劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。 作:ボッチボール
そしてようやく書く事が出来た!!…本当、何年越しだろ?(笑)
「え…?」
突然平原を響いた「まった」の声に西住が…いや、その場の全員が声がした方へと振り向く。
そこには平原を駈ける4両の戦車。
ティガーⅠ。
ティガーII。
パンターG型。
パンターG型。
その車体に【黒森峰女学園】の校章を記した4両の戦車は彼女達らしい、洗練された動きをそのままに大洗学園の隊列に加わった。
「…お姉ちゃん?」
もちろん、西住にはすぐに彼女達が誰なのかわかっただろう、なぜここに来たのかまでは当然知りようが無いだろうが。
停車した黒森峰の戦車から降りた彼女達は堂々としたたたずまいで宣言する。
「“大洗学園”西住まほ」
「同じく、逸見 エリカ」
「以下18名、試合に参戦する。短期転校の手続きは済ませてきた、戦車道連盟の許可も取り付けてある」
大洗学園の制服を着た二人は短期転校手続きの書類、そして戦車道連盟がおろしてくれたであろう許可証を見せてくれる。
「え?なに…?」
「援軍なの!?」
突然の事でざわつく大洗戦車道チーム。まぁ…いきなり黒森峰の生徒達が大洗に転校してきて、試合にも出てくれるって言ったらそりゃね…。
「ちょっと…なんなのこの歓迎されてない空気、私達が来たのよ、もっとこう…なんかあるでしょ」
「いやいや、超歓迎するから、おいでませ大洗へ。駅前に行けば写真撮影用のパネルもあるんだが生憎試合会場にまでは持って来れなくてな」
不満気な現副隊長さんだがこれは仕方ない、仕方ないので後であんこうチームと一緒に写真でも撮ったらどうだろうか?再限度高いと思うよ。
「やっぱり帰ってやろうかしら」
「…お姉ちゃん、これは?」
「比企谷からは何も聞いていないのか?」
「えと…うん、何かする…とは聞いてたんだけど」
「…呆れたわね」
姉住さんと現副隊長さんがじっと俺を見てくる…。天下の黒森峰の二人に睨まれるとか、胃に穴(戦車砲)でも開きそうなものだが。
「いや、まぁ…間に合うか微妙な所だと思ってたんで」
実際、ギリギリだった訳だし。いや…マジでギリギリだったな、登場の機会を伺ってたんじゃないかって邪推したくなるタイミング。
「…君の考えもわからなくはないが」
「しかし隊長、この空気はこいつのせいですよ」
「あー、悪いな、なんかクラスの集まりに呼ばれてない奴が参加しちゃったみたいな空気になっちゃって」
いや、呼んだんですがね、ちょっと幹事が他の参加者に伝えて無かっただけですので。
「あら?それはあんたの実体験かしら?」
「ふっ…あまり俺をなめるなよ、そもそもそういう集まりは極力回避してたんだよ、ただ出先でたまたまクラスの連中の集まりに遭遇しただけだ」
あの「おい…誰だよあいつ呼んだの」みたいな雰囲気はマジでツラい、参加するつもりも無いのに空気読めない奴みたいじゃん。
「…極力って、自信満々な癖に何も回避できてないじゃないの」
「情報戦での不利は敗北に繋がる、君が会場を知らなかった事が原因ではないだろうか?」
「ちょっと…砲撃向けるのあっちですからね?なんなら試合前に撃ち落とされる気さえするんですが?」
言葉の砲弾は戦車の謎カーボンさえ貫通してくるのでそろそろ止めて貰いたい。
「そんな訳で西住、黙ってて悪かった」
「…うん、八幡君、お姉ちゃんと仲良いもんね」
…うーん?おや?なんか俺の考えてた黙ってた事とちょっと違わない?
「それにエリカさんとも、そんなに仲が良かったなんて知らなかったなぁ」
「いや、それはない」
それはないんだが…ちょっと西住さん?なんかさっきから隠してる事への解釈がおかしくない?
