劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。   作:ボッチボール

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新年あけましておめでとうございます!!
今年はガールズ&パンツァーもっとらぶらぶ作戦の劇場上映が毎月上映といきなりのガルパンイヤーな年ですね。
まぁネタバレというネタバレは少ないかもしれない作品ですがしばらくはネタバレ厳禁でお願いします。



かくして、どんぐり小隊は進軍する。

『どんぐり小隊ぃ〜~〜~~全速前進ッ!!』

 

早速だが全速前進DAッ!!

 

「おー、張り切ってんね〜チョビ」

 

「なぜ安斎が仕切っているんだ、ここは会長が指揮をとるべきだろう」

 

「アンツィオ校の隊長だからじゃないかな、それを言ったら継続高校の人達もそうだけど」

 

どんぐり小隊(安斎さん命名)の小隊内訳はこうだ。

 

アンツィオ高校、CV33カルロ・ベローチェ。

 

継続高校、BT-42突撃砲。

 

そして大洗からはカメチームのヘッツァーとアヒルチームの八九式中戦車の計4両の構成となった。

 

「そーそー、こういうのはやりたい人がやればいいよ。継続ちゃん達も何も言わないんだからさ」

 

「会長がそう仰るなら…しかしそれにしても、だ」

 

河嶋さんがチラッと鋭い目でこっちを見てくる。

 

「わざわざ自分の戦車からこちらに乗り換えてまでなぜお前が居るんだ、比企谷」

 

「殺りたい人が殺ればいいと聞いて」

 

そう、今回俺は自前のイージーエイトを単独で走らせてカメチームヘッツァーと合流、そのまま搭乗させて貰った。これにはローズヒップも久しぶりの爆走でテンション爆上がりである。

 

俺が抜けたイージーエイトだが、一度戦況が落ち着いた今なら車長が抜けた所で問題は無いだろう。え?元々車長ばっかりで問題無いって?…まぁ、そうね。

 

「なんか言葉のニュアンスが…比企谷、お前少し変だぞ?」

 

「比企谷ちゃんが変なのはいつもの事じゃん」

 

「それもそうですね」

 

「桃ちゃんそれで納得しちゃうんだ…」

 

「まー西住ちゃんもオッケー出してるんだし。それにほら、これでようやく生徒会チームが揃ったんじゃん」

 

「…ナチュラルに俺を生徒会にカウントするの止めてくんません?」

 

たまたま空いてる所が定員割れしてるヘッツァーしか無かったって話だから。アンツィオよくCV33に三人で乗って来たもんだなぁ…。

 

もちろんアンツィオという事でカルパッチョも来たがってはいたがさすがにイージーエイトから二人抜ける訳にもいかないので残って貰った。

 

「ならそのままイージーエイトで合流すれば良いだろうに…なぜこの4両なんだ?」

 

河嶋さんがまだぶつくさと文句を言っている。まぁ気持ちはわかる、なんせこの戦力だ。

 

豆戦車カルロ・ベローチェは論外、八九式も火力には期待出来ない。まともに戦車戦が出来るのはBT-42とヘッツァーの2両と実質半分の戦力だ。

 

「そういえばなんでこの編成なのかな?」

 

「ん〜、偵察が失敗して全滅しても問題無いメンバーを選んだとか?」

 

「そんなぁ…おのれ西住ぃ〜!!」

 

いや…さすがにそれは無いとは思いたいが。…無いよね?俺が偵察部隊に行きたいって駄々こねた時、西住の背後で【ゴゴゴゴッ…】的な文字まで見えてた気がするけどたぶん気のせい。

 

だってそもそも通信越しだったから見えるわけないもんね!!…逆説的にじゃあなんで見えたんだアレ、怖ッ!!

