テイルズ オブ デスティニー2 ~疾空の刃~   作:トカGE

15 / 36
設定覚書その6
・晶術は味方に当たらないが、疑似晶術は味方に当たる。これは、晶術はソーディアンがもろもろ演算して補助しているに対して、疑似晶術は全て術者本人が行っているから。
・アガレスやサブノック等一部キャラの技は、歴代テイルズオブから頂いております。・
・レモングミが高いっていうのは
 レモングミの値段=序盤武器のレイピア なので。
 剣1本とグミ1つって計算なら普通にお高いと思います まる


1-11:烈風と柳、そして

 時は少し遡る。

 

「アガレス老、騎士をやめた理由は老いたからと聞いていたが、その戦いぶりを見るとそれも怪しいものだな。どうせ、エルレイン様に弓引く機会でも伺っていたのだろう?」

「弓を引く、なんて物騒なことは考えておらんよ。じゃがな、今のままあの女に神団をいいようにされるのは、ちぃとばかり気にくわんと言うだけじゃ!」

 

 そう言うとアガレスは、鉄棍を手にサブノックへ向けて走り出す。刀を構え、迎え撃つサブノック。二人の戦い方は対極的だ。身の丈ほどもある鋼棍をまるで手足のように振り回すアガレスの戦いかたは、相手を吹き飛ばさんとする『烈風』のごとき荒々しさ。対するサブノックの戦い方は風を受け流す『柳』と表現すべきか。アガレスの猛攻を、刀一本で逸らし、あるいは受け止め、それによって僅かに生じる隙を狙って反撃する。二人の技量の差が明確な物だったならば、猛攻を防ぎきれずに打ち崩される。あるいは、反撃の一太刀で断ち切られる。そういった形で、カイルとロニがたどり着く前に決着がついていただろう。

 だが、そうならずに体力の差が表れるまで決着がつかなかったということは、二人の技量がほぼ拮抗しているということだ。故に先ほどまでの戦いでは、アガレスはサブノックの防御を崩し切れず、サブノックはアガレスに決定的な一太刀を浴びせることができなかった。

 よって、先ほどと同じような戦いを繰り返すということは、いずれアガレスの体力切れによってサブノックが勝つということに他ならない。だが今ここには、もう一人居ることを忘れてはならない。

 

「フレイムドライブ!」

 

 カイルの手から3つの火球が放たれ、アガレスの攻撃を迎え撃とうとしたサブノックに襲い掛かる。咄嗟に後ろに飛びのくものの、フレイムドライブの火球は高い追尾性を持つ。後ろへの跳躍に合わせて軌道を変え、サブノックの体目掛けて突き進む。やむなく晶力防御で防いだ所へ、アガレスが晶力で生み出された炎を纏って突っ込む。

 

「空破爆炎弾! 砕け散れぃ!」

「ちぃっ!」 

 

 炎をまとったまま回転し、赤い竜巻となって突き進むアガレス。しかしサブノックも伊達にエルレインの親衛隊を務めてはいない。咄嗟に晶力防御から刀による防御に切り替え、アガレスの突進を受け止めようとする。

 

「ぬうううう!」

「うおおおおお!」

 

 だが、文字通り全身で突っ込んできたアガレスを止める事はできず、そのまま後方へ飛ばされるサブノック。それを逃さず、追撃を放つアガレス。

 

「魔神拳!」

 

 振りぬいた拳から、地を這うような衝撃波がサブノックに襲いかかる。だが、サブノックはそれを見て防御を固めるのではなく、それ目掛けて突き進むことを選択した。衝撃波がサブノックに直撃するが、彼はそれを意に介さずアガレス目掛け突き進む。

 

「裂衝牙!」

「ぐう!」

 

 サブナックが繰り出したのは、アガレス同様攻撃の衝撃を飛ばす技。攻撃後の隙をつかれたアガレスにそれを防ぐことはできず、直撃を受けてしまった。

 

「貰ったぞ、アガレス老……!!!」

 

 一気に勝負に出ようとしたその瞬間、サブノックは背後に悪寒を感じ、咄嗟に横に飛びのいた。直後、彼が立っていた場所に3つの光弾が直撃し地面が吹き飛ぶ。

 