「と、とにかくだ…この試合、黒森峰…いや、元黒森峰の生徒が参加してくれる」
あくまでも短期転校という形ではあるが、彼女達は全員大洗の生徒となった。
姉住さんも黒森峰の隊長ではなく、西住 まほとして大洗学園の生徒へ、現副隊長さんも…ん?あぁ、じゃあ今は現副隊長さんでもないのか。
「ちょっと!元ってなによ、元って!!」
「いや、転校してきたなら今は大洗の生徒だろ…、なんなら同級生まである」
「…あんたと同級生とか、とんだ黒歴史ね」
この無職の人…いや、さすがに無職は可哀想だよな、わざわざ来てくれたんだし。そこは感謝するべきだ。
そんな訳でこの大洗生徒Eさんも相変わらずだ。西住はこれのどこを見て俺とEさんの仲が良いとか言い出すのか。
「そっか…私、またみほさんと同じ学校で、同級生として戦えるんだ」
ふと、どこからか小さな声が聞こえてくる。とても小さいが、嬉しそうで、また、何かに決意したような強いものを感じさせる。
この天使のような声、俺じゃなければ聞き逃しちゃうね。
「小梅さん!!」
と、思ったら西住にもばっちり聞いていた…。ま、まぁ西住は戦車道力で耳も良いからね…マジで。
「みほさん!今日はよろしくお願いしますね」
「うん!来てくれてありがとう!!」
赤星と西住がお互いに手を取り合う。ちょっと西住さん、そこ代わってくれません?
彼女こそ殺伐とした黒森峰に舞い降りたレッドスター☆赤星 小梅!そっかー、赤星とも今日から同級生だし!なんなら(運命的には)同じクラスだもんね!略して同クラ!!
ワンルーム(同じクラス)、日当たり普通(学園艦の運行状況による)、天使(赤星)付き。の夢の学園生活が始まるのかもしれない。あん?廃校?勝ちゃ良いんだよ勝ちゃ。
「比企谷さん、またみほさんと一緒に戦える機会を作って貰えてありがとうございます」
そう言いながら笑顔で深々と頭を下げてくれる赤星にバフが盛り盛りかかるのがわかる。守りたい、この笑顔!!
「力になれるかはわかりませんが、私、精一杯頑張ります!!」
「もう充分過ぎるくらい力になってるぜ!赤星が来てくれれば百人力だ」
「そ、そんなにですか!?」
「いや悪かった、確かに百人程度じゃ足りねぇもんな、一騎当千の豪傑だ!!」
「えぇ…」
お主こそ、まさに万夫不当の豪傑よ!!勝ったながはは!!
「なんなの…あれ?」
「…八幡君のテンションがまたおかしくなってる」
「ふんっ…あいつがおかしいのはいつもの事じゃないの」
「いつも…いつもかぁ、そうなんだ…」
「えぇ、…珍しい顔ね?」
「ううん、エリカさんも八幡君のいつもの感じを知ってるんだなって」
「…なにかしら?この子から黒森峰でも感じた事がないプレッシャーが、あ、あの…隊長?」
「…みほとまた共に戦える機会、か。確かに、比企谷には感謝するべきだな」
「お姉ちゃん…」
「私達の事を隠していた事は許してやってくれ、きっと彼も必死だったのだろう」
「うん…」
赤星のあまりの天使ぶり…いや、だって仕方ないじゃん、だってレッドスターだぜ?に気を取られていたが、向こうでは姉住さんがどうやら俺にフォローを入れてくれているようだし、きっと大丈夫だろう。
…大丈夫かな?なんか西住から言いようのないプレッシャーを感じてる気がするんだけど。
「………」
そして、それをやや複雑な表情で見つめる大洗生徒Eさん。
こうして大洗学園は黒森峰を戦列に加える。
大洗学園チーム12両VS大学選抜チーム30両。
「そして、その彼の必死な覚悟は今日…ここで実を結ぶ」
姉住さんの声に答えるように続けて向こうからやって来るのは3両の戦車。
M4シャーマン。
M4A1シャーマン。
シャーマン・ファイアフライ。
その校章はもちろん、【サンダース大学付属高校】。
「私達も転校してきたわよ」
「今からチームメイトだから」
「覚悟なさい!!」
ケイさん、ナオミ、アリサのサンダース大の生徒達が大洗の戦列に加わる。
「サンダースが来たぁ!!」
「黒森峰とサンダースが来てくれるなんて…」
「虎に翼」
冷泉も上手い事言うもんだ、なら…その虎の威は存分に借りる事にしよう。
大洗学園チーム15両VS大学選抜チーム30両。
「もー!一番乗り逃しちゃったじゃない!!」
続けてやって来たのは4両の戦車。
T-34/85。
T-34/85。
IS-2。
KV-2。
校章は【プラウダ高校】
「お寝坊したのは誰ですか?」
「ま、まぁ来たくて来た訳じゃないんだけどね!!」
そう言いながらぶかぶかの大洗の制服を着たカチューシャさんが戦車から降りてくる。
「でも一番乗りして格好いい所を見せたかったんですよね?」
「いちいちうるさいわね!!」
凄むカチューシャさんだが、制服がぶかぶかで萌え袖ふるふると揺れる。
「ちょっとハチューシャ!この制服サイズが全然合ってないんだけど!!」
「いや、注文通りですから...」
「えぇ、大洗学園の被服科の方々は良い仕事をしてくれました」
どちらかと言えば確信犯なんだよなぁ…、カチューシャさん、お隣で涼しい顔で立っているノンナさんをちょっとは疑って下さいね?