 

「…理由はありますよ、イージーエイトを合流させれなかった理由もそうですが、戦力が強いと相手に警戒されちゃうでしょ」

 

「ははは!わかってないな比企谷。我々の任務は偵察だ、そもそも敵とは遭遇しないのが前提だろう」

 

「…会長?」

 

思わずこの人マジか?という表情をしてしまったが、またしても何も知らない河嶋さんにそれを向けるのは失礼なので会長に聞いてみる。

 

「ん?あー…かーしまにはまだ言って無かったっけ?」

 

んー…この表情はむしろ確信犯なのでは?

 

「はい?」

 

「あのね桃ちゃんーーー」

 

『こちらアンチョビ!そろそろ敵本陣が見えてくるぞ!!』

 

「…会長、そういえば我々はどこに向かって?」

 

「ん〜…敵部隊への突撃?」

 

「ひぃ~っ!!撤退!今すぐにでも撤退しましょう!!」

 

あ…この反応はマジで何も知らされてないのか…どうりでこの人にしては今まで涼しい顔をしてると思っていたが。

 

4両で突っ込んでくる小隊に向けて相手がとる行動は一つ。

 

敵戦車部隊の一斉砲撃が俺達に向けて放たれてきた。

 

「かーらーのぉ〜…旋回いッ!!」

 

「はい!!」

 

どんぐり小隊4両は相手の一斉砲撃をかわすと同時に進路を森へ、相手の砲撃による土煙が都合良く俺達の姿を眩ませてくれた。

 

「まぁ…そんな訳でカールの場所見つける為にも一度、敵陣を横切る必要があった訳で」

 

「さ、先に言え!!」

 

それこそすぐ隣で涼しい顔して干し芋しゃぶってる会長に言うべきなんじゃないかなぁ…。

 

「追手は!?敵は追いかけて来ていないだろうな!!」

 

「たぶん大丈夫ですよ。その為にこの戦力で小隊を組んだんですし…」

 

この戦力の肝は敵に相手にする価値は無い。と思わせなければいけない。

 

たった4両で、しかも内2両は戦力外の戦車。囮か陽動目的とでも思って貰えればありがたい。

 

イージーエイトを小隊から外して俺一人がヘッツァーに乗り込んだのもこれが理由だ。

 

「弱い奴が相手にもされないのはどこの世界でも鉄則ですからね」

 

「比企谷君、言い方…」

 

「だからこそ、好き勝手できる分都合が良いって事ですよ」

 

警戒されないのは弱い者の特権だ、強者には決して真似出来ない、弱者だけに許されるアドバンテージ。

 

後はそれを存分に生かすだけだ、この森の中にカール自走臼砲がある。

 

そもそも600mm砲をぶっ放してくる兵器だ、その巨躯を見つけるのに時間はそれほどかからなかった。

 

『うおっデカいッ!あれがカール・ヴォルフか!!』

 

あまりの衝撃に安斎さんも思わず人名の方が出てしまう。カール・ヴォルフはドイツ軍人さんでカールとはまた別なのだ、決してカールおじさんとは呼ばないようにね。

 

…ん?カールって名前のおじさんをカールおじさんと呼んでも別に問題無いのか。ないよね?

 

『あれがカールッスよ!アンチョビ姐さん!!』

 

『あれが600mm砲、カルロ・ベローチェが8mm機銃だから…えぇと…何倍だ!?』

 

『わり算も出来ないんスか!7.5倍ッスよ!!』

 

…ペパロニもわり算出来ない子だったかぁ…、この二人これでアンツィオの売り上げとか計算出来るのだろうか。

 

「ふ、ふん。たかだかカルロ・ベローチェの7.5倍の火力に何を怯えているんだ」

 

「…え?」

 

…えーと、河嶋さん?

 

「75倍だよ、桃ちゃん」

 

「ゆ、柚子ちゃん…。な、なんだ比企谷!お前までそんな目で見るな!!」

 

「いや…まぁ、生徒会って会計大丈夫なのかなって」

 

大丈夫?仮にも…いや、仮じゃないけど学園艦の予算云々を管理するのも生徒会の仕事だよね?

