劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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あんこう祭り、一生に一度くらいは参加してみたいものですが大洗は遠いんですよね…、行ける人が羨ましい。


これに関しては、ルール側にも問題がある気がしないでもない。

「それで、作戦はどうする?」

 

あさがお組、ひまわり組、たんぽぽ組と三チームが出来上がり、会議はいよいよ作戦立案へと移る。

 

「行進間射撃しかないんじゃないかしら、常に動き続けて、撃ち続けるのよ」

 

行進間射撃はダージリンさんが言うように常に動き続け、撃ち続ける戦い方だ。

 

利点をあげるなら動いている分、当然砲撃は当たりにくくはなる。欠点をあげるなら動いている分、当てにくくもなる。

 

敵からは撃破されにくいが、こちらもラッキーパンチで砲撃が当たる事を祈るような泥試合的な試合展開が想像できる。

 

ただ、運ゲーに持ち込むならそう悪くない戦い方ではあるか。

 

「楔を撃ち込んで浸透突破で行くべきよ!!」

 

おぉ、一般生徒Eさんがちゃんと意見を述べてる。浸透戦術なぁ…敵前線の弱点部を突破し内部へ浸透、敵指揮官を撃ち取るのが主な戦術だ。

 

こいつ、本当電撃戦好きだよな…。黒森峰ならともかく、今の大洗連合チームに撃ち込める楔あるのかって話だが。

 

そこら辺は言い出しっぺの君がもちろん楔役をやってくれるんでしょうね?

 

「優勢火力ドクトリンじゃない?1両に対して10両で攻撃ね」

 

ケイさんからの進言、単騎を数の暴力で潰し、それを次々と繰り返す、まぁ勝てるよね。

 

まず相手側がそれを許さないだろうが。

 

「二重包囲がいいわ、それで冬まで待って冬将軍を味方につけましょう!殲滅戦は時間制限が無いんだし」

 

包囲…できますかね?例え出来たとして突破される未来しか見えないんですが…。

 

「私、様々な可能性を考えてみましたが、ここは突撃しかないかと」

 

うん、論外…。

 

うーん…まずいな。船頭多くして船山登るを地でいってないか、この作戦会議。

 

各高校の隊長が集まっている分、優秀は優秀なんだが…そもそも各高校得意戦術がバラバラなのでまとまるはずもない。

 

「とりあえずパスタ茹でてから考えていいか?」

 

そんな空気をガラッと変えるかのようにアンチョビさんがそう手を上げる。

 

「はぁ?こんな時にパスタですって?」

 

「煮詰まって考えてたらまとまるものもまとまらないだろ、パスタを茹でてる時間に考え付く事もあるさ」

 

…この気楽な感じこそ、ある意味アンツィオの強さなのかもしれないな。

 

「確かにそうね、一旦ブレイクタイムを挟みましょう」

 

「よし待ってろ、今パスタ鍋とトマト缶を用意するからな」

 

「それはいけません、試合前に食べたりすればカチューシャがお腹いっぱいで眠くなってしまいます」

 

「そんな事あるわけないでしょ!!」

 

ノンナさんの言葉をカチューシャさんが否定するが準決勝で試合中にお昼寝タイムかましてたし、説得力が…ね。

 

「大丈夫よ、マックスがこういう時に相応しい物を用意してくれているわ」

 

「何?パスタ以上にか!?」

 

むしろブレイクタイムにパスタはちょっと重くありません?パスタは飲み物とか言い出したらいよいよアンツィオ高校の感性と体調を疑いたくなる。

 

「っても、今すぐ出せるのはマッ缶くらいですが」

 

「むしろなんでそれは今すぐ出せるのよ…」

 

は?マッ缶常備しとくのは当然だろ。某ロックなマンならばE缶は最後までとっておくらしいが俺は違う。

 

「会長、頼んでた例の物、あります?」

 

「あるよー、比企谷ちゃんも本当好きだよねぇ」

 

「…まったく、なんで私が」

 

会長に促され、渋々とした表情で河嶋さんが運んできたクーラボックス、その中身は当然。

 

「マッ缶の貯蔵は充分あるからな、みんな、どれでも好きなのを取ってくれ」

 

クーラボックスを埋め尽くす程の黄色に黒い稲妻の缶々、キンキンに冷やしたマックスコーヒーボックスのお披露目だ。

 

北海道で売っているかわからなかったので事前に大量購入し、持ち込んでおいたのだ。これでエアーなマンだろうがリーフっぽいマンだろうが怖くない。

 

本当、なんでマッ缶を全国展開しないんだろうね?え?一時期はしてた?うっそだぁ!だったら全国どこの自販機にも見かけるはずだもん!!

