劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。 作:ボッチボール
もちろん皆さん今年のクリスマスからの年の瀬はガルパンで決まりですよね。ね?(圧)。
なお、捻くれてて腐った目をしている男子生徒なんかはもちろん出てこないのでご安心下さい(笑)
「雨もすっかり止んだみたいですね」
ひまわりチームの大脱出を終えると天気はすっかり晴れてきた、あの雨はこちらの撤退はもちろんだが向こうの追撃にも影響を与えてくれた事を考えるとプラマイゼロだろうか。
「元々通り雨だったみたいね、今日はもう降らないんじゃない?」
ケイさんが着ていたレインコートを脱ぎながら答えてくれる。ここは黄色のレインコートを着ていて欲しかった。あぁいや…なんとなく似合いそうだし。
予報でもここからは雨が降る事はなさそうだ。本日の天気は晴れ、一時期雨。
「…雨よりもっとたちの悪いもんならまだまだ降ってきますよ」
ところにより、カール自走臼砲による爆撃が降ってくるでしょう。
「あっはっは!そうね!まったく酷い天気だわ!!」
「笑い事じゃありませんよ!隊長!!」
敵部隊が撤退しても頭上からの砲撃は止む様子がない。そりゃ向こうは一方的に砲撃を続けれるのだ、止める理由はないだろう。
「…これからどうします?」
「え?たんぽぽやひまわりと合流するんじゃないんですか?」
俺とケイさんの話を聞いていたウサギチームの澤は不思議そうに聞いてくる。
「今合流するのは止めた方がいいな」
『えー!なんでですか!?』
『こんな時にぼっち拗らせてる場合じゃないですよ!比企谷先輩!!』
『不安なら私達が一緒について行ってあげますから!!』
「いや、お前ら俺のなんなの?」
あと、ぼっちを拗らせるというのはこんな時じゃない、どんな時にでも拗らせているのがぼっちというものだ。
「西住に聞いてもたぶん同じ事言うぞ?合流は止めた方が良いってな」
『つまり〜比企谷先輩に会いたくないって事ですかぁ?』
『比企谷先輩…ついに西住隊長から嫌われちゃったんだ』
おい、ついにってなんだよ…思い当たる節が多すぎて否定しきれないんだが。
「え!?あ、そうなの!それは残念ねぇ!!」
「…いや、なんでそこで嬉しそうなんだよ」
アリサの奴、俺が嫌われるのがそんなに嬉しいの?
『嫌いになんてならないよ!?』
「おわっ!?び、びっくりした…」
突然通信が入ってきたと思ったら西住本人だった。いきなり割り込んで来たので少し戸惑ってしまう。
『あ、あのね…確かに今合流するのはちょっと難しいんだけど、別に八幡君に会いたくないって事じゃなくてね』
「あぁいや…わかってるから、状況が状況だしな」
「えっと…つまり?」
「つまりねラビッツ達。私達が合流するにも、まずは上からの砲撃をなんとかしないとダメって事よ」
『はい、このまま合流しても狙い撃ちにされるだけですから』
今俺達あさがおがたんぽぽ本隊に合流しても的が大きくなるだけだ。
「あの上からばっかんばっかん撃ってるやつですわね!マジムカつきますわ!!」
「あぁ、マジムカつくな。赤星に手ぇ出してただで済むと思ってんのか?」
『…小梅さん』
ふと西住が小さく呟いた。…そういえば赤星はちゃんと西住と話は出来たのだろうか。
「…赤星の為にも、まずは上からの砲撃を攻略すんぞ」
『…うん』
「でも…あんな大きな爆撃を発射出来る戦車の攻略なんて難しいんじゃ」
『凧が一番高く上がるのは、風に向かっている時である。風に流されている時ではない』
『チャーチルですね』
…この格言入りは。
「ダージリンさん」
『えぇ、私よ』
だよね知ってた。むしろダージリンさんじゃなかったら誰なんだろと不安になるまである。
「…いつから聞いてました?」
『そうね、あなたが私と合流するのを嫌がっていた話からかしら』
「その話はもう終わってますんで…」
つまり最初からじゃないですかー。ひょっとして…ベストなタイミングで格言から入る為に今までスタンバってました?