 

「まー、そこら辺は小山が上手いことしてくれてるから」

 

「あぁ、それならまぁ…安心ですね」

 

「どういう意味だ!!」

 

「まぁまぁ桃ちゃん…。でも安心してね、比企谷君」

 

「はい?」

 

「学園艦の予算ならちゃんと"上手いことしてる"から」

 

「…あはは、そうですかぁ」

 

なんだろ…すごい笑顔なんだけどその笑顔が怖い!そもそも上手いことしてるって言い回しがなんか黒い!!そこはきちんとしてる…とかでいいのでは?

 

『しかし、ようやくカール自走臼砲を見つけたは良いが』

 

「…まぁ、そりゃそうだよな」

 

『パーシングが3両、カールを守ってます!!』

 

アヒルチーム磯辺の報告は想定内だ。カール自走臼砲は相手方にとっても戦力の要、そりゃ警護に戦力を当てて当然か。

 

警護にはパーシング。しかも3両。

 

おまけに目標のカール自走臼砲にたどり着くには橋を渡る必要もあるが、その橋が途中で崩れ落ちている。

 

恐らくこちらがカール自走臼砲に近付けないように相手が事前に崩したのか、護衛のパーシング3両も合わせて要塞化した一帯を攻めるのは容易でないだろう。

 

『どうする!!』

 

「ん~~4両で突っ込むか」

 

「無理です!」

 

『それはパスタを生で食べるくらい無茶だ!!』

 

会長も冗談で言ったんだろうが、この戦力でパーシング3両を相手にしながらのカール撃墜は無理で無茶だ。どれくらい無茶かというと鼻でパスタを食べるくらい無理だろう。パスタで無茶といえばこれである。

 

「撤退しましょう会長!偵察という我々本来の任務は達成できたんですから!!」

 

河嶋さんの言い分が正解だ、あくまでこの小隊の任務はカール自走臼砲の場所を特定する事にある。

 

…だが、目の前に赤星の仇がいるこの状況でむざむざ撤退するしかないのか。

 

『待ってください!良い考えがあります!!』

 

「…磯辺?」

 

と、そこでアヒルチームが声をあげる。はて、私に良い考えがある。と。

 

『私達でカルロ・ベローチェをレシーブするので、アンツィオさん達はアタックして下さい!!』

 

『???』

 

あ、アンツィオの二人が宇宙猫みたいな顔になってないかこれ。

 

「…なるほど、八九式の車体にカルロ・ベローチェを乗っけてカールに向けて飛ばすって事か」

 

『えっ?今のってそういう意味なのか!?』

 

『よくわかるッスねー』

 

「バレー部肉体言語はリスニングが難しいんだが…まぁ、だいたいそんな感じだろ」

 

『そう、まさにそれです!!』

 

『さっすがコーチ!!』

 

「比企谷ちゃん、バレー部のコーチになったの?」

 

「なってないです」

 

『そうか!コーチを入れれば私達って5人になるのでは!!』

 

『そうなると』

 

『バレー部復活!!』

 

「比企谷、向こうはあぁ言っているが」

 

「なってないです」

 

いや、ほんと無感情ででもバッサリ否定しないといつの間にかバレー部幻のファイブマンにされかねない。…シックスマンって言えばかっこいいのにファイブマンってなるとなんか急にダサくなるのはなんでだろう…。

 

『名付けて殺人レシーブ作戦!!どうでしょうか?』

 

「いや、どうもこうも」

 

…ダメだろ、それ。

 

「それ、いーねー」

 

「そうですかぁ〜?」

 

うちの会長はノリノリみたいだが、この作戦には明確に穴がある。

 

まぁ…安斎さんならそこら辺、ちゃんとわかってるだろうから心配はいらないが。

 

『わ、私達アンツィオがカール自走臼砲を撃破するのか!!』

 

『はい!【殺人レシーブ作戦】のボールはアンツィオにしか出来ません!!』

 

