劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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最近『俺の青春ラブコメは間違っている』の新刊を読んでヤル気がモリモリ沸いてきた!やはり新作は良いですね…久しぶりに俺ガイル成分が供給された気がします。

ガルパンもそうですが俺ガイルも原作小説やアニメが終わってもちょくちょく展開が続いてくれて、本当に嬉しい限りです。


どんな状況でも、カバさんチームは歴女である。

学園艦廃校の慌ただしさもおおよそ落ち着きを見せてきたとも言える。

 

この仮住まいの校舎でも運動場や体育館では大洗の運動部だった生徒達が前程ではないにせよ各々に活動に精を出しているのか、号令や掛け声なんかも聞こえてくる。

 

この辺りを見るとバレー部の根性注入という名目の早朝ランニングは成功した、と言っていいだろう。…なお、当のバレー部はそのせいでまた練習場所が減ってきている模様。

 

また転校先に向けてかとにかく勉強に勤しむ生徒も見られる。運動と勉強、どちらか選べと問われるならまだこちらの方がマシだろうか。

 

が、転校先の振り分けは文科省に一任されているのでどのレベルの学園艦に転校させられるかも全くわからない糞システムではモチベーションが上がるはずもない。

 

そんな生徒は何も俺だけに限った事ではなく、日々も無為に過ごす生徒が大多数といった所だろうか。

 

夏休みの終わりからの廃校宣言を得てこの日々だ、場合によっては夏休みの延長とも捉える事が出来るだろうが、さすがにここまでやることの無い日々が続くとダレてもくる。

 

そう考えると日々やることが無いのにしっかりと生きているニートってマジヤバくね?俺にはそんなツラい日々は耐えられないのでここは専業主夫のポジションを甘んじて受け入れるつもりです、どうも僕です。

 

「一緒にされるのは心外だな」

 

「そうとも、我々はこうして日々研鑽を重ねている」

 

そう答えたのはカバチームのカエサルとエルヴィンだ、彼女達歴女チームはⅢ突に天幕をはり、テントも備え付けて野営をしている。

 

見た感じテントはエルヴィンの私物だろうか。秋山と同じく、あいつもなかなかの軍マニアだ。ただ違うのは新撰組や六文銭、風林火山ののぼり旗、さらにはローマの軍旗がミックスされたキメラ感抜群の仕上がりになっている。…何軍だよ、ここ。

 

「研鑽ねぇ…、例えば?」

 

「昨日も夜通し、歴史について語り尽くしていた所だ」

 

「日本の夜明け、しかとこの目で見たぜよ」

 

「消灯時間を過ぎての夜ふかしだな、風紀委員に報告しとく」

 

なんなら夜ふかしどころか徹夜なんだよなぁ…。よくもまぁ、そこまでネタが尽きないと感心すらしてしまう。

 

「あぁ!待て!我々はあくまで勉学の為にだな…」

 

こいつらの勉学は歴史に全振りしすぎてるし、なんならテストで絶対出てこない部分が大多数を占めてる訳だが。

 

「くっ…彼女達の復活は素直に喜ばしいが見廻組、新撰組に怯える日々はさながらまるで攘夷志士のようぜよ」

 

「「「それだ!!」」」

 

どれだよ、そもそもおりょうは坂本龍馬の奥さんの名前名乗ってるのに新撰組ののぼり旗立ててる辺り、どっち派なのかとつっこみたくなる。

 

…そもそもどっち派なのかと聞く以前に気になった事がある。

 

「そういや一人だけ偉人の奥さんなのはなんでだ?」

 

カエサル、エルヴィン、左衛門佐と、他のメンバーは偉人本人の名前を名乗ってるのに、一人だけ坂本龍馬と名乗らないのには何か理由でもあるのだろうか?

 

ちなみに左衛門佐は真田幸村の事である、そっちもなんで真田幸村と素直に名乗らないのか…と考えて、そもそもなんで偉人の名前を名乗ってないのかの疑問の方が出てくる辺り、俺もだいぶこいつらに毒されてるよな…。

 

「そ、それは…」

 

「ヘルマン、さすがにそれは…」

 

「全く、デリカシーに欠けるな」

 

え?何?偉人名乗ってコスプレしてる人達にデリカシーについて糾弾されてるの俺?

