劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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ようやく落ち着きました、書きたい事はいろいろあるんですがここはあくまでも小説の前書きの場所なので止めて置きます。


彼を加え、大洗学園戦車道チームは決意する。

ピンポンパンポン。

 

『非常呼集非常呼集!会長が帰還されました!!』

 

大洗の仮校舎…いや、その周囲全域にも響くアナウンス。

 

『うぇぇーんっ!えんえーんっ!うえーんっ!!』

 

…と、同時に響く、河嶋さんの泣き声がこれである。いやこれ、事情を知らない一般生徒からすればマジホラーだろ。

 

『戦車道受講者はただちに講堂へ集まって下さい、繰り返します…』

 

放送室のマイクを持った小山さんの集合の合図と、その小山さんに抱きついてえんえんと泣いている河嶋さん。

 

「桃ちゃん…泣きすぎ」

 

まったくだ。帰って来たときに見えたこの人は大量のパイプ椅子を弱音も吐かずに運んでいたというのに、会長の顔を見たとたんにこれである。

 

まぁでも…この顔見てるとなんか帰って来た感はあるな。

 

…ところであのパイプ椅子なに?なんの理由があれば大量のパイプ椅子をリアカーに乗せて運ぶ事になるの?

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

「全員揃ったようだね」

 

講堂に集合した戦車道メンバーを壇上に上がった会長が確認する。その隣には小山さんと河嶋さん、そして俺。はいそこ、生徒会メンバーに俺をカウントしないように。

 

突然の呼び出しに困惑している戦車道メンバー達だが、なんなら小山さんと河嶋さんもまだこの召集の意味を聞いていない。

 

「みんな!試合が決まった!!」

 

「!?」

 

その彼女達に向け、会長は高らかに宣言する。

 

「試合!?あ、相手は?」

 

「大学強化チームとだ」

 

「「!!」」

 

その名前が出た瞬間、西住と秋山が反応を見せる辺り…まぁ、この二人は気付くよな。

 

「大学強化チームとの試合に勝てば、今度こそ廃校は撤回される!!」

 

そして会長は文科省の役人に書かせた念書を見せる。

 

「文科省局長から念書も取ってきた、戦車道連盟、大学戦車道連盟、高校戦車道連盟の承認も貰った」

 

文部科学省大臣【牟田 正志】

 

文科省学園艦局長【辻 廉太】

 

戦車道連盟理事長【児玉 七郎】

 

大学戦車道連盟理事長【島田 千代】

 

高校戦車道連盟理事長【西住 しほ】

 

およそ戦車道に関係するお偉いさんの署名が並んだ誓約書だ。

 

実際、このサインを集めるのが実は一番苦労した。というか、このサイン待ちのせいで大洗への帰宅が遅れたんだが、まぁ西住が帰ってくるのに間に合ったので結果OKというものだろう。

 

え?辻 廉太って誰だって?あの七三スーツメガネの役人だよ。学園艦局長の肩書きを見ると思ったよりお偉いさんだったようだ。

 

書類にサインを貰うだけなので文部科学省大臣と大学戦車道連盟理事長の二人には会う事は無かったが…。そもそも大学戦車道連盟理事長の方は対戦相手だし。

 

それにしても…【島田】って名字はなんか引っ掛かるな。

 

「さすが会長~ッ!!」

 

「まだチャンスは残っているんですね!!」

 

いや、本当にその後のなんやかんやは全部この人がやってたんで、もうこの人だけでいいのでは?と思ったくらいだ。

 

「会長、もう隠してる事はないんですよね?」

 

カバチームのカエサルが会長に疑いの目を向ける。…まぁそう言いたくなる気持ちもわかるよ、前科があるからね。いろいろと。

 

「んないっ!と言いたい所だけど…比企谷ちゃん」

 

「…はい?」

 

会長はちょいちょいと俺を手招きすると自分は横にズレた、中央に立て、とでも言いたげだ。

 

「ほら、なんか言う事あんでしょ?」

 

「いや…ここでですか?」

 

「他にどこがあるの?大丈夫大丈夫、問題ないから」

 

と、もちろん満面の笑みだ。…別に話の流れのまま、この人が言えば良かったのでは?

