劇場版でも、やはり俺の戦車道は間違っている。 作:ボッチボール
いいなぁ…自分のやってるやつでもガルパンや俺ガイルとのコラボイベントとかやりませんかね?たぶんやらないだろうなぁ。
戦車道大作戦が俺ガイルとコラボしたら間違いなく悶えるんだろうなぁ…。
「しかし、よくあの戦力でカール自走臼砲を撃破できましたね、おまけに3両のパーシングまで」
「当然よ。私達がこれだけ大変な目にあってたんだからそれくらいしてもらわないと割に合わないわ」
ヘッツァー、BT_42突撃砲、八九式中戦車、カルロ・ベローチェ。このどんぐり小隊のネーミングに恥じぬ戦力でパーシング3両とカール自走臼砲の撃破はまさに大金星と言っていい。
「どうせほとんどが継続高校の手柄なんでしょうけど」
この大洗一般生徒Eさん、それ言う為だけにわざわざ戦車近付けて来たの?いちいち指示されるティーガーII操縦手ちゃんが可哀想だろ、嫌ならちゃんと嫌って言って良いんだよ?
「まぁパーシング3両に関しちゃ継続高校に任せっきりだったしな」
チームの勝利ってやつさ♡と言いたいが継続高校が作戦のほとんどを担当していたのは間違いないか。
「おいおい比企谷、私達の活躍を忘れてもらっちゃ困るぞ!!」
「ドゥーチェ!!」
そのやり取りが聞き捨てならなかったのか、アンツィオからドゥーチェ・安斎さんが話に入ってくる。
「豆戦車のカルロ・ベローチェにいったい何の活躍が出来たのか、聞かせて貰いたいものね」
「いや、バレーボールになったりカタパルトになったりで大活躍だったぞ」
「…私は戦車道の話をしているんだけど、というか戦車道関係なく何の話よ!!」
戦車道の話をしてるんだよなぁ…。
「それに八九式中戦車は作戦を考えてくれたし、カール自走臼砲を撃破したのはヘッツァーだ。これはいわばチームワークの勝利ってやつだな」
いや、本当この人眩しいな。その台詞を俺が言っても「似合わないね」、からの♧で話終わっちゃいそう。
さすがドゥーチェ、偉大な相手というのは輝いて見えるものなのか!!
「急造チームでチームワークねぇ」
そんでこいつはいちいち突っかかりに行くな、「まぶしい理由の方は訊いてないんですけど?」とか言っちゃうタイプだろ。
「確かに急造のチームだったが、そこにチームワークが生まれない理由にはならないだろう」
「まぁお前そういうの苦手そうだしな、誰かに合わせるとか嫌いなタイプだろ」
「あなたには言われたくないわよ!誰が相手でも合わせてこその黒森峰…いえ、それでも例外はあるわね」
「おい、今露骨に俺の方を見て訂正しただろ」
いや、こいつからの共演NGなんて戦車を使ったオンラインゲーム、SAO(戦車・アタック・オンライン)のプレイからも想定通りなんだが。
なんでかなー。あのゲームじゃ基本的に赤星のキル数稼ぎの援護したり、姐住さんのフォローしたり、こいつの獲物を横取りするくらいの事しかしてないんだが。
「じゃあ聞くけど、わざわざヘッツァーに戦車を乗り換えてまで小隊に志願したなら、それ相応の活躍はしているんでしょうね?」
「ふっ…当たり前だろ」
俺はわざとらしくニヒルに微笑んで見せる。
パーシング3両を相手に大立ち回りをした継続高校。
殺人レシーブ作戦を立案したバレー部、八九式中戦車。
その作戦のバレーボールとなり、ヘッツァーの発射台となってくれたカルロ・ベローチェ。
カール自走臼砲の撃破をした会長、装填手の河嶋さん、操縦手の小山さん。
あの作戦の最中、俺が最も活躍したその瞬間をこいつにも知らしめるべく、俺は声を大にして安斎さんの乗るカルロ・ベローチェをビッと指差した。
「一度真っ逆さまにひっくり返ったカルロ・ベローチェが今もこうして元気に動いてんだろ」
いやぁ…カルロ・ベローチェは強敵でしたね。