「嘘だろ!あれを見ないで避けるのかよ」

 

 自身が放った術が避けられたのを見て、カイルが呆然とする。カイルが放ったのは、光属性の下級晶術『デルタレイ』だ。3つの球を打ち出すという点ではフレイムドライブと同様。だが、フレイムドライヴに追尾性があるのと同じように、デルタレイにはデルタレイだけの特徴がある。それは『速さ』だ。光の属性を込められた弾は、光速とまではいかないものの、常人の眼には映らぬほどの速さで相手に襲い掛かる。だが、目の前の男は背後から放たれたその術を、目視で確認することもなく直感のみで回避したのだ。

 

「なるほど、経験不足を補う目と頭がある、か。良い師が付いていると見える」

 

 そう言ってカイルを睨み付けるサブノック。ルーティと共に戦うことによってカイルが身に着けたのは、己の戦闘スタイルと剣技だけではない。戦況を正確に把握する『眼』、そしてそこから、自身が取るべき最適な行動を導きだす『思考』。それこそがルーティが体格の不利を補うために鍛え上げ、息子であるカイルに受け継がれた『武器』だった。

 それは、ヒットアンドアウェイを中心とした敵を翻弄するカイルのスタイルと合わさることにより、カイルの実力を同年代の少年と比べても頭一つとびぬけたものにしていた。

 無論それでも、純粋に実力が上の相手とやりあうには、まだまだ実力と経験の不足は否めない。だが、支援に徹する場合は別だ。敵と味方に生じる隙を見抜き、敵の隙はついてさらに大きなものに、味方の隙はフォローすると共に攻撃のチャンスとして活用する。そんな戦い方を、カイルの『眼』と『思考』は可能にしていた。

 

「やはり捨て置くにはいささか厄介か」

「だとしても、彼に手は出させんよ!」

 

 体制を立て直したアガレスが、再びサブノックを攻撃する。とっさに受け止めた彼の目には、再び晶術の詠唱を始めるカイルが映った。

 

「二対一では、やはりこちらが不利か」

 

 舌打ちし、アガレスの攻撃を防ぐサブノック。この状況は、明らかにサブノックが不利だ。ただでさえ数の利はカイル達にある上、一人は自身と同等の実力をもち、もう一人は実力は劣るものの的確に晶術で支援してくる。そんな二人の『連携』を相手にしたならば、本来ならばサブノックに勝ち目はない。

 

「だが、勝機が無いわけでは無いな」

 

 そう言うと、サブノックはほんの少しだけ立ち位置をずらした。本来ならば、何の意味もないその行為だったが、ある人物にとってはそうではなかった。

 

「くそ、射線が通らないっ」

 

 アガレスの背後でカイルが呟く。サブノックがしたことは、単純なことだ。ただ、自身とカイルの間にアガレスを挟んだ。言ってしまえばただそれだけのことだ。だがそれだけで、サブノックはカイルの支援を封じてしまったのだ。そもそも、アガレスとカイルがやっていたことは、的確な『支援』ではあっても、『連携』と言うには程遠いものだ。アガレスは好き勝手に戦い、それに合わせてカイルも勝手に術を唱えていたに過ぎない。それも当然だ。そもそもアガレスとカイルは先程が初対面なのだ。共に戦ったことが幾度かあれば、なんとなくでも相手に合わせた連携ができるだろう。だが、完全な初共闘ではそうはいかない。相手の行動や敵の動きを目視し、それを元にした支援はできる。

 だが、相手の思考を先読みして連携するとなれば話は別だ。そもそも相手がどんな戦い方をするかもわからない。どんな技や術を持っているかも知らない。そんな状況で、相手を補助する支援は可能でも、活かすための連携をするには、アガレスはともかくカイルは経験が少なすぎた。

 戦闘前にそこに考えが至ったアガレスは、カイルにただ「支援してくれ」と伝えた。そしてそれは正解だったが、正解したからと言って勝てるとは限らないのが戦いだ。

 

「どうした、カイル・デュナミス。詠唱が止まっているぞ?」

「くそっ!」

 

