劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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戦車道大作戦、10周年おめでとうございます!!
スマホアプリで10周年続く事がどれだけすごい事か…、とはいえ自分はやってないんですがやはり嬉しいものです。

なんだったら生徒ガチャから生徒以外の大人も出てくる不具合もあるの…おや?誰か来たようだぞ。


その命令を、プラウダメンバーは待っている。

『プラウダはIS−2以外全車後方警戒!当たんなくてもいいから撃ちまくりなさい!!』

 

無線越しにカチューシャさんの激が飛んでくる、撤退戦とは本来、後方から追撃してくる相手から如何に逃げれるかの勝負だが。

 

『上空より第3射、弾着!!』

 

更には今回、上からは推定カール自走臼砲の爆撃まで降ってくるというおまけ付きだ、そもそも戦車相手に気軽にポンポン撃って良い兵器じゃないんだが。

 

『見てなさい!私には当たらないんだから!!』

 

カール自走臼砲からの3射目、爆撃の煙はここからでも確認できるが幸いやられた報告は出てきていない。

 

「後方から相手の追撃に加えて、上空からはカール自走臼砲の爆撃ですか」

 

「まったく…考えたくない状況ね」

 

その場にアリサが居た時のヒステリック加減が想像出来てしまう…。

 

「カール自走臼砲の方はこう言っちゃなんだが完全に運ゲーだ、爆撃に巻き込まれないのを願うしかない」

 

「そうなんですの?」

 

「そもそも火力も過剰で戦車戦に持ち出すような兵器じゃない。運用方法は要塞とか拠点攻略用、つまり攻撃目標が動かない事が前提だ」

 

第1射、2射は両方山頂というわかりやすい狙い所があったせいでピンポイントにぶち込まれたが、動いている戦車に直撃狙いで爆撃を振らせるような兵器ではない。

 

「山頂を開けていたのもひまわりが山頂に布陣した所にカールの一発をぶち込む為だろう、種さえわかれば後はランダムで上から爆撃が降ってくるステージギミックみたいなもんだ」

 

「それ、厄介にしか聞こえないんだけど!?」

 

「厄介なんだよなぁ…」

 

てんからふりそそぐものがせかいをほろぼす。

 

だが現時点でどこにいるかもわからないカール自走臼砲に対して取れる攻略手段は無い、運ゲーはどこまでいっても運ゲーでしかない。

 

「となるとひまわりチームが日頃から徳を積んでるのを願うしかないな…」

 

「徳を積む…とはなんでしょう?」

 

生粋のロシア人であるクラーラにはイマイチピンと来ないのか、いや、俺もノリで言った所があるので改めて説明するのもなんだが。

 

「まぁ…簡単にいうと良いことをするとか?人に優しくするとか?なんかそういうのが巡り巡って返ってくる…的な?」

 

「説明がふわっふわじゃないの!!」

 

「比企谷さんが日頃徳を積んでいない事がよくわかるのですが…」

 

ばっか、超積んでるから。交差点で100円拾ったら今すぐこれ交番に届けようとするくらいには積んでるから。

 

「まぁそんな訳でティガーII、上から来るぞ!気を付けろ!!」

 

『あんたは背後にでも気を付けたら!?夜道とか特にね!!』

 

何その月夜ばかりと思うなよ?的な返しは…いや、オチに使っちゃって悪いとは思ってますよ。

 

『そもそも運なんて不確定なものを頼りにしてるのが間違いなのよ。私は実力でここを突破するわ』

 

『あぁ、心配いらない。私達には小梅から貰ったコインもある、幸運のアイテムなのだろう』

 

『た、隊長!?』

 

『小梅が私達に託した物、それも含めた全てが私達の実力だ。運が不確定というなら手繰り寄せてみせる』

 

「…戦車道にまぐれ無し、あるのは実力のみ。ですか」

 

ふと思い出されるのはあの時の言葉。

 

役人の言葉を真っ向から叩き、ねじ伏せたしほさんの言葉だ。

 

『はぁ?たくっ、何知ったような事を言ってるのよ…ねぇ隊長?』

 

『…驚いたな』

 

『えと…隊長?』

 

まぁ、知ったような事、じゃなくて知っている言葉だったりするんですがね。

 

『…なんかムカつくわね』

 

「なにがだよ」

 

蚊帳の外にされた大洗一般生徒Eさんの矛先がこっちに向かって来たのでこれ以上のマウント取りは止めておくか。

 

しかしこの様子なら黒森峰の方は心配なさそうだな、なんたって幸運の女神の加護付きだもんね!!