「…やっぱり、あなたとのチームなんて願い下げね」
「そうだな、さすがにティーガーIIがひっくり返ったら俺にもどうする事も出来ないんで、そん時は諦めて地団駄踏んでてくれ」
「私がそんな状況になんてなる訳ないでしょ!あと地団駄なんて踏まないわよ!!」
さすが全国のお茶の間でテレビ中継がされている戦車道全国大会の決勝戦中に履帯が壊れた事で地団駄を踏んでいた女だ、面構えが違う。
ーーー
ーー
ー
「キツネ殿!!」
「…ん?」
キツネ殿?はて、一瞬誰の事かとも思ったが、うちがキツネチームなのでたぶん俺達の事を言っているのだろう。
「あー…えと、確か知波単の」
「申し遅れました!私、知波単学園の福田 はると申します!!」
福田 はる、と名乗った小柄なメガネ少女はビシッと綺麗に敬礼をかましてくる、西もそうだが知波単学園の連中はのっけから良いジャブを打ってくんなぁ…。
福田 はる、福田…あぁ。
「エキシビションマッチで知波単側じゃ最後まで残っていたな」
「私のような若輩者の事を覚えていておられだったのですか!福田、感無量であります!!」
「あぁ、当然だ。…あの試合の事を忘れる訳ないだろ」
なんてったってあの河嶋さんが砲手として初撃破を達成した素晴らしい記念日なのだ!忘れる訳がないじゃないか!!
「ひっ!…なにやら、笑顔が怖いのですが」
「怖がってますけど、比企谷さんのお知り合いですか?」
「エキシビションマッチにも参加してくれた知波単学園の生徒ですね」
「黒森峰とアンツィオの次は知波単?本当に節操無いのねあんたは!!」
いや、俺が悪いのこれ?
「あー…で、何か用か?」
「その…あのですね」
福田はごにょごにょと何か言いにくそうにしている、こちらとしても西以外の知波単学園生徒とはあまり話した事が無いので話の取っ掛かりが無い。
「わかりました!きっとお腹が空いているんですわ!!」
「そう!ならチョコレートあげるからさっさと離れなさい!!」
いや、そんなギブミーチョコレートなノリじゃないんだから、あとアリサは何をまた警戒してんだこいつ。
「いえその、先のあさがお部隊での戦闘時、突撃の号令が無かった件についてお聞きしたいのであります!!」
あぁ、その事か…。
あさがお部隊にて俺は知波単連中の突撃を自粛させる為に、突撃の指示はこっちから出すと話をつけた。
まぁ本当に良いタイミングが来たらやって貰うつもりでもあったが、そんな都合の良い機会なんて当然あるはずもなく、そのまま敵が撤退してくれたのであの場ではなんとか抑える事が出来たんだが。
「ようするに突撃が出来なくて不満って事か」
知波単学園側からすれば消化不良も良い所なのだろう、戦闘の最中を見てても今にも突撃したくてうずうずしていたのがなんとなく伝わってきたし。
…正直、そろそろ勘弁して欲しいと言いたくなるのが本音だ。これは大洗の命運がかかっている試合で、自分達が突撃をしたい、なんて理由で勝手に動かれてはたまったもんじゃない。
知波単学園の伝統だなんだはこっちとしては知ったこっちゃない。…突撃して散りたいのなら、自分達の責任がある範囲に抑えてくれ。
「い、いえ!とても素晴らしい判断だったと思います!!」
…おや?
「あそこでいたずらに突撃したところで全滅は免れず、そうなっては我々知波単学園の面目もありませんでした!!」
この子が知波単学園で唯一、あのエキシビションマッチで最後まで生き残った理由がなんとなくわかった気がする。
突撃一辺倒の知波単学園の戦い方に関して、彼女も現状には疑問を持っているのだろう。
「…それがわかっていて、なんで突撃なんてするのよ?」
「それは…その、性分と申しますか、どうしても身体が突撃を望んでいるのであります」
…病気かな?
