劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。 作:ボッチボール
ちなみに自分はサンダースのヘルメット子ちゃんとか良いと思います!!
『こちらレオポン、全車防衛線構築完了したよー』
「ありがとうございます、引き続き相手戦力の足止めをお願いします」
『そっちは1両になっちゃうけど大丈夫?』
「はい、そちらも無理はしないで下さい、突破された後は事前の作戦の通りに」
『了解ー』
ナカジマさんからの通信を終えて私はキューポラから身体を乗り出します。
「良い天気…」
空が高く、受ける風が気持ちいい…。
「やったね!これでOY12地点に防衛線を張れたよ!!」
「上手くプラウダを足止めできれば良いんだが」
「しかし火力は向こうの方が上です、西住殿」
「うん…」
プラウダの戦力を考えれば防衛線はいずれ突破される…。
「その前に相手フラッグ車とタイマンに持ち込めれば良いのですが」
華さんの言う通り、ここでダージリンさんのチャーチルを撃破出来るのが一番だと思う。
「うん、でも…その前に」
ナカジマさんからの報告だと、チャーチルの姿は確認出来ていない。という事はプラウダの主力部隊とは別行動をしているのかな。
それを探す、という選択肢ももちろんある。けど…。
「出来るなら八幡君は今のうちに倒しておきたい…かな」
たぶん、八幡君はある程度自由に動いてると思う、なら、きっとフラッグ車を狙ってくるはず。
「…みぽりん、そこまで比企谷に怒ってたの?」
…え?と思わず沙織さんに向き合ってしまった。
「そりゃ私もちょっとどうかと思ったけど、みぽりんがそんなに怒ってたなんて思わなかった…」
えーと…えぇっと?
「くじ引きの結果とはいえ、こうもあっさり相手チームに加わるなんてな」
「うっ…みんなごめんね、私昔っからくじ運悪くて」
夏の全国大会の時も一回戦からサンダースに当たっちゃったり…やっぱり私はくじ運が悪い方だと思う。
…そういえばアイスの当たり棒とか、全然引けた事なかったなぁって、そんな事をふと思い出したり。
「そんな!西住殿のせいではありませんよ!!」
「えぇ、比企谷さんが悪いです、比企谷さんが」
華さんがいつでも撃てます。と言うくらいに真剣な表情で頷きました。…すっごく頼もしいんだけど、八幡君がちょっと可哀想にも思えてくる。
「よーし、それなら私達で比企谷やっつけよう!!」
「えぇっと…うん、八幡君を倒したいのはそうなんだけど、理由はちゃんとあってね」
…本当だよ?うん、本当。本当…だと思う。
ーーー
ーー
ー
「マックス、みほさんはあなたの事も狙うはずよ、わかっていて?」
作戦会議は進み、そうなるとお茶も進むというものだが、そんなお茶を吹き出しかけない爆弾発言が投下された。
「えーと…それはアレですか?裏切り者には死を、的な?殺意的な感じで?」
「それも否定出来ないわね」
お願い否定して。じゃないと俺、大洗に寝返っちゃうよ?…そしたら今度はこの人から狙われるんだよなぁ…。
「いや、西住はそういう私怨で動く奴じゃないでしょ」
私怨がある事自体はちょっと否定できないかもしれないけど、試合においてあの西住がそんな個人的な感情を優先するとは思えない。
「もちろんわかっているわ。だからこそ、あなたは早めに倒したいとみほさんも考えるはずよ」
「いや、狙うならフラッグ車のダージリンさんか、プラウダの隊長のカチューシャさん辺りでは?」
フラッグ車のダージリンさんは当然として、カチューシャさんも倒せばプラウダの指揮力が落ちるのはわかる。
そうなると俺なんてほっといても良いレベルだと思うんだが、戦力的に見ても。
「わかってるじゃない。…って言いたいけど、今回はダージリンに賛成ね」
「…カチューシャさんまで?」
まさかのカチューシャさんまでダージリンさんに同意するとは思わなかったので思わず聞き返してしまった。
「だって、ハチューシャを最後まで残してると、何かやらかして来そうだもの、特にフラッグ戦となれば真っ先に潰しておくわ」
「えぇ、私だったらそうするわ、きっとみほさんもそうね」
「…やっぱ殺意的な感じじゃねぇか」
俺への殺意がひどい、戦車道やってると思考が物騒になってくるんじゃないの?
「…二人共、俺をなんだとおもってんですか?」
あとついでに西住もだが。
「そうね、一番嫌なタイミングで…」
「一番嫌な事をしてくる、かしら?」
「それ、もうただの嫌な奴では?」
しかも性格最悪な糞野郎なのでは?
「あら、これでも誉めてるのだけど」
「全国大会で準決勝、忘れてないんだから」
「…どうも」
誉められてる気は全くしないけど、なんならカチューシャさんは絶対誉めてないんだろうが。
「私達がそれだけあなたを警戒しているのだから、これまで一緒に戦って来たみほさんがあなたを警戒する理由には充分じゃなくて?」
「…まぁ、そうですね」
さすがにそこまで言われれば何も言い返せない。…つまりだ。
ーーー
ーー
ー
「…誘い込まれてんな」
わざわざ防衛線貼ってプラウダを足止めし、自身は単騎で行動中とくれば、俺の自意識過剰でなければ答えは一つ。
西住も俺を誘い出して、撃破を考えている可能性が高い。…誘い攻めまで習得してるとか、西住流マジ怖い。
「?、やっつけないんですの?」
ローズヒップがよくわからないと言いたげに首を傾げる、やっつけるかやっつけないかしかないの?この子?
「ここまで露骨に挑戦状出されるとな…」
試合前のダージリンさんとカチューシャさんとの会話を思い出す、となればここでわざわざ西住の誘いに乗るのはどうなのか?