 

「八幡君?」

 

「何?比企谷が何かしたの?」

 

だが、ご指名を受ければ当然注目を集める訳で…戦車道メンバーの視線は会長から俺へと移る。

 

「はぁ…」

 

本当に、性格の悪い人だ。その注目を浴びながら俺は会長の居た場所へと立った。

 

「あー…その、なんだ」

 

壇上から戦車道メンバーを見回す。…今更だが、大丈夫だろうか?こいつらにとって、この話はどう思うのか。

 

「…この試合だけどな、なんか流れで俺も出る事になったっぽいんだが」

 

「「「「「「「…………………………」」」」」」」

 

沈黙、まぁ…そうだろう。戦車道の試合で、男である俺が参加とか、こいつらにとっても戸惑うのは当然というか。

 

俺が大洗で戦車道を続けるには試合に出るしかない。ただ、それは俺の自分勝手な都合だ。こいつらがそれにどう思うか、俺は考えていなかった。

 

いや、考えたくは無かった。もし…ここで拒絶されたらーーー。

 

「「「「「やったあぁぁぁああッ!!」」」」」

 

…歓声だった。

 

手と手を取り合って、彼女達は俺の試合参加をまるで自分の事のように喜んで見せる。

 

「ほら、問題ない」

 

「…ですね」

 

本当、全部杞憂だったな…。

 

「あれ?でも戦車道の試合に男の人が出ても良いの?」

 

「わかった!比企谷先輩は実は女の人だったんだよ!!」

 

「桂利奈かしこい~」

 

いや、賢くねぇし…。こんな目が腐った女性居るか?

 

「えー、こんな目が腐ってるのに?」

 

「おい、目ぇ腐ってるの関係ねぇだろ、全世界の目が腐ってる女の人に謝れ」

 

…なんだろ、自分で言うのは別にいいんだが、他人に言われるのは妙に腹立つなこれ。

 

「男の人が戦車道…」

 

「い、良いのかなそど子…私は良いと思うんだけど、風紀的には…」

 

「規則違反…になるかも?」

 

「むむむ…」

 

パゾ美とゴモ代の二人に言われてそど子さんは難しい表情で唸っている、さすがに風紀の鬼(不良経験有り)を納得させるのは厳しいか。

 

「問題無いわッ!ゴモ代、パゾ美!!そもそも比企谷君は一緒にラーメンを食べた、私達の仲間よ!!」

 

「「そど子…」」

 

「…そど子さん」

 

一緒にラーメンを食べれば義兄弟の誓いを交わしたも当然とか、どっかの三国ブラザーズも言っていたしな、いや、別に義兄弟ではないけど。

 

「そもそも、比企谷君に女の子になって貰えば全部解決じゃない!ゴモ代、風紀委員で使ってるハサミを持って来てちょうだい!!」

 

「いやいや!何を切る用のハサミですかそれ!?」

 

「何って…髪に決まってるでしょう?風紀的に男子は丸刈りなんだけど、とりあえず私達と同じおかっぱにして貰うわ」

 

…良かった、何がなにじゃなくて。いや、何一つ良くないし、なになに言うのはもっと良くない。

 

「その為に試合に出るんだよ、男の俺が大洗の戦車道に関わってても問題無いって実力を見せる為にな」

 

「うむ、戦働きで功績を上げよ、という事だな」

 

なにやらわかった風にうんうんと腕を組んで頷くカバチーム。

 

「かつての新撰組も浪士組時代ではたいした任務を受ける事が無かったと聞くぜよ」

 

「立身出世にもまた争乱が必要という事か…」

 

「脱走兵も軍服を拾うような機会があれば将校にさえなりえる、今がまさにその時という事だろう」

 

「「「それだっ!!」」」

 

「どれだよ…。その流れだと俺どころかお前ら全員バットエンドの未来しか見えないんだが?」

 

もうそれあの映画…てか実話そのままに独裁者コース一直線じゃん…。最後には処刑しか待ってないやつ。

 

「比企谷コーチも試合に…」

 