大洗学園チーム19両VS大学選抜チーム30両。
「どうやら間に合ったようね」
隊列を乱さない優雅な行進、彼女達が居なければこの援軍は実現しなかっただろう。
チャーチル歩兵戦車 MK.Ⅶ。
マチルダ歩兵戦車 MK.Ⅲ/Ⅵ。
クルセイダーMK.Ⅲ。
【聖グロリアーナ女学院】の3両が到着した。
「いや、本当に待ちくたびれましたよ。…まさかお茶会してて遅れた、なんて言いませんよね?」
「あら?これからあなたが素敵なお茶会を開いてくれるというのに、そんな野暮な事はいたしませんわ」
えぇー?本当でござるかぁ?と疑ってはいけない。なんなら駆けつけ三杯も喜んで飲んじゃいそうだもんね…この人達。
「それにしても...カチューシャ」
「な、なによ?ダージリン、何か言いたいみたいね」
そりゃ言いたい事もあるでしょうが…、なんならカチューシャさんが凄む度にぶかぶかの萌え袖がぶらぶらとしてるもんだから。
「…やはり試合にはいつものタンクジャケットで臨みますか」
いや、そりゃこのぶかぶかの制服着せたまま試合させるのもアレなんですけどね、それでも用意した立場としては言いたい事もある。
「じゃあなんでわざわざ俺に大洗の制服揃えさせたんです?わりと大変だったんですが?」
なにが大変かって女子の制服を大量に注文する男子、とかいう羞恥プレイをやらされたんですが?あと被服科の生徒も頑張ってくれたんですよー?
「あなたへの嫌がらせよ」
「本当、良い性格してますね…」
「褒め言葉、として受け取って起きましょうか。もちろん、大洗の生徒の皆さんが作ってくれた衣装ですもの、大切にしますわ」
「えぇ、それに…みんな着てみたかったのは本当のようですから」
やっぱ大洗の制服って人気あるんだろうか?ちなみに大洗のタンクジャケットを人数分揃えるのはさすがに予算やら時間やらで無理があった。
「…ところでアッサム、あなたはもう大洗の制服を持っているのだし、今回は必要無かったんじゃないかしら?」
「いえ、ダージリン。それはそれ、これはこれ、特に今回はマックスが用意してくれたプレゼントですから、受け取らない理由はありません」
「ふふふ…」
「ふふふふ…」
「あー!次の戦車が来るなぁ!あの戦車はどこの学校からかなぁ!?」
大洗学園チーム22両VS大学選抜チーム30両。
なにやら不穏な空気になりかけていた所を払拭してくれた学校だ、さぞかし頼りになる助っ人が登場する事だろう。
CV33。
…ちっちゃいなぁ、うん。まぁ…豆戦車だからね。
「大洗の諸君!ノリと勢いとパスタの国からドゥーチェ参戦だ!恐れ入れー!!」
そんな小ささとは対照的に大声で宣言するのは安斎さん…もといアンチョビさんだ。
ノリと勢いとパスタの学校からやって来た【アンツィオ高校】。
「今度は参加出来て良かったっすねー」
「カバさんチームのたかちゃーん!来たわよー!!」
「ひなちゃん!!…か、カエサルだ」
カルパッチョに素で返したカエサルが恥ずかしそうにゴホンと咳払いをしつつ訂正する。別にたかちゃんで良いのに。
「いやーすまんな、本当はP40で来たかったんだが、生憎まだ修理中でな」
「あぁ…月間戦車道、見ましたよ」
…嫌な事件だったね。と、チラリとダージリンさんを見てしまう。
「…てか、CV33って2人乗りでしたよね?」
それを三人で乗ってきたの?普通に狭くない?
大洗学園チーム23両VS大学選抜チーム30両。
「いやなに、ノリと勢いさえあればなんとかなるさ、それにあれはあれで道中楽しかったしな」
「はぁ、そういうもんですか?」
「あぁ、旅はいいもんだって彼女達も言っていたぞ」
「…彼女達?」
アンチョビさんの視線の先、先ほどのCV33の軽快な走りとは打って代わってややノロノロとやって来たのは。
BT-42。
「こんにちは皆さん、継続高校から転校してきました」
「…継続高校?」
【継続高校】正直、一番来てくれるか微妙なのが彼女達だったが。いやほら…そもそも連絡の手段がね?
「たまたま一緒になったんでな、道すがら宴会しながら一緒に来たんだが、なかなか面白い奴らじゃないか」
…それ、飯をたかられてただけなのでは?気付いてアンチョビさん、アンツィオのトマト缶はゼロよ!?