 

「そういえば坂本龍馬とおりょうといえば、日本で初めて新婚旅行をした夫婦、とも言えるな」

 

「照れるぜよ」

 

いや、そこで照れるのはおかしい。

 

「え!?そうなの!!」

 

新婚旅行…という単語にどこからか召喚された彼女は勢いよく飛び付いた。いや、別に召喚された訳じゃないけど、なんなら最初から居たんだが。

 

「ほう、武部殿も(歴史に)興味がおありか?」

 

「もちろん!(新婚旅行に)興味がない女の子なんて居ないよ!!」

 

うーん、これ絶対お互い興味の対象は違うんだろうが、まぁ中身が同じなら構わないのか。

 

「寺田屋事件の後、負傷した坂本龍馬の湯治を兼ねて二人で鹿児島周辺の温泉を回ったという、これが日本初の新婚旅行とも言われているぜよ」

 

「きゃー素敵!私もいつかそんな旅行してみたいかも…」

 

「その想定だと、夫側負傷してんじゃねぇか…」

 

「歴史にはロマンはもちろんだが、ロマンスも多い」

 

「ふむ、浅井長政とお市」

 

「ブラント陸軍大尉とミーケ」

 

「カエサル、アントニウス、クレオパトラ」

 

「「「それだ!!」」」

 

いや、だからどれだよ、あとなんか一つ違わない?

 

「歴史…なんかちょっと興味出てきたかも」

 

「ふふっ、語り合うなら我々はいつでも歓迎しよう」

 

「同志として、夜通し語り尽くそうではないか」

 

武部がチョロすぎて心配になってくる…、信じて送り出した彼女が翌日にはソウルネーム名乗ってそうで怖いんだが?

 

「まぁでも、この様子なら大丈夫そうね」

 

「…だな、そろそろ次に行くか」

 

「もう行くのか?我々のボードゲームの結末を見届けてからでも遅くはあるまい」

 

「いや、もう結果出てるだろ…それ」

 

ちなみに歴女チームだが、俺達が来る前からボードゲームをやっていたようだが、戦局はパッと見た俺でもすぐにわかるくらい明らかだ。

 

「え?なになに、どっちが勝ってるのこれ?」

 

横から武部も覗き込む、ふわりと揺れた髪からシャンプーの微かな匂いがした。…いや、ちょっと近いんですが?

 

「エルヴィンとカエサルの方が負けているな」

 

見た感じエルヴィン・カエサルと左衛門佐・おりょうによる2対2でやっていたようだが。…車長の居る方がボロッかすにやられてるんですがそれは?

 

「ほう、わかるのか、ヘルマン」

 

「まぁこの手の戦車モデルのボードゲームは何回かやった事あるし」

 

「「「「「…えっ?」」」」」

 

武部も歴女達も固まっていた、特に歴女達は普段の芝居かかった感じがなく、素で「え?」と声に出していた。

 

彼女達の言わんとする続きが手に取るようにわかる、「え?ボードゲーム一緒に遊べる相手とか居たの?」みたいなアレだろう。

 

「最近はネットでこういうマイナーゲーでも対戦できる時代なんだよ…」

 

いい時代になったものだな、ケンシロウ…と、俺の心の中のシンが語りかける。

 

「あー、そういう事ね、もう、びっくりさせないでよ」

 

武部が文句でも言いたげに軽く肘で小突いてくる。いや、別に痛くもなんともないんだが。

 

「いや、なんでびっくりされてんの?そこ非難されるのおかしくない?」

 

「ネット対戦か…我々には不得手なものだな」

 

「そうか?対戦相手の顔見えないし今後会う事は無いだろうから何しても後腐れはないし、負けそうになれば最悪切断しちまえば良い」

 

「うーん…是非とも今後一手、と思ったが」

 

「あまり戦いたくない相手ぜよ…」

 

いや、さすがに見知った相手にチェス盤をひっくり返すような真似はしませんよ?…たぶん。

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「これでカバチームもクリア…と」

 

生徒会から受け取ったファイルにチェックを入れる。…夜ふかしの件は…まぁ黙っといてやるか。

 

要するに仕事である、日々を無為に過ごすと言ったな?あれは嘘だ。いや、違うか…嘘であって欲しかったなぁ。

 

現在大洗の生徒は仮校舎での仮住まい、とはいえ生徒数が多いので部屋が足りず、希望者は校舎外…つまり外でのテント生活が許可されている。

 

あんこうチームやウサギチーム、そして先ほどのカバチームもその中の一つだ。

 

ちなみに部屋が足りないというのに堂々と一人で教室を独占してる奴もいるらしい。マジかよ許せねぇな、そういう奴には仕事という対価をきちんと割り振らないとね!!

 

そんな訳で割り振られた仕事がこれである、要するにテント組の生活の確認、調査と校舎で主に仕事をしている生徒会では手の回らない案件が舞い降りてきたのだ。

 

「別に、これくらいならわざわざ手伝って貰わなくても良かったんだぞ」

 

「え?別に良いでしょ、これくらいなら手伝ったって」

 

俺のいうこれくらいが「これくらいの仕事一人で余裕だ」、という意味なら、彼女のこれくらいは「これくらいの仕事手伝っても苦にもならない」という事なのだろう。

 

実際、やることなんてテント張ってる奴らを回ってチェックシートに書き込むくらいだ。…これ、風紀委員が復活したんだし、あの人達の仕事じゃね?

