劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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最近プライベートが忙しすぎてヤバい、暑くてヤバい、ソシャゲのイベントが盛々でヤバいとヤバい三重奏です。
なんとか月一投稿は守りたい…〚月刊:劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている〛を目指してます。


唐突に、比企谷 八幡の初陣が幕を開ける。

『ぐずぐずしてたら山頂を取られちゃうじゃない』

 

『確かに取れれば優位だが、わざと山頂を開けている可能性もある』

 

いち早く高地麓まで到着したひまわりチームだが大学選抜チームの動きはまだ見えない。

 

この機会にさっさと山頂を奪いたいカチューシャさんと、相手の罠の可能性を考えている姉住さんのやり取りが聞こえてくる。

 

『大隊長、指示を』

 

まぁ、最終的な判断は西住に任せるべきだろう。

 

「高い所を取れば勝てるんじゃありませんの?」

 

「優位、な。それで勝てるなら苦労はしない」

 

確かに大学選抜チームとの差は縮まったが戦力差はまだ大きい、優位な地形なら確保するべきなんだが、相手チームの動きがどうにも胡散臭いのも事実だ。

 

「わざわざこちらに山頂を取らせて、何か相手にメリットでもあるの?」

 

山頂に布陣した方が負けた例なんていくらでもあるが、中でも有名なのでいうと…。

 

「あー…街亭の戦い的な作戦かもしれん」

 

「そ、それだっ!!…で、ですね」

 

「…え?」

 

見るとカルパッチョが歴女チームよろしく、「それだっ!!」といつもの指差しポーズをかましている。

 

いるんだが…恥ずかしいのかプルプルと指は震えてるし、顔は真っ赤だし、最後の方自信無さげな小声だし…。

 

「た、たかちゃんなら歴史のネタの時、きっとこうするかなって…」

 

あぁ…まぁ、やりそうね。ちょっとあのノリに混ざりたかったのね…、あれはメンバー全員の意識が噛み合ったからこそのノリだからうちではちょっとやってないですね…。

 

「ガイテイの戦い…?」

 

うちはほら、生粋のロシア人であるクラーラも居るんで…。

 

「知らんか?泣いて馬謖が斬られちゃうやつ」

 

「馬食…馬肉料理が嬉しくて泣いてるんですの?」

 

そんな猟奇的な諸葛亮先生なら三国志の歴史は変わっていたのかもしれない…。新解釈された三国志か。うっ…頭が。

 

「まぁざっくり説明すると三国志の時代に命令無視して山頂に布陣した蜀軍が水源を絶たれて水不足で負ける話だ」

 

「それで残念会として泣きながら馬肉料理を振る舞うんですの?」

 

ちょっと馬肉料理から離れなさいね、責任とって斬られた馬謖も浮かばれないので…。いや、元々浮かばれてないけど。

 

「要するに補給路を絶つ作戦ですか」

 

「今回の試合とは関係ないじゃないの」

 

「だよなぁ…」

 

ネタとして長期戦も考えていたが、さすがにそこまでの長期戦になるとは思えない。

 

第一、全車両が山頂に集まるならともかく、俺達あさがおと西住達たんぽぽの別部隊があるのでその作戦は成立しない。

 

「山頂をあえて取らせて、ひまわりチームを包囲するつもりなのでは?」

 

カルパッチョからの進言、確かに山頂は囲まれれば退路を絶つ事が出来るが。

 

「俺達やたんぽぽが居るんだ、山頂のひまわりと挟み撃ちにできるし、それを思いつかない相手じゃないだろ」

 

「ふへー…皆様いろいろと考えてるんですね、私なんてバーっとぶっちぎればいいと思うのですが…」

 

ローズヒップが驚きの声をあげる、いや、君はもうちょい考えた方がいいと思うんだが。

 

「そんな訳で、私はマックスさんの指示に従いますの!!」

 

「お、おう…まぁ、別に俺が判断する事じゃないんだが」

 

「今からでも山頂に向かえと言うなら飛ばしますわよ!今晩はお祝いに馬肉料理とかどうですの?えぇっと、バショク…?さん」

 

「やめろ、あといい加減馬肉料理から離れろ」

 

そんな命令違反、喜んで馬謖が斬られちゃうだろ。もちろん俺もするつもりはない。どうするかは西住次第だが…。

 

『…充分に警戒し、退路を確保しながら進軍して下さい、敵と遭遇した場合は無理をしないようにお願いします』

 

…進むか、まぁこのままあーだこーだ悩んでる間に相手に山頂を取られる展開は最悪だろう。

 

『有利だが、包囲分断される可能性もある、他のチームと連携が取れなくなるかもしれない』

 

『大丈夫よ。あなた、なんだかんだ言って妹の事信じてないのね』

 

『………』

 

沈黙。無線でもはっきりわかるくらい姉住さんの沈黙が怖いんだが?カチューシャさん…煽るならもっと時と場所と相手を選んでくれません?

 

『ノンナなんてどれだけ私の事を信じているか、私が雪が黒いって言えばノンナも黒いって言うくらいよ、んねっ?』

 

『はい』

 

即答かよ…、ちょっとノンナさん。信じるのはいいんですがカチューシャさんに姉住さんにつっかかるの止めるように言ってくれませんかね?