「わかりますわ」
「わかるな…」
うんうんと頷くローズヒップに釘を差す、操縦手のローズヒップにも突撃が伝染るのはマジで避けたい。
「ですが!このまま突撃に頼っていても試合には勝てない…と、私は思うのであります!!」
「そんなの当たり前でしょ、作戦も無い突撃だけの集団なんて怖くもなんともないわよ」
「アンツィオもマカロニ作戦や分度器作戦をドゥーチェが考えてくれました、…作戦の内容を忘れてる子もいたんですが」
あぁ、そういやペパロニがマカロニ作戦に予備のパネルまで使っちゃったんだったか。なお、ペパロニは副隊長な模様。
「…やはり必要なのは作戦の立案でありますか」
「しかし、カチューシャ様が率いるプラウダの生徒ならばどんな命令にも従うでしょうが。知波単学園の生徒の皆様が素直に応じるでしょうか?」
「福田、お前学年は…聞くまでもないよな」
「はい!1年生であります!!」
まぁ背丈もカチューシャさんより少し大きいくらいで小柄だし1年だろうとは思っていたが…。むしろ比較対象にされているカチューシャさんが高校3年生なのはバグみたいなもんだけど。
「知波単学園って年功序列なイメージがあるし、福田の口から突撃を否定した作戦の立案は難しいかもな」
どこの世界にもこの手の問題は湧いてくるもので、基本的に歳上の者は歳下の意見を素直に聞く、という行為はプライドが許さないのだろう。本当、面倒くさいとは思う。
「…そういうものなんでしょうか?ドゥーチェはいろいろと意見を聞いてくれるのですが」
「アンツィオは…アンチョビさんだしなぁ」
あの人マジ陽の人だし、下の意見とかむしろ喜んで聞いてくれるんだろう。
「というより、3年生はドゥーチェしか居ないのですが」
…あの人、入学から3年間でアンツィオをここまでのチームに発展させてんだよなぁ。もうやってることが主人公じゃん。
「プラウダは…カチューシャさんだし、そもそも誰も意見とか出さないか」
だって怖いもんね…カチューシャさん、てか横に居るノンナさんが。
「…そうですね、カチューシャ様にとってはそちらの方が問題なのかもしれませんが」
プラウダは良くも悪くもカチューシャさんの影響力が強いので後進の育成には苦労しているらしい、来年にはノンナさんも合わせて二人共卒業するのだから。
「ですが、年功序列に苦労したのはカチューシャ様も同じです」
まぁあの人にも後輩時代はあったんだろうが…それは年功序列の問題よりも身長の問題の方がデカかったのでは?いや、身長はデカくないんだが。
「ちなみにそこら辺の問題をカチューシャさんはどう解決したのかは聞いてたりするのか?」
「はい!もちろん粛清です」
「OK、もうわかったからこの話は聞かなかった事にするわ」
「そんな!ここからがカチューシャ様立志編の始まりなのですよ!!」
それもう絶対長くなる奴じゃん…プラウダの闇に触れるつもりはないので勘弁して欲しい。あと立志編とか難しい日本語知ってるのね…。
「マックスさん、私!私の話も聞いて欲しいんですの!!」
「ほいローズヒップ、言ってみ」
「私、お肉をまとめてナイフで切って食べていたのですが、それを見たアッサム様に食べたい量を少しづつ切り分けてから食べなさいと言われました。ですがお肉は熱いうちに食べた方が美味しいと思うのですがどうでしょう?」
…どうって、アッサムさんマジ苦労人だなぁとしか思えないんだが。
「…まだるっこしいわね、そんなの文句言ってくる連中の弱みを握ってこっちが優位に立つのが一番良いに決まってるじゃないの」
「悪くない提案だが、ちなみにその肝心の弱みはどうやって握るんだ?」
「それはもちろん盗聴…じゃなくて無線傍受に決まってるでしょう!!」
「言い直したつもりかもしれんけど全く言い直されてないからな…」
ちょっとたかし君の部屋が心配になってくるな。コンセントとか一度入念に調べてみた方が良いのでは?