『逆境や困難に立ち向かってこそ人は力を発揮できるもの、今がその時でなくて?』
「ダージリンさん…はい!!」
『でも、あの砲撃の正体ってなんだろ…』
ふと武部が呟いたのが聞こえてきた。あぁ…お互いバタバタしててそれどころじゃなかったとはいえ、すっかり伝え忘れていた。
「あぁ、アレはな」
『え?比企谷もうわかったの!?』
「まぁ俺も確信してる訳じゃないが、アレは」
『あ!待って!当てるから!!』
なにその突然のクイズ形式…。
『わかった!ブルムくま!!』
「…ベアな、ブルムベア」
正式名称IV号突撃戦車、奇しくもあんこうチームと同じIV号の戦車だったりする。
『えー!くまの方が可愛いと思うけど』
「いや、可愛さとかいらんし…」
くまでもベアでも実物が恐ろしい事には変わらんだろうに。
『でもボコは可愛いよ?』
「…ん?」
『ボコは可愛いよね?八幡君』
「…まぁ、うん」
そういえばあの包帯ぐるぐる巻きのキャラクターも熊だった。
ブルムくま派VSブルムベア派。なんとここに第三勢力なるブルムボコ派(派閥数推定一人)が誕生した!!なにそれ弱そう、同じ熊なのにここまで差が出てくるとは。
「そもそもあの爆発の規模から見て正体はブルムベアじゃない」
ブルムベアの話は今は関係ないのでこれ以上あれこれ言うのは止めておく。続けると西住の思考が戦車道からボコに汚染されそうだし。
『そういえば比企谷先輩はなんでわかるんだろ?』
『そりゃわかるでしょ、アリサさんが乗ってるんだもん』
「あんた達それどういう意味よ!!」
いや、そういう(盗聴的な)意味でしょ…。
「まぁ、日頃の行いってやつだな」
こればかりは前科があるので仕方ない。
「ぐぬぬ…あの子達後で覚えてなさい!!」
『きっと比企谷先輩と一緒に盗聴してるんじゃないかなぁ』
『盗聴コンビだ!!』
「しっ!みんな静かに、比企谷先輩に聞かれちゃうでしょ!!」
「………」
いや、ばっちり聞こえてるし、なんなら澤の声が一番聞こえてるんだが。
「なるほど…これが日頃の行い、ですか」
カルパッチョがじーとこっちを見てくる。いや、してませんよ?むしろ出来る事ならしたいくらいなんですから。
「…あの子達」
「アリサ、ウサギチームも別に悪気があって言ってる訳じゃ…」
いや…あるな、悪気。むしろ悪気しかないまである。わざわざ俺を巻き込んだ辺り確信犯だろあいつら。
「思ったよりいい子達じゃないの!後でお菓子でもあげようかしら!!」
「なんでだよ」
さっきからアリサの情緒が不安定でこっちまで不安になってくるんだが。
「………」
…だがそれ以上に不安なのはクラーラが盗聴の話題になると露骨に我関せずを貫き始めた事だったりする。ははは…まさかね。
『…頭上からの砲撃の正体、おそらくカール自走臼砲ですね』
と、やはり秋山は気付いているか。そうそう、別に盗聴なんてしなくてもわかる人にはわかるんだよ。
「あぁ、それを踏まえてあえて聞くが…戦車道のレギュレーション的にアリなのか?」
だってカール自走臼砲だぞ?そもそもがオープントップだし、戦車と呼べるレベルの兵器じゃない。
『もちろん無しです!!と言いたい所なんですが…』
『審判団が動いていない以上、こちらはアリと前提して動くしかないわね』
いくら文科省でもルールを大幅に逸脱した行為が許されるとは思えない。
審判団が静寂を決め込んでるのならこの試合でのカール自走臼砲の使用は許されている。と考えるべきだ。
「ほんとおかしいわよ!うちが申請した時はまだ協議中だったのに!!」
「…アリサ?」
「…あ」
今サラッととんでもない事言ったぞコイツ…。
「…サンダース、カール自走臼砲を投入するつもりだったのか?」
「そ、そうよ!何か文句ある!!」
いや、むしろ文句しかないんだが…。通信傍受機の次はカール自走臼砲の投入まで考えてたとか、お金があるって凄い。まさにマネーイズパワーなり。
「懲りてねぇな…」
「もちろん懲りてるわよ!だからこうして協議中なのを待っていたんじゃないの!!」
「あー、まぁ…うん」
『比企谷さん、これですよ?』
通信越しなので顔は見えないが五十鈴からの圧はしっかりと感じる…。ルールを守ってれば何をしても良いって考えを俺は否定出来ない。
真面目に来年の戦車道、アリサが率いるサンダースが一番厄介になるのでは?