「なんだかんだ言って、助けてあげるんだよね」
「違う、風と一緒に流れて来たのさ」
アキのその言葉に答えるようにポロンとミカさんがカンテレを響かせた。
…この人らは旅ってより、放浪してるだけなんだよなぁ。
とはいえ継続高校は西住曰く、当時の黒森峰ですら苦戦した強豪だ、戦力としても申し分はない…はず。
大洗学園チーム24両VS大学選抜チーム30両。
「お待たせしました!!」
その時、平原に一際響く大声が轟いた。
「昨日の敵は今日の盟友!!」
これは…もう確認しなくても誰だかわかるな。
「勇敢なる鉄獅子21両!推参であります!!」
いや…多くね?やっぱ確認って大事だわー。
ズラリと並んで突撃してくる【知波単学園】21両の戦車達。
大洗学園チーム45両VS大学選抜チーム30両。
…いや、そりゃさすがに無理ですよね、明らかに参加車両のレギュレーション越えちゃってますし。
「…ダージリンさん?」
見るとダージリンさんも額に手を当てておさえている、この人のこんな姿が見れるのもある意味新鮮ではあるが。
「増援は私達全部で21両だって言ったでしょう、あなたの所は5両」
「すいません!心得違いをしておりました!!おーい!16両は待機!!」
うーん…このオチ担当感。とはいえ、勘違いだとしても大洗学園の為に戦車21両を動かしてくれる辺り、ありがたいものだ。
…でもまぁほら、もしこの会場に一番乗りしてたのが知波単学園だったら、このチームの大半は知波単で構成されてた可能性もあった訳で。うーん…これはもう突撃しかないな!!
九七式中戦車旧砲塔型。
九五式軽戦車。
九七式中戦車新砲塔型。
九七式中戦車新砲塔型。
九七式中戦車旧砲塔型。
大洗学園チーム29両VS大学選抜チーム30両。
「こ、これはいけるかもしれんぞ!!」
大洗学園の戦列に加わった多くの戦車を見て河嶋さんがガッツポーズを決める。
確かに戦力は揃った…が、実際の所、この戦力が試合で使えるのかどうかにはまた別の問題が発生する。
「そろそろかかってくる頃だと思ったわ」
案の定、審判長である蝶野教官に電話が入る、相手は考えるまでもない、文科省の役人だろう。
あの役人がこの急な人員増加を認める訳がない。
『試合開始直前での選手増員はルール違反じゃないのか!?』
わかりきっていた異議申し立てだが、よほど慌てているのか、こちらにもその声は聞こえてくる。
まぁ、役人はこの選手増員を認めないだろう、大洗を徹底的に潰したいのが文科省だ。
「異議を唱えられるのは、相手チームだけです」
だが、文科省が、あの役人が認めなかろうが知ったこっちゃない。
…だから、問題は相手チーム、要するに向こうの隊長である島田 愛里寿の返答次第だが。
「我々は構いません、受けて立ちます」
正直、そこは心配はしていなかった。
かつて、西住 まほが戦車道全国大会の決勝戦で一騎討ちを受けたように、島田 愛里寿も島田流の流派を継ぐ者だ。
流派の看板を背負うものが、自分達が不利になるからといって、挑戦から逃げ出す事はない。
「試合を開始して下さい」
…まぁ、要するに、それだけの強敵って事にはなるんだが。
「どうやら上手くいったようね」
「…そうですね、ありがとうございます、ダージリンさん」
「お礼を言うのはまだ早いのではなくて?試合はまだ始まってもいないのよ」
…確かに、これでようやくスタートラインに立てたくらいだ。
「…ちなみに、戦車はどうやって持ってこれたんです?」
短期転校という形で選手は大洗学園の選手として言い訳が聞きそうだが、戦車はどういう扱いなのか?
「私物よ、私物がダメなんてルールはないでしょう?」
「卑怯だなぁ…」
今更ながら女子高生が転校先に私物で戦車持ってくる世界観って…。
「というか、ここまで頼んどいてちょっと言いにくいんですが」
「…なにかしら?」
「増援の数、間違ってません?21両だと、1両足りませんけど」
ダージリンさんは西にはっきりと増援は21両と言っていた。だからこそ、西も16両の戦車を待機させた訳だが。
しかし、それだと大洗の戦力は29両で打ち止めだ、せっかくの機会なんだし、もう1両知波単に戦車を追加して貰って30両の上限で挑みたい試合なんですが?
「なにも間違ってないわ、増援は全部で21両よ」
「いや、だから残り1両をどうするかって話なんですが」
「決まってるじゃない、あなたの乗る戦車よ」
「…え?」
大洗学園チーム30両VS大学選抜チーム30両。