「でも、向こうの隊長はマックスコーヒーさんがクルセイダーに乗ってる事は知らないんじゃないですか?」
砲手子ちゃんの疑問は当然だ、普通どの戦車に誰が乗ってるかなんてキューポラから顔を出さないとわからない。
「いや、悪いがそれは知ってる」
「…えっと、どうやって?」
さらには俺は今回お忍びで参加させて貰っている身なので、余計わからないのは当然だろう、だからこそ。
「俺が事前に教えたからな」
西住達…てか、大洗の連中にはもう伝えてある。【とりあえず俺はクルセイダーに乗る事になった】と。
「…馬鹿ですの?」
ローズヒップにそれを言われるのはなぁ…。うん、本当ごめんね、大事な事だからこれ。
「…そりゃ、こっちが向こうの戦車に誰が乗ってるのか知ってるのに、向こうは知らないってのはちょっとな」
まぁ…きっと馬鹿なんだろうが。それでも、それくらいの意地は張りたいものなのだ。
「では、追撃はしないんですか?」
「…いや、やる」
西住の狙いは明らかだが、フラッグ車が単独行動中なのは間違いない、こっちは4両のクルセイダーだっている。
そもそもこのままほっとけば西住は標的をフラッグ車のダージリンさんに変えるだけだろう。…あの人達お茶飲んでるからね。
「各車、このままⅣ号を追撃してくれ、たぶん向こうは路地に入っていくはずだ」
単純な戦力差はこちらが上、となれば向こうも足を止めて広い所で戦うのは避けたいだろう。
「でも、それだと裏道を知っているあちらが有利なんじゃ?」
確かに、曲がり角の多い裏路地とかで遭遇戦を仕掛けられればこちらの数の有利を生かす事は難しくなる。西住の狙いもそこだろう。
地の利は大洗にある、それは間違いない。ただ…。
「その地の利ならすでにぶっ壊しといてある、大洗の連中からしたらここはもう庭じゃないんだよ」
ーーー
ーー
ー
「みぽりん、クルセイダーが2両追いかけてきてるよ!!」
「大丈夫、このまま直進して下さい」
路地に移動した私達はこのままクルセイダーを惹き付けながら進みます。
この狭さなら先頭車の射線に入らなければ大丈夫、麻子さんにもフェイントをいれて貰いながら操縦してもらって。
「この先の突き当たりを右折して下さい」
「ほーい」
「右折したら…華さん、お願いします」
「はい」
右折した先には小さな空き地がある、そこならⅣ号を旋回させてクルセイダーを迎え討てる。
…はずでした。
「ッ、停車!!」
右折した瞬間、急いで指示を送りⅣ号を停車させます。
そこにあったのは壁を壊され、道を塞ぐ瓦礫の山。
誰かが意図的に作った行き止まり。…たぶん八幡君だ。
後ろからクルセイダーが追いかけてきている、このままだと逃げ場がない。
「全速後退!!」
急いでⅣ号を後退させ、突き当たりをさらに抜けて本来進む予定はなかった左折の道へ逃げ込む。
幸運だったのは先頭車のクルセイダーが私達を追いかけて入れ違いに右折してくれた事だ、これなら。
「撃てッ!!」
そのクルセイダーの白旗を確認する。まず1両、…でも。
後ろに居たもう1両のクルセイダーが私達を追いかけてくる。
これも大丈夫、砲身は向こうを向いているし、倒す事はできる。
「…ねぇ、これまずくない!?」
ただ、倒せば道が塞がれる、こっちの道は狭くて旋回はもちろん、砲身を回す事もできない。だから、本当なら進む予定がなかった通路です。
でも、追いかけられている以上、このまま身動きを取れずに後退を続けるしかない。
私はキューポラから後ろを見る、そこにはもう1両、Ⅳ号の背後をつくようにクルセイダーが迫ってくるのが見えた。
「…囲まれた」
ーーー
ーー
ー
『サンドイッチのーーー』
『出来上がりですわ!!』
バニラとクランベリー、それぞれのクルセイダーからの報告を受けて作戦の成功に一息つく。
まぁ、種を明かせば単純な話だ。向こうが道を知っているなら、その知っている道を壊せばいい。
普段当たり前に通っている道が工事で通行止めになって戸惑った事くらい、誰にでもある経験だろう。
「道を塞ぐって…いつの間にそんな事を?」
「そりゃゴルフ場で一悶着やってた時にだな、プラウダのKV-2に一発頼んどいた、なるべく派手にぶっ壊しといてくれって」
いやー、火力があるってのは素晴らしい。本当ならもっとあちこちにやっといて欲しかったが、KV-2もカチューシャさんからの指示を受けて現在隠密行動中である。…まぁこの指示に関しては同情しかないが。
「…大洗は庭なんじゃなかったんですか?」
砲手子ちゃんが明らかに引いた目で俺を見てくる、いやほら…自分家の庭なら好きに弄ってもよくね?
まぁKV-2を試合に出したのはプラウダなんだし、なんなら道を破壊したのはニーナ、アリーナといったKV-2の乗員達だ、あれ?これもしかして俺は悪くない流れなのでは?
とにかく、旋回はもちろん砲身も満足に回せない狭い道で挟み撃ちだ、もう助からないぞ?
いや、真面目な話ここから逆転してくるとかされたらこっちは打つ手ないんだが。
『クランベリー車、やられました』
『同じくバニラ車、やられましたわ!Ⅳ号がそっちに行きますわ!!』
…打つ手ないんだが?
路地から飛び出してきたのはクルセイダーではなく、Ⅳ号戦車。
あの局面を突破し。西住が、あんこうチームが俺達の前に姿を見せたのだ。
…どうやって?