「…だがこれで確定だな」
協議していたという事は、戦車道にカール自走臼砲の導入の検討は元々あった話なのだろう。
それを文科省がこの試合の為にゴリ押した。とくれば辻褄は合う。
「それを事前にこちらに伝えてない時点で悪意しかないんだが」
おそらく戦車道連盟もまとめて、文科省にしてやられたか…。
『No use crying over spilled milk、こぼれたミルクを嘆いても仕方ないわ』
『はい、今は私達で出来る事を考えましょう』
「その事なんですが西住さん」
『西さん?』
話を聞いていた西がチハ戦車を此方に寄せてくる。
「私なりに皆様のお話を聞きながら考えてました、どうすればこの戦局を打破出来るのかを」
「…オチが見えるわね」
まぁ…一応は聞いておこう。一応は。
「そして閃きました!やはりここは敵本陣への突撃しかないと!!」
「やっぱり突撃なんだ…」
『だと思った…』
さすがにウサギチームもこのやり取りには慣れてきたのか、少し呆れた声も聞こえてくる。
「…まぁ一つの手段ではあるな」
『え?比企谷先輩!?』
『比企谷先輩にも突撃が感染った!!』
え?それって感染系のものだったの?あぁ…だから知波単学園は一人突撃しだすと連鎖して突撃かましていくのか。
「突撃すれば自然と敵戦車との接近戦になる、そんな混戦の中でカール自走臼砲なんぞぶっ放したらどうなる?」
「えぇと…味方も巻き込んじゃうって事ですか?」
「あぁ、つまり結果的にカール封じは出来る」
…逆を言えばカール自走臼砲封じしか出来ないが、現状の戦力で突っ込んでって勝てるとは思えんし。
「まぁ味方戦車を巻き込んでカールぶっ放してくる可能性もあるにはある、なんせ相手は安全地帯から一方的に攻撃できるんだからな」
「…砲撃って味方に向けて撃っちゃって良いんですか?」
「まぁ一発だけなら誤射かもしれないし…そこんところどうなんだ?秋山」
『ルール上ダメという事はないですが…』
『なーんか比企谷先輩ならやりそう』
『こわーい』
「やるわけないだろ、そもそもメリットが無いんだから」
『そこでメリットの話が出てくる時点でどうなんだ?』
冷泉からの鋭いツッコミにはノーコメントにしておこう…。
「…とにかく、ここからはカール自走臼砲の攻略戦だな」
『うん、その為にもまずはカール自走臼砲を見つけないと』
「砲撃から着弾までの距離からおおよそ検討はつくけど、正確な場所まではさすがにわからないわね」
『偵察部隊が必要かしら。みほさん』
『はい、小隊を組みます。メンバーはーーー』
ーーー
ーー
ー
「………」
「梓、どうしたの?」
「ううん、西住隊長はもちろんだけど、やっぱり隊長の人達ってみんな凄いなって」
無線越しにみほ。そしてケイとダージリンのやり取りを聞きつつ、澤 梓はため息をついてしまった。
あの時の比企谷 八幡の言葉をふと思い出してしまったのだ。
来年は自分が副隊長になり、再来年は隊長になるかもしれないと。
もちろん、今日の試合で大洗が勝てなければ実現する事の無い未来の話ではあるが、それでも可能性はある。
その時、自分はあんなふうにきちんと出来るのだろうか?
「それに比企谷先輩も…私達より試合出てないのに凄いなって」
試合の経験はエキシビションマッチと今回の二回しかないのに今も隊長達に混じって話を続けている。
「私も見習わないと」
この人達に追いつけるようにならないと。澤 梓はグッと拳を握りしめる。
「西住隊長はともかく、比企谷先輩を見習うのは…」
「ちょっと…ねぇ?」
「もう!そんな事言っちゃダメじゃない。比企谷先輩から教えて貰う事も多いんだから!!」
「それはそうなんだけど…ほら」
「…?」
チームメンバーに言われて梓は首を傾げつつ、カール自走臼砲対策の話に再び戻る。
『それでマックス、もう一度聞かせて貰えるかしら?あなたが偵察部隊に志願した理由なんだけど』
「赤星に白旗を上げさせた罪をこの手で償わせる為に決まってんでしょう。復讐を遂げる日まで、安らかに眠る事なかれ」
「だって比企谷先輩、あんなだよ?」
「カール死すべし!慈悲はない!!」
「…そうだね」
…見習わなくて良い所は見習わないでおこう。澤 梓は隊長に向けてまた一つ成長できたのかもしれない。
大洗連合チーム24両VS大学選抜チーム28両。