 

『信じるのと崇拝するのでは違う』

 

『うぐっ…』

 

『どのような関係性であろうと盲目的に従うのではなく、自分でも常に考えるべきだ』

 

『うぅう…わかってるわよ!!』

 

ほーら、こうやって手痛いしっぺ返し喰らうんですから。カチューシャさんがまたわからせられてる(文字通り)…。

 

『まったく…隊長の言う通りね、盲目的に従うんじゃなくてちょっとは考えなさいよ』

 

大洗一般生徒Eさんが何か言ってる…。

 

「…そういえば冷泉が戦車にサイドアンダーミラーが欲しいって言ってたな」

 

『比企谷さん、急にどうしたんですか?』

 

あ、赤星!?そうか…赤星もひまわりチームだもんな、そりゃ馬謖も命令無視して赤星に会いに山頂向かうよなー。俺だったらそーする、誰だって斬られる。

 

『何よ、鏡見ろって言いたい訳?』

 

『い、今のでわかるんですね、この二人仲良いなぁ…』

 

『わかってないわね、隊長が雪は黒いって言っても雪は白いわよ』

 

『いや、私はそんな事言うつもりはないが…』

 

雪は黒いって宣言する姉住さんはなんならちょっと見てみたい気もするが。

 

『隊長が雪が黒いって言うなら私達で黒くしてやるわ』

 

「やっぱサイドアンダーミラーいるわこれ…」

 

自分で考えて出てきた答えがもう過激派なんだよ、よりたちが悪いじゃねーか。

 

「黒森峰の副隊長の方もおかしな事を言いますね」

 

ほら、留学生のクラーラにも言われてんぞ?留学した先で日本が誤解されるような発言は慎めと言いたい。

 

「雪は元々黒いのに、それを黒くしようとするなんておかしいと思いませんか?」

 

「…ん?」

 

「おかしいと思いますよね。ねぇ、比企谷さん?」

 

「…ソ、ソウダヨネー」

 

雪は黒いもんね、うん…なんかそんな気がしてきた、準決勝のプラウダ戦とか、夜戦なのもあって基本真っ黒だったもんね。

 

『…こちらのチーム事情を考えるなら序盤に戦果を上げておくべきなのも事実か』

 

姉住さんのこの考えはおそらく、西住も同じ考えなのだろう。だからこそ、罠の可能性があっても戦略的に優位に立てる指示を出した。

 

頭数が揃ったとはいえ、大学選抜チームとの戦力差は大きい。慎重に行動していてもジワジワ削られるのは目に見えている。

 

『成功は大胆不敵の子供、最初から勝負に出るのね、みほさん』

 

初手格言から始まるダージリンさんの言葉通り、西住は初動からぶちかますつもりなのだろう。

 

『行くか』

 

『はい!!』

 

ひまわりチームは高地山頂への進軍を開始、このまま順調にいってくれればいいが…。

 

『さぁ行くわよ!203高地よ!!』

 

『『『『『ウラーーーッ!!』』』』』

 

…あ。

 

『203高地?』

 

『プラウダはどんな戦いか知っているのか?』

 

『負ける気か?』

 

うーん、これには歴女チームも苦笑い…。持ちネタの『それだっ!!』も出てこない、いや、出てきちゃダメなんだけど。

 

「こ、今度こそ…そ、それだっ!!」

 

先ほど恥ずかしがった事を反省してかビシッと指差しポーズを決めるカルパッチョ…。

 

「あ、あれ…?えーと、その…すいません、なんでもありませんので、お気になさらず…」

 

ゆっくりと指差しポーズを下ろして恥ずかしがるカルパッチョ…。あれ?この人もしかしてめっちゃ可愛いのでは?

 

なんか声質的にも妙に気にはなるんだが、そこはスルーした方が良さそうだし、うん!考えないようにしよう!!

 

「しかし、高地山頂を目指さないのであれば相手チームのどこに…?」

 

「それは…」

 

それは…どこだ?いや、そんなのわかりきっている。

 

相手がひまわりチームにこのまま高地を取らせるなら、狙う相手はーーー。

 

『こちら知波単部隊、我が隊は順調に進撃中、右翼には敵兵はなーーー』

 

知波単部隊からの無線の最中、砲撃音が鳴り響いた。

 

『ッ、3時方向より敵襲!!』

 

それは単発ではなく、連続で響いてくる。威力偵察とか、そういう類のものではなく間違いない小隊規模の砲撃だ。

 

『CQCQ、あさがお敵チームと遭遇!!』

 

『こちらダージリン、敵戦車遭遇。たんぽぽ各車、微速後退しつつ応戦』

 

あまりの展開の速さに一瞬呆けたがケイさんとダージリンさんの間髪入れない通信で我に返る。いや、ほんと頼りになるわ。

 

「狙いはあさがおとたんぽぽか…」

 

ひまわりチームに主力である黒森峰とプラウダの重戦車を編成してる事くらい、向こうもお見通しなのだろう。

 

ーーー先に戦力的に弱い所潰そうってか。

 

『大隊長車よりあさがお、たんぽぽ各車へ、前後に移動を行って相手の車線に入らないようにして下さい』

 

大学選抜戦、俺の初会敵は相手からの奇襲という最悪の形でのスタートとなったがこのまま撃破でもされればマジ、なんの為に来たのかわからない。

 

「だそうだ、頼むぞローズヒップ!」

 

「わっかりましたわ!!」

 

『ひまわりが高地山頂へ到達するまで耐えましょう!!』

 

サラッと無茶言うなこの子!!