 

となるとやはり…。

 

「…カチューシャ様」

 

「撤退戦となるとプラウダはKV-2がネックですね」

 

プラウダの今までの待ち伏せメインな運用方法を見てもわかるが抜群の火力を誇るKV-2だが弱点はその火力故の鈍足さ。

 

足の遅さは撤退戦では致命傷だ、…このままじゃ追いつかれるのは時間の問題か。

 

「っーーー」

 

…雨が降ってきたな、ここから更に地面の状態まで悪くなっていくのか。

 

「雨まで降ってきたじゃない!!どうするのよ!?」

 

「…KV-2を殿にして時間稼ぎの足止め、ってのがまぁ、一番の落とし所だろうな」

 

戦力的に失うのは惜しいがそうも言ってはいられない状況だ。

 

「街道上の怪物…ですか」

 

「街道上の怪物…とてもスピードが速そうで良いですわね!私も名乗ってもよろしいのでして?」

 

「あぁ…まぁ、良いんじゃね?」

 

「やったですわー!街道上の怪物、ローズヒップ!!」

 

ローズヒップ(自称:街道上の怪物)は速度以外で物事を見る事が出来ないんだろうか…。

 

KV-2の伝説(KV-1説もあるが)ともいえる街道上の怪物。かつて1両で街道を陣取り、ドイツ軍を2日もの間足止めした功績から来ている。

 

カチューシャさんはカーべーたんと可愛らしく呼んでるけど、他所ではドレットノートやギガント等と呼ばれるくらいだ。

 

「もうそれしかないじゃない!KV-2が殿で足止めをしてくれれば撤退の成功は高まるでしょう!!」

 

「…残念ですがそれは難しいでしょう」

 

「はぁ!?なんでよ!!」

 

「カチューシャ様がそれを望まれません」

 

「…は?あのプラウダの隊長が?」

 

クラーラの言葉にアリサは思わず聞き返していた。こう言っちゃなんだが、俺も同じ意見だ。

 

「カチューシャ様の心はロシア平原のようにとても広く、お優しい方ですから。あの方は味方の犠牲は良しはしないでしょう」

 

「…準決勝の時、俺達大洗を釣る為にわざと犠牲にされた戦車もあったはずだが?」

 

まぁこっちはその釣り餌の餌を食い逃げした立場ではあるが。

 

「それは全て勝つ為です、勝つ為の作戦を犠牲とは言いません」

 

『カチューシャ!何してる!!』

 

『仲間を見捨てて逃げるなんて隊長じゃないわ!!』

 

撤退の流れが予想以上に悪い、カチューシャさんがKV-2を気遣って速度を落としているのか…。

 

『いい!やられでもしてそれが原因で負けたらその車輌メンバーはシベリア送り25ルーブルよ!!』

 

「なんかさっきの話聞くと『か、勘違いしないでよね!ちゃんとみんな揃って撤退する為だからね!!』に脳内で訳されるんだが」

 

「でしょう」 

 

「いや、そのツンデレ口調にはなんないわよ…」

 

まぁカチューシャさんはツンデレってかツンドラだしね、ロシア的に見てるので某物語的ではなく。

 

『何よ!私を狙い撃ちって訳!?そんなの当たらないわよ!!』

 

…マズいな。大学選抜チームも狙いをカチューシャさんに絞り始めたか。

 

「…ですが、やはりこのままではいけません。アリサさん、カチューシャ様に通信を」

 

「いいのかしら?あなたの隊長に嫌われるかもしれないわよ」

 

「カチューシャ様はこの戦いに必要な人、それをここで失うくらいなら嫌われても構いません」

 

「…ふん。ほら、合わせたわよ!!」

 

「ありがとうございます、ではーーー」

 

クラーラがふっと一瞬だけ息を吐いた。あぁ…そうか。

 

「カチューシャ様、あなたの戦うべき戦場はそこではありません」

 

『え…ク、クラーラ!?』

 

これがクラーラにとって、初めて日本語でカチューシャさんに声をかける時だったか。

 

『なにその流暢な日本語は!!』

 

『クラーラは日本語が堪能なんですよ』

 

『先に言いなさいよ!!』

 

これには味方を逃がす為に躍起になっていたカチューシャさんも面を喰らったのか、少し冷静になったようだ。

 

まさか…この為、この瞬間の為にクラーラはいつもロシア語で会話をーーーは無いな。うん、さすがにそれはない。

 

「カチューシャ様。あなたはもう、本当は何をするべきか気付いているはずです」

 

『嫌よ!私は仲間を犠牲になんかしないわ!!』

 

「えぇ、私達は誰も犠牲にはなりません、何故ならあなたが勝つからです」

 

『クラーラ…』

 

「勝つ為の作戦に必要なものは犠牲ではありません、そして…あなたがここを突破する事こそ、勝つ為に必要な事です」

 

『クラーラさんの言う通りだべ!!』

 

『うちらの車おっきいから盾になるはずじゃ!!』

 

『カーべーたん!!』

 

『伊達に街道上の怪物は名乗ってねぇべ!!』

 

『んだんだっ!!』

 

「んだんだっ!!」とずいぶんと可愛らしい声を荒げる街道上の怪物だが、その頼もしさは伝説通り…か。

 

『あなたの負けですよ、カチューシャ』

 

『!?、ノンナまで…』

 

『クラーラ。いえ、キツネさんチームの皆様、後の事はよろしくお願いします』

 

…ノンナさん。そうか、KV-2だけじゃこの追撃は逃げ切れない。

 

「はい。今後"カチューシャ様を支える"のは任せて下さい」

 

…ん?

