいえ、やり方がちょっと手段選ばない感じがしてきて心配にはなる。具体的にいえばなんかうちの会長に似てきてない?…マジ心配なんだが。

 

「…何が約束よ、その約束が破られたから、私達は今こんな事になってるんじゃない!!」

 

「…そど子」

 

「私達はルールを守るようにみんなに呼びかけていたけど、そのルールを作る人達が約束を反故にするんだから」

 

そど子さんに続けてパゾ美が呟く。

 

『戦車道全国大会に優勝すれば廃校は撤回』、その約束は文科省によって見事に反故にされた。

 

風紀、規律を守り続けていた彼女達にとって、それは信じていたものに対する裏切りのようなものだろうか。

 

「…それで不良に、ですか?」

 

最初は何を突拍子もない事を…と思ったが、よくよく考えてみれば納得さえする。

 

「そうよ!悪い?」

 

「…いや、まぁ当然っちゃ当然ですね」

 

ルール、規律、規則を守り続けてきた彼女達の努力を無駄にされたようなものだ、なら…不良になってそれらを破るのも仕方ないといえる。

 

「悪いって言いなさいよ!私達は不良なのよ!!」

 

「えぇ…」

 

ただ根本的にどうしようもないのは…この人達マジ不良に向いてねぇな…。

 

「………」

 

切り札はある。こちらには…いや、俺にはそど子さん達をある程度には納得させられる理由を作る事ができるだろう。

 

簡単だ、文科省のあのメガネの役人とのやり取り。それを三人に話してしまえばいい。

 

『全国大会優勝すれば廃校は撤回される』という約束の反故。突然のその宣言にその理由を知らない彼女達からすればルールは守っても無駄なものと感じるだろう。

 

だが、一応だがそこには理由はある。【乙女の武道たる戦車道に男子生徒を関わらせた優勝校に問題は無いのか?】という文科省の言い分が。

 

それを交えて上手く話せば…少なくとも彼女達のこれまでの努力を無駄にしてしまう事はないだろう。

 

「…比企谷さん?」

 

…ここには五十鈴も居る。が、彼女達風紀委員をこのままにしておく訳にもいかない。

 

ルールを守り、規則を守り、規律を守り、風紀を守ってきた彼女達のこれまでを、無駄だと思わせたままにはできないだろう。

 

「…そど子さん」

 

「園 みどり子よ!!」

 

…あー、つい、てかゴモ代とパゾ美には普通にそど子呼びOKしてるよね?いや、ゴモ代、パゾ美呼びも大概だが…。

 

「あー、その…」

 

「比企谷さん、あの」

 

「なんだよ…?」

 

言い出そうとして五十鈴がちょんちょんと服を引っ張る、出鼻を挫かれた事で少し恨めしげに五十鈴を見ると。

 

「着きました」

 

「…誰が?」

 

なんの話し?と五十鈴の見せているスマホを見ると短く『ついた』のメッセージ。

 

この短いメッセージ。となると…相手は。

 

「な!冷泉さん!?」

 

「…そど子、本当にラーメン屋に居るんだな」

 

ガラガラと店に入って来たのは冷泉だ、彼女はそのまま歩いて俺達の座っているカウンターの横に座り込んだ。

 

「…冷泉?五十鈴が呼んだのか?」

 

「はい、麻子さんもずっと事を気にかけていましたから」

 

まぁそれは知ってたが…なんならどんな様子だったか逐一聞きに来てたまであったが。

 

それでも、冷泉が俺達に付き合って風紀委員の三人と行動をする事はなかった。…まぁ、あいつもあれで結構素直じゃない所あるからな。

 

どれくらい素直じゃないって、こうして夜中にメッセージ受けて駆けつけるくらい素直じゃないんだよなぁ…。

 

「今何時だと思ってる?風紀が乱れるぞ」

 

「あ、あなたにだけは言われたくないわよ!!」

 

「…そど子が居ないと風紀が乱れる」

 

「風紀なんてもうどうでも良いのよ!私達のやって来た事なんてどうせ全部無駄だったんだから!!」

 

そど子さんが怒鳴り散らすが冷泉はただそれを静かに受け止めた。

 

「…今日、ここに来るまで大洗の生徒を一人も見かけなかった」

 

「…何の話よ?」

 

「そど子は見たか?不良として最近ずっと出歩いてたんだろ?」

 

「…そういえば」

 

「私達、毎晩のように出歩いてたのに」

 

パゾ美とゴモ代が顔を見合わせる、冷泉の言う通り、大洗の生徒を夜中に見た事が無い気がする。

 

「みんな風紀を守ってる、大洗の時からそど子が守らせていた結果だ」

 

…風紀委員の仕事には夜の見廻りも当然する。100人以上の風紀委員で全員おかっぱなんで夜中に出くわすとわりとホラー感はあるんだが。

 

「朝だって、みんなきちんと起きてくる、もう学校も無いのにだ」

 

「あ、あなたは起きてないでしょ!!」

 

「…最近は、起きてる、ほんのちょっと…早くは」

 

あ、今露骨に目線逸らしてる…。いや、まぁ…確かにバレー部の早朝ランニングの件で多少は改善された所はあるからね。…多少(当社比)はね。

 

「だから、そど子が大洗でしてきた事が無駄になっている…なんて事はない」

 

彼女達風紀委員は夜は遅くまで見廻りをして、朝は誰よりも早く来て校門の前で大洗の生徒達を取り締まってきた。

 

学校が廃校となった今でも、大洗の生徒がヤケになって不良行為をした話は耳にしていない。…当の風紀委員本人達を除いての話にはなるが。

 

「私は…」

 

「それに、せっかく朝起きてもそど子が居ないと…ちょっとさみしい」

 

「わ、わたっ、私は…さみしくなんてないんだからぁ」

 

目いっぱいに涙を浮かべ、そど子さんは泣き出した。

 

「…そういえば、ラーメンを食べに来たんだったな」

 

それを見た冷泉は少しだけ微笑むとわざとらしくメニューを開く。

 

「ちょっと冷泉さん、こんな時間に外食なんて規則違反よ!!」

 

涙を流しながらもそど子さんはいつもの調子で冷泉を怒鳴り付けた。

 

「泣くか怒るかどっちかにしてくれ、だいたいそど子だって食べてるだろ」

 

「これは…夜食よ!私達は風紀委員の見廻りの最中だったの!!」

 

シレっととんでもない正当化してきたよこの風紀委員…いや、まぁでも、やってきた事はそう大差ないのかもしれない。

 

ルノーで走行しつつ街を見廻りし、ドンキで店内を見廻りし、夜食でラーメンを食べて帰る。…今回風紀委員がやった事はそれくらいだ。

 

大洗学園は不良の居ない、健全潔白な学園艦です、通して下さい。…なお、船底とか船舶科は知らんけど。

 

「決めた、比企谷さん、私は醤油ラーメンを頼む」

 

「…いや、なんで俺に言うの?店に言え店に」

 

「比企谷パイセン!私は替え玉を貰うわ!!」

 

だーからなんで俺に言うんですかね?何?パイセンだから飯奢れってでも言いたい訳?

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