 サブノックはカイルが詠唱した術に合わせて、ほんの少し立ち位置を変えるだけでいい。互角の相手との戦いの真っ最中とはいえ、彼の戦い方は防御主体だ。相手の位置を誘導するのはそう難しくはない。デルタレイやフレイムドライブのような直進する術ならば、間に挟む。ウインドカッターや、その上位術であり周辺をまとめて切り裂くスラストファングならば、距離を詰める。それだけで、カイルの支援を封じてしまった。

 これは、サブノックの本来のスタイルのおかげとも言える。本来の彼は、パートナーであるオセとのコンビで戦う。つまりそれは、支援する側がどういう思考をして、どういう行動をするかがよくわかっているということである。つまり、『自分達がされて面倒なことをしてやればいい』という訳だ。

 そうして攻撃の機会をことごとくつぶされ、気づかぬうちにカイルの意識は次打つべき術とそのタイミング『のみ』に向けられて行った。

 

「!? しまった……!」

「ふ、老いたなアガレス老。もう遅い!魔神剣・双牙!」

 

 そしてアガレスが自身の迂闊さに気づいたときは既に遅かった。支援が来ない状況、そして互角な相手のと真正面からの戦い。その二つは、アガレスの思考の内からほんの一瞬だけでもカイルを消すには十分だった。そしてアガレスがサブノックから距離を取ろうとした瞬間、サブノックはアガレスではなくカイルに向けて、斬撃を放った。斬撃と共に放たれた、2つの衝撃波がカイルを襲う。本来ならば簡単に避けれたはずだったそれは、術支援のタイミングを計ることに集中しすぎていたカイルの体を切りえぐった。

 

「うわあああああ!!!」

 

 カイルの絶叫が部屋の中に響き渡った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「カイル!?」

 

 そしてそれは、オセとの戦いに集中していたロニの耳にも届いてしまった。迂闊にも、オセから目を離して後方のカイルらに注意を向けるロニ。その目には、地面に倒れ込むカイルの姿が映った。思わず駆けだしそうになるロニだったが、今自分が誰と戦っていたかをすぐに思い出し、足を止める。だが、当然その隙をオセが逃すはずもなかった。

 

「グァァッァァァオ!」

「しまった!」

 

 階段の下から一気に距離を詰めたオセが、ロニにとびかかる。とっさに受け止めるが、モンスターの大きな体を受け止めきれず、吹き飛ばされる。倒れた彼を目がけて、オセはさらに追撃を放つ。

 

「ゴァァァォ!」

「な、ヤベぇ!ぐおおおおお!?」

 

 オセが唱えたのは、先ほどロニがオセを階段から突き落とすのに使った中級晶術『スプラッシュ』だった。上空からロニ目がけて大量の水が降り注ぐ。咄嗟に晶力防御をしようとするロニだったが間に合わず、その姿は大量の水に飲まれ、見えなくなっていった。

 

 

 

 

ーーーーーーーー

 

「カイル君!ロニ!」

 

 アガレスの動きが一瞬止まる。それは自身と互角の相手と戦っている最中には、決してしてはいけない愚行だった。

 

「迂闊だぞ、アガレス老」

「! 飛燕連きゃ「遅い!」ぐふっ……」

 

 咄嗟に反撃しようとするアガレスを、サブノックは烈火の如き勢いで斬りつけて行く。一太刀目、右腕を斬りつけられ、鉄棍が弾き飛ばされた。二太刀目、足を斬られ回避を封じられた。三太刀目と四太刀目、胴をバツの字に切り裂かれ、鮮血が舞う。

 

「これぞ五輪斬。安らかに眠れ、アガレス老!」

 

 そうして最後の五太刀目がアガレスの首目がけて振り下ろされた。

 




 カイルがなんか滅茶苦茶頭いい見たいに思うかもしれませんが、要はこれ戦闘中プレイヤーがやってることを何だかんだ理屈つけてカイルにやらせようとしてるだけです。敵のモーションに合わせて攻撃したり、ポーズしてステータスとか敵の行動とか確認しているあれとか。うん、身も蓋もないですね。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。