 

『任せました。"カチューシャの為にここで殿を勤める名誉"はどうやらあなたには出来ないようですから』

 

…んん?

 

「ふふふ…」

 

『ふふふふ…』

 

何この二人、やっぱ怖いよぉ…。

 

「はー…お二人共、とても仲が宜しいのですねー」

 

「いや、まぁ…仲は良いんだろうが」

 

『カチューシャ、指示を』

 

『だ、駄目よノンナ!あなたまで失う訳には…』

 

『黒森峰の隊長は信じる事と崇拝する事は違うと言いました、私もその通りだと思います』

 

ノンナさんの言葉はとても優しい。彼女は待っているのだろう、カチューシャさんの指示を。

 

『ですからこれは崇拝ではありません、確信です。私達が居なくても…あなたは必ず勝利する、これはその為の作戦です』

 

だから、これは決して犠牲ではないと。

 

『ッ!プラウダ全車両に告げるわ!!』

 

無線越しでもカチューシャさんの震えた声が聞こえてくる。

 

『…私がきちんと撤退するまで!ちゃんと時間を稼ぎなさいよ!!』

 

『カチューシャ様…任せろっちゃ!!』

 

『えぇ、必ず』

 

『『『『『『Ураааааааа!!!』』』』』』

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

ーー

 

 

『こちらひまわり小隊、追撃の様子は無い』

 

『お疲れ様、向こうもティータイムに帰っていくようね、これ以上ここに留まるつもりはない、という事かしら』

 

「こっちも同じね、ひまわりの撤退と同時に退いていったわ」

 

3隊長による報告会。…別に相手はティータイムに帰っていった訳ではないというか、それってただダージリンさんがやりたいだけなのでは?

 

「えーと…つまり?」

 

「まぁ要約すると相手はとりあえず一番強い戦車揃えてる小隊フルボッコに出来て満足だから一旦合流するか。だな」

 

どうやら今回、相手も部隊を3つ…いや、4つか?に分けていたようだ。

 

一つは西住とダージリンさんのたんぽぽを釘付けにする釘付けさんチーム。

 

一つはひまわりが山頂を陣取ってカール自走臼砲の砲撃後に動き出したひまわり絶対殲滅さんチーム。

 

一つは俺達あさがおを突破し、ひまわり絶対殲滅さんチームと合流したあさがお眼中にないさんチーム。

 

そして遠くからカール自走臼砲をバシバシ撃ってきてるマップ兵器さんチームだ。

 

秋山情報では大学選抜チームにはミミミ三姉妹(姉妹ではない)なる副官三姉妹が居るのでカール自走臼砲以外の3つのチームをそれぞれ担当していたのだろう。

 

目標だった重戦車の揃うひまわりがたんぽぽと合流したので向こうも撤退、この引き際の良さは流石ともいえる。

 

「身も蓋もないわね…もっとこう、良い言い方はないの?」

 

「そりゃパンター2両、T-34/85、KV-2、JS-2、こっちの主力をごっそり持っていかれたからなぁ…」

 

「…フルボッコじゃない」

 

フルボッコなんだよなぁ…。

 

「ですが、カチューシャ様は無事です。悪い話だけではありません」

 

「そう願いたいわね…」

 

「まぁ、それに…」

 

なにより一つ、大きく進んだ事もある。

 

「…ノンナさん、あの状況でパーシング2両撃破したんだよな」

 

まず味方の撤退を優先するあの大混戦の中、ノンナさんのJS-2はパーシングを1両撃破した後、最後は相打ちとなった。

 

時間を稼ぐのは構わんが、別にアレを倒してしまっても問題ないのだろう?を地でやっちゃうあの人やっぱパねぇ…。

 

そんなノンナさんの戦力を考えると等価交換とも言えない。いや、むしろマイナスでさえある。

 

ただ、それでも…。

 

「…ようやく、一つか」

 

この試合が始まってからずっと、やられっぱなしではあったが。

 

「まずは一つ、ですよ」

 

大洗連合チームは今試合、初の敵戦車撃破を果たした。




大洗連合チーム24両VS大学選抜チーム28両。
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