「という訳で弱みを握る、粛清、アッサムさんへの弟子入り、先輩のドゥーチェ化待ち…と4つの案が出た訳だが」
あれ?ひょっとしてキツネチームってろくでもない連中の集まりなのでは?問題児を集めたクラスかよ…。
ていうかアッサムさんへの弟子入りとドゥーチェ化待ちとは?だって仕方ないじゃん、あの二人の面倒見が良すぎるんだよ…。
「えぇっと、その、で…ありますか」
まぁそんな反応にもなるわな…うちの問題児達が申し訳無い。
「…じつは先輩方に話を聞いて貰う為にこの福田に切り札があります」
…良かった、元からちゃんと考えがあったのね。しかしこの福田という生徒、知波単学園の生徒とは思えないくらい柔軟な発想で動いてくれるようだ。
戦車道にしてもこういう相手が一番伸び代がありそうな気がする。
「本来ならば使いたくは無かったのですが、知波単学園の今後の為にももはや手段を選んでいる場合ではないであります!!」
手段を選んいる場合ではない。
福田の言った言葉は俺にも重なるようでどうにも不安にさせる。それは今までに俺を何度も間違わせてきた免罪符の言葉でもあるのだから。
「福田、待ーーー」
「不肖、福田!鬼にも悪魔にもなる覚悟であります、見てください!!」
思わず遮ろうとしたが福田はもう止まらない、なんだかんだとやはりそこは知波単学園生徒、一度突撃を始めたら止まらないのか。
そして福田が見せてきたのはーーー。
「100点満点の…テスト?」
…うん、間違いなくテスト用紙だ、名前欄にももちろん福田の名前が書いてあるし、彼女の持ち物で間違いはない。
まぁ高校のテストで100点満点は確かに珍しくはあるんだろうが…これが切り札になるのか?
「これを先輩方にお見せすれば、きっと話を聞いて貰えるであります!!」
「はぁ?そんなので言う事聞かせられたら盗聴も監視カメラも必要無いわよ」
それはむしろ必要だと駄目なんだよなぁ…。
「…なるほど、考えましたね!福田さん!!」
…アンツィオと知波単学園の親和性ってわりと高いんだよなぁ、しかしこの反応を見るとカルパッチョもすっかりアンツィオに染まってるよね。
それにしても100点満点のテスト用紙で相手を納得させるね。…俺にはおよそ出てこない発想だ
弱みを握って相手を下げるのではなく、実力で相手の上を行く。…きっと頑張ってとった100点満点なのだろう。
「…ちょっと良いかしら?プライベート通信が入って来てるわよ」
「ん?」
この通信相手はーーー。
「福田、その切り札なんだが、大事にとっておいても良いかもしれないぞ」
「で、ですが!先輩方に話を聞いて貰う為には…」
「…そうだな、とりあえずは一度普通に提案してみたらどうだ?たぶん大丈夫だと思うぞ。知らんけど」
「し、知らないのでありますかー!!」
「こういうのはダメ元で良いんだよ。通ればラッキー、ダメならその時に改めて使えば良い」
切り札は先に見せるな、見せるのなら更に奥の手も持て…と偉い人も言ったもんだ。
「はぁ…そういうもの、でありますか」
福田はイマイチピンと来ていないのか、それでも納得はしたようで頷いた。
「…さて」
まぁ、こっちはもうダメ元とも思ってはいないんだが…この話は福田の提案から始まる事に意味があるんだろう。
「待たせたな、西」
『いえ、こちらこそ相談に乗って頂き、感謝します!!』
無線越しにでも彼女の敬礼している姿が目に浮かぶ…。
きっと、現状の知波単学園のあり方に疑問を抱いているのは彼女だけでは無いのだから。