 

「それにほら…テントで生活してる人達って私達戦車道のメンバー以外にも居るし」

 

「いや、そりゃ居るけど…なに?」

 

「だって比企谷は…ほら、話せるの?」

 

なにその不安と慈愛の混じった表情、お母さんなの?引きこもってた子が学校行くのを複雑な気持ちで見送るお母さん感なんだが。

 

「お前は俺をなんだと思ってるんだ…、なんならファミレスでバイトとか接客業の経験だってあるぞ」

 

まぁわりと早い段階でバックレちゃってるが、経験は経験だ。そもそも接客業は注文をテンプレ通りに聞いてテンプレ通りに出すマニュアルがあり、そこに私語が挟まる余地は少ない。

 

「俺は私語は苦手だが、こういう業務連絡的なやり取りは得意なまである、だから安心しろ」

 

「それ聞いたら余計不安になるんだけど…じゃあなんでさっきから戦車道のみんなの所にしか行ってないのよ?」

 

気付かれていたか…いや、そりゃ気付くだろうが、とりあえず今までは戦車道メンバーを中心にテント組を回っていた。

 

あんこう、ウサギ、アリクイ、レオポン、アヒル、そして最後に先ほど訪問したカバチームとこう見るとだいたい戦車道メンバーはテント組だな。

 

ちなみにウサギチームはこの短期間でずいぶんサバイバル能力が向上していた、なんか魚大量に干してたけど、あれ、何かの儀式なのかな?

 

他にも筋トレに勤しむアリクイチームにポルシェティーガーをなにやら弄っているレオポンチーム、カバチームもそうだが、わりと順応性高いよね、うちの戦車道チーム。

 

じゃあなんでわざわざ一般生徒を後回しにしたか…と言われれば、他でもない、武部本人に問題がある。

 

いや、武部本人に問題はないが。…俺にはあるのだ、だから要するに、問題は俺にある。

 

武部 沙織は元々、戦車道が始まる前からクラスでも人気者で目立っていた、誰とでも気さくに話せるコミュ力モンスターで気配り上手。そして女子力の高さ。ホント、なんでモテないのこの子?

 

まぁそんなただでさえ人気者の彼女に戦車道の活躍もプラスされたのだ。実際、大洗でもファンレターは西住に次いで多いくらいだろう。

 

そんな彼女の隣で、一緒に一般生徒を訪問して回る。

 

基本的に大洗の生徒の中で俺の事を知る者は少ない、さらには戦車道になると関わっている事すら知らない者が大多数だろう。

 

もちろん、生徒会からの名指しの呼び出しは多いが、そうなると認識的には「生徒会の人」か「生徒会の犠牲者」、あとは「生徒会の犬」のイメージが強いのだろう。わー不名誉。

 

…まぁそのお陰か、今回の大洗学園廃校の影に『戦車道に関わる男子生徒が居た』という事実を知る一般生徒は居ないのだろうが。

 

…戦車道の仕事だけなら内輪の内に済ませた事も、一般生徒が混じり、相手となれば話も変わってくる。

 

奇異の目で見られる事はないだろうか?妙な噂を立てられる事になるのではないだろうか?

 

そもそも、そう思われる事すら俺の自意識過剰なんじゃないだろうか?そんなぐるぐるとした考えが先ほどから消えてくれない。

 

「それはまぁあれだ、軽いウォーミングアップ…的な?」

 

「いや、ウォーミングアップ必要な時点でおかしいから」

 

とはいえ、遅延作戦にも限界はある、戦車道メンバーのリストが埋まったなら、次は当然一般生徒の番だ。

 

「あー…ところでなんだけど、それ」

 

「え?これ」

 

話題を切って誤魔化すつもりで聞いたが、彼女は今朝からなにやらバスケットを持ってきている。…バスケットっていってもボールじゃないからね、一応。

 

「…なんだったら持つか?」

 

どっちにしろ荷物には違いない、中身がなんなのかは知らないがずっと持ったまま移動させているのもどうにも決まりが悪い。

 

「え?いやいや、大丈夫!そんな重いものじゃないから!!」

 

「そうか?」

 

「…重いもの、じゃないよね?」

 

「いや、知らんし…そもそも中何入ってんの?」

 

「…比企谷、それ聞くのはちょっとデリカシー無いんじゃない?」

 

ぶーっと頬を膨らませて不満気なご様子。じゃあなんで重いか聞いたの?わかるわけないじゃん…。

 

「あと、そもそも女の子の持ち物を持とうとするのがダメなの、良い?」

 

「いや、荷物とか持たされた事普通にあるんだが…」

 

「そこは持って欲しいの、そこら辺の乙女心をきちんと見極めていかないとモテないんだからね」

 

難しいなぁ乙女心…どっかにトリセツとかないの?あっても長々と書いてあって読む気失せちゃいそうだなぁ。

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