 

「好きなのって…全部同じじゃないの」

 

全然違う、これだから素人はダメだ。

 

「良かったなエリカ」

 

「た、隊長!な、何がですか!?」

 

「練習の後によく飲んでいるのを見かけるが、好きで飲んでいるのではないのか?」

 

「わ、私はそんな甘ったるい物、好きじゃありません!練習の後とか、その、たまたま飲んでるだけです」

 

「エリカさん、前はスポーツドリンクとか飲んでたと思うんだけど…」

 

「うるさいわよ!べつに何を飲もうと私の勝手でしょ!!」

 

とか言いながらもしっかり手を伸ばしてる辺り、ぐへへ…身体は正直というものよ。

 

「まっくすこーひー?わ、私、このようなはいからな物を飲むのは初めてなのですが…」

 

渡されたマッ缶をしげしげと眺める西、そういや準決勝を見学に来てた時も持参したお茶を飲んでいたか。

 

「糖分は頭を使う上で必須だからな。そんな糖分を気軽に大量摂取ができる物がある。そう、マッ缶ならね」

 

みんなにマックスコーヒーを配りつつ、俺は決め顔でそう締め括りプルタブを開けてマックスコーヒーをぐびりと一口。

 

「そういう事ならば…私も覚悟を決めて突撃します!!」

 

西もそれに習うようにマッ缶に恐る恐る口をつける…普段の威勢の良さはどこに行ったの?大丈夫、マッ缶怖くないよー。

 

「はぁっ…これはなんという甘露、このような甘味は初めてです」

 

そうそう、この糖分の塊を胃に直接ぶちこむ感覚が堪らないんだよ。

 

「では、マックスコーヒーで充分に糖分摂取できたあなたに聞いておこうかしら」

 

「なんですか?」

 

マッ缶をキメた直後の今なら、どんな質問にだって答えれる自信がある。

 

「誰の意見が最も優れていたか、参考までに聞かせて欲しいわ」

 

「ぶっ…」

 

あ、危ない…思わぬ質問にマックスコーヒーを吹き出しそうになってしまう。本当にこの人は…なんですか?そのすげぇ良い笑顔。

 

「やっぱり行進間射撃かしら?」

 

「浸透突破よ!!」

 

「優勢火力ドクトリンよね?」

 

「二重包囲!!」

 

「私、新たに様々な可能性を考えみましたが、ここは突撃しかないかと」

 

…また話が戻っちゃったし。つーか西、どんだけ突撃させたいんだよ。

 

うーん、これはなにか意見を言っとかないと話が進まないのか。

 

「…まぁ、この中ならカチューシャさんですかね」

 

「ふふん、でしょう」

 

カチューシャさんが嬉しそうにえへんと胸を張る。てかカチューシャさん、さっきから結構動いてるんだがそれでも微動だにしないノンナさんの肩車力ヤバくね?

 

「包囲か…確かに上手くハマれば効果的ではあるが」

 

「あぁいや、包囲というか…冬まで待つって所が相手にとったら一番キツいはずですから」

 

別にやり方を包囲にこだわる必要はない、逃げ回ってでも冬まで凌げれば相手にとって最悪の展開を作り出せる。

 

「やっぱり冬将軍を味方につけるのね!!」

 

「しかし、我々とて雪中戦が得意なのはプラウダと、後は継続高校くらいじゃないか?」

 

ポロンとミカさんが返事代わりにかカンテレを鳴らす、なんかBGM担当みたいになってない?この人。

 

プラウダと継続高校、やっぱりこの二つが雪中戦が得意な高校なのか。まぁそこは良い、俺の本命は別にある。

 

「…一応確認しとくけど、殲滅戦ってマジで時間制限ないのか?」

 

「う、うん…確かに無いけど」

 

西住に確認をとるとマジで無いらしい、高校戦車道大会でフラッグ戦ルールが採用されているのはそこら辺が理由なのもあるかもしれない。

 

「そんな基本的なルールも知らないの?そんなの、ここに居るあんた以外の全員が知ってるルールよ」

 

西住には確認の意味を込めて聞いたが、大洗一般生徒Eさんが呆れたように付け加えてきた。もうさァッ!無理だよ!ルールわかんないんだからさァッ!!

 

「…悪いが殲滅戦は大洗じゃ一回やったくらいだし、なんなら速攻終わったからな」

 

と、言いたい所だが、ここはルールを把握していない俺が悪いのでぐっと堪える。どーせもっと勉強しないとさァッ!!とか言われるのがオチだ。

 

「…時間制限ないなら、来年の春頃まで凌げれば勝ち確なんだが」

 

「冬を通り越しちゃったじゃないの…」

 

「いったい春に何が…わかりました!花見ですね!!

 

まぁある意味惜しいっちゃ惜しい、桜咲く季節とくれば花見よりも重要なイベントがあるだろう。

 

「そりゃもちろん入社式だ、春といえば新卒達が期待に胸を膨らませて入社し、そして会社を知って絶望する時期になる」

 

「入社してから絶望するまでのスパンが短すぎるだろ…ひ、比企谷、大丈夫か?私で良ければ話くらい聞くぞ」

 

安斎さんが本気で心配してくるので申し訳なく思うが…まぁ会社なんてだいたいどこもそんなもんですから。

 

「つまり、この試合に春先まで付き合わされた大学生達は就活も儘ならないまま社会に放り出される人も出てくる、そうでなくても大学の単位落として落第する可能性もあるだろうしな」

 

そうなる前に、もう負けても良いからこんな試合さっさと終わらせてくれ!!とか考えてくれればこっちの勝ちなんだが…。

 

「「「「「「「………」」」」」」」

 

長い沈黙である。ある者は唖然と口を広げ、ある人はよくわかっていないのか、ポカーンとしてる。なんなら笑いを堪えてる人もいる。

 

「…マックス」

 

「…はい?」

 

「確かに、彼女達には彼女達の生活がある。それを考えればこの試合に長時間拘束されるのは避けたいでしょうね」

 

「えぇ、大学生活をまるまる潰されるのは就活抜きにしてもキツいでしょうし、根比べに勝てれば向こうから降参してくる可能性もあるんじゃないですかね?」

 

「そうね、ただ、その根比べには私達ももちろん含まれてるのだけど?進学や就職なら、私達にも当てはまるわ」

 

「…ですね」

 

つーか、ここまで言っといてなんだが春頃までこの試合を長引かせれるはずがないし。むしろカチューシャさんの言う冬まで待てるかも怪しい…てか、普通に無理。食料も燃料も足りなさすぎる。

 

「ふふっ、それでももし、あなたがきちんと責任を持つと言ってくれるなら、私は付き合ってもよろしくてよ」

 

「いや、それは…」

 

大洗連合チームのメンバーにも三年生は多い。進学にしろ、就職にしろ、その人達の未来を潰す事になる。

 

「だってさ、良かったじゃんかーしま、比企谷ちゃんが責任とってくれるってさ」

 

「会長ッ!?」

 

「あくまで一案ですから、むしろなしの方向で」

 

「おい比企谷!その切り替えの速さはどういう意味だ!!」

 

いや、別に河嶋さんがどうとかって意味じゃなくてですね、この試合に参加してくれた三年生全員の責任とか荷が重すぎる…。

 

「あら残念」

 

ダージリンさんも冗談交じりに微笑む、むしろ…あなたがどの意見が良かったか聞いてきた事が発端なのですが?

 

「…まぁでも、時間稼ぎが有効なのは間違いないかもしれないな」

 

「冬まで待つのね!!」

 

いや、それはもう良いでしょ…俺が悪かったですから。

 

「例えば見たいアニメの放送日とか、試合してたら見逃してしまうだろうし」

 

そういやボコのアニメっていつやってるんだっけ?いや、今やってるのかもわからないんだが…。

 

まぁともかく、向こうの隊長がボコ好きなのを利用し、ボコのアニメ放送日まで耐えればこちらの勝ちって展開も有り得る!!

 

「はぁ?アニメの為にわざわざ試合放棄なんてする訳ないでしょ、ふざけてるの?」

 

「八幡君、いくら勝つ為でもそれはさすがに酷いと思うな」

 

「…えぇ?あの子のあんな顔、初めて見るんだけど」

 

「…あぁ、さすがにやりすぎだな。俺も日朝アニメ見れない時の絶望感を思い出して今後悔してた所だ。悪かった、この手の作はもう二度と言わない」

 

「え?これ、ひょっとして私が変なのかしら…?」

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