「これはつまり、キャプテン!!」

 

「あぁ、比企谷が戦車道の試合に出ても問題無いなら、バレーの試合に出ても問題ないという事だ!!」

 

「ついに五人目のメンバーですね!キャプテン!!」

 

「いや、出ねぇから…」

 

うちを入れなくて四人や。大会出場の残り一人は自力でなんとかして貰いたい。

 

「むぅ、しかしバレーの試合に出て実力を見せれば比企谷の試合出場もきっと認めて貰えるはず!!」

 

「それだと普通に男子バレー部に行けって言われるだけなんだよなぁ…」

 

いや、行きませんけどね、そもそもバレーなんてハイでキューな知識しかありませんから。

 

「ここに来てフレンド登録だにゃー」

 

「ラスボス戦前の最後の仲間なり!!」

 

「あー、あれな、仲間になったはいいけど参入が遅すぎたせいで味方パーティーのレベルがもう高いからレベル差で結局使わなくなるやつ」

 

「だ、大丈夫ぴよ!きっとバトルアックスを持ったドラゴンがついてくるっちゃ!!」

 

「引換券どころか雷鳴の剣すら持ってないんだよなぁ…」

 

これはもう、ルイーダさんの営業する酒場でマックスなコーヒーをちびちびやってた方が良いのでは?

 

まぁ実際、ずっと試合に出ていたこいつらと試合を見ていただけの俺とじゃレベル差があるのは当然だ。

 

「比企谷さん…その、ダンベルどうぞ?」

 

「いや、いらんし…」

 

なんだよその「大丈夫?筋肉鍛える?」みたいなノリは。

 

「まぁ、心配はいらないよ」

 

「…ナカジマさん?」

 

「比企谷の仕事はどっちかというとオイルに近いかな」

 

「…いや、例えが全くわかりませんが?」

 

「良いオイルっていうのはね、エンジンの調子を良くするもんだから」

 

「だね、ドリフトの仕上がりにも磨きがかかるってもんだよ」

 

…うん、さっぱりわからないんだが。

 

「…この試合、厳しい戦いなのはわかってる」

 

俺の試合参加宣言によるわちゃわちゃがある程度収まった事を察した会長がまた宣言する。

 

「だが、必ず勝って…」

 

さっきの自動車部の例え話はよくわからないが、それでも…わかった事はある。

 

「みんなで大洗に…学園艦に帰ろう!!」

 

「「「「「「「おーーーーーっ!!」」」」」」」

 

…この試合、絶対に勝つ。

 

「…って事だ、今回の試合だが…よろしくな」

 

「八幡君、うん…よろしくお願いします!!」

 

「えぇ、お待ちしていましたよ」

 

「ようやく比企谷殿と一緒に戦える日が来るんですね…」

 

「本当だよ!この前のエキシビションも結局敵だったんだから!!」

 

「なんなら…私達とは戦った事の方が多いんじゃないか?」

 

…いや、ほんとそれ、マジそれな。なんなの?その度に俺がボコボコにやられてるんですが。

 

「ところで…えと、あの、八幡君」

 

「…ん?」

 

「…もう隠してる事、ないよね?」

 

西住が不安そうにじっとこちらを見てくる。…そんな目で見られれば隠してる事の一つや二つ、三つに四つと言いそうになってしまう。やだ…私の隠し事多すぎ。

 

「…会長が言ってたろ、無いって」

 

「八幡君に聞いてるんだけどな」

 

…やっぱこんなバレバレな逃げは西住には通用しないか。いや、西住だけじゃなくてあんこうチームにか。

 

ここで適当に答えれば「嘘だっっっ!!」とか言われてひぐらしが鳴くまでありそうである。

 

「そりゃ…まぁ、あるけど」

 

「あるんだ!?」

 

「そこはもう、比企谷さんですから…」

 

「諦めるしかありませんね…」

 

「まったくだ…」

 

いや、本当にごめんなさいね。そこはもう諦めて貰いたい。

 

…絶対に勝つ。となると…ある程度手段を選んでいる場合ではない、こっちも持っている手札全てで勝負をかけるべきだろう。

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