『いやーしかしだなぁ…』

 

…なんでちょっと満更でもなさそうな対応なのこの人。殺人レシーブ作戦とか物騒なネーミングのボールになれって言われてるのに。

 

『戦車で飛ぶのもなんか面白そうですし、やりましょうよ!ドゥーチェ!!』

 

『お願いします!ドゥーチェ!!』

 

『ドゥーチェ!!』

 

『ドゥーチェ!!』

 

『『『『『ドゥーチェ!ドゥーチェ!!ドゥーチェ!!』』』』』

 

…なにこの唐突なドゥーチェコール、しかしさすが体育会系バレー部、ドゥーチェコールも力強い。

 

『あ~!仕方ない!このドゥーチェ・アンチョビに任せておけ!何事もノリと勢いだからな。マズルを狙えば…まぁなんとかなるだろ!!』

 

…チョロい、ちょっとこの人チョロすぎる。それじゃあアンチョビさんじゃなくてアンチョロさんになっちゃうよぉ…。

 

仕方ない、この勢いに水を差すのもなんだが無理なもんは無理だ。鼻からパスタ食べる練習なんてしたくないし。

 

「いやほら…問題は護衛のパーシング3両をどうするかだろ」

 

八九式に乗せたカルロ・ベローチェをカール自走臼砲に向けて飛ばす…自分でも言っていてアレだが。それをしようにもパーシングが邪魔をしてくるのは目に見えている。

 

…邪魔、してくるかな?なんかほっといても問題無い認定さえされそうだが。

 

『せっかく吹き始めた風は遮るものじゃないんじゃないかな』

 

「…ミカさん」

 

「継続ちゃん達、聞いてた?ちょっと手伝って欲しいんだけど」

 

通信越しにポロンとカンテレの音色が聞こえてくる。この人今までずっと会話には入ってこなかったけど、もしかしてカンテレ引いてたの?

 

「あー…いや、ミカさん」

 

安斎さんは完全にノセられちゃったし、もうこの人だけが頼りなんだけど…頼りになるかなぁ。

 

バレー部の提案した殺人レシーブ作戦、これには重大な欠陥がある。

 

『CV33ではカールを撃ち抜けないだろうね』

 

「…でしょうね」 

 

だからもう、前提条件が無理って話にはなるんだが。

 

豆戦車、カルロ・ベローチェが8mm機銃でどれだけペチペチしてもカール自走臼砲の撃破は不可能だろう。

 

ようするに。なるほど、完璧な作戦ッスねー!不可能な事に目を瞑ればよぉー!!である。

 

『この作戦に意味があるとは思えない』

 

…良かった。いろいろ謎の多い人だけど継続高校の隊長なだけあってそこら辺はちゃんとわかってるか。

 

『しかし、彼女達の判断を信じよう』

 

「…さっきこの作戦に意味は無いって言ったばかりでは?」

 

『意味だけを求めること程、無意味なものも無いんじゃないかな』

 

「じゃあやるんですか、これ」

 

『風が吹いたならそれに乗ってみるのもいいものだよ、どこに辿り着くかは風に任せてみればいい』

 

ようするに…出たとこ勝負って事なんだろうが…うーむ、話がわかるようでわからない。なら、いっそ具体的に。

 

「…パーシング3両、相手に出来ます?」

 

この作戦を実現させるには護衛のパーシング3両をなんとかしてカール自走臼砲から引き離す必要がある。継続高校にやって貰うならその役目だ。

 

囮と陽動、そこからの1両対3両、役割の負荷は多い上に得られるものは意味の無い作戦の実現という酷く曖昧な物だ。

 

『それが人生にとって必要な戦いならね』

 

だが、ミカさんは涼しい声でポロンとカンテレを鳴らして答えた。

 

『この戦いは君にとってそうじゃないのかい?比企谷君』




大洗連合チーム24両VS大学選抜チーム28両。
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