 

『それと八幡君、知波単学園の皆さんの事をお願いします』

 

文科省ちゃんと見てるー?これが西住流スパルタ術ですよーーー!!

 

相手からの砲撃、えぐれる地面と土煙、前後を繰り返す戦車(ローズヒップ式)。

 

状況はすこぶる悪い。

 

「比企谷さん、どうします!!」

 

「応戦は最低限でとにかく被弾は避ける、相手がこっちに戦力を集中させてんならひまわりも山頂を取りやすい」

 

「わかりました」

 

ひまわりが山頂を取ってくれればこちらも挟み撃ち、応戦はそこからでも遅くはないだろう。

 

『隊長、応戦なら自分がーーーッ!!』

 

「ナオミ!!」

 

大学選抜チームの連中、ナオミの乗るファイヤフライが砲塔を回転させた瞬間、ファイヤフライに狙いを集中させやがった。

 

『ナオミ下がって!ここであなたがやられるのはナンセンスよ!!』

 

『イエスマム…』

 

こちらの厄介な戦力も知っていて、冷静に狙いをつけている。このままじゃ突破される。

 

とはいえ…ここで、こんな状況で俺に出来る事はなんだ?

 

『もう辛抱なりません!名倉車突撃します!!』

 

『あぁ待て!突撃はまだ早い!!』

 

「…は?」

 

聞き間違い…じゃないよな?え?この状況で突撃?

 

慌てて知波単部隊の方を見ると一両隊列を離れて大学選抜チームに突撃していく新砲塔チハが見えて、そのまま撃破され白旗を上げた。

 

『名倉車、健闘虚しく撃破されました!!』

 

…エキシビションマッチの時の西住ってこういう気持ちだったのかぁ。そりゃ呆気に取られる。

 

『チハ新砲塔一両撃破されました!面目次第もございません!!』

 

『西隊長!我々で名倉の敵を討ちましょう!!』

 

『今こそ突撃の許可を!!』

 

って呆けてる場合か!ほっといたらこいつら連鎖して次々突撃していくじゃねぇか!?

 

〚八幡君、知波単学園の皆さんの事をお願いします〛

 

…この状況で俺がやるべき事は応戦じゃない。西住に名指しで指示を受けたのだ。「やれ」には「はい」で答えるのが社会の常識ってやつである。もしかしなくても社会って糞では?

 

知波単を止める。…いや、止まるか?こいつら。西住でも止められなかった連中だぞ。

 

今は西がなんとか宥めてくれているが、いつまた暴走するかわかったもんじゃない。

 

だったらーーー。

 

「あぁもう!あの子達何やらかしてんのよぉ!!」

 

「アリサ!知波単連中にプライベート回線飛ばしてくれ!!」

 

「そ、そうよ!さっさと止めなさい!!」

 

ヒステリックしながらも仕事は早くて助かる。

 

「あー知波単各部隊聞こえるか?9時方面より敵襲だ」

 

「…はぁッ?ちょっとあんた、この状況で何を」

 

「そちらには何も居ませんが…」

 

知ってる。だから混乱を避ける為にわざわざプライベート回線を飛ばした訳だ。

 

「全車両、直ちに転身して突撃」

 

『『『『了解!!』』』』

 

大学選抜チームへと向かう知波単部隊は颯爽と転身し、逆方向へ…そのあまりの手際の良さに練度の高さは確かに伺える、どんだけ突撃の技術を磨いてんだよ。

 

だが当然そこに相手が居るはずもなく。形的に敵前逃亡のようにはなるんだが。

 

『やるじゃない、エイトボール』

 

「…いや」

 

だが、結果的にこれで知波単部隊が守っていた所が空になってしまった。つまり…。

 

「敵に突破されました」

 

俺達と交戦していた大学選抜チームの部隊はそのままひまわりへ向かうようだ。

 

「…惨敗ですね、これ」

 

相手車両は一つも落とせないまま突破され、こちらは一両失い、残った車両も立て直すには時間がかかるだろう。

 

初陣としてはなかなかどうして、厳しい結果だと言えるだろう。

 

「でも、残りのチハタンズはあなたに救われたわ。この先、あの子達が試合をひっくり返す事だってあるかもしれない」

 

ケイさんがキューポラから顔を出してニカッと微笑んでくれる。

 

「まだまだ試合はこれからよ!!」

 

「…はい」

 

まぁ…とりあえずここは初戦を生き残っただけでも良しとするべきなんだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っていうか、知波単の連中、止めないとどこまでも行ってしまうんじゃないの?」

 

「…あっ」




大洗連合チーム29両VS大学